活動レポート

味の素グループが成長するためのポイントは?~教えて!藤江さん

2023年(令和5年)4月5日に行われた「経営方針説明会」は、新しい試みとして、参加を希望した味の素グループ従業員8名が藤江社長に直接質問する形式をとりました。

そこで「Knock Knock 社長室 〜教えて!藤江さん〜」の特別企画「8人の従業員からの質問」の<第2回>では、味の素グループの事業戦略や成長戦略に関する5つの質問をご紹介します。

「8人の従業員からの質問<第1回>」はこちら

対話に参加した8名の味の素グループの従業員とともに:後列左から湯(タン)さん(コーポレート戦略部)、小林さん(味の素AGF株式会社 包材開発部)、稲角さん(グローバルコミュニケーション部)、伊藤さん(味の素AGF株式会社 東京支社) 前列左から髙橋さん(アミノサイエンス統括部)、澁谷さん(化成品部)、藤江社長、西脇さん(株式会社味の素コミュニケーションズ MCビジネスクリエイト部)、武藤さん(味の素AGF株式会社 包材開発部)

2023年度経営方針説明会の冒頭に放映された「中期ASV経営 2030ロードマップ」の映像はこちら

化成品部 澁谷さんからの質問

澁谷さん

Q. 2030年を目指して「長期的な視点」を持ちながら、「細かく見ていく」というのが難しい・・・ポイントを教えていただけますか?

藤江社長

A. データを見える化して、機敏に打ち手を変えていくことですね

たしかに難しいことだと思いますが、やはり「見える化」がポイントかと思います。

私はプライベートでの実体験があるんです。以前、コレステロール値がものすごく高く、産業医の先生に「藤江さんの血液はドロドロですよ」と言われました。これではいけない、と思いコレステロール値の目標を立て、いろいろな取り組みを始めました。

まず、お酒を飲んだ後、駅前でラーメンを食べて家に帰るのが好きだったのですが、それをやめました。他にも、休日にはなるべくジョギングをする、普段の食事もカロリーを意識するなど。このような取り組みでコレステロール値が本当に良くなったんです。

データを見て対策をしたことで健康なカラダになるという実体験です。

データの「見える化」によって、取り組みがおもしろくなる

もともと私はデータを見るのが好きではなかったのですが、この経験によって、データが敵ではなくて、自分の味方だと思えるようになりました。すると、それに対する取り組みもおもしろくなってきました。

そして、左脳的に「取り組みを合理的に見る」ことと、右脳的に「新たな取り組みをどんどんやっていく」ことの両立がすごく大事であることに気づきました。

いま、財務部門が事業の状況などのデータを、わかりやすく伝えるための「見える化」を行なっています。

ローリングフォーキャスト(rolling forecast)とは、企業の業績予測について、立案したものを固定化せず、経営環境の変化や直近の実績に応じてすばやく見直す考え方です。

ASEAN地域のグループ会社で、このローリングフォーキャストに取り組んでいます。毎月の事業の状況を見ながら機敏に打ち手を変えていくことにチャレンジしました。例えば、ウクライナのインパクトでコストが上昇したときもすぐに手を打てた。これは非常に良い取り組みで、実績につながったので、グループ全体に展開しています。

澁谷さん

ありがとうございます。小さなことにとらわれないという点を考えがちだったのですが、根底にどんな原因があるのかを考えることに意味があるんですね。

藤江社長

はい、がんばりましょう!

コーポレート戦略部 湯さんからの質問

湯さん

Q. 顧客起点の「4つの成長領域」の比率は?それぞれをどのくらい伸ばしていくのですか?

藤江社長

A. いまは比率を限定しないほうが良いと思っています

顧客起点の4つの成長領域としているのは「ヘルスケア」「フード&ウェルネス」「ICT」「グリーン」ですね。

現在は、4つの成長領域の比率は限定しない方が良い時期だと思います。

全体としては、「食品系事業」で生み出す利益の比率を、2030年にさらに伸ばしてこれを「1」とすると、「アミノサイエンス系事業」の利益はもっと伸ばすことで同じく「1」に。この2つを半々ぐらいにしていくという目標は、はっきりしています。

この目標に向けて、4つの成長領域をどのように進化させていくかということが大事です。たとえば現在の事業を「フード&ウェルネス」という提供価値にするために、どのように進化させるかを考える。これはあらゆる可能性に満ちていると思います。

まずは、それぞれの成長領域のなかで、このようなチャレンジングな姿を描くことが適切だと思っています。

湯さん

毎月、ローリングフォーキャストを行いながら、みんなでいろいろな価値を考えて、「今後、これはもっとうまく伸ばせるね」「やっぱりもうちょっとここをやってみようか」などフレキシブルに対応できるように、いまは詳細に限定しない方がいいということですね。

藤江社長

それぞれ4つの成長領域で、どんどん挑戦しながら価値を提供していくということが大事だと思います。

株式会社味の素コミュニケーションズ MCビジネスクリエイト部 西脇さんからの質問

西脇さん

Q. スタートアップ企業への出資、さまざまな企業との共創は、今後も続けていくのでしょうか?

藤江社長

A. はい、他社との共創はすごく大事な取り組みだと考えています

自社の情報や技術を活かしてスタートアップなどの企業と共創していきます。
味の素グループは、長い歴史のなかで生活者のみなさんの情報を、世界各地で収集・蓄積しています。

日本ですと、たとえば「AJINOMOTO PARK」と「AJINOMOTO ダイレクト」があります。この2つのサイトでは、去年の12月にお客様のアカウントを1つにまとめる共通ID導入を行いました。

これら2つのサイトのアクティブユーザーは、月間で合計860万人にもなり、様々な生活者情報が集まるので、それをもとにスタートアップ企業と共創すれば、より良い新商品やサービスに結びつけられると思っています。

西脇さんが所属する株式会社味の素コミュニケーションズでも、データ活用で価値を生み出していますよね。それぞれが様々な挑戦をしていければいいと思っています。

コーポレート戦略部 湯さんからの質問

湯さん

Q. ASVについて「社会価値」と「経済価値」のバランスをどのように考えたらいいでしょうか?

藤江社長

A. どちらかを優先するのではなく、一緒に生み出していくことが大事だと思います

ASVとは「Ajinomoto Group Creating Shared Value」を略した言葉で、味の素グループの創業以来の取り組みであり、社会課題を解決しながら経済価値を共創するという考え方です。

世の中には多くの社会課題があります。それを解決するには、より多くの、より大きな経済価値を生み出すことが必要だと考えています。これが良い循環となって、より多くの、より大きな社会課題を解決できると思っています。

なので、順番とか比率というよりは、一緒に生み出していくことがすごく大事だと思います。

味の素グループのなかには、非常に多くの良い事例があります。それぞれ一人ひとりのやっていることが、社会課題に対して、どのように解決につながるのか、あるいはどう経済価値につながっていくのか、そういうことを自分ごと化できるようにしていきたいと思います。

湯さん

味の素グループは事業会社ですので、まず経済価値を重視しなければいけないと考えており、それが社会価値の創出の障害になってしまうのではないかと思っていましたが、「良い循環として両方を達成するような施策を進めて、その施策によって、さらに当社グループのより大きな経済価値を創出していける」ということがよく理解できました。

藤江社長

味の素グループが創業した1909年(明治42年)当時、「味の素®」を発売したのは、食べ物をもっとおいしくすることで、栄養価の高いものを摂って、健康になってもらいたいという社会課題への解決から始まっています。それを通じて経済価値(儲け)を創出することができ、その儲けを活用して更に大きな更に多くの社会課題を解決してきました。当時はもちろんASVという言い方はしていませんでしたが、味の素グループには、そういう遺伝子があるということも大切な無形資産だと考えています。

味の素AGF株式会社 包材開発部 小林さんからの質問

小林さん

Q. 味の素グループの価値をお客さまに理解していただくためにコミュニケーションが大切だと思っています。藤江さんが考えているイメージはありますか?

藤江社長

A. 味の素グループの現場の最前線にこそ、いろいろな答えがあると思います

味の素グループのなかにはいろいろな良い例があります。

小林さんの所属する味の素AGF株式会社にも秀逸な取り組みがいっぱいありますよね。私は「ブレンディ®」のスティック品種をよく飲みます。「ブレンディ®」の味も、もちろん好きなのですが、パッケージに書いてあるコメントがいいですよね。これで、こころが「ふぅ」っとしたり自然に笑顔になったりします。

「お客さまに笑顔になっていただこう」「お客さまのWell-being(ウェルビーイング)に貢献していこう」といった取り組みが、グループのいたるところにあると思います。

私の役割のひとつは、このような取り組みをいろいろなところに紹介をしていくことだと思っています。

味の素グループのWorkplace(味の素グループ内でのSNS型コミュニケーションプラットフォーム)でも秀逸な取り組みがいっぱい紹介されていますよね。私は寝る前によく見るのですが、読み始めるとなかなか止まりません(笑)。

味の素グループの価値とは何か、その答えは、味の素グループのあらゆる現場の最前線にこそあると思います。また、そういうところに触れることが私自身にとっても大きな喜びで、笑顔にもつながっていく。味の素AGF株式会社のロゴマークに込められている3つの笑顔(「地球の笑顔」「お客様の笑顔」「私達の笑顔」)でやっていきましょう!

小林さん

はい、ありがとうございます!

対話に参加した8名の味の素グループの従業員とともに:後列左から湯(タン)さん(コーポレート戦略部)、小林さん(味の素AGF株式会社 包材開発部)、稲角さん(グローバルコミュニケーション部)、伊藤さん(味の素AGF株式会社 東京支社) 前列左から髙橋さん(アミノサイエンス統括部)、澁谷さん(化成品部)、藤江社長、西脇さん(株式会社味の素コミュニケーションズ MCビジネスクリエイト部)、武藤さん(味の素AGF株式会社 包材開発部)

いかがでしたでしょうか。具体的な戦略についてだけでなく、それらをどのように捉えて実行していくのかといったビジョンについて語っていただきました。

次回は、味の素グループの将来を考えるうえでも重要とされている「無形資産」についてです。今回の記事でも何度か登場した「無形資産」とはどういうものを指すのでしょうか。いろいろと気になりますね。

次の記事を読む「「無形資産」を高めるためには?~教えて!藤江さん」


経営方針説明会の裏側、質問者の質問の背景やその人なりをご紹介しています。あわせてご覧ください。

ストーリーでは、さまざまな質問に藤江社長が答える「Knock Knock 社長室 〜教えて!藤江さん〜」を連載しています。ぜひご覧ください。

2023年6月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

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