活動レポート

パラアスリートの挑戦を支える味の素社の「勝ち飯®」プロジェクト

トップアスリートのコンディショニングサポート活動を行っている味の素社。食とアミノ酸のプロフェッショナルとして、“選手を支える”その知見を栄養プログラム「勝ち飯®」として一般家庭にも発信しています。

今回は、そんな味の素社が支援するパラスポーツについてのお話です。

味の素社では、従業員一人ひとりが互いに尊重し、活躍できる会社と社会を目指して、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進しています。本記事では、パラスポーツだからこそ感じる課題、そして寄り添い方について、グローバルコミュニケーション部でパラスポーツ選手のサポートを担当をする西川さんにお話を聞きました。

パラリンピックパートナーへ~東京2020大会までの歴史~

「味の素社とスポーツ」というと、スタジアムのネーミングライツやオリンピック・パラリンピックパートナー、そして「勝ち飯®」の発信などで多くの方がイメージできるのではないかと思います。そんな味の素社のスポーツ支援はどのような形で始まったのでしょうか?

西川:もともとは、「アミノバイタル®」というアミノ酸サプリメント商品の普及をきっかけに、2003年(平成15年)からJOC(日本オリンピック委員会)のパートナーになりました。2009年(平成21年)からはアミノ酸に加え、調味料、スープや冷凍食品など、食品も活用しながら、オリンピック・パラリンピック競技を中心に幅広くスポーツを応援しています。一般の生活者には、こうしたトップアスリートへの強化支援の知見を『勝ち飯®』として健康課題解決のために発信をしています。常にアスリートとの対話があることで発展していくプロジェクトです。

パラスポーツとの関わりはどのようなきっかけなのでしょうか?

西川:2013年(平成25年)に東京2020大会の開催が決定し、オリンピック競技だけでなくパラリンピック競技も当然サポートしたいという動きになりました。当初はパラ競技とは関係性が薄かったなかで、2015年(平成27年)から少しずつ関係を積み上げています。現在は、日本パラリンピック委員会スポンサーとなり、個別競技団体でも日本パラ水泳連盟、日本ブラインドサッカー協会、日本車いすバスケットボール連盟とも契約し、サポートさせていただいています。

パラリンピックはリオ2016大会、東京2020大会と関わりがありますね。

西川:リオ2016大会からは、オリンピックと同様にパラ日本代表選手をサポートしています。選手個々にサポートする場合もあり、例えばパラ水泳の成田真由美さん(パラリンピックで通算金メダル15個獲得し、「水の女王」と呼ばれるアスリート)には、「勝ち飯®」の考え方をベースにコンディションを崩さず最後まで戦えるよう、調味料やスープなどの当社製品を活用した栄養バランスの良い食事を提案し、実践していただきました。

東京2020大会では、新型コロナウイルスの関係もあり、サポートにとっては厳しい状況でしたが、選手村日本棟内や、練習拠点となる味の素ナショナルトレーニングセンターで選手たちのコンディショニング向上のためにアドバイスや製品提供を行いました。

大会期間中はナショナルトレーニングセンターで製品提供を行ないました

パラスポーツとの出会いと特有の悩みとは

味の素社の製品を使って、具体的にどのようにアスリートをサポートしているのでしょうか?

西川:味の素社といえば「アミノ酸」です。「アミノバイタル®」などで選手のコンディショニングに関わるだけでなく、調味料など「うま味」のアミノ酸も活用しています。世界に挑む選手たちは、緊張や精神的なものから来る食欲不振なども大きな敵になりますので、うま味のきいたおだしやスープ類を飲んでいただくことで、食事で栄養補給をするための食欲のスイッチを入れるようなサポートも行っています。

サポートする中で、パラアスリートの特徴などはあるのでしょうか?

西川:もちろんオリンピック・パラリンピックに関わらずどのアスリートも競技差、個人差があるのですが、印象的なのは車いすバスケットボールの選手です。ハードなスポーツなので、当時新しく開発された、理想の動きを支えるコンディショニングをサポートする「アミノバイタル® 」CONNECTを好む選手が多かったですね。

たしかに、そのスポーツ特有の身体の使い方はありますね。

西川:こうした選手たちの悩みに、一歩引いて構えるのではなく、こちらから懐に入っていくように心掛けています。選手たちと話をしているうちに、自分が勝手に作っていた「こころのバリア」が解けていくことを感じました。

近未来スポーツ「ブラインドサッカー」にもアミノ酸!

西川さんと日本ブラインドサッカー協会との取り組みについてお聞かせください。

西川:2016年(平成28年)4月から味の素社がサポートしているブラインドサッカーですが、私自身この競技に大きな魅力を感じています。コートの中に4人の視覚障がいの選手と晴眼者のゴールキーパー、相手ゴール裏のガイドがいて、健常者も障がい者も一緒にプレーできる「近未来なスポーツ」です。ガイドからの「言葉」とボールなどの「音」、コートのまわりにある「壁」を信じて、1つのゴールを目指すスポーツで、現場にいくとその大きな迫力も感じることができます。プレーも私の当初の想像以上に正確で力強いです。

西川さんは練習や試合の現場にもたびたび訪れているそうですね。

西川:練習場に行くといろいろな気づきを得られます。なかでも、「聞き手の視点に立って話す姿」は学びになります。監督の指示も、わかりやすい言葉で伝えるだけでなく、ピッチを12分割にしてフォーメーションの話をしたり、見えていなくてもわかる工夫をしています。加えて、内容がわかっている選手がそうでない選手に伝えるということもその場で行われるなど、「相手がわかるためのコミュニケーション」が盛んに行われています。

それは現場に行かないとわからないことですね。味の素社としてのサポートについて教えてください。

西川:ほかの競技同様、アミノ酸でサポートしています。代表チームのスタッフの方とも話し合いながら、「アミノバイタル®」だけでなくスープ、みそ汁なども活用しながらバランスよく栄養を摂ってコンディションを高く保つように取り組んできました。何度もお話することで、チームの皆さんにお役立ちする機会も増え、アミノ酸の重要性を理解していただいた上でタイミングを逃さず補給できるようになりました。

西川:2022年(令和4年)11月にインドで開催されたアジア・オセアニア選手権でも「アミノバイタル®」をはじめとする味の素社の製品とともに戦ってくれました。

世界で戦う選手の意識も上がりそうですね。

西川:キャプテンの川村選手からは、暑いインドで闘うための対策を相談もされる機会もあり、個人の意識も上がってきていると感じています。各選手、運動量や筋疲労の状態によっても栄養補給の適切なタイミング・量が変わってきます。ですので、私からは勉強会などを通して基本的なことを伝え、選手自身が自分のコンディションに興味を持ってもらうような働きかけをしています。

勉強会では、視覚障がいの方々向けにお話するのは私も初めての経験でしたので、事前にどうしようかということは考えましたね。スタッフ向けや流れの確認のためにスライドは使用するのですが、「自分の言葉で相手の視点に立って伝えていくこと」「選手へ積極的に質問し、選手同士で自分ごと化しやすい環境を作ること」を大事にしました。また、同じ形で味が違うサンプル品には片方にシールを貼るなど、「ちょっとした工夫」が相手とのコミュニケーションでとても大事だと改めて感じましたね。

こうしたことは、視覚障がいの方だけでなく、誰とのコミュニケーションにおいても大事なことですよね。

西川:本当にそう思います。日本ブラインドサッカー協会が行う「スポ育」という小・中・高校生向けの事業にも協賛しているのですが、「相手の立場になって考える」ことの重要性は、パラアスリートを通して大きな学びになっていると感じます。話しているときに相手の表情が見えないと、どんな気分なのか、誰に向かって話しているのかがわからないときがあったりするので、「明るく丁寧に」「積極的に」「相手の名前を呼んで」話すことって大切なんだなと、あらためて気づかされます。

アスリートに「スチーミー®」が人気!ブラインドサッカーと料理

今後、ブラインドサッカーとの取り組みでチャレンジしたいことは何でしょうか?

西川:代表選手の栄養補給の意識はかなり高まっている為、普段の食事にも製品を通じ、ご提案できると思います。たとえば、自炊する選手もいるなか、少しでも簡単に調理ができる製品を提案し、普段から手軽に調理できるようにしていきたいですね。

「Steam Me スチーミー®」お肉を入れてレンジでチンッ! 新しい形の調味料
https://www.ajinomoto.co.jp/steamme/

西川:管理栄養士さんから「この「スチーミー®」という商品について教えてください!」と聞かれました。かんたんにタンパク質が取れるのでアスリートに人気の商品なのですが、視覚障がいであっても、これならできるということでした。こうした商材をどんどん選手たちにも紹介していきたいです!

西川さんにとって、パラスポーツとはどのようなものなのでしょうか?

西川:「あたたかくて、熱いスポーツ」だと思っています。パラリンピックを目指す選手たちは熱く頑張っていますし、現場にいくと皆さんの明るくて優しくて、いきいきとした姿やサポートするスタッフやご家族の様子が見えてきます。味の素社として選手のサポートをすると同時に、一般社会にもつながるような情報発信など、もっともっとできることを増やしていきたいと思います。

フォトギャラリー

ブラインドサッカープロリーグでプレゼンターをする西川さん

西川:社員もボランティアで参加していただきました。「ちょっといいことしたかったから」という理由で来てくれたことが嬉しかったですね。

東京2020パラリンピックzoom応援会

西川:東京2020パラリンピックでは、オンラインで社員みんなで観戦しました!大会後はいろいろな選手が味の素社を訪問してくださったり、大会の裏話などの社内SNSは、かなりの「いいね」数で反響も大きかったです!

西川健一

グローバルコミュニケーション部 旧オリパラ推進室 ビクトリープロジェクトG
2006年キャリア採用で入社。営業職に配属され、外食卸店、大手外食企業の担当で6年間の経験を積み、その後、家庭用Gに異動し、生協店舗・宅配、EC企業の営業リーダーを務める。
現部署には社内公募で異動。トップアスリートの栄養課題の解決を通じ、味の素社が目指す「食と健康の課題解決企業」を現場で推進しています。
育ち盛りの6歳娘、11歳息子を含む4人家族。自身は趣味で週2回のテニスを楽しんでいます。将来、息子とお酒を飲み、テニスで勝負できるような関係性になる事が目標です。

<用語解説>


パラスポーツ
パラスポーツ(Para-Sports)とは、身体障害や知的障害などの障がいがある人が行うスポーツのことをいいます。既存のスポーツ競技を障がい者の要求に応じて修正したものが多いのですが、障がい者のために考案された独自のスポーツも多く存在しています。なお、「Para-Sports」の「Para」とは日本語に訳すと「もうひとつ」を意味する言葉です。


ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)
ダイバーシティ&インクルージョン(Diversity & Inclusion)とは、日本語に訳すと「多様性の受容」。性別、年齢、障がい、国籍などの外面の属性や、ライフスタイル、職歴、価値観などの内面の属性にかかわらず、一人ひとりの異なる価値観を認め、お互いに受け入れ、ともに成長していこうとする考え方です。

2023年2月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

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