活動レポート

CDP「気候変動Aリスト(最高評価)」に選定!味の素グループの取り組みとは?

味の素社は、国際的な環境非営利団体であるCDPより、2023年度(令和5年度)の「気候変動Aリスト」に選定されました。4年連続でのAリスト入りとなります。ところで、CDP「気候変動Aリスト」とはなんでしょうか。そして、そもそも最近話題になっている「気候変動」とはなんでしょうか?いま世界の人々がもっとも大きな課題ととらえている「気候変動」について、味の素グループの考え方や取り組みとともにご紹介いたします。

CDP「気候変動Aリスト」とは?

それでは、まずCDP「気候変動Aリスト」について見てみましょう。
CDP「気候変動Aリスト」とは、国際的な環境NPO(非営利団体)であるCDP(※1)が選定するものです。CDPは企業や国などの環境への取り組みの促進と、情報開示を求める活動を行う団体です。

CDPは毎年、世界の主要企業を対象に「気候変動」「水資源保護」「森林保全」の3つのカテゴリーについて、その取り組みや実績などの調査を行っています。気候変動カテゴリーの調査では、気候変動問題に対する適応や状況の緩和、関連情報の開示にどう取り組んでいるか、脱炭素社会の構築に先導的な企業かどうかなど、さまざまな尺度で判定が行われます。
判定の結果、もっともすぐれたレベルの企業が「Aリスト」に選定されます。このAリストに、味の素社も選定されたということです。

2023年度(令和5年度)は全世界で21,000社以上が評価され、そのうち346社がAリストに選定されました。このうち、日本企業は109社でした。

気候変動とはなにか

次に、気候変動について考えてみましょう。
地球の環境は、太陽による熱が、海や河川・湖などに存在する水、地球全体を覆っている大気、そして山や野原、市街地などの地表とのあいだで循環するサイクルによって成り立っています。これを気候系と呼びます。気候系はバランスのよいシステムですが、地球の公転軌道や自転軸の影響を受け、十万年単位の長い年月のあいだにゆるやかに変動していきます。

しかし近年、この気候系のバランスを人間の活動が乱しているのではないか、という懸念が生まれています。それが、気候変動問題です。
現在の地球は、過去1400年の歴史のなかでもっとも暖かくなっています。地球規模で気温が上昇した結果、異常高温(熱波)や大雨・干ばつの増加など、さまざまな気候の変化が起こっています。

また、冬が短くなることによる生物生態系の変化や、水資源や農作物への影響など、地球上で生きる生物やわたしたちの生活にも大きな影響を与え始めています。このまま進行すれば、これらの現象はより激しくなり、わたしたちの生活の根本を揺るがす可能性もあるのです。

味の素グループの気候変動への取り組み

さて、この気候変動という問題に対して、味の素グループはどのような取り組みを行っているのでしょうか。

味の素グループがお客様にお届けしている調味料や食品は、原材料として農作物を使っています。気候変動が進行すると、農作物の収穫に影響が出て原材料の調達が難しくなるなど、さまざまな問題が出てくることが予想されます。

そこで味の素グループでは、気候変動を全社経営レベルのリスクと考え、対応策の検討をすすめています。商品のライフサイクル全体での負荷低減を目指し、省エネ活動や再生可能エネルギー電力の利用を進めていくことに加え、国際的な環境イニシアティブ「RE100」(※2)に参加し、社内外の連携を図りながら課題解決を目指しています。

すでに、味の素グループは、バイオマス(※3)や太陽光などの再生可能エネルギーを積極的に利用しています。さらに、味の素グループ内でのカーボンプライシング制度(※4)の導入など、「脱炭素経営」に向けたアクションを着実に進めているのです。

味の素グループは、このたび国際的な共同団体であるSBT(Science Based Targets)(※5)イニシアチブによるNet Zeroを含む新たな温室効果ガス(GHG)排出削減目標への適合を宣言するコミットメントレターを提出しました。これにより、当社グループは2050年度までにGHG排出量を正味ゼロとするカーボンニュートラルを新たな目標として設定します。

今回の選定を受け、味の素社の森島千佳執行役常務( サステナビリティ・コミュニケーション担当)は、CDP公式サイトに、このようにコメントを寄せています。

「この度は、CDP気候変動Aリストにご選定いただき、誠にありがとうございます。 味の素グループの経営の基本方針は、事業を通じて社会価値と経済価値の共創に取り組むASV、Ajinomoto Group Creating Shared Valueです。このASV経営のベースには、サステナビリティが組み込みこまれています。気候変動は生物多様性、食資源の持続可能性などに大きな影響を及ぼします。私たちは強みであるアミノサイエンス®を活かした取組みにより、この影響を低減・緩和し、さらにはポジティンブな貢献も追求し、人・社会・地球のWell-beingを目指してまいります。」

環境負荷50%削減へのアプローチ

先ほども触れたように、味の素グループの事業は地球環境と密接に結びついています。地球環境の再生は、味の素グループにとっては非常に重要な課題なのです。気候変動への対応、食資源の持続可能性の確保、生物多様性の保全などの「環境負荷」を削減することで、初めて「健康寿命の延伸」に向けた取り組みを持続的に実現していくことができるのです。

味の素グループは、「環境負荷50%削減」という目標を掲げ、2050年(令和32年)までのロードマップを設定しました。

とくに、「気候変動対応」「プラスチック廃棄物削減」「フードロス低減」という3つの目標に重点的に取り組んでいます。気候変動対応では温室効果ガスを2025年度(令和7年度)までに2018年度(平成30年度)比30%削減、プラスチック廃棄物は2030年度(令和12年度)までにゼロに(*)、フードロス(原料受け入れから納品まで)は2025年(令和7年)までに2018年度(平成30年度)比50%削減など、具体的な数値目標を定め、着実に取り組みを進めていきます。

*有効利用されずに環境に流出するプラスチックをゼロにすること 

*3 原料受け入れからお客様納品まで *5 Science Based Targetsの略。パリ協定の水準に整合する、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標のこと。 *6 事業運営を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す企業が加盟している国際イニシアティブ

【用語解説】

※1:CDP
CDPは、イギリスで2000年に発足した非営利団体です。企業や自治体に対して、気候変動、水資源保護、森林保全等の環境問題への取り組みの促進と情報開示を求める活動を行っています。同団体は、世界の主要企業が環境活動にどう取り組んでいるかについての情報を収集・分析・評価しています。

※2:RE100
RE100とは、企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す、国際的なイニシアティブのこと。2018年6月、環境省が公的機関としては世界で初めてアンバサダーとして参画しました。
出典:環境省 https://www.env.go.jp/earth/re100.html

※3:バイオマス
​バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」です。つまり、動植物などから生まれた生物資源の総称です。バイオマスを燃焼させた際に二酸化炭素が発生しても、植物の成長過程で、光合成によりCO2を吸収して成長するため、実質的にはCO2を増加させないと考えられています。そのため「カーボンニュートラル」な資源といわれています。
出典:
九州農政局 https://www.maff.go.jp/kyusyu/kikaku/baiomasu/teigitou.html
経済産業省 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/biomass/index.html

※4:カーボンプライシング制度
​カーボンプライシング制度とは、企業内部で独自に炭素価格を設定し、低炭素投資・対策を推進する仕組みのことです。

※5:SBT
SBTとは、Science Based Targetsの略称で、直訳すると「科学と整合した目標設定」です。パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2°Cを十分に下回る水準〈Well Below 2°C〉に抑え、また1.5°Cに抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことです。
出典:
環境省 https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/intr_trends.html
環境ビジネスオンライン https://www.kankyo-business.jp/dictionary/023396.php

※6:TCFD
​TCFDとは、気候関連情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)のこと。各国の中央銀行や金融省庁からなる、国際金融を監督する機関「金融安定理事会」によって設立されました。2017年に公表された最終報告書(TCFD提言)では、企業に対して気候変動関連のリスクに対し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目について開示することを推奨しています。
出典:https://tcfd-consortium.jp/about

2024年4月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

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