活動レポート

サステナビリティってなに?いまさら聞けないサステナビリティ関連用語を学ぼう①

サステナビリティ、SDGsとかエコとかエシカル、ダイバーシティ、ESG・・・よく耳にするこれらの言葉を、知ってはいるけどじつはあまりよくわからない。といった方も少なくないと思います。

ここ数年、ビジネスシーンやニュース、テレビなどでも、いわゆる「サステナビリティに関連するキーワード」がたくさん語られています。 味の素社のHPにも「サステナビリティ」というメニューがあり、そのなかで味の素グループ全体のサステナビリティへの取り組みをご紹介しています。

そこで、ストーリー編集部では、みなさんに味の素社のサステナビリティの取り組みについて、よりくわしくご理解いただくために、サステナビリティに関連するキーワードをシリーズでご紹介する「サステナビリティ関連用語を学ぼう」をスタートしました。

第1回目は、ずばり、「サステナビリティ」について。

サステナビリティ関連用語ということで、そもそもこの言葉を知っている人は多いと思いますが、しかし誰かに説明するとなると意外と難しい言葉ではないでしょうか。そこで、あらためてこの言葉の意味はもちろん、その周辺の話題についてもじっくりとご紹介したいと思います。

サステナビリティとは

サステナビリティ(Sustainability)とは、英語のSustain(持続する、保つ)とAbility(能力)を組み合わせた言葉であり、日本語では「持続可能性」と翻訳されます。現在、サステナビリティという言葉は、おもに「"人間・社会・地球環境"の持続可能な発展」という意味で使われています。

きれいな海

サステナビリティというと、地球環境保護について語られることが多いのですが、じつはそれだけではありません。経済格差、社会格差などの社会問題や、人権、教育、ジェンダー、健康、食生活など人間そのものを取り巻く問題などを含めた課題を解決し、「持続可能な発展」をテーマに取り組むものとして捉えられています。

ミーティングの様子

持続可能な発展というのは、目先の利益や成果を求めるものではなく、継続的に安定して維持していける仕組みや方法を考え、構築・運営していく取り組みです。物事の長期的な影響を考えて行動するための概念ともいえるでしょう。

欧米では1970年代ごろから、産業の発展や経済の成長を見直し、環境問題などが注目され、1980年代ごろにはエコロジーに対する意識やエシカル消費という考え方が広まりました。1990年代に入ると「持続可能な発展(サステナビリティ)」という考え方が生まれ、成長よりも持続可能性に着目したライフスタイルを追い求める傾向が高まってきました。

つまり、サステナブル、サステナビリティという考え方は、最近のものではなく、すでに30年前から生まれた考え方なのです。

なぜ、サステナビリティが注目される?

なぜ、サステナビリティという考え方が必要となったのでしょうか。

経済が成長し、産業が発展すればするほど、その一方で地球温暖化や気候変動、大気汚染、海洋汚染などの地球環境問題が発生する可能性があります。また、貧困、格差、教育、雇用、ジェンダー差別、食や健康などにも影響するといわれています。

それでは、これらの問題を解消しつつ、持続的に発展するためにはどうしたらいいでしょうか。

たとえば、地球温暖化の原因のひとつであるCO2排出削減のために、石油や石炭などの化石燃料の使用を削減し、太陽光や風力など再生可能エネルギーを普及させたり、CO2を排出しない電気自動車を開発したりといった環境負荷を削減する取り組みもそのひとつです。

風力発電と電気自動車

また、社会の制度や仕組みを見直すことで格差や貧困を解消する取り組みや、私たちの日常でいえば、ビニールのレジ袋ではなくエコバッグを使うこと、フードロスの削減や、不用品の再利用、プラスチックごみの削減なども持続的な発展への取り組みといえるでしょう。

エコバッグ

2015年の国連サミットで国際目標である「SDGs(Sustainable Development Goals)」が採決され、世界中で、さまざまな取り組みや社会貢献活動を訴える企業や団体が増えてきました。より具体的な目標が設定されたことで、サステナビリティの概念は社会全体に広く浸透しつつあり、企業による環境保護活動や社会貢献活動などに高い注目が集まっています。

なぜ、企業がサステナビリティに取り組むのか?

企業は、自社の売上や利益を追求することを目標として成長してきました。しかし、企業が発展し、経済が成長していく一方で、環境問題をはじめ、あらゆる社会問題が浮き彫りとなりました。社会が不安定になると、企業の活動にも影響が出てくるのではないかという懸念から、欧米では1990年代以降、「持続可能な発展(サステナビリティ)」という考え方が生まれました。

日本でも、21世紀に入り、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)への取り組みが活発になってきました。

さらに、2015年に国連でSDGsが採択されたことにより、徐々にサステナビリティといった概念が社会に浸透してきたことを受け、「CSR」から「サステナビリティ」と名前を変えて、取り組みを行う企業が増えてきました。

つまり、これまで企業が取り組んできた「事業を通じた社会課題へのあらゆる取り組み」が、「持続可能な発展」に集約され、サステナビリティという言葉で包括的に捉えられるようになってきたと考えられます。

サステナビリティへの取り組みは、今後、あらゆる企業にとって欠かせないテーマとなっており、従来の成長戦略だけにとどまらず、事業を通じての社会課題の解決を重要視した経営方針や中期経営計画を打ち出す企業が増えてきました。

味の素グループでは、創業以来事業を通じて「食と健康」という社会課題の解決に取り組んでおり、その取り組みをASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)と名付け、その実現に向けた理念を掲げています。

味の素グループは、創業以来一貫して事業を通じた社会課題の解決に取り組み、社会・地域と共有する価値を創造することで経済価値を向上し、成長につなげてきました。この取り組みをASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)と称し、ASVをミッションとビジョンを実現するための中核と位置づけた理念体系を"Our Philosophy"として設定しています。
(味の素グループポリシー「Our Philosophy」より)

さらに、味の素グループは、2030年までに「10億人の健康寿命延伸」と「環境負荷50%削減」の2つのアウトカムの実現を目指しています。

サステナビリティとSDGsは同じではありません

「サステナビリティ」と「SDGs」を同じもの、と捉えている人も少なくないようです。さらに「エシカル」についても同様に考えている人も多いでしょう。

どの言葉も、環境や社会への配慮、経済活動における考え方を示すものであり、大きな意味では同じようなものといえるかも知れませんが、次のように分類されるのが一般的です。

サステナビリティは、「"人間・社会・地球環境"の持続可能な発展」に向けて、設計や仕組みを考える「持続的な取り組み」です。

SDGsは、サステナブルな世界を2030年までに達成するための「世界共通の目標」です。

この2つについては明確に違いがあります。

エシカル(Ethical)は、「倫理的な」「道徳的な」という言葉を原点に一般の生活者の目線で「ライフスタイル」を考えるものといわれています。地球環境への配慮や人権の保護など、地球上のすべての存在がより良くあることを目指し、法律やルールだけでなく、生活者の視点から捉えた倫理的な行動や活動のことです。

フェアトレードの果物

いわゆる、エシカル消費、エシカルファッションといった言葉で「エシカル」が使われることが多いのは、地産地消やフェアトレードなど、一般の生活者にわかりやすく、日常に身近な行動であり、コミットしやすいということを示しているのだと考えられます。

これらの言葉をただの流行語として捉えるのではなく、じっくりと腰を据えて、長期的に取り組むテーマだと考えることが重要ではないでしょうか。

統合報告書とサステナビリティデータブックってなに?

持続可能な社会の実現のためには、環境問題や経済格差などの社会課題への配慮が不可欠です。企業においても、近年、ESG(Environment:環境、Social:社会、 Governance:企業統治)の視点を投資判断に取り込む投資家が増え、企業においても、環境、社会のサステナビリティを前提とした経営が長期的な成長に不可欠となっています。こうした中、ESGやサステナビリティに関する情報の開示がますます求められるようになりました。

一般的に、統合報告書は「組織がどのように価値創造していくかについての簡潔なコミュニケーション」、つまり投資家等との対話の土台となるツールとして発行されており、サステナビリティレポートやサステナビリティデータブックは「持続可能な社会の実現に向けて、企業がどのような取り組みをしているかを開示する報告書」として発行されています。

味の素グループでは、2016年から「統合報告書」を毎年発行しています。2022年度から、「統合報告書」をASV経営の考え方やそれに基づく活動をお伝えする報告書と位置付けて、「ASVレポート(統合報告書)」へと改称しました。一方、サステナビリティ報告としては、2009年から「CSRレポート」と「環境報告書」を発行し、2012年にこの2つを「サステナビリティレポート」として統合、そして、2015年から「サステナビリティデータブック」として毎年発行しています。

「ASVレポート(統合報告書)」では、味の素グループの財務情報と非財務情報を統合して掲載しており、グループ全体の企業価値の向上に直結する、とくに重要度の高い情報を集約、ストーリー化するとともに、サステナビリティ実現に向けた取り組みを紹介しています。

「サステナビリティデータブック」では、「ASVレポート(統合報告書)」を補完する情報をマテリアリティ項目(価値創造能力に影響を及ぼす「重要課題」)ごとに掲載しています。「ASVレポート(統合報告書)」と併せ、サステナブルな成長に向けた味の素グループの姿を、株主・投資家の皆さまをはじめとする全てのステークホルダーの皆さまに向けて発行しています。

まとめ

最後に、サステナビリティについて今回ご紹介した内容をまとめます。

・ サステナビリティとは、おもに「"人間・社会・地球環境"の持続可能な発展」という意味で使われている。

・ サステナビリティは、地球環境保護について語られることが多いが、経済格差、社会格差などの社会問題や、人権、教育、ジェンダー、健康、食生活など人間そのものを取り巻く問題などを含めた課題を解決し、「持続可能な発展」をテーマに取り組むものとして捉えられている。

・ サステナブル、サステナビリティという考え方は、最近のものではなく、すでに30年前から生まれた考え方である。

・ 2015年の国連サミットで「SDGs(Sustainable Development Goals)」が採決され、世界中で、さまざまな取り組みや社会貢献活動を訴える企業や団体が増えてきた。

・ あらゆる企業にとってサステナビリティへの取り組みは欠かせないテーマとなっており、従来の成長戦略だけにとどまらず、事業を通じての社会課題の解決を重要視した経営方針や中期経営計画を打ち出す企業が増えている。

・ 味の素グループでは、創業以来 事業を通じて「食と健康」という社会課題の解決に取り組んでおり、2030年までに「10億人の健康寿命延伸」と「環境負荷50%削減」の2つのアウトカムの実現を目指している。

・ サステナビリティは「持続的な取り組み」であり、SDGsは、サステナブルな世界を2030年までに達成するための「世界共通の目標」。エシカル(Ethical)は、「倫理的な」「道徳的な」という言葉を原点に一般の生活者の目線で「ライフスタイル」を考えるものといわれている。

いかがでしょうか。次回もサステナビリティに関連するキーワードをご紹介していきます。

<用語集>

SDGs (エスディージーズ)
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略です。日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。2015年の国連サミットで決まった国際目標を「SDGs」といいます。法律や規制というものではなく、国際社会共通の目標として、世界中の政府、行政、企業などさまざまな組織が「2030年までに17のゴール・169のターゲット」を達成しようという取り組みのことをいいます。

ESG(イーエスジー)
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字を組み合わせた言葉です。近年、ESGの視点を投資判断に取り込む投資家が増え、企業が長期的に成長するためには、ESGの3つの観点が必要だという考え方が広まっており、ESGは現在では企業の価値を評価する材料として使われています。

再生可能エネルギー
再生可能エネルギーとは、枯渇する心配のある石油、石炭、天然ガスのような化石燃料とは異なり、太陽、風、水などのように自然界に由来し、自然の力で補充されていく「再生することが可能な」エネルギーのことをいいます。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどが注目されています。

2022年4月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

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