藤江社長は「太郎の部屋」と称して、対話を希望する従業員を社長室に招いたり、支社を訪ねて「出張社長室」を開催したりするなど、従業員とカジュアルに対話をする機会を大切にしています。
先日も「太郎の部屋」に2024年度の新入社員が訪れました。2回にわけて開催され、参加したのは13名!「ぜひ藤江さんとお話したい」「質問したい」という方が参加しました。
今回の記事では、参加者すべての質問を掲載することはできませんが、ユニークな質問をいくつかピックアップしてお届けします。
特売でも198円のマヨネーズを・・・
新入社員
若いころの自分にアドバイスするならどんなことがありますか?こうしておけばよかったとか、失敗談を教えてください!
藤江社長
失敗談どころじゃない!失敗だらけですよ(笑)。たとえば神戸での営業時代ですね。営業だから「売りたい」っていう気持ちがあるから、取引先のバイヤーの方に気に入ってもらってなんとか交渉して「企画(チラシ)とれました!」って会社に帰ってきて報告したまでは良かったのですが、その契約した価格がよくなかった。
新入社員
おいくらだったのですか?
藤江社長
当時マヨネーズは、特売でも198円だったのですが、100円で売ってしまったのです。
新入社員
え~!!!
藤江社長
これは、えらい怒られました。そのとき「ああ、これはクビになるな」と落ち込みました。
その私の姿をみたベテランの先輩が焼き鳥をごちそうしてくれました。その方の前職は工場勤務だったのです。彼から「商品を一生懸命開発・製造している人の顔を思い浮かべ、適切な価格で売りなさい」と言われました。
悔しさ、悲しさ、ありがたさなど、さまざまな感情が押し寄せてぐちゃぐちゃになりぼろ泣きしました。
みなさんも困ったときには、先輩や上司を頼るといいと思います。真剣に挑戦することはみなさん理解してくれると思います。みなさんは失敗をおそれず、どんどんチャレンジをしていってほしい。そこから多くのことを学び取って下さい。若いときの失敗はすごく大きな価値になりますよ。
ASVって競合他社とも共創できる?
新入社員
ASV経営の社会価値は、例えば「人々の健康」など、競合他社も同じような価値創造を目指していると思います。ライバルでありながら協力できるのではないでしょうか。また、その他の企業や行政との連携などをどうとらえていますか?
藤江社長
全世界の味の素グループの温室効果ガス(GHG)の年間排出量は1,100万トンです(2023年度)。いま、この排出量を削減する取り組みをサプライチェーン全体で行っていますが、GHG排出量をゼロにしたとしても、これは世界のたった0.02%です。
私たちはさらに努力を続けますが、より大きな社会価値創出には 他の会社とのコラボレーションが大事です。
たとえば「AjiPro®-L」のビジネスモデルがあります。
これは、国内では明治グループと味の素社がコラボレーションを組んで、社会課題の解決と経済価値の創出を実現するというまさにASVのお手本のようなプロジェクトです。
藤江社長
味の素社の「AjiPro®-L」は、乳牛の飼料と混ぜて与えることで、乳牛から排出されるGHGを削減できます。
味の素社は、明治グループの飼料会社に「AjiPro®-L」を販売する。明治グループは契約している酪農家に「AjiPro®-L」を混ぜ合わせた飼料を販売する。
そのGHG排出量の削減分を味の素社がモニタリング、Jクレジットのシステムを通じてクレジット化します。酪農家はGHG削減者として、味の素社はプロジェクトの運用者としてその削減分に応じた金銭を受け取ります。
明治グループはJ-クレジットを購入し、グループ全体のカーボンニュートラルに寄与します。また、酪農家を支援することができ、サステナブルな酪農を実現することできます。
自分の「ありたい姿」を文字で書く
新入社員
日々の実務に追われて、目の前のことに集中してしまい、
本来自分のやりたかったことを忘れて、目標を見失いそうになることが不安です。
藤江社長
まず、その状態をあまり心配しなくていいと思います。目の前の仕事に集中することはとても大切です。
その一方で、常に戻るところがあればいいと思います。
常に戻るところというのは、自分の「ありたい姿」です。
藤江社長
どうやって戻るかというと、具体的には「ありたい姿」を自分で書いてみるんです。シンプルに文字で書いてみることをおすすめしています。
それを1年に一度、見直すといいと思います。
「ありたい姿」と「いまの姿」の間のギャップが問題であり、課題であるわけですから、その課題に対して試行錯誤しつづける。その課題が解決したら、「ありたい姿」に近づいていくと思います。
私たちに期待することは?
新入社員
社長として、私たちがどうなってほしいでしょうか?どういうことに期待していますか?
藤江社長
まず、自分の「ありたい姿」を明確にし、味の素社の志である「パーパス(アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する)」との重なる部分をみつけてほしいです。
そして、どんどん手を挙げ、自発型の企業文化創りをけん引してもらいたい。リーダーシップを発揮してほしいです。
会議での質問ひとつでも良い影響力を発揮できると思います。職位関係なく、自分らしいリーダーシップを試してみてはいかがでしょうか。
私も若い頃に先輩から「藤江の言っていることは、上司や先輩たちからすると間違いかもしれないけど、おまえにとってはそれが正解なんだろう?だったら会議の場で発言すればいいじゃないか」と言われました。
最近では「間違ったことは発言してはいけないのではないか」と心配する人も多いようですが、そのとき自分が正しいと思ったことはどんどん発言してみてください。それがみなさんを成長させるきっかけになると思いますよ。
いかがでしたでしょうか。新入社員の皆さんは日々の実務での悩みや不安、藤江さんの失敗談や経験談、「ありたい姿」の話などをうかがって、前向きな気持ちになれたのではないでしょうか。
2023年度の新入社員との対話はこちらからご覧になれます。
ストーリーでは、さまざまな質問に藤江社長が答える「Knock Knock 社長室 〜教えて!藤江さん〜」を連載しています。ぜひご覧ください。
2024年11月の情報をもとに掲載しています。
<用語解説>
J-クレジット
J-クレジット制度は、日本国政府が創設したカーボンクレジット制度です。省エネルギー設備の導入や、再生可能エネルギー利用によるCO2などのGHG削減量、適切な森林管理によるGHG吸収量を、国がクレジット化して認証するものです。
GHG排出量を削減した企業や団体はクレジットを売却して利益を得られます。クレジットを購入した企業や団体は、自身のGHG排出量から購入分を差し引くことができます。
カーボンクレジットとは、カーボン・オフセットの考えから整備されたGHG量の認証制度です。国際的な機関、国の機関、自治体など、公的な信用のある組織や機関が、GHGの排出削減量を「確かに削減されている」と認証を与えます。認証された削減量はクレジットとして金銭化されます。