味の素社では2022年(令和4年)からは「統合報告書」を「ASVレポート」として発行してきました。そして2023年(令和5年)、この「ASVレポート」が、デザインも内容もスタイリッシュ&スマートに大きく変わりました。
じつはこの制作に雑誌「Casa BRUTUS」の編集長を務められたマガジンハウスの松原亨さん、そして、東京オリンピックの聖火台や2024年(令和6年)に向けたフランス高速鉄道TGV新型車両のデザインなどで世界的な評価を得ているデザインオフィス「nendo」の井上拓さんが携わっているとのこと。そこでさっそく、制作を担当した岡田佐保さん(味の素社)、松原さん、井上さんに、「ASVレポート 2023」制作秘話を伺ってきました。
大切な情報を届けるためにどのような工夫があったのか、「読み始めて10分で味の素社の魅力が伝わるASVレポートにしたかった」という3人の作り手たちの話は、投資家やビジネスマンはもちろん、コピーライターやデザイナーをはじめとするクリエイターのみなさんにも知ってほしい内容が盛りだくさんです。
松原 亨 氏
株式会社マガジンハウス
GINZA編集部
『GINZA』副編集長。1991年入社。1992年男性ファッション誌『POPEYE』の編集に携わり、ファッション、音楽、インテリアなどを担当。2000年『Casa BRUTUS』創刊に参加。『Casa BRUTUS』編集長、『POPEYE』編集長、『colocal』編集長を歴任後、2023年より現職。
井上 拓 氏
nendo
プロジェクトマネージャー
『フィガロジャポン』編集部を経て、2012年アスクル株式会社入社、ヤフー株式会社に出向し、「LOHACO」マーケティングに従事。2016年株式会社DeNAでCSR推進室長など次世代支援に取り組む。2019年よりnendoに参加。丸井グループ、三菱商事、ポケモンなどのプロジェクトを担当。
岡田 佐保
味の素株式会社
グローバルコミュニケーション部
2003年味の素社入社。知的財産部にてブランド管理、契約交渉などを担当。2014年から1年間、アメリカのロースクール留学を経験。2018年よりサステナビリティ情報開示を担当、2022年より現職。
「統合報告書」とは?
「統合報告書」とは、企業の売上高や利益などの「財務情報(お金の情報)」と、企業理念、経営戦略、SDGsへの取り組み、人的資産の内容などの「非財務情報(お金以外の会社の情報)」をまとめて報告する冊子のことです。
法的には発行を義務づけられていないのですが、「統合報告書」を発行する企業は年々増え続け、2023年(令和5年)9月には900社以上(国内)が「統合報告書」を発行していると報告されています(企業価値レポーティング・ラボ調べ(386KB))。
では、各社が「統合報告書」を発行する目的はいったい何なのでしょうか?
それは、「企業の魅力を投資家やステークホルダーに、まるごと伝えたいから」だと言えます。
投資家や就職活動をする学生たちを含め、社会の関心は、企業の売上や利益だけでなく、SDGsへの取り組みなどにも注がれるようになりました。そんな中で多くの企業が「統合報告書」を作っているのです。
味の素社は2016年(平成28年)から「統合報告書」を発行しており、2022年(令和4年)から「ASVレポート」と名称を変更、本記事のテーマである「ASVレポート2023」を2023年(令和5年)8月に発行しました。
デザインも中身も大きく変わった味の素社の統合報告書「ASVレポート2023」。リニューアルのポイントはどこにありますか?
――まずは岡田さん、味の素社の「統合報告書」の歩みを教えていただけますか?
岡田
はい。味の素社は2016年(平成28年)から「統合報告書」を作成し始め、2022年(令和4年)からはその名称を「ASVレポート」に変更しました。さらに今回、2023年(令和5年)8月発行の「ASVレポート2023」は、前年度から大きくデザインも中身も刷新しています。
――この刷新には、どんな意図があったのでしょうか?
岡田
2023年(令和5年)は味の素社にとって、数字を緻密に積み上げて策定する中期経営計画を廃止し、長期的な方針や目指すべき姿を「中期ASV経営」として発表するなど、変革の年でした。この変わっていく姿を「ASVレポート」でも表現したい。そう考えてnendoの井上さん、マガジンハウスの松原さんに制作に加わっていただくなど、まずは制作チームの座組から変えていきました。
――井上さんと松原さんは、どのような経緯で制作チームに加わったのでしょうか?
井上
私たちnendoは、代表でありデザイナーの佐藤オオキを中心に設立されたデザインオフィスです。2022年(令和4年)からご依頼をいただき、味の素社さんとともに「デザインの力で企業変革を進める」というテーマについてさまざまな取り組みを始めさせていただいています。味の素グループの目指す姿、その実現に向けて、あらゆるステークホルダーに理解され共感されるように伝えていくスコープの中で、1つがこの「ASVレポート」。昨年より味の素社さんのIR関連資料のデザイン監修などもお手伝いをさせていただいていましたので、その経験も踏まえ、今回、「ASVレポート」の制作に参画することになりました。 松原さんとは昔からお仕事をさせていただいていて、その編集の力、コピーライティングのセンスなどを目の当たりにしてきました。その上で、「新しいASVレポート」には松原さんの力が必要だと感じたんです。
松原
ありがとうございます。私はこれまで雑誌編集の仕事をメインに、企業のブランドブックや自治体のオウンドメディアなども手掛けてきましたが、「統合報告書」を作るのは初めての経験でした。じつはnendoから声をかけられたとき、最初は「『統合報告書』って何だっけ?」という状態だったんです......(笑)。でも井上さんに「味の素社さんにはまだまだ知られていない魅力がたくさんある。おもしろいですよ。やりましょう!」と言われて、詳しく話を聞いていくうちに「やってみよう」と参画を決めていました。
――井上さんと松原さんは、どのような役割分担だったんですか?
井上
松原さんが全体の構成づくり、タイトルやキャッチコピー、そして取材、撮影などを担当してくださる編集チームを組成してくださいました。nendoが全体的なデザインの監修をはじめ、必要に応じてディレクション、ブラッシュアップという役割分担をさせていただきました。そして、岡田さんが社内と私たちをつなぎ、情報を取りまとめて制作を進めていく役割を担ってくださいました。
――「統合報告書」の制作に、デザインオフィスと出版社からメンバーが参加するというのは異例では? と思うのですが、岡田さんはこの座組にどんな思いを持っていましたか?
岡田
正直に言うと最初は少し不安でした(一同笑)。マガジンハウスさんはやはり雑誌で柔らかい表現を得意とされているイメージが強く、「統合報告書」を手掛けたことがないとおっしゃっていたので......。でもそんな心配は必要ない、とすぐに分かりました。制作を進める中で、私たちの「変えていきたい」という思いに共鳴してくださり、さまざまな新鮮な視点をもたらしてくださったので。
――新鮮な視点というと?
岡田
たとえば、「『統合報告書』にタイトルをつける」という発想は私たちにはありませんでした。でも「ASVレポート2023」のタイトル「2030年 味の素グループは どうなる?」は、私たちが伝えたかったこと、そのものなんですよ。「伝えたいことを、どうやって伝えるべきなのか」の方法を、松原さんと井上さんが客観的なプロの視点でどんどん提案してくださいました。
――なるほど。岡田さんはちょっと心配されていたそうですが、松原さんはどんな気持ちでしたか?
松原
岡田さんの思いとは裏腹に「これは私たちの得意分野かも?」と思っていました(笑)。というのも井上さんから「味の素グループには知られざる魅力がたくさんあるんだよ」と聞いていたんです。そして「読者はその魅力を知りたがっている」と。「読者が知りたがっていることを魅力的な形にして届けること」は、私たちが雑誌制作を通じて長年やってきたことです。だからこそフィールドは違っていても私にもできることがあると感じていました。
井上
その力を存分に発揮していただきたくて松原さんに声をかけました。当時、岡田さんは不安だったという事実を今日初めて知りましたが(笑)、最初はバラバラだった私たちの思いもここから次第に1つになり、「ASVレポート制作チーム」としてチーム力を発揮していきます。
ASVレポートのコンセプトは、読み始めて10分でワクワクできること
――具体的に編集会議などでは何から始めたのですか?
松原
まずは私が「『統合報告書』ってどんなものじゃないといけないのか」をヒアリングしました。そこで出てきたのが「読んでワクワクするものじゃないといけない」ということ。「統合報告書」の役割は、「これを読んだ投資家の方が投資したくなること、味の素社のファンを増やすこと」なので、この「ワクワク感」はとても重要なんです。
井上
それから投資家の方は一体どのくらいの時間をかけて1冊の「統合報告書」を読むんだろう、ということにも注目しましたね。当然読み込まれる方もいらっしゃると思いますが、調べてみると皆さんが1冊にかけられる時間は多くても約30分程度ではないか、ということも分かり、その仮説から編集会議を始めていきました。
松原
30分読み進めてもらうためには、最初の10分でぐっと心を掴まなければならない。そこで「おもしろそう」と感じなければ、人はページをめくりませんから。
岡田
そんな話し合いの中で生まれたのが「読み始めて10分でワクワクできる『統合報告書』をつくる」というコンセプトでした。「カフェで気軽に30分くらいで楽しく読める『統合報告書』にしたいね」と最初のミーティングで確認し合いましたね。
――2022年版と2023年版を見比べると、イントロダクションが6ページから16ページに増え、ここで一気に「味の素社とは?」という問いに答えています。こうした変化の背景には、そのコンセプトがあったんですね。
松原
そうですね。味の素社さんの中には、知っているようで知らない事実、魅力、おもしろさがたくさんあります。それを冒頭で紹介することで、読者の皆さんにページをめくる度に「へえ」と驚き、ワクワクしながら読み進めてもらいたいと思っていました。
――先ほど岡田さんが新鮮だったとおっしゃっていたタイトル「2030年 味の素グループは どうなる?」はいつ頃から決まっていたんですか?
松原
これは早々に決まっていましたね。このタイトルを読めば、読者は絶対に中身を見たくなりますから。私の中では「絶対にこれだ」と決めていました。
岡田さんが不安に思われていたとおり、私自身「『統合報告書』って何なの?」というところから制作をスタートしています(笑)。その中で分かったのは「『統合報告書』は、これから味の素グループがどうなっていくのか? という問いに1冊かけて答えを語っていくものだ」ということ。そこで「2030年 味の素グループは どうなる?」というタイトルを軸にストーリーを展開することで、より分かりやすくシンプルな構造ができると考えていました。
岡田
さすがの発想ですよね。2023年(令和5年)2月に当社が「2030ロードマップ」を発表したこともあり、投資家の皆さんは「2030年までに味の素グループがどうなっていくのか」に一番興味を持っているはず。だからこそ、それぞれの組織がバラバラに戦略を語るのではなく、「読者の知りたいことを軸に1冊を構成する」というアイデアは、とてもいいなと感じました。
客観視点の取材を通して見つけた、味の素社のチャームポイントとは
――コンセプトを実現するために、皆さんが工夫したことや、大切にしていたことを教えてください。
井上
最初に「経営陣の伝えたいこと、大事にしていることを理解する」フェーズを岡田さんが作ってくださいました。そこの理解を固めたうえでスタートしたのが素材集め。とにかく取材をたくさんして、リアルな現場の声を拾うことに力を注ぎました。リモートワークが進んでいる味の素社の従業員の皆さんよりも私たちの方が出社しているかも? と思えるくらい毎日のように味の素社さんに通って、いろいろな方のお話しを伺いましたね。その中で、味の素社さんのチャームポイントを見つけ、それを形にしていこうとしていたんです。
――資料から原稿を書くことなどもできたかと思うのですが、なぜ取材を重視したのでしょう?
岡田
あまり当社のことをご存じない方に、まっさらな状態で作っていただく方が、きっと読者にとって分かりやすい1冊になるだろうと考えたからです。実際に中にいる従業員からは見えない魅力を見出すことも、どんな思いで従業員が仕事に向き合っているかを深く理解していただくこともできました。
松原
誰かに何かを伝えようとしたとき、客観性を持つことはとても重要です。「自社の魅力を自社が語る」よりも、「誰かがその会社の魅力を取材して伝える」方が、内容が伝わりやすく、分かりやすくなる。「Q&A」形式がそのよい例です。
――「ASVレポート2023」の制作過程で、味の素社にはどんなチャームポイントがあると感じましたか?
松原
味の素社さんといえば調味料と思っていましたが、ABF(高性能半導体基板用層間絶縁フィルム「味の素ビルドアップフィルム®」)が、世界で95%以上の圧倒的シェアを持っていることには驚きました。「どうして皆これを知らないんだろう」と感じ、「伝えなくては」という思いが強くなりました。
さらに調味料の分野でも世界中で商品を展開していますが、その展開の仕方が素敵です。日本のものをそのまま各地で販売するのではなく、エリアに特化した内容に変えて商品を作っている。地域に根付き、愛される商品を作るという企業精神を知ってファンになっちゃいました。
井上
分かります。先日もタイ出張に行ってきたのですが、味の素社の商品がその国に寄り添いながら成長している姿を肌で感じ、改めて素晴らしいと思いました。
その他でいえば、「会社が変わろうとするエネルギーが随所に散りばめられていること」も魅力的ですね。藤江社長が変革を掲げ、パーパスを進化させて、アミノサイエンス®を軸に新たな姿を目指して成長しようとしている。もちろん従業員の皆さんは混乱や苦悩もある中で、それぞれの場所でそれを成し遂げようとされています。その熱量のうねりを取材で直接肌で感じ、この思いに応えなければと改めて思いました。
「読者の『なんだろう?』をくすぐる見出し」、「核心を切り取ったデザイン」がリューアルのポイント
――味の素社の魅力を伝えるために、デザインやワーディングでとくに工夫したことはありましたか?
松原
ワーディングに関しては「ついつい読みたくなるタイトル、見出しを付けること」ですね。先ほど岡田さんもおっしゃっていましたが、2023年(令和5年)は味の素社さんにとってパーパスが進化し、中期経営計画が廃止されて「中期ASV経営」が発表されるなど転換の年でした。このビッグトピックスを井上さん率いるnendoの皆さんが分かりやすいイラストで表現してくれています。そこに私たちがたとえば「アミノサイエンス®でできること」といった、読者の「何だろう?」を掻き立てる見出しをつけて展開する。これにより読者を引き込み、ワクワクしながらスムーズに味の素社さんの魅力を知ってもらおうとしています。
井上
「読者を楽しませるワーディング」は雑誌で培ってきたマガジンハウスさんの得意分野ですよね。それを余すところなく発揮していただきました。加えてデザイン面では、経営や戦略、数字関連の難しい情報を「より伝わる形で表現すること」を意識しました。
「統合報告書」をはじめ、IR関連の資料は伝えなければならないことも多く、ページの中には文字や複雑な図解があふれがちです。翻って文字だらけの資料は読み手にとってやさしくないもの。何よりもっとも大事なことや伝えたかったことが伝わりづらい結果にもなってしまいます。できるだけ軽減するために「情報に優先順位をつける」「核心やもっとも強調したいことを明確にして、編集して伝える」「カラーの使い方を全体で統一し、色同士の意味もリンクさせる」など細かな点を私たちが最低限整えていきました。イラストやカラーリングの選び方については、今の味の素社さんには「やさしさ」「柔らかさ」がプラスに働くのではと考え、それを軸に様々な提案をさせていただきました。
――がらりと印象が変わった今回の「ASVレポート」。新しいことを実行するうえでの苦労もあったのでは?
岡田
味の素社自身が変革しようと動きだしたばかりなので、変わりつつあるものを誌面に落としていくということが、まず難しかったですね。各所で変化が起きているので、最新の情報を拾いつつ編集していった感じでした。
井上
統合報告書の性質上、社内での確認も多く、修正もたくさん発生します。その調整が一番大変だったはず......。岡田さんをはじめ社内制作チームの皆さんが各部の調整などを力強く進めてくださったからこそ、完成できたのだと思っています。
作り手たちの見て欲しいポイント、推しページはどこでしょう?
岡田
冒頭のイントロダクションにある、「ASV私たちはこう考えます」のページです。じつは以前から「ASVレポートなのに、ASV感があまり出ていない」という悩みがあり、それをどうにか変えていきたかったんです。そこで松原さんに相談したところ、「従業員の声を掲載してみては?」というアイデアをいただき、このページが誕生しました。
――ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)は、事業を通じて社会価値と経済価値の共創に取り組むこと。従業員それぞれのASVがあるんだということが伝わりますね。
岡田
そうですね。ASVの考え方が浸透し、現場で、従業員一人ひとりの中で機能していると伝えられたのではと思っています。
井上
私が見てほしいページは、誰もがまず目にするだろう「表紙」です。お話しした通り、早い段階でストーリーラインとタイトルは決まっていたんです。でもじつは表紙の決定までには紆余曲折あって苦心しました......(笑)。最終的にnendo代表の佐藤オオキが描いたイラストをデザインに起こしたものが採用されています。読者の皆さんが最初にこれを見た時、きっと「何だろう?」と感じるのではないでしょうか?それだけで十分引きがある表紙になっています。しかしさらに読んだ後にまたこの表紙に戻っていただくと「ああ、そういうことか!」という発見もあるはず。そうやって楽しんでもらえればうれしいですね。
松原
お二人があげてくださったページは私もいい試みができたと思います。では、私の推しはというと、ページを絞るのが難しいですね。このプロジェクトの最初に、「統合報告書」というメディアの目的は何か、その目的を果たすためにはどういうものでなくてはならないか、という「そもそも論」をできるだけていねいに確認してスタートしたつもりなので、私としては、どのページが、というよりも、表紙から裏表紙まで1冊で、スタート時に決めたこのメディアの役割が果たせるものになったかどうかが気がかりです。読み始めて10分でワクワクできて、わかりやすくて、読んだらちょっと味の素社さんのファンになってしまうような、そんな役割を少しでも果たせるメディアになっていたとしたら、それぞれのページがうまく機能しているということだと思うので、そういったコンセプトと構成を推したいと思います。
経営陣や従業員の評判はいかに? 今後も進化していくASVレポート
――「ASVレポート2023」の評判はいかがですか?
岡田
読みやすい、配りたいという言葉をたくさんいただきました。9月末から配布し始めて、何度も補充はしているんですが、どんどん無くなっていきます(笑)。日本語版はもちろんですが、海外版も評判がよく「味の素社を知るのにちょうど良い」と海外の方にもたくさん配っていただいています。社内的な評判は上々なので、あとは投資家の皆さんをはじめとする外部の方にどう感じていただいているかですね。それはこれから結果が出るので、反省点などは次回の改善につなげていきたいと思っています。
――最後に岡田さん、ご自身のASVを踏まえ、今後、挑戦していきたいことを教えてください。
岡田
私自身、今回の取材を経て本当にたくさんのASVがあるんだと、改めて気づくことができました。たとえば世界で高いシェアを誇る「ABF」(味の素ビルドアップフィルム®)の製造現場で従業員がどんな思いで働き、そこにたどり着くまでどんな苦労があったのかなども初めて深く聞くことができたんです。
従業員の生の声を聞き、受け取った思いを私が社外へ発信する。さらにそこで得た評判を社内に還元する。今後はその循環を作り、社内のさまざまな場所にあるASVを進化させることができればと思っています。
――今回は、今年大きく刷新された「ASVレポート 2023」について、作り手の皆さんにお話しを伺いました。取材から作られた「味の素社のチャームポイント」が1つのストーリーとして語られている一冊。ぜひ、たくさんの方に手に取っていただき読んでみていただきたいです。
2024年2月の情報をもとに掲載しています。
味の素グループの「ASVレポート(統合報告書)2023」