活動レポート

三重県の伝統産業と「アジパンダ®」がコラボ!
~三重県・四日市市の味の素社「ほんだし®」工場見学の魅力に迫る!<後編>

味の素社の東海工場は、現在、石油化学や半導体などの産業が集まる三重県四日市市に1962年(昭和37年)に設立され、1975年(昭和50年)から「ほんだし®」の生産をスタートしました。

東海工場で行われている「ほんだし®」の工場見学は、2021年(令和3年)にリニューアルを果たし、年々見学者が増加。2023年度(令和5年度)の入場者数は、約8,400人を記録しました。さらに三重県庁や四日市市役所との連携も積極的に行っており、三重県の伝統産業とコラボレーションしたイベントを実施するなど、地域産業の情報発信に力を入れています。

今回の記事では、東海工場の地域に根差した取り組みを前後編に分けてご紹介しています。


後編では、三重県指定伝統工芸品「伊勢木綿」を手がける臼井織布株式会社の臼井 成生さんに味の素グループとの取り組みについて伺います。

三重県の伝統産業と「アジパンダ®」がコラボレーション

東海工場の工場見学コースのコンセプトは「五感を使って体験できる工場見学」ですが、もう1つ大切なコンセプトがあります。

それは「地域との共生」です。

リニューアル当初から三重県庁や四日市市役所と連携し、地域ブランドの情報発信につながる取り組みを推進してきました。

見学者ホール内にある「アジパンダ®」ショップでは、三重県の伝統産業と味の素社のコーポレートキャラクターである「アジパンダ®」がコラボレーションしたグッズがズラリと並び、店内にも伝統産業を活用した装飾が施されています。グッズは「松阪木綿」のマスクや「尾鷲ヒノキ」のカッティングボード、「おぼろタオル」のガーゼハンカチ、「伊勢木綿」のランチョンマットなど、目移りするほどの品揃えです。

三重県の伝統産業とコラボしたグッズがずらりと並ぶ。

いずれも「アジパンダ®」があしらわれた可愛らしいデザイン。工場見学の案内クルーを務める林まきさんによると、工場の見学者は「ここでしか買えない商品もあることから、お買い物時間も心から楽しんでおられるように感じます」とのこと。地元産業の魅力に気づくきっかけになっているのかもしれません。

こうした伝統産業とのコラボグッズは、川崎工場や九州工場では見られない東海工場独自の試みです。三重県庁や四日市市役所に協力を仰ぎ、このようなコラボレーションが実現しました。

生産者との輪はグッズ展開だけにとどまらず、イベントにまで発展。2023年(令和5年)9月には、伝統産業のワークショップと東海工場見学を体験できる「三重の伝統産業を体験しよう in 味の素東海事業所」が、三重県との共催で開催されました。

ワークショップの様子。

コラボレーションに込められた生産者の想い

先述のとおり、東海工場は工場見学の取り組みを通じて、伝統産業の魅力発信に力を入れています。津市にある臼井織布株式会社も、江戸時代中期から続く伊勢木綿の老舗メーカーとして、味の素社とのコラボに参加してもらっています。「アジパンダ®」ショップの暖簾や、ランチョンマット、手ぬぐいなどのグッズを提供するほか、先述のワークショップにも協力いただきました。

臼井織布株式会社の代表を務める臼井成生さん。

臼井織布が手がけた、「アジパンダ®」とコラボレーションしたグッズ(ランチョンマット)とショップの暖簾。

代表の臼井成生さんが手がける伊勢木綿は、伝統の模様を活かした鮮やかな配色が自慢。伊勢木綿の主な供給先は着物を取り扱う東京・大阪・京都の卸店です。臼井さんは伊勢木綿の魅力をより多くの方に知ってもらいたいと思う一方、伊勢木綿のPRやブランディングを自社単独で行うことに難しさを感じていました。そんなタイミングで、味の素社とのコラボが実現。誰もが知る大手企業の広報活動を知り、伊勢木綿の情報発信に活かす新しい機会となりました。

旧伊勢別街道沿いにある臼井織布の製造所兼販売店。今でも明治時代の豊田式自動織機を使って、綿布を織っている。

臼井:もともと味の素冷凍食品社の冷凍ギョーザが好きだったので、味の素グループにはいい印象をもっていました。それがまさかグッズづくりに関わるなんて。この話が舞いこんだときは驚きましたが、「アジパンダ®」の可愛らしさに惹かれて、コラボを決めました。「アジパンダ®」はファンが多いそうなので、刺繍にもこだわってオリジナル商品をつくりました。

「アジパンダ®」をあしらったペットボトル飲料のケースやお弁当袋など、臼井さんのアイデアは尽きることがありません。「リクエストがあれば、どんなものでも」と意気ごみます。

臼井:「工場見学でコラボグッズを見かけたよ」、という声を度々耳にするので、知名度も徐々に上がっているのではないでしょうか。これまで服飾メーカーや雑貨メーカーと協業することはありましたが、食品メーカーとのコラボは異例です。大手企業の広報活動に触れることができ、さまざまな発見があり、視野も広がりました。

庶民的な気取らなさが伊勢木綿の魅力ではありますが、臼井さんは今後、県の特産品としての価値をより一層高めていく考えです。

臼井:需要の減少や後継者不足など、時代の流れとともに伝統産業が抱える課題が浮き彫りになってきました。もちろん、伊勢木綿も例外ではありません。伝統を絶やさないためにも、まずは存在を多くの人に知ってもらうことが大切。味の素社との企画もいいきっかけになりました。

「ほんだし®」のファンづくりに端を発して、リニューアルした東海工場の工場見学。多くの見学者を受け入れていくなかで、伝統産業の魅力発信も着々と進んでいます。

自社の製品に誇りをもち、地域に根ざす――、東海工場の工場見学の取り組みにはそんな思いがこめられています。味の素グループでは、今後も地域との連携を強め、さまざまな課題解決に向き合っていきます。

「アジパンダ®」ショップでコラボレーションしている三重県の伝統産業の魅力をご紹介します

店頭の案内ボード。尾鷲ヒノキの間伐材を使用しています。

<伊勢木綿>

「伊勢木綿」とは、三重県津市に伝わる綿織物。津藩でつくられた木綿を伊勢商人が江戸に運びこんだのがはじまりだとされる。伊勢木綿は肌ざわりがよく、丈夫だったので庶民の日常着として親しまれた。明治時代には四日市市内に100軒ほどの生産工場が集結。しかし、現在は臼井織布株式会社が唯一の担い手となっており、伊勢木綿の歴史を守り続けている。

<松阪木綿>

「松阪木綿」とは、松阪地域に伝わる綿織物のこと。江戸時代初期から農家の副業として生産がさかんになった。松阪木綿は安価で丈夫で、「松坂嶋」と呼ばれる縞模様が特徴。伊勢商人によって江戸に持ちこまれ、人気を博したとされる。

<尾鷲ヒノキ>

「尾鷲(おわせ)ヒノキ」とは、尾鷲市の山林で生産されている檜。年輪が緻密で耐久性にすぐれており、油分を多く含むため美しい光沢がある。「尾鷲ヒノキ」は「尾鷲わっぱ」をはじめ、まな板やしゃもじ、積み木などに加工される。

<おぼろタオル>

「おぼろタオル」とは、1908年(明治41年)創業のタオルメーカー。国内では珍しい、自社工場敷地内にて一貫生産体制を敷いている。主力商品の「おぼろタオル」は、ふわふわの肌触りとすぐれた吸水性が特徴。かつて三重県津市は「今治タオル」(愛媛県)、「泉州タオル」(大阪府)と並ぶ〝日本三大タオル〟の産地だったが、現在はおぼろタオル株式会社1社が生産を担っている。

<萬古焼>

「萬古焼(ばんこやき)」とは、三重県四日市市の伝統的な焼き物。江戸時代中期、桑名(現在の桑名市)の豪商・沼波弄山(ぬなみ・ろうざん)が窯を開いたとされる。萬古焼はバラエティーに富んでおり、「萬古焼の特徴は『萬古』の印があること」といわれるほど。食器から工業製品まで、用途は多彩。

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https://www.ajinomoto.co.jp/kfb/kengaku/tokai/

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2024年9月の情報をもとに掲載しています。

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