活動レポート

「挑戦する」すべての従業員を応援!
手挙げ文化から生まれた「Team Flags」とは?

企業の「手挙げ文化」が注目されています。従業員が自らの意志で仕事を“自分ごと化”し、新しい挑戦に取り組める。そんな自律的な組織風土が醸成された企業にこそ、さらなる成長が期待できるからです。

味の素社では、「自ら手を挙げ、挑戦する人たちを応援するプロジェクト」が始まっています。その名は「Team Flags」。味の素グループ各社から集まったメンバーで構成される組織横断的なプロジェクトです。

Team Flagsはどのような活動をしているのでしょうか。また、こういった活動によってどのような成果があるのでしょうか。

Team Flagsの事務局2名と運営メンバー6名に話をうかがいました。

挑戦者たちのチャレンジを広く伝えたい!応援したい!と集まったTeam Flags

色とりどりの旗が集まったFlagsのマークは、挑戦する人を応援し、自ら参加することを称える活動のシンボルマークです。

この旗の下、挑戦する従業員を応援するチームがTeam Flagsです。

<今回の取材に参加いただいた方々>
(前列左から)
持田 尚宏(ショート動画制作チーム)味の素デジタルビジネスパートナー株式会社
山田 涼(PR・探索チーム)味の素株式会社 バイオ・ファイン研究所
大住 磨緒(Team Flags事務局)味の素株式会社 グローバルコミュニケーション部
岡田 佐保(Team Flags事務局)味の素株式会社 グローバルコミュニケーション部(取材時)
(後列左から)
児玉 仁史(PR・探索チーム)味の素AGF株式会社 大阪支社
大野 帆風(PR・探索チーム)味の素株式会社 大阪支社
出口 桂(番組制作チーム)味の素株式会社 人事部
河東 華均(PR・探索チーム)味の素株式会社 マーケティングデザインセンター D2C事業部


ーーーまず、Team Flagsをとりまとめる事務局の岡田さんにうかがいます。Team Flagsがスタートした経緯を教えていただけますか。

岡田

味の素社で、自ら参加する手挙げ文化や挑戦しやすい企業風土を力強く醸成していこうという気運が高まり、Flagsが生まれたのは2023年(令和5年)です。

背景には、2030年を見据えた「中期ASV経営ロードマップ」の発表があります。世界の食と健康にまつわる課題解決だけでなく、その先にあるWell-beingへの貢献を目指す、これ自体がエベレスト登頂のような大きな挑戦です。到達するためには従業員自身が当事者意識を持ち、どんどんチャレンジしていく姿勢が必要だという認識がありました。

岡田

若手従業員に「社内の挑戦しやすさ」についてインタビューすると、「自分はがんばっているつもりだが、周囲からあまり興味を持ってもらえない」「他部署の人がどんな挑戦をしているのか、わからない」などの声が聞かれました。

挑戦する人たちの頑張りが社内に埋もれているのでは......と感じました。彼らの挑戦をもっと知ってほしい、彼らの心理的安全性を高めてもっと挑戦してほしい、そんな思いからTeam Flagsプロジェクトがスタートしました。メンバーを全社横断的に公募したところ、31名も集まって感激しています。

心理的安全性ってなに?

心理的安全性とは、組織やチームの中で自分の考えや気持ちを、気兼ねなく、不安なく発言できる状態のことです。

味の素グループでは心理的安全性の強化に力を入れています。たとえば、味の素社では人事部門を対象に、公平公正な評価や機会提供を促進し、組織における心理的安全性を高めることを目的にしたアンコンシャス・バイアス研修を実施しています。

ーーー同じく事務局担当の大住さん、プロジェクトの目的や目標を教えてください。

大住

ミッションは「味の素グループの挑戦する人の生態系(*1)をお届けする」ことです。

ビジョンは「味の素グループで挑戦する個人・チーム、それを応援する人たち、取り巻く組織文化の価値を広く届け、挑戦する組織文化の継承成長に貢献する」ことと設定しました。

*1:味の素グループの挑戦する人の生態系とは、味の素グループの組織風土、社内外の人やステークホルダーとの関わり、相互作用を包括した表現です。

大住

バリューとしては、「挑戦する人の共通要素や普段の生活で感じていること等を素直に感じ取り、私たちなりの方法で編集・再解釈して発信することで、多様な挑戦への一歩を応援する」ことです。

求むMovie出演者!Team Flagsの活動内容

Team Flagsには3つのチームがあります。「PR・探索チーム」「番組制作チーム」「ショート動画制作チーム」です。それぞれのチームから活動を紹介していただきましょう。まずPR・探索チームの山田さん、お願いします。

山田

PR・探索チームの仕事のひとつは、番組やショート動画の出演者=挑戦している従業員のリサーチです。まずは各メンバーの周りから声がけして挑戦している人を探しました。はじめにピックアップした候補者は全国各地から50〜60人に上ります。

山田

Team Flagsを社内に知ってもらうための広報活動として、社内SNSやデジタルサイネージで告知するなどして知名度アップに努めています。

ーーー次にショート動画制作チームにうかがいます。現在、インスタグラムにはeスポーツで新規事業開発にチャレンジする人や、化粧品原料の営業で新しい取り組みを始めた人の動画がアップされています。

Team FlagsのInstagramはこちら @ajinomoto_flags

持田

ショート動画ではチャレンジを始めた人たちに、自己紹介も含め、今挑戦していることやその目標、楽しさをシンプルに語ってもらっています。1分少々の動画ですが、社内だけでなく、社外の人にも最後まで楽しく見てもらい、共感を得るにはどう見せたらいいか。構成、デザイン、すべてゼロから考えて作りました。

持田

デザインについてはASVレポートを始め、味の素社のさまざまなデザイン業務を依頼しているnendo社に協力してもらいました。メンバーが手軽に撮影できることを重視して、iPhoneのカメラを使用しています。
撮影の経験がないメンバーでも取りかかれるよう、撮影マニュアルも制作しました。マニュアルが完成して、月10本以上制作できる体制が整いました。

nendoとは?

有限会社nendo(ネンド)は日本のデザイン会社。代表はデザイナーで建築家の佐藤オオキ。2002年(平成14年)nendo東京オフィスを設立。家の設計から家具などのインテリア、食器、おもちゃ、トレーディングカードまで、シンプルなデザインで世界で活躍する。

味の素グループにおいては、2023年(令和5年)にリニューアルされた味の素社のうま味調味料「味の素®」のグローバルブランドロゴの制作も担当しており、デザインワーク全般やASVレポートのデザイン制作などを行っている。

ーーーnendo社からはどんなアドバイスがありましたか?

持田

配色やデザインなど技術的なアドバイスはもちろんですが、第三者として客観的な意見をしていただいたのがありがたかったです。今の動画を視聴することで、挑戦する文化や手挙げ文化の醸成につながっているのか?というご指摘にはハッとさせられました。

ーーーでは次に番組制作チームにうかがいます。現在、YouTubeに、北海道味の素社の新しい営業戦略に挑戦する人たちのストーリーがアップされています。

出口

番組制作では、登場者の仕事現場に密着して撮影やインタビューを行い、そのエッセンスを10分程度の番組にギュッと詰め込み、YouTubeで配信しています。登場者のスケジュールや撮影場所の調整も含め、1本完成するのに約半年かかりました。

ーーー台本作りや撮影もチームのメンバーが行うのですか?

出口

はい。基礎的なことは味の素社の動画制作をしているnendo社のプロデューサーから教わりましたが、台本の書き方などはネットで調べながら作りました。カメラはさすがにiPhoneというわけにいかないので、ビデオカメラをレンタルして使っています。

出口

編集作業は、「動画編集が趣味」というメンバーに全部お願いしました(笑)。大変すぎない?と聞きましたが、彼自身が手を挙げてTeam Flagsに参加していますし、「プロの意見を聞きながら制作できるのがうれしい」と言ってがんばってくれています。

Team Flags自体が手挙げ集団だった!

Team Flagsのメンバーはふだん、それぞれ違う会社・部署で仕事をしています。"本業"とはまったく別のTeam Flagsに応募した理由を聞いてみました。

山田

私は入社3年目です。バイオ・ファイン研究所に所属し、普段は細胞と向き合う日々です。幸運なことに、職場は自分のやりたいことに挑戦できる、かなり恵まれた環境だと思っています。でも、そういう環境に恵まれていない従業員もいると思うのです。自分は恵まれている!で済ませるのではなく、もっと気軽に挑戦できる環境を全社に広めたいと思ったのが応募した理由です。そのほうが会社はもっと成長できるし、自分ももっと働きやすくなると思うので。

児玉

私の所属は味の素AGF社の営業企画グループです。昨年、新しい仕事の立ち上げに参加する機会があり、新しいことに自発的に加わることの楽しさを知りました。

児玉

職場に挑戦を応援する雰囲気があれば、みな楽しく働けるだろうなと思います。また、そういう働き方をしている人を社内の人に知ってもらう仕組みも必要だと感じていたところ、Team Flagsの公募があったのでチャレンジしてみようと思いました。

大野

私は大阪支社で営業職をしています。私自身も含めてですが、目先の仕事に追われがちな毎日の中で、若いメンバーほど「挑戦」を自分ごと化しにくいのではないかと感じていました。視野が広がりづらいこともありますが、"新しいこと=挑戦"のイメージが強いことも要因にあると思っています。

大野

そこで、私自身もTeam Flagsに参加して支社外の方々の挑戦を知り、伝える活動を通して"もしかしたらこれも私の「挑戦」だったのかも"と感じてもらうきっかけづくりをしたいと思い手を挙げました。Team Flagsの動画をみて、仲間の挑戦に共感してがんばろうと思えたり、日頃の取組みや向き合っていること自体が挑戦なんだと感じて下さる方が増えたら嬉しいなと思います。

河東

私は入社から8年間、研究所で食品の研究開発をしてきました。昨年7月に公募で異動し、現在はEC商品のマーケティングを担当しています。もともと挑戦好きで、会社の新規事業立ち上げ制度「A-STARTERS」に毎年、応募しています。応募した他部署の人たちと話すと、みなさん大きな夢を持ち、挑戦しつづけているわけです。この人たちのチャレンジ精神が社内の人に知られていないのはもったいないなと思っていました。

A-STARTERSってなに?

「A-STARTERS」は、味の素社の新規事業創出プロジェクト。味の素社の全従業員を対象に、新規事業立ち上げを望む社員を公募・選抜し、新規ビジネスプランの事業化を推進しています。2020年(令和2年)に第1期がスタートしました。

本プログラムで生まれた事業のひとつとして、摂食に関する困りごとに対応したAI搭載献立支援サイト「ReTabell」が開設されています。

河東

もうひとつ感じたのは、だれにも失敗があると思うのですが、それを話せる場が少ない。何かに挑戦して失敗したとしても、それを気軽に共有できれば、みなが学ぶことがあるだろうし、組織も強くなると思います。失敗も含めて挑戦を応援できる環境にしたいと思い、Team Flagsに手を挙げました。

持田

僕はもともと写真が大好きで、副業でカメラマンをしています。以前から味の素社の映像の使い方について、もっと活用できるんじゃないかな!と思っていました。自分の知識を活かせることもありそうだし、もっと会社を盛り上げていきたいという気持ちがあって応募しました。副業ではスチール写真を撮っていますが、ショート動画制作チームでは動画を制作をするので、僕にとっても新しい挑戦になりました。

出口

Team Flagsに参加した理由は、僕自身、もっと挑戦しなければいけないなという思いがあったからです。じつは入社後、やりたいことが明確でなく、自発的に仕事をしてこなかったことを後悔しているんです。

昨年、一念発起して人事部の公募に手挙げで異動しました。今はやりたい仕事が明確になり、やりたいことは自分で挑戦しないと得られないのだと実感しています。それをとくに若手に伝えたい。僕は今、番組制作をしていますが、Team Flagsの動画を見て、こんな道があるんだ、こんな挑戦ができるんだと、キャリアステップを考えるきっかけになってくれればいいなと思います。

味の素グループの挑戦する人ってどんな人?

Team Flagsのメンバーが、実際に「挑戦する人たち」に接しての感想を聞いてみました。

ーーーみなさんの活動を通しての印象はいかがですか?

河東

PR・探索ではたくさんの従業員に出会いますが、いろいろな表情を持っている人が多いと感じます。仕事の顔だけでなく、趣味やプライベートのことをうかがって、この人、こんなことをやっているんだ!と驚く人がたくさんいました。

大野

取材させていただいた方に共通していると思ったことが2つあります。ひとつは、常にどうしたらおもしろくなるかを考えていること。もっとよくできるんじゃないかという改善志向、どんな状況からでも変えられるというポジティブ思考がとても強い。もうひとつは、みなさん、仕事に愛があります。

出口

けっこうシャイな人が多いと思います。番組制作でインタビューさせてもらうと、一人ひとり、ものすごく考えているし、素晴らしいアイデアを持っていらっしゃる。ところが、それを何らかの形で発表するとなると、なぜか2割くらいにトーンダウンしてしまう人が多い。シャイなんです。僕たちのTeam Flagsの活動そのものが、そうしたシャイな雰囲気を吹き飛ばすきっかけになればいいなと思っています。

山田

当社は大きな組織ですから、社外的には保守的な印象が強いというのは事実だと思います。Team Flagsの活動を通して、挑戦する従業員のよりリアルな姿を発信し、まさに手挙げ文化の醸成中であることを知ってもらいたいと思います。

Team Flagsの活動はASVにつながっていく

味の素社は「アミノサイエンス®で、人・社会・地球のWell-beingに貢献する」という志(パーパス)を掲げています。その実現のために、ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value=事業を通じた社会的価値と経済価値の共創)を重視しています。

ーーーTeam Flagsの活動は企業価値の向上にもつながっていますか?まずは事務局の岡田さん、いかがでしょうか。

岡田

そう思います。最近は、経営層が社外のプレゼンでTeam Flagsの活動を紹介することもあります。やはり投資家を含め社外の方は企業文化をとても大事に考えていらっしゃいます。Team Flagsの活動は着実に、挑戦する人を応援する風土、従業員の心理的安全性の向上、手挙げ文化の醸成に貢献できると考えています。

ーーーメンバーのみなさんにうかがいます。今後の展望や目標について教えてください。

出口

番組制作チームの当面の目標は番組を完成させることですが、個人的にはTeam Flagsを来年度も続けていきたいと思っています。

持田

動画制作を通して、本社・グループ会社関係なく、どこでも対等に挑戦できるというワクワクした雰囲気を作っていきたいですね。

岡田

事務局としては、グループ全体で従業員3万人のうち1割くらいの方に登場してもらうという野望も持っています。

ーーー1割!3,000人ですか!すごい。

持田

すぐには難しいと思いますが、それができる環境づくりも僕らの仕事ですね。

河東

私たちPR・探索チームには2つの目標があります。社内的にTeam Flagsの知名度100%を目指したいです。だれでも気軽に「Flagsの動画に出たいです」と手挙げしてもらえるようにしたい。もうひとつは、外のメディアにTeam Flagsを取り上げてもらって、社外から社内に話題が伝わる、そんな流れができるといいなと思います。

ーーー事務局の大住さん、いかがですか?

大住

メディア戦略は私の仕事です。事務局も、「挑戦する人を応援する人」をサポートできるようがんばります。

ーーーTeam Flagsのみなさんご自身が挑戦する文化、手挙げ文化を体現されていることがよくわかりました。さて、今月はどんな動画がアップされるのでしょうか。挑戦者たちのストーリーを楽しみにしています。

<用語解説>

手挙げ
企業における手挙げとは、従業員が自主的に仕事における新しい挑戦、プロジェクトへの参画、異動や昇進などを従業員が自ら進んで取り組むこと。また、手挙げする職場環境を手挙げ文化・風土と呼ぶことも。

2025年3月の情報をもとに掲載しています。

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