これほど幅広い事業展開と多様な製品を扱う味の素グループにおいて注目されるのが、「品質」です。
世界中で約35,000人にも及ぶ味の素グループの従業員は、「品質」にこだわり、「安全・安心」こそがもっとも優先すべき事項であると語ります。
それは、「安全・安心に関する透明性」こそが、企業がお客様との信頼を築くうえで最も重要だと知っているからです。
「品質保証」には厳密なルールが必要ですが、それ以上に、従業員一人ひとりの日々の努力なしには実現できません。その理由と、世界中の「プロたち」の仕事をご紹介しましょう。
品質保証とは?
改めて「品質保証」という言葉が示す意味を確認してみましょう。
多くの人は「完成した製品に不具合がないかチェックすること」をイメージするかもしれません。しかし、それは品質保証のための活動のごく一部でしかありません。
本当の意味での品質保証(Quality Assurance:QA)とは、製品やサービスが要求された一定の品質基準を満たしていることを確認し、顧客に対して信頼性を提供する活動です。
つまり品質保証とは、設計や製造といったあらゆる段階で品質を管理し、そもそも問題が発生しないようにするための取り組みや、不具合の発生を未然に防ぐための体制づくり、品質改善を続けていく仕組みを構築し、適切に運用することなどが求められる企業活動なのです。
なぜ、品質保証にこだわるのか?
品質保証は、製造業に限らず、サービス業、IT業界、医療分野、教育分野など、さまざまな業種・業界において、「組織の成功に不可欠な要素」としての取り組みが進められています。
一般的には、企業の品質管理部門が中心となって品質保証の認証取得などを積極的に行い、定められたルールのもと、品質管理・品質保証に取り組んでいます。
品質保証の認証制度とは
ISO、JISという用語を聞いたことがある方も多いでしょう。これらは企業の品質保証を認証する制度として、世界中で活用されています。
ISOとは
ISO(アイエスオー)とは、国際間の取引をスムーズに行うために国際標準化機構(International Organization for Standardization)が制定している国際規格です。これは、国際間の取引をスムーズに行うために作られました。ISO規格を導入することで、世界共通の基準によって製品やサービスを提供できるようになり、国際間の取引において大きな信頼を得られる要素となります。
なかでもISO 9001は、全世界で170か国以上、100万以上の組織が利用しており、品質マネジメントシステムに関する国際規格としてもっとも普及しています。
JISとは
JIS規格(ジスきかく:日本産業企画:Japanese Industrial Standards)とは、工業標準化法によって制定されている日本国内の規格制度で、日本の製品やサービスに関する品質や安全性を統一するために制定された国家規格です。
たとえば、キッチンの設備、ねじのサイズ、白熱電球、自動車部品などあらゆる分野において各分野ごとに規格が整理され、日本の製品を安心して使える基盤となっています。
味の素グループ独自の品質保証システム「ASQUA(アスカ)」とは
「ASQUA(アスカ)」とは、1997年(平成9年)に制定した味の素グループ独自の品質保証システムで、「Ajinomoto System of Quality Assurance」の略称です。
「ASQUA(アスカ)」は、「味の素グループ共通ルール」です。各組織・法人ではこれら「味の素グループ共通ルール」に準拠した自分たちの運用ルールを定めています。
味の素グループ共通ルールは、「品質に関するグループポリシー」、「食の安全・安心に関するグループポリシー」、「品質保証規程」、「品質保証規則」、「基準類」から構成されています。そしてそれは、国際的な規格であるISO9001、GFSI(Global Food Safety Initiative:世界食品安全イニシアチブ)承認認証規格と調和する形となっています。
この共通ルールに基づいて、開発からお客様対応まで、世界の味の素グループ約100社で「ASQUA(アスカ)」に基づいた品質保証活動を徹底し、高品質な製品づくりを保証しています。
「ASQUA(アスカ)」の構成

「ASQUA(アスカ)」の文書体系

味の素グループの品質保証とは?
味の素グループでは、従業員一人ひとりが「品質保証」にコミットしています。
原料の調達から設計、製造、出荷、販売、さらにはお客様が購入した後のアフターサービスに至るまで、一貫して品質保証に取り組んでいます。これは組織の競争力を高め、持続可能な成長を実現するための戦略的な取り組みです。
さらに、味の素グループの品質への取り組みは、単なる商品やサービスの品質を高めるだけでなく、企業文化としても深く根付いています。
すべての従業員が毎日の業務において品質を考えて行動することが、企業全体の信頼性や持続可能性を向上させていると考えています。
味の素グループポリシー(AGP)とは?
味の素グループは「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」というパーパス(志)のもと、事業を通じた社会課題の解決に取り組み、社会や地域と共有する価値を創造することで経済価値を向上していく戦略的な取り組みをASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)として推進しています。
このASVの推進には、従業員一人ひとりが社会から信頼される人でなければなりません。
そこで、味の素グループ各社、およびそこで働く従業員一人ひとりが順守すべき考え方と行動のあり方を味の素グループポリシー(AGP)として制定しています。これは、事業活動にかかわる基本的で普遍的な考え方を示したものです。
味の素グループポリシー
1. 栄養改善の取り組み
2. 安全で高品質な商品・サービスの提供
3. 地球環境とサステナビリティ(持続可能性)への貢献
4. 公正で透明な取引
5. 人権の取り組み
6. 人財育成と従業員の安全確保
7. コミュニティとともに
8. ステークホルダーへの責任
9. 会社資産・情報の保護・管理
10. 公私のけじめ
11. 適切なガバナンスの構築と運用
味の素グループポリシー(AGP)のくわしい内容はこちらからご覧いただけます。
このAGPのなかで、品質に関するポリシーは「2. 安全で高品質な商品・サービスの提供」に含まれており、「品質に関するグループポリシー」と「食の安全・安心に関するグループポリシー」を設けています。

味の素グループの「品質に関するグループポリシー」とは
品質に関する取り組みにおいて、ルールを決めることは重要です。しかし、一般的には、ルールを決めるだけでは定着しない、と言われています。
味の素グループでは、品質保証を自分ごととして捉えるため、考え方や行動のあり方を制定しています。それが味の素グループの「品質に関するグループポリシー」です。
味の素グループの「品質に関するグループポリシー」は、5つの重要な柱から構成されています。
味の素グループの「品質に関するグループポリシー」
①お客様の要望に真摯に耳を傾ける

私たちは、お客様の要望に真摯に耳を傾け、お客様に満足いただける商品やサービスをお届けします。
②適切な情報を積極的に提供する

私たちは、適切な情報を積極的に提供し、お客様の信頼にお応えします。
③安全性を追求し、法規を順守する

私たちは、安全性については妥協することなく可能な限りの調査、研究を尽くし、関連する法規を順守し、常に一定品質の商品やサービスをお届けします。
④ISOの考え方を基本にした独自の品質保証システム

私たちは、国際基準であるISOの考え方を基本にした味の素グループ独自の品質保障システム「ASQUA(アスカ)」で品質を保証します。
⑤社員ひとりひとりが最善を尽くす

私たちは、経営のリーダーシップのもと、研究・開発から生産・物流・販売・サービスに至るまでの社員一人ひとりが安全で高品質な商品やサービスの提供に最善を尽くします。
味の素グループの考える「品質文化」とは?

安全で高品質な商品とサービスの提供を確実に実現し、維持していくためには組織全体に根付いた品質文化が不可欠です。
安全で高品質な商品とサービスの提供は顧客満足度を向上させ、市場での競争力を強化します。また品質管理の徹底はコスト削減にもつながり、経営効率を高めます。
さらに一貫した品質へのこだわりはブランドイメージを向上させ、お客様からの信頼を築きます。そして、品質基準の厳守は、法規制への適合を確実にし、社会的責任を果たすことにもなります。
これらの要素が相互に作用し、品質は持続可能な成長の基盤に貢献しています。
こうした品質文化こそが、味の素グループの品質への取り組みを支える重要な基盤となります。

品質文化とは、品質に関する考え方や行動に影響を与える共有された価値観です。
味の素グループが目指す品質文化とは、すべての従業員が安全で高品質な商品サービスの提供に貢献するという共通の価値観を持ち、日常の業務の中で体現することを意味します。
具体的な取り組み内容と従業員の声
ここからは、製品をお届けするまでのすべてのステップにおける具体的な取り組みについて簡単にご紹介しましょう。

お客様に製品をお届けするまでのすべてのステップで品質にこだわっています
設計・開発
お客様に喜んでいただける製品を目指して製品の設計・開発
「ASQUA(アスカ)」で定めた「品質アセスメント基準」に従い、製品開発の段階ごとに品質アセスメントを設定し、厳しく評価。この品質アセスメントをすべてクリアした製品がお客様のお手元に届く仕組みになっています。
原材料調達
安全・安心な製品を届けるために
味の素グループでは、事業活動で利用する原材料を網羅的に把握しつつ、社内関連部門と社外有識者で分析し、農林資源、水産資源の領域で重点的に取り組むべき重要原材料を特定しています。
生産
安全で品質の高い製品を安定的に
味の素グループでは、お客様に安全で高品質な製品を提供するために、「ASQUA(アスカ)」で定めたHACCP※1、GMP※2、フードディフェンス等に関する基準に従って、徹底した品質管理を行っています。
※1 HACCP
HACCPとは「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略称で、食品の安全性を確保するための衛生管理手法です。食品の入荷から製造、出荷までの全工程において、食中毒などの危害要因を科学的根拠に基づいて管理します。
※2 GMP
GMPとは「Good Manufacturing Practice」の略称で、日本においては医薬品の製造において法的に取り入れられている品質管理の基準です。原料の入荷から製造、出荷までの全工程において、製品が安全で一定の品質を保たれるように定められたシステムのことです。
物流
価値の高い物流品質の提供
国内では、商品の保管および輸送において「受注」「保管」「配送」を専門業種のビジネスパートナーと協同し、鮮度や温度、湿度などの品質管理を徹底して行っています。海外においても、世界各地の物流事情を鑑みながら、各国の物流業者と協働し、日本で蓄積した物流品質やノウハウを展開するためのサポートを開始しています。
販売
製品の価値をわかりやすく伝える営業活動
味の素グループでは、お客様が安心して製品をお使いいただけるよう、一般のお客様向けの家庭用製品については、パッケージのみならず、Webサイトや店頭で参考になる情報を発信しています。
お客様の声
お客様目線で取り組む品質向上
お客様からお寄せいただく声を、魅力ある製品・サービスの開発・改善に役立てています。
絶え間なく続く、品質保証への追求
味の素グループでは、「品質保証」を経営や特定の部門だけの取り組みではなく、従業員一人ひとりが自分ごととして取り組むテーマであると考えています。
なぜ、味の素グループの従業員一人ひとりが「品質保証」にこだわるのか?
それは、お客様のために企業として責任を果たすという当然の理由とともに、それが自分自身を成長させる取り組みであり、味の素グループのパーパスである「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」ことにつながることだとポジティブに考えているからです。
最後に、味の素グループ各社の品質保証に携わるメンバーからのメッセージをご紹介しましょう。
ポーランド味の素社 品質保証
Milena Zyśkさん
AGPの品質は、消費者やお客様に満足していただくための指針となります。
フランス味の素冷凍食品社 品質保証
Nicolas GARRIGUESさん
お客様の満足度をとても大切にしています。そのため毎日最善を尽くして、良質で安全な商品を提供しています。
動画:味の素グループの品質に対する思い
味の素グループが「品質」を単なる業務ではなく、全従業員の心に根ざした文化として育んでいる姿を描いた動画です。品質は信頼と未来をつくる力です。味の素グループの従業員の声とともに、「品質は私たちの第一の責任」と語る味の素社の中村茂雄社長のメッセージをご覧ください
2025年11月の情報をもとに掲載しています。
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