基礎より手前の料理のギモン

「豚ロース」「豚バラ」しゃぶしゃぶにしたいのはどっち?
違いを知れば、豚肉の奥深さが見えてくる

「豚ロース」「豚バラ」しゃぶしゃぶにしたいのはどっち?違いを知れば、豚肉の奥深さが見えてくる
料理ができたらいいな……と思ってはいるものの、レシピを見てもどこから手をつけていいのかわからない。スーパーマーケットに行ってもどんな食材や調味料を買えばいいのかわからず、ただただ立ち尽くす……。
そんな“非料理男子”のフリーライターMさんが、予備知識以前のギモンや謎(?)を解明し、料理男子を目指します。
今回のテーマは「豚肉」。「豚ロース」と「豚バラ」、豚しゃぶ鍋に使えるのはどっち?初心者が一度は直面する部位の謎に迫ります。

豚しゃぶ鍋に使う"薄い肉"は、どこの部位!?

こんにちは。非料理ライターのMです。前回は、「鶏むね肉」と「鶏もも肉」の違いがわからずに「親子丼」で痛い目を見ましたが、まだまだ鬼門が残っていました。それは「豚肉」です。頻繁に口にしているはずなのに、知っているようで知らないことばかり......。

ことの発端は、知人からもらったカセットコンロでした。カセットコンロといえば鍋料理、ということで近所の雑貨屋で土鍋を物色!6、7、8号......とさまざまなサイズがあることに驚きつつ、大きめの8号を購入しました。なにごともカタチから入る僕にとって、もはやこの時点で料理上級者気分です。

自炊初の鍋料理に選んだのが豚しゃぶ鍋です。豚しゃぶなら"薄い肉"を熱湯にくぐらせるだけですからね。失敗が少なそうだし、ちゃんと"料理してる感"も楽しめそう。

自炊初の鍋料理!豚しゃぶ鍋のため、近所の雑貨屋で8号の土鍋を購入

そして、薄い豚肉を求めてスーパーマーケットのお肉コーナーへ。「豚ロース」「豚バラ」「豚もも」「豚ヒレ」など、鶏肉の部位とは異なるラインナップに感心しきりです。そのなかから、薄くスライスされている「豚ロース しゃぶしゃぶ用」と「豚バラ しゃぶしゃぶ用」に狙いを定めました。

う~む、どちらにしよう......。前者はきめ細かそうな赤身で、後者はなんだか脂身が目立ちます。最近、脂質が気になるお年頃なので、今回は「豚ロース しゃぶしゃぶ用」をチョイス。

肝心の豚しゃぶ鍋はというと、大変おいしゅうございました。噛むほどに溢れるうま味に豚肉のポテンシャルの高さを余すことなく味わいました。

しかしまあ、いきなり「豚ロース」か「豚バラ」の選択を迫られるだなんて思いもよりませんでしたよ。これはもう少し掘り下げてみる価値がありそうです!

バランス重視の「豚ロース」と濃厚な味わいの「豚バラ」

珍しく失敗はしなかったものの、大きな謎を残した豚肉の部位問題。なんでも、部位ごとの名称が統一されたのは、1976年に食肉小売品質基準が定められてからなのだとか!

さて、「豚ロース」と「豚バラ」の違いはどこにあるのでしょうか。それぞれの特徴を以下にまとめました。

「豚ロース」は肉感ある風味と歯ごたえ

「豚ロース」とは、胸から腰にかけての背中側の肉です。赤身と脂身の割合がバランスよく、後述する「豚ヒレ」と並ぶほどの人気があります。肉質はやわらかくも、しっかりした歯ごたえ。ブロック肉、角切り、薄切りなどいろいろな形に加工できて、幅広い料理に活かせます。とんかつやポークソテーなどが定番の調理方法です。

首から背中にかけての肩の部分は「豚肩ロース」と呼ばれており、コクや風味といった豚肉本来の持ち味が楽しめます。こちらは、しょうが焼きや酢豚などに適しています。

「豚ロース」とは、胸から腰にかけての背中側の肉

「豚バラ」はこってりとした濃厚な味わい

「豚バラ肉」は、あばら骨のまわりについている肉です。赤身と脂身が交互に3層になっているため、こってりとした濃厚な味わいが楽しめます。その見た目から「三枚肉」と呼ばれることも。比較的安価で購入できるのもうれしいところです。

「豚バラ肉」は、あばら骨のまわりについている肉

こちらも「豚ロース」同様に和食から中華、洋食といった多彩な料理で活躍。バーベキューでおなじみのスペアリブは、骨付きの「豚バラ」が使われています。そのほか、濃厚な味わいを活かすなら煮豚や焼き豚を。かたまり肉で煮豚をつくりたいけど、時間がかかるのがちょっとね......という方には、こんな便利な商品があるので、お試しあれ。

豚しゃぶをおいしく食べる秘訣は70~80℃のお湯にあり

豚しゃぶは一見簡単そうに見えますが、じつは調理にもコツがあるそうです。

決め手になるのは、鍋のお湯の温度。豚肉は急激な温度変化に弱く、沸騰したお湯に入れると固くなり、うま味も鍋の中に逃げてしまいます。沸騰させた湯でしゃぶしゃぶすると思っている人も少なくないのでは...!?

ベストな温度は70~80℃くらい。鍋の底全体に細かな気泡が浮いてきた状態が70℃の大まかな目安です。一度にたくさんの豚肉を入れると温度が下がってしまうので、一枚ずつ入れましょう。調理前に冷蔵庫から出して、常温に戻しておくことも忘れずに!

鍋の底全体に細かな気泡が浮いてきた状態が70℃の大まかな目安

お湯が70℃くらいになると、鍋の底に気泡がたくさん浮き出てくる。

【脱線コラム】

「こま切れ肉」と「切り落とし肉」の違いとは?

スーパーマーケットのお肉コーナーに並んでいる豚肉のパックには、部位の名称以外にも「こま切れ肉」や「切り落とし肉」と表記されていることがあります。

どちらも食べやすいサイズにカットされており、見た目はよく似ていますが、じつは明確な違いがあります。

「こま切れ肉」は、「豚もも」や「豚バラ」など不特定部位の切れ端を集めたもの。肉の大きさや厚みもバラバラです。一方の切り落とし肉は特定部位の切れ端を集めており、商品ラベルに「もも切り落とし」「バラ切り落とし」と、部位を表記していることも珍しくありません。

自炊を手軽に済ませようとすると炭水化物中心の献立になり、たんぱく質が不足しがちに。カット済の「こま切れ肉」や「切り落とし肉」なら、気軽に料理に使えてたんぱく質をとることができますよ。

カット済の「こま切れ肉」や「切り落とし肉」なら、気軽に料理に使えてたんぱく質をとる

「おいしい肉野菜炒め」

サッと炒めて栄養バランスが良い、嬉しい一品。

万能部位の「豚もも」と希少部位の「豚ヒレ」 、そのお味は!?

さて、もう少し豚肉の部位について調べてみましょう。

まずは「豚もも」。こちらは後ろ足の付け根部分にあたります。「豚もも」はよく動かす部位なので、脂肪が少なくあっさりした味わいがあります。適した料理は、ポークソテー、ローストポーク、カレー、豚汁など。さまざまな場面で活躍する万能部位です。ビタミンB1を多く含んでいます。

「豚ヒレ」はロースの内側にある棒状の部位で、豚一頭から1キロ程度しかとれません。「豚ヒレ」は、脂肪がほとんどなく、ビタミンB1は「豚もも」よりも豊富。あっさりとした淡白な味わいは油を使った料理とベストマッチ!なかでも「とんかつ」は定番の調理方法となっています。

ここまで、豚肉の代表的な部位をざっくりと掘り下げてみました。鶏肉に負けないくらい部位ごとの個性が際立っていますね。

今回は、「豚バラ」の脂身が気になって「豚ロース」を選びましたが、「豚バラ」には「豚バラ」の魅力があることがわかりました。次はぜひとも「豚バラ しゃぶしゃぶ」に挑戦したいところです。しゃぶしゃぶ鍋はアレンジも自在で、「豚ロースの緑茶しゃぶしゃぶ」なんて食べ方も。これなら、免疫細胞の活性化と関係があるアミノ酸「シスチン」と「テアニン」が一緒に摂れるという!う~む、しばらくマイブームになりそうです!

2022年2月の情報をもとに掲載しています。

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