活動レポート

CDP「気候変動Aリスト(最高評価)」ってなに?味の素社は5年連続で選定!

味の素社は、国際的な環境非営利団体であるCDPより、2024年度(令和6年度)の「気候変動Aリスト」に選定されました。これは5年連続でのAリスト入りとなります。ところで、このCDP「気候変動Aリスト」とはなんでしょうか。そして、そもそも「気候変動」とは?

いま世界の人々がもっとも大きな課題ととらえている「気候変動」について、味の素グループの考え方と取り組みとともにご紹介いたします。

CDP「気候変動Aリスト」とは?

CDP「気候変動Aリスト」とは、気候変動対策において、とくにすぐれた取り組みを行っている企業や自治体に付与される評価です。

「気候変動Aリスト」は、国際的な環境NPO(非営利団体)であるCDPが毎年選定しています。

CDPは、2000年(平成12年)にイギリスで発足した非営利団体であり、企業や国・自治体に対して、「気候変動」「水資源保護」「森林保全」の環境問題への取り組みを促進することと、その取り組みの情報開示を求める活動を行っています。

CDPでは、世界の主要企業が環境活動にどのように取り組んでいるかの情報を収集・分析を行い、A~D-までの8段階のスコア(未回答企業はF)で評価をしています。

「気候変動Aリスト」は、「気候変動」に対する取り組みが最もすぐれたレベルの企業に付与されます。2024年度(令和6年度)は全世界で22,000社を超える企業が評価され、そのうちの2%が最高評価の「A」スコアを獲得しました。

味の素社も5年連続でCDP「気候変動Aリスト」に選定されました。

気候変動とはなにか

「気候変動」とは、気温や雨の降り方などが数十年を超える長期にわたって変化することをいいます。

地球の環境は、太陽による熱が、海や河川・湖などに存在する水、地球全体を覆っている大気、そして山や野原、市街地などの地表とのあいだで循環するサイクルによって成り立っています。これを気候系と呼びます。気候系は、地球の公転軌道や自転軸の影響を受け、十万年単位の長い年月のあいだにゆるやかに変動していきます。

しかし近年、この気候系のバランスを人間の活動が乱しているといわれています。それが、気候変動問題です。

化石燃料(石油、石炭、ガスなど)を燃やすことによって二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが発生します。この温室効果ガスによって太陽の熱が閉じ込められ、気温が上がることで「地球温暖化」につながり、それが気候変動を引き起こすおもな原因となっているのです。

現在の地球は、過去1400年の歴史のなかでもっとも暖かくなっています。地球規模で気温が上昇した結果、異常高温(熱波)や大雨・干ばつの増加など、さまざまな気候の変化が起こっています。

また、冬が短くなることによる生物生態系の変化や、水資源や農作物への影響など、地球上で生きる生物やわたしたちの生活にも大きな影響を与え始めています。このまま進行すれば、これらの現象はより激しくなり、わたしたちの生活の根本を揺るがす可能性もあるのです。

味の素グループの「気候変動への考え方と取り組み」

気候変動によって、大規模な自然災害による事業活動の停止だけでなく、原料となる農作物や燃料のもとになる資源が手に入りにくくなるなど、大きな影響が出ることが考えられます。

味の素グループの事業は、健全なアグリフードシステム、つまり安定した食資源と、それを支える豊かな地球環境の上に成り立っています。一方で、事業を通じて環境に大きな負荷もかけています。

地球環境が限界を迎えつつある現在、その再生に向けた対策は味の素グループの事業にとって喫緊の課題です。

気候変動への対応、食資源の持続可能性の確保、生物多様性の保全などの「環境負荷」を削減することで、味の素グループが掲げるアウトカムの1つである「健康寿命の延伸」に向けた取り組みを持続的に実現していくことができるのです。

「環境負荷50%削減」の目標を掲げ、2030年までのロードマップを設定

味の素グループは、「環境負荷50%削減」という目標を掲げ、2030年までのロードマップを設定し、気候変動、生物多様性、サーキュラーエコノミー(循環経済)などの領域で取組みを推進しています。

とくに気候変動の関連では、2050年までの「ネットゼロ※1」を含む温室効果ガスの削減目標を設定してきました。

※1 ネットゼロとは、CO₂などの温室効果ガスの排出量を「出す量」と「吸収する量」を合わせて実質ゼロにすることです。

2024年(令和6年)には、この目標が、地球の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃以内におさえるための「科学的根拠のある目標」として、国際的な団体であるSBTイニシアチブ※2の認定を取得しました。

※2 SBT(Science Based Targets)イニシアチブとは、世界中の企業に対して「どれくらい温室効果ガスを減らせば、地球温暖化を防げるか」を科学的なデータにもとづいて示す国際的な団体です。

2024年12月10日に認定を取得した味の素グループのGHG排出削減目標は、次の通りです。

【Near-term目標】

スコープ1+2:     2030年度までに温室効果ガス排出量を2018年度基準で50.4%削減

スコープ3:    2030年度までに温室効果ガス排出量を2018年度基準で30%削減

スコープ3 FLAG: 2030年度までにFLAG関連排出量を2018年度基準で36.4%削減

森林減少根絶:   森林減少に関連する主要な製品について、2025年12月31日までに森林減少を行わないことを約束

【Long-term目標】

スコープ1+2+3: 2050年度までに温室効果ガス排出量を2018年度基準で90%削減

スコープ3 FLAG:  2050年度までにFLAG関連排出量を2018年度基準で72%削減

スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス、車両等)

スコープ2:他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

スコープ3:その他の排出(製品の使用・廃棄、輸送、従業員の出張・通勤、投資等)

FLAG:林業や農業等の土地集約型セクター(Forest, Land and Agriculture)での森林から農地への土地利用転換や土地利用に伴って発生するGHG排出量

スコープ1、2、3については記事下のサプライチェーン排出量をご覧ください。

レジリエントで持続可能なアグリフードシステムを目指して

味の素グループは事業を通じて、おいしくて栄養バランスのよい食生活に役立つ製品・サービスを提供するとともに、温室効果ガス、プラスチック廃棄物、フードロスなどによる環境負荷の削減をより一層推進します。また、資源循環型アミノ酸発酵生産の仕組み(バイオサイクル)を活用することで、レジリエントかつ持続可能なアグリフードシステムと地球環境の再生に貢献していきます。

レジリエント(resilient)とは、さまざまな困難や逆境に直面した際にあっても、弾力的で柔軟性に富んだ対応を行い、回復する能力のことをいいます。

そして、環境負荷などのネガティブインパクト(負の影響)を着実に低減しながら、味の素グループの強みであるアミノサイエンス®を最大限に活用して、社会へよりポジティブなインパクト(よい影響)を創出していくことを目指しています。

味の素グループは、引き続き「環境負荷を50%削減」と「10億人の健康寿命を延伸」の2つのアウトカムを両立して実現することを目指し、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献するための取り組みを続けます。

<用語解説>


サプライチェーン排出量
サプライチェーン排出量とは、温室効果ガス(GHG)の排出について、自社の自らの排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量を指しています。原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の流れ全体から発生する温室効果ガス(GHG)排出量をサプライチェーン排出量といいます。また、サプライチェーン排出量はその段階によってスコープ1、スコープ2、スコープ3と区分されています。

サプライチェーン排出量=「スコープ1排出量」+「スコープ2排出量」+「スコープ3排出量」

スコープ1(Scope1):事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス、車両等)

スコープ2(Scope2):他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

スコープ3(Scope3):その他の排出(製品の使用・廃棄、輸送、従業員の出張・通勤、投資等)

2025年6月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

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