2023年(令和5年)4月5日に実施された「経営方針説明会」において、新しい取り組みが行われました。
これまでの「経営方針説明会」は、社長からの説明形式となっていましたが、今回は、参加を希望した味の素グループ従業員8名が藤江社長に直接質問する形式をとりました。
そこで、「Knock Knock 社長室〜教えて!藤江さん」では特別企画として複数回にわたり、藤江社長との対話の模様をご紹介したいと思います。第1回は、2023年に発表された新しいキーワードについての質問をまとめました。
中期ASV経営 2030ロードマップ~藤江社長メッセージ動画
2023年度経営方針説明会の冒頭に放映された「中期ASV経営 2030ロードマップ」をご覧になれます。(13分32秒)
この動画の放映のあと、従業員8名から藤江社長への質問が次々と飛び出しました。
アミノサイエンス統括部 髙橋さんからの質問
髙橋さん
Q. 新しい志に「アミノサイエンス®」という言葉を使ったのはなぜですか?
藤江社長
A. 「アミノサイエンス®」という言葉は、味の素グループの過去と未来を象徴していると考えているからです
「アミノサイエンス®」とは、アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・マーケティング・サービスの総称です。
経営会議ではこの「アミノサイエンス®」という言葉について相当な議論がありました。
新しい志は「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」としていますが、最初は「アミノ酸のはたらきで、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」を考えていました。
「アミノサイエンス®で」ではなく、「アミノ酸のはたらきで」だったのです。これは日本語ではわりとすっと入ります。
グローバルでは「アミノ酸のはたらき」という言葉の印象が異なる
ただ日本人以外の方からすると、アミノ酸というのは「Amino Acid(アミノ・アシッド)」となります。Acid(アシッド)というと、ちょっと酸っぱいようなイメージがあり、「アミノ酸のはたらき」を伝えるのであれば、「アミノサイエンス®」としたほうが伝わりやすいだろうと。
さらに「サイエンス」という言葉は、味の素グループを象徴していると思います。
味の素グループは「アミノ酸のはたらき」に徹底的にこだわってきた。そういう素材・サービス・製品あるいはマーケティングや技術など、あらゆるすべての活動を科学的なアプローチで考えることが好きで、得意な会社だと思います。
技術バックボーンを持った人が技術の視点で「サイエンス」と使うこともありますが、マーケティング部門でも人の心がどういうふうに動くのかということを「サイエンス」ベースで考えていくということもあると思います。
一方で「アミノサイエンス®」という言葉を使うと、食品事業は軽視するの?と感じる方もいると思います。しかし、「味の素®」はグルタミン酸ナトリウムですから、味の素グループは創業時から「アミノ酸のはたらき」を活かしてきた。そういう会社です。
アミノ酸と食品、これらが融合することによって、いろんな価値をもっと生み出せると考えています。
髙橋さん
Q. 「アミノサイエンス®」という表現やマテリアリティの将来のありたい姿について、従業員だけでなく社外の方に伝え、共創していくということの意図は?
藤江社長
A. より大きな、より多くの社会課題を解決するためには、1社だけではなかなか難しいからです
そうですね。いろんなステークホルダーの方がいらっしゃる。従業員が非常に大事であることは、基本として変わらないですが、それ以外に一緒に社会課題の解決に取り組むNPOの方、NGOの方もいらっしゃるし、投資家や、もちろんお客さまもいらっしゃる。
たとえば、オムロン社などと一緒に健康経営アライアンスを設立しました。
新しい健康経営®の普及と健康保険組合の健全化を目指す「健康経営アライアンス」設立のお知らせ(2023.03.10)
より大きな、より多くの社会課題を解決するためには、やはり味の素グループだけでやってもなかなか難しい。志をともにする人たちとどう一緒に協働できるかだと思います。
そのためにも味の素グループの「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という新しい志を社内、社外へと伝えていきたい。
ただ、始まったばかりなので、社外はおろか、従業員の中にも、まだちょっとピンと来ないとか、理解はするけれど共感にまでは至らないという方も多いと思うので、こういう対話を通じて、どのような方法であれば共感してもらえるのか、ということもぜひ話していきたいなと思います。
髙橋さん
どうもありがとうございます。私も身の回りの社内、社外の方も含めて、対話をしながら理解を深めていきたいです。
味の素AGF株式会社 東京支社 伊藤さんからの質問
伊藤さん
Q. 私は味の素AGF社に所属していますが、味の素グループのなかには「アミノサイエンス®」や新しい「志」が身近に感じられない会社もあるのでは?
藤江社長
A. 「アミノサイエンス®」と「Well-being」はグループ全体で共通するテーマだし、垣根なくどんどん交流をしていきたい
まず、味の素グループの中でどんどん交流をして、自分がどこの会社であるというのをあまり意識しない、そういうグループにしていきたいと思っています。
たとえば、伊藤さんが所属する味の素AGF社について考えてみましょう。
入社された方が、「グローバルに笑顔を届けたい」ということを考えると、コーヒーだけではなくて、いろんな製品によって笑顔を届けられますよね。笑顔というのは、健康で幸せな状態である「Well-being(ウェルビーイング)」につながると思います。
また、味の素AGF社と「アミノサイエンス®」という言葉が少し遠いという印象があるのかもしれませんが、たとえばコーヒー豆の中にはアミノ酸が多く含まれていて、それと糖を熱する焙煎の過程で起こるメイラード反応でおいしい香りや味が出てきます。
私は毎朝、味の素AGF社のコーヒー「ちょっと贅沢な珈琲店®」を飲んでいるのですが、そのときにもメイラード反応を感じるなと(笑)。
そういうのを感じながら、「ふぅ。」と笑顔。これが「Well-being(ウェルビーイング)」につながっていると思い、感謝しています。
いろんな人財がいて、さまざまな取り組みがあって、グループという大きな場でも活躍できる。私は、味の素グループをそのようにしていきたいと思います。
これまでも私は味の素グループの方々といろんなコミュニケーションをとっていて、素晴らしい「志×熱×磨」を持っている方が多いと思いました。ですから、グループ全体で、ぜひ一緒に取り組んでいければと思います。
伊藤さん
「幸せの素」という言葉には、私も本当に感銘を受けたので、それが日常になればいいなと思います。がんばりたいなと思います。
藤江社長
とくに味の素AGF社は、環境の取り組みが優れています。「地球の笑顔」「お客様の笑顔」「私達の笑顔」、この3つの笑顔の赤い丸をロゴマークに込めていますよね。
地球の笑顔、これを味の素AGF社に引っ張っていただく。そういう取り組みを期待しています。
いかがでしたでしょうか。藤江社長の「言葉」に対する考え方、捉え方への関心、社外との協働の進め方など、非常に注目されるような内容だったと思います。
次回は、味の素グループの成長戦略について鋭い質問が飛び交いました!ますますディープで"熱い"対話が繰り広げられています。
次の記事を読む「味の素グループが成長するためのポイントは?~教えて!藤江さん」
経営方針説明会の裏側、質問者の質問の背景やその人なりをご紹介しています。あわせてご覧ください。
ストーリーでは、さまざまな質問に藤江社長が答える「Knock Knock 社長室 〜教えて!藤江さん〜」を連載しています。ぜひご覧ください。
2023年5月の情報をもとに掲載しています。
メイラード反応とは
メイラード反応とは、糖とアミノ酸を加熱したときにみられる褐色物質「メラノイジン」を生み出す反応のことなどをいいます。 これによって褐色で香ばしい風味が生まれます。