「A-STARTERS」は、味の素社の従業員であれば、どんな部署にいても、どんな役職でも、どんなキャリアであっても、アイデアが採択されれば新規事業のリーダーとなって推進できるという画期的な取り組みとして、2020年(令和2年)からスタートしたプロジェクト。これまでの6年間で285件の応募があり、ストーリーでも記事として紹介している「ReTabell」や「アジパンダ食堂」「電気調味料」「eスポーツ支援」などのユニークな取り組みを生み出してきました。
「INNOSEED(イノシード)」は、その「A-STARTERS」をアップデートし、社内の新規事業の取り組みや技術起点の挑戦とも連動しながら、社外パートナーとも手を取り合い、可能性を事業へと近づけていくという「イノベーション創出のプラットフォーム」になるといわれています。
これまでの「A-STARTERS」との違いや、「INNOSEED」ならではの新しい取り組み、そして、どのようにしてイノベーションを生み出していくのかなど、「INNOSEED」を担当する事業創出基盤開発グループのグループ長、山田和輝さんにお話を伺いました。
※A-STARTERS については、こちらの記事でくわしく紹介しています。

山田和輝
味の素株式会社
R&B 企画部
事業創出基盤開発グループ グループ長
「A-STARTERS」の土壌から、次のイノベーションの芽を育てる「INNOSEED」とは?
ーーーこれまでの6年間の取り組みにより、味の素グループ内において「A-STARTERS」は誰にでも挑戦できる機会として浸透し、多くの挑戦が生まれ、またそれを応援する企業風土が培われてきたと思います。今回なぜ「INNOSEED by Ajinomoto Group」というプラットフォームに変わるのでしょうか?
山田さん
「A-STARTERS」自体もプログラムとして進化を重ね、新しい事業や取り組みを少しずつ世に送り出すことができるようになってきました。この活動の先には、事業開発の仕組みづくりや人財育成を通じて、当社グループ全体で事業を生み出していく基盤形成につながる大きな可能性があります。




応募者のプレゼンテーションの様子
山田さん
その可能性をさらに現実のものとするために「A-STARTERS」は「INNOSEED by Ajinomoto Group」として進化しました。「INNOSEED」とは「INNOVATION(イノベーション)」と「SEED(シード:種)」をかけあわせた言葉です。これまで培ってきた「挑戦の土壌」にイノベーションの種をまき、新しい事業へと育てていきます。さらに味の素グループ内外のネットワークをフルに活用し、連携を強化することで、事業アイデア提案から事業化までを一気通貫で推進・支援する事業創出プラットフォームへと進化します。
ーーーなるほど、具体的にはどのような点が進化しているのでしょうか?
山田さん
事業アイデア提案の段階では、従来の個人起点のアイデアに加え、社外との共創によるアイデア創出活動も積極的に推進していきます。その一環として、今年度はエーザイ株式会社との共創ワークショップを開催しています。
ーーーアイデア提案の段階からエーザイ社との共創!味の素グループ内からだけでは生まれない事業アイデアが生まれそうですね。
山田さん
また、提案が採択された後には、「TRY&A-CROSS」の活用により推進体制を柔軟かつスピーディーに構築し、検証を推進します。「TRY&A-CROSS」は、2024年度(令和6年度)より開始した組織横断プロジェクトへの手挙げ参画施策(社内副業)ですが、昨年度試験的に「A-STARTERS」の採択テーマを支援してくれる従業員を募集したところ、定員を上回る応募があり、改めて新事業への関心の高さや、挑戦するメンバーへの応援の気持ちの強さを感じました。
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「TRY&A-CROSS」については、こちらでくわしく紹介しています。
- TRY&A-CROSS | 挑戦 | 味の素グループの人財戦略 | 味の素株式会社
山田さん
この制度により、「新事業に挑戦する従業員の熱意」と「社内の幅広い知見・ノウハウ」を有機的に結ぶチーム編成を実現し、新事業開発を加速していきます。同時に、「新事業開発担当者」と「既存事業担当者」がお互いから学ぶことで、新規事業創出に必要なスキル・マインドを身に付けた人財を広く育成してくことが出来ると考えています。
ーーー事業アイデアがきっかけとなり「横のつながり」が生まれ、味の素グループの潜在的なナレッジや経験を活かすことができる。これによってより力強い形で新規事業が実行されていくのですね?

山田さん
さらに事業アイデアの事業化検証後の出口戦略も進化します。これまでは、基本的には社内既存事業部での事業育成・拡大を念頭に検証を進めてきました。「INNOSEED」では、従来の出口戦略に加え、状況に応じて提案した従業員が起業し、社外で事業を育てていく仕組みも検討していきます。
ーーー事業アイデアも大事ですが、主役はあくまで「人」であるというふうに感じられます。
山田さん
これらの取り組みを通じ、「事業化の仕組み」、「アントレプレナーシップを持つ人財」、「挑戦を後押しする企業文化」の3つを新事業創出の基盤と捉え、「INNOSEED by Ajinomoto Group」として開発していきます。また「INNOSEED」も今回ご紹介する内容にとどまらず、進化し続けなければなりません。
なぜエーザイ社と連携?
ーーー今回の「進化」としてとても特徴的なのがエーザイ株式会社との連携という点だと思います。
山田さん
まず、社外パートナーとの連携により、事業アイデアを提案する視野が大きく広がることが期待されます。個社・個人だけでは目の届きにくいところで、課題やそれに対する提供価値を捉えられるのではないでしょうか。
ーーーたしかに。同じテーマであっても、企業によってその立場や文化によって見え方や捉え方が変わってくることもありそうです。
山田さん
また、両者の強みを掛け合わせることで、事業アイデアの枠を広げられるとともに、場合によっては両者のアセット(資産、経営資源)を効率的に活用することで事業検証のスピードを早めることができるかもしれません。提案者には、社外メンバーと連携して事業提案や事業化検証を進めることで、会社の枠組みに捉われずにアントレプレナーシップを高めていってもらいたいと思います。
ーーーなるほど。では今回、エーザイ株式会社をパートナーとした理由について教えてください。
山田さん
今回、認知症領域において世界のトップランナーであるエーザイ株式会社と連携し共創ワークショップを開催しています。彼らの得意領域で事業案を一緒に考えることで、従来の私たちとは異なる目線で課題を捉えられると思います。一方で、当社グループは、血液検査アミノインデックス®による認知機能低下可能性の評価や、認知機能の一部(注意力と認知的柔軟性)をサポートする「脳活セブンアミノ」など、今回の共創に資するアミノサイエンス®を有しています。
- アミノインデックス®公式サイト|味の素株式会社
- 「1回の採血」でがんや生活習慣病のリスクがわかる!「アミノインデックス®」をおすすめする理由
- 「脳活セブンアミノ」 | サプリメント | 味の素ダイレクト(株)
山田さん
両社の強みを掛け合わせることで、認知症領域でイノベーションを起こせる可能性は十分にあると思います。
ーーーエーザイ株式会社と味の素グループのアミノサイエンス®と認知症領域におけるイノベーション、これは期待できそうですね。また、今後もほかのパートナーとの共創はありそうでしょうか。
山田さん
はい、今後もさまざまな業種のパートナーとの連携を検討し、多様な分野でのイノベーション創出を目指します。
「INNOSEED」によって期待されるものとは?
ーーー「INNOSEED」によって採択された事業は、社内での事業化だけでなく「出向起業(社外での起業)」も選択肢として視野に入れる、としています。これは起業家を輩出するということになると思いますが、味の素社にどのようなメリットが生まれるのでしょうか?
山田さん
社内だけでなく、社外で事業を育成する選択肢を持つことで、より挑戦的な提案が生まれてくることを期待しています。既存の事業領域の枠を超えて、次の事業の柱につながる種をまき、芽吹かせ、育てていきたいと考えています。出向起業といった仕組みを整えていくことにより、「ベンチャー企業の環境(意思、スピード)」を意図的に作り出すことで、新事業開発を加速していけるものと考えています。当社にとっては新しい取り組みとなりますので、社外のスキームや支援制度等もうまく活用し進めていくつもりです。


ーーーなるほど、新事業開発の加速のために、スタートアップ企業のような意思決定スピードを推進力として機能させる、ということなんですね。
山田さん
また、年齢やキャリアに関わらず、「INNOSEED」の提案者(チーム)が経営者となって事業を推進する機会を創り出すことで、将来的には経営人財の育成につながるのではないかとも期待しています。「INNOSEED」からベンチャー企業の経営者を輩出していくことで、それらの人財が社内外で循環し、「ベンチャー企業の環境」×「大企業のスケール」によるイノベーション創出の加速につながるようにしていきたいですね。

山田和輝
味の素株式会社
R&B企画部事業創出基盤開発グループ グループ長
2009年入社。博士(農学)。イノベーション研究所、バイオ・ファイン研究所等で主にアミノ酸発酵の研究開発に従事した後、文部科学省出向を経て、R&B企画部。A-STARTERS第二期から事務局を務め、現職。
休日は小さなバイクでご近所ツーリングを楽しんでいます。
2026年6月の情報をもとに掲載しています。