味の素社の「ビクトリープロジェクト®」が、リオ2016から実施しているパラリンピックでのサポート、今回は冷凍弁当「あえて、®」を提供するというこれまでにない新たなミッションに取り組みました。
日本からイタリア・コルティナ現地までの輸送時間は約24時間。「あえて、®」を製造する味の素冷凍食品社(味の素株式会社のグループ会社)でも「これほどの長時間の冷凍輸送は初めて」という新たな挑戦になります。
「#MAJINOMOTO」をコンセプトに、味の素社と味の素冷凍食品社、そして味の素AGF社が一丸となって挑む「本気」の支援プロジェクトを、ストーリー編集部の無津呂さんが現地の様子を徹底取材。自分の目で見て、感じた現場の「本気」を伝えるレポートをお届けします。
*「ビクトリープロジェクト®」とは、とは、国を代表する選手やその候補選手を対象に、国際競技力の向上およびメダル獲得増のため、味の素社が行う「食とアミノ酸」によるコンディショニングサポート活動です。

この記事を書いた人
無津呂 沙季さん
味の素株式会社
グローバルコミュニケーション部 メディアグループ
「いつでも、ふぅ。広場」
サポートメンバー

蘆名 真平
味の素株式会社
グローバルコミュニケーション部
スポーツ栄養推進グループ

篠澤 尚人
味の素株式会社
グローバルコミュニケーション部
スポーツ栄養推進グループ

片岡 知
味の素冷凍食品株式会社
経営企画部 経営企画グループ

瀧川 直美
味の素AGF株式会社
ファンマーケティング推進部
コーポレートコミュニケーショングループ
バスで10分の道のりを1時間かけて歩く毎日がもたらすもの
味の素社は、過酷な山岳部コルティナ地区でサポート拠点「いつでも、ふぅ。広場」を展開しています。
私も、サポートメンバーと一緒に5日間、実際のサポート活動のお手伝いをしました。
大会現地のメンバーは、毎朝7時30分過ぎに滞在しているコルティナ市内の宿泊施設を出発し、世界遺産ドロミーティの山々に囲まれた道を約1時間歩いてサポート拠点へ向かいます。

コルティナの街を抜けて、山に向かいます
すれ違う街の人たちとは「Ciao!」と挨拶を交わします。バスで行けば10分ほどですが、朝の静けさと壮大な自然に包まれながら歩くこの時間は、メンバーにとって心を整える大切なひとときになっていました。
私もメンバーと他愛もない話をしながら、毎日"通勤"するように現場へ向かいました。この道のりで交わされる何気ない会話が、メンバー同士の絆を強めていく時間になっていたように感じます。

最終日は大雪が降り、全く違う景色に!
前例のない「約24時間の長距離冷凍輸送」挑戦の結果は?
今回、味の素社の「ビクトリープロジェクト®」にとって初めての挑戦となったのが、冷凍弁当「あえて、®」を現地・コルティナで提供することです。
最大の課題は「日本からコルティナまで約24時間に及ぶ長距離輸送の中で、いかに凍結状態を保つか」ということ。
こちらの記事で事前準備などのインタビューをご覧いただけます
約半年間におよぶ緻密な準備を経て、「あえて、®」約200食は、発泡スチロール容器にドライアイスを同梱し密封された状態で運ばれました。
日本から飛行機を乗り継ぎ、約22時間かけてマルコ・ポーロ空港(ヴェネチア)に到着すると、事前に手配していた冷凍車へ速やかに積み替えを行い、そこから約2時間をかけてコルティナのサポート拠点へ向かいました。


選手村到着後、恐る恐る「あえて、®」の状態を確認。「大丈夫!凍っている!」と安堵の声が漏れました。
蘆名さん、片岡さんをはじめ多くの関係者が力を尽くし、国境を越えた「あえて、®」は無事に選手村へと届けられました。



その日のオーダーに合わせて、倉庫からブースの冷凍庫へ弁当を運び、夜に食べる予定の選手の分は袋に入れ、付箋に名前を書いて確保しておきます
毎日、昼過ぎになると、「あえて、®」のブースには、パラスノーボードチームの選手たちが、ぞろぞろとやってきます。
その場で食べる人もいれば、部屋に持ち帰る人もいる。練習や競技の合間、それぞれのタイミングで立ち寄り、温かい食事を手にしていきます。


練習後、まっすぐ「あえて、®」を食べにくる選手たち。
電子レンジは全部で3台。温めには約6分かかります。6品種ある「あえて、®」の中でその日にどれを食べたいか、あらかじめ選手からリクエストをもらいながら準備を進めていました。
「いまから行きまーす!」と事前に連絡をくれる選手も。そのおかげで、選手が来てすぐに温かいお弁当を手渡すことができました。栄養バランスが整った、おいしくてほっとできる食事を皆さんに楽しんでいただけたと思います。
選手村にダイニングがあるのに、なぜわざわざ「あえて、®」を提供するの?という疑問のある方もいらっしゃるでしょう。
じつは、コルティナの選手村は全長1kmもあり、山岳地帯のため全体が緩やかな坂道になっています。義足や車いすの選手には移動だけで一苦労。さらに、私自身も選手村のダイニングを利用してみましたが、ピザやパスタが中心で、アジアンフードは少なめ。味もおいしいのですが全体的にやや塩味が強く感じました。

選手村ダイニングでの食事
一度ならおいしく感じても、毎日3食、2週間にとなると・・・やはりきつい。だからこそ、慣れ親しんだ日本の食事を安心して口にできることが、選手にとってどれほど大きな支えになるのかということを実感しました。
「本当に助かっている」「日本食ってだけで心が落ち着く」
そんな言葉を選手から聞くたびに、「あえて、®」などの冷凍食品が果たした役割の大きさを、あらためて感じました。

最後の冷凍シューマイをかけた本気のジャンケン!!
片岡さん
「あえて、®」などの冷凍食品の輸送では物流会社と協力体制を整え、何度もシミュレーションを行いましたが、もう最後は祈る思いでした。現地では雰囲気づくりを重視し、選手が食事中に少しでもリラックスし笑顔にできたらなぁと思ってましたが、逆に毎日選手から元気をもらっていました。
選手たちには「ギョーザ、枝豆と干しエビのまぜご飯」が人気!
大会終盤には、ちょっとした「総選挙」と称して、「あえて、®」メニューの人気投票も行いました。

味を思い出しながら投票中・・・
結果は、「ギョーザ、枝豆と干しエビのまぜご飯」が一位!「塩麹ケイジャンチキン、ジャンバラヤ風まぜご飯」も人気でした。


「いつでも、ふぅ。」に流れていた、ほっとできる時間
「いつでも、ふぅ。広場」では、風味豊かなだし湯と、イタリアの硬水でもおいしく飲めるコーヒーも提供します。このコーヒーは味の素社のグループ会社である味の素AGF社のコーヒーです。
だし湯とコーヒーの毎朝の仕込みは、篠澤さんが担当。この一杯が、異国の地で挑む選手の力になると信じて、ていねいに準備します。静かな空間に立ち込めるいい匂いと、篠澤さんの背中が「本気の一日」が始まることを伝えてくれるようです。

毎日、朝9時頃からだし湯とコーヒーを仕込む篠澤さん
午後になると、練習や競技を終えた選手がちらほらと立ち寄ってきます。隣の部屋でメディカルケアを受けに来ていた選手が、その流れでふらりと顔を出してくれることもありました。

「いつでも、ふぅ。広場」を訪れてくれたパラスノーボードの小須田潤太選手
ブースでは、選手とコミュニケーションをとりながら、栄養補給や競技の話だけでなく、地元や家族の話、趣味の話で盛り上がることもあります。気がつくと、あっという間に1時間ほど経っていたことも。

パラスノーボードチームの皆さんと#MAJINOMOTO!左から大岩根正隆選手、小栗大地選手、坂下恵里選手、後田風吹選手
帰り際、「あ~、楽しかった」と独り言のようにつぶやいて帰っていく後ろ姿。
その一言を聞いて、「いつでも、ふぅ。広場」が飲み物や食品を提供するだけの場ではなく、選手たちの心を癒し、「ふぅ。」とひと息つける大切な場所になっているのだと実感しました。
篠澤さん
はじめは、現地の整っていない環境下で、だし湯とレギュラーコーヒーの衛生的で容易な提供方法を開発してくれた仲間たちに応えるために頑張らなくちゃ!と思っていましたが、すぐに、「美味しい!」「すごく助かります」と私たちを温かく受け入れる日本代表選手団のみなさんの笑顔のために頑張ろう!と、もっと本気になりました。
瀧川さん
パラアスリートの方々が選手村の食事に馴染めず、食事を"楽しむ"ものから体重管理のための"摂取"という行為へと変えざるを得ない環境の中で、次第にメンタルへ影響が及んでいく姿を目の当たりにしました。日本の味を楽しめる「いつでも、ふう。広場」は、選手の心身を支える大切な存在だと実感し、海外の硬水でも日本の軟水と変わらぬ味わいのコーヒーを提供できるよう、より一層尽力しようと心掛けました。
「待つ」という、本気のサポートの姿勢
サポートメンバーは、朝から一通り必要な作業を終えると、選手がブースにやってくるまで静かに待ちます。

選手が拠点に戻ってきたその時に、気持ちよく「おかえり」と迎えられるように。
決して先回りはせず、「待つ」という姿勢そのものが、選手に向けた本気のサポートなのだと感じました。

そして、選手が入ってきたとき、彼らは空気や表情をまず受け止めます。無理に声をかけません。選手が話したくなったときに自然と話せるーーそんな空気をつくるための「余白」が大切にされていました。

最後の試合直後にも、いつものように「あえて、®」を食べに来てくれた選手たち

パラスノーボード バンクスラロームで銀メダルを獲得した小栗大地選手。選手村に帰ってきてすぐ会いに来てくれました。
蘆名さん
選手に余計な気を遣わせない空間づくりを心がけました。家族や同僚、これまで支えてきた仲間たちの気持ちを背負って戦う選手たち。そんな彼らが穏やかに過ごせる空間ですね。
選手とのやり取りで印象的だったことは(試合前最後の練習を終えて)「今日も生きて帰ってこれました」という言葉。どれだけ命がけで戦っているのかを実感した瞬間でした。
パラアスリートが、私たちに教えてくれること
滞在中に、パラスノーボードのバンクスラロームを競技会場で観戦しました。

競技会場には、さまざまな国から集まった観客がいて、自国選手に限らず、他国の選手にも自然とエールと拍手が送られていました。

競技会場で驚いたのは、選手たちの「ブースで過ごすときとは全く別の姿と表情」でした。
それぞれがベストタイムを狙い、ギリギリのラインを攻めて「本気」で挑戦していく。大会特有の緊張感の中でコースを一気に滑りぬけていく姿は一層かっこよく見えました。
ふと我に返ったとき、初めて「そういえば、」と障がいのことを思い出しました。同時に、障がいのあるなしに関係なく、世界に挑むその本気の姿に心を強く動かされ、勇気をもらっていた自分に気づきました。だからこそ、「障がい」とは「不利なもの」として意識されるものではなく、その選手ならではの「個性」であり、強みであると自然に腑に落ちました。
選手村で出会った人たちも同じでした。
基本的には、自分のことは自分でやる。ときどき必要な場面では自然と手を差し伸べ合う。周囲もその様子を特別なこととして捉えることなく、ごく当たり前の光景として受け止めているようでした。そこにあったのは、多様性が当たり前として根づいた日常でした。
正解はない。常に問い続ける活動はつづく
帰国の日は、朝5時に集合し選手村を出発。
ベネチア空港、ロンドンを経て羽田まで、帰国までは約30時間の長い旅路でした。その道中も、TEAM JAPANの選手やスタッフと行動を共にしました。


帰りの空港にて。TEAM JAPANの赤いウェアの集団の中に、「ビクトリープロジェクト®」の青いポロシャツ姿が目立つ
羽田空港の到着口を出たとき、出迎えに来ていた方たちから
「選手のサポート、ありがとうございました!お疲れさまでした!」
と声をかけていただきました。
その一言で、現地で行ってきたサポートがきちんと日本にも届いていたのだと感じ、素直にうれしく、そして誇らしく感じました。
味の素社は、TEAM JAPANの選手や関係者を 陰で"支える側"としてその場にいました。そこで同じ時間と空気を共有し、目の前の選手を思いながら、同じ方向を向いて動いている。
味の素社の「ビクトリープロジェクト®」は、単なる食のサポートだけではないとあらためて実感しました。
ミラノ・コルティナ2026冬季大会では「#MAJINOMOTO」に、「本気」で選手一人ひとりに寄り添い、自分らしい挑戦をサポートする「ビクトリープロジェクト®」の取り組みと想いを伝えてきました。
当社が食とアミノ酸を通じてサポートさせていただきたいのは、アスリートに限りません。「#MAJINOMOTO」には、"「本気」で突き進む全ての人"が本領を発揮できるように、なりたい姿を実現できるように、味の素社も「本気」で支えたいという想いが込められています。
今回の大きなミッションは、「あえて、®」の長距離冷凍輸送への挑戦でしたが、それはサポートのひとつに過ぎません。「ビクトリープロジェクト®」の活動は「常に自分たちで問いを見つけ、課題に取り組み、本気で挑戦し続ける」ということの繰り返しなのだと強く感じました。
今後も、さらに進化する「ビクトリープロジェクト®」の活動を皆さまに届けていきたいと思います。
【This is us】 志が、めぐる 編

無津呂沙季
グローバルコミュニケーション部 メディアグループ
2021年入社。名古屋支社にて3年間業務用営業を経験し、2024年7月より現部署で「ストーリー」編集部、SNSアカウント運用などを担当。座右の銘は「やらぬ後悔よりやる後悔 」。心配性な自分の殻を破るためにいつもこの言葉を思い出して、迷ったときは「まずはやってみよう」という気持ちで行動し、そこで得られた経験を学びに変えていくことを大切にしています。
高校時代はサッカー、大学時代はアルティメット*に熱中しており、今でもスポーツは観るのもプレーするのも大好きです。
*アルティメットとはフライングディスクを使った7人制のチームスポーツです。
※味の素㈱は、 TEAM JAPANゴールドパートナー(調味料、乾燥スープ、栄養補助食品、冷凍食品、コーヒー豆)です。
- AGF®ストーリー "いつでも美味しい一杯"が、世界の舞台で支えになる~ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会での取り組みとは?~
2026年5月の情報をもとに掲載しています。