味の素社のサイトには「味の素グループのマテリアリティ」というページがありますし、「ASVレポート(統合報告書)」や「サステナビリティレポート」にも頻繁に出てくるキーワードです。
どうやら非常に重要な言葉のようですが、どういう意味かと言われると、うまく説明できない方も多いのではないでしょうか?
ストーリー編集部では、味の素グループのサステナビリティの取り組みについて、みなさんによりくわしくご理解いただくために、サステナビリティに関連するキーワードをご紹介していきます。
今回は「マテリアリティ」という言葉についてご紹介していきましょう。
マテリアリティとは
一般的に「マテリアリティ」とは、組織・企業にとっての「重要課題」を指す言葉です。
自社の企業活動において重要とされる課題をわかりやすく示すものとして多くの企業において「マテリアリティ」が活用されています。
そもそも「マテリアリティ」とは、企業が投資家や株主などのステークホルダーに対して、取り組みを発信するために活用されている非財務指標のひとつです。
財務指標とは、企業の業績を判断する数字で評価される指標です。これに対して非財務指標とは、経営理念、経営戦略、や環境や社会への取り組みなど、数値化しにくい企業の指標や価値のことをいいます。
つまり「マテリアリティ」とは、サステナビリティの観点から、社会課題の解決と持続可能な発展に向けた重要課題であり、その課題そのものも外部からの評価の対象となる項目といえるでしょう。
なぜ企業はマテリアリティを発信するのか?
現代においては、企業の価値は売上や利益だけでは測れない時代です。財務指標ではなく非財務指標が重要視され、社会的な責任をどう果たしているか、世界や社会の課題にどう取り組んでいるかをきちんと発信することが、企業の責務のひとつとなっているのではないでしょうか。
さらに、ESG投資という言葉をご存知でしょうか?
ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)を考慮して投資先を決定することです。この考え方が、機関投資家やアナリストにとって重要視されるようになるなかで、マテリアリティという言葉は「企業が、自社の持続可能な発展のために、どのようなことを重要項目として取り組んでいるか」をあらわすようになりました。
こういった流れから多くの企業がマテリアリティを掲げるようになったと考えられます。
味の素グループでも、「ASVレポート(統合報告書)」や「サステナビリティレポート」を通じて、これらの取り組みへの発信を続けています。このとき、取り組みのキーストーンとして重要なのが「マテリアリティ」なのです。
味の素グループにとっての重要事項(マテリアリティ)とは?
味の素グループは、2015年(平成27年)から重要事項(マテリアリティ)への取り組みを続けています。
刻々と変化する社会情勢に対応し、また消費者・協力企業・従業員・株主などステークホルダーの意見・期待を踏まえて、継続的に見直しを行っています。
2021年(令和3年)4月に取締役会の下部機関としてサステナビリティ諮問会議が設置され、長期にわたりASV (Ajinomoto Group Creating Shared Value)を実現し続けるために、多様な関係者から期待される「味の素グループにとっての重要事項(マテリアリティ)は何か」を議論してきました。
サステナビリティ推進体制の強化およびサステナビリティ諮問会議委員決定のお知らせ(2021年3月8日)
2023年(令和5年)、味の素グループは4年ぶりに味の素グループにとっての重要事項(マテリアリティ)を改訂しました。これは新しいアプローチによる大きな改訂となり、社内だけでなく社外からも大きな注目を集めています。
味の素グループのユニークな取り組み
2023年(令和5年)に大きく改訂した味の素グループにとっての重要事項(マテリアリティ)は、個別の課題を並べるだけのものではありません。ありたい姿の実現や長期の企業価値向上に向けた重要な事項を掲げ、そのつながりを整理したものとなっています。
サステナビリティ諮問会議の各メンバーがそれぞれの立場を代表して抽出した味の素グループにとっての課題/機会を、継続的な変革およびイノベーションを実現するプロセスとして、つながりを整理しモデル化しました。
これは大変ユニークな取り組みで、一般的な課題の整理だけにとどまらず、長期視点で高みを目指した重要事項(マテリアリティ)となっています。
その重要事項(マテリアリティ)を「"AminoScience for Well-being" アミノサイエンス®によるWell-being」という言葉に集約しました。
味の素グループの重要事項(マテリアリティ)を象徴する「環」
「"AminoScience for Well-being" アミノサイエンス®によるWell-being」とは、アミノサイエンス®の力や可能性(Scientific Possibilities)と人、社会、地球のWell-beingに貢献するストーリーの力 (Story of Wellbeing)を結び付け、価値創造のプロセスを回すことで、サステナブルに成長していくという考え方です。
この価値創造プロセスを環にたとえ、4つのドメインを設定しました。
この環には、インフィニティ(永遠)を象徴するイメージがあり、この環をぐるぐると回し続けることで、サステナブルに企業価値を向上し続けるという意味を込めています。
味の素グループのマテリアリティについてくわしい内容は、こちらのページをご覧ください。
まとめ
最後に、マテリアリティについて今回ご紹介した内容をまとめます。
・マテリアリティとは、「企業が、自社の持続可能な発展のために、どのようなことを重要項目として取り組んでいるか」を意味する。
・企業の価値がビジネスだけでは測れない現代においては、ESG投資の観点からも企業は自社のマテリアリティを積極的に発信していく必要がある。
・味の素グループは2015年(平成27年)から重要事項(マテリアリティ)に取り組んでおり、長期にわたりASV (Ajinomoto Group Creating Shared Value)を実現し続けるため、2023年(令和5年)に大きな改訂を行った。
・味の素グループにとっての重要事項(マテリアリティ)は、一般的な課題の整理や個別の課題を並べるものだけにとどまらず、ありたい姿の実現や長期視点で高みを目指した取組みとして「"AminoScience for Well-being" アミノサイエンス®によるWell-being」という言葉に集約している。
・「"AminoScience for Well-being" アミノサイエンス®によるWell-being」のサイクルを環にたとえ、「4つのドメイン」を設定し、さらに「12の要件」「28の期待」を設定している。
・環には、インフィニティ(永遠)を象徴するイメージがあり、サステナブルに企業価値を向上し続けるという意味を込めている。
2024年4月の情報をもとに掲載しています。
<用語集>
ESG(イーエスジー)
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字を組み合わせた言葉です。近年、ESGの視点を投資判断に取り込む投資家が増え、企業が長期的に成長するためには、ESGの3つの観点が必要だという考え方が広まっており、ESGは現在では企業の価値を評価する材料として使われています。
ASV(エーエスブイ)
ASVとは、「Ajinomoto Group Creating Shared Value」を略した言葉です。 CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)に由来しており、企業が自社の売上や利益を追求するだけでなく、自社の事業を通じて社会が抱える課題や問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的な価値も創造されることを意味します。
このように経済価値と社会価値の2つをともにつくる取り組みがASVであり、ASVを進化させていくことが、味の素グループのビジョンの実現につながると考えています。