活動レポート

日本人の野菜不足を解消したい!
味の素社の「ラブベジ®」プロジェクトとは?

健康的な生活を維持するために、1日にどのくらいの野菜を摂取するといいかご存知ですか?

厚生労働省(健康日本21)によると、1日の野菜摂取目標量は350g※1です。しかし、2019年(令和元年)の調査では、全国平均で281gしか摂れていません。
都道府県別に見ても、北海道から沖縄県まで、平均350gに達している都道府県はゼロ。

そんな野菜摂取量不足を解消しようと、2015年(平成27年)から味の素社が始めたプロジェクトが「ラブベジ®」です。

今回は、食品事業本部営業戦略部の髙井悠紀子さんに、「ラブベジ®」誕生の背景や、味の素社が取り組む理由について伺いました。

※1:野菜の摂取目標量は350g:「21世紀における国民健康づくり運動〈健康日本21(第2次)〉」で推奨されている野菜の摂取目標量

野菜摂取量最下位の愛知県エリアから始まった「ラブベジ®」

味の素社名古屋支社のメンバー

「ラブベジ®」は、2015年(平成27年)に愛知県の野菜摂取量が少ないことにショックを受けた若き営業メンバーの地元愛着への思いから始まりました。

名古屋支社のある愛知県は、トマトやキャベツなど、野菜の生産量が多い県です。ところが、県民の野菜摂取量の平均値※2は全国で最下位でした。この現実にショックを受けた名古屋支社の営業メンバーが、営業先のスーパーなどの店頭施策の提案で「もっと野菜を食べてもらおう!」をテーマに動き出しました。「ラブベジ®」はもちろんLove(愛)+ Vegetable(野菜)の略です。

※2:愛知県民の野菜摂取量の平均値:「平成28年国民健康・栄養調査報告」

名古屋支社の営業メンバーは、メニュー開発担当者と連携して旬の野菜を取り入れたレシピを作成したり、椙山女学園大学(名古屋市)管理栄養学科の協力を得て「メニューブック」を作り、店頭で配布したりしました。さらには、子どもが喜ぶメニューの開発に地域の保護者たちのコミュニティの協力で取り組んだり、ローカル番組や雑誌とのコラボイベントなどを通して、徐々に「ラブベジ®」の賛同者を増やしていきました。名古屋で始まった取り組みは、やがて長崎(九州支社)、大阪(大阪支社)にも広がっていきました。いずれも、野菜摂取量が全国平均より低いエリアです。

野菜350g分の写真

厚生労働省(健康日本21)による1日の野菜摂取目標量(350g)は、実際の野菜でこれくらいの量になります

そして2020年(令和2年)5月、味の素社は3月1日を「ラブベジ®」の日に制定。「野菜をもっととろうよ!」をスローガンに、全支社で各地での野菜摂取量向上活動に取り組むことになりました。

髙井:「ラブベジ®」は各地の営業メンバー発の企画で、みんながそれぞれアイデアを出しながら取り組んでいるという点で、当社の中でもユニークなプロジェクトなんですよ。

「ラブベジ®」が全国に展開できた理由とは?

味の素社内でもユニークな「ラブベジ®」プロジェクトは、2021年(令和3年)11月、厚生労働省・スポーツ庁主催のスマート・ライフ・プロジェクト※3「健康寿命※4をのばそう!アワード」※5《生活習慣病予防分野》において厚生労働大臣最優秀賞を受賞しました。

※3:スマート・ライフ・プロジェクト
厚厚生労働省が行っている、国民の健康づくりをサポートするプロジェクト。

※4:健康寿命
2000年にWHO(世界保健機関)が提唱した「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」。日本人の平均寿命と健康寿命の差は、男性は8.73年、女性は12.06年(2019年)。

※5:「健康寿命をのばそう!アワード」
厚生労働省が、健康増進・生活習慣病予防推進についてすぐれた取り組みを行う企業・団体・自治体を表彰するイベント。

名古屋支社の営業メンバーに端を発した取り組みが、ここまで認知され、評価されるに至った理由は何でしょうか。

髙井:一人あたりの野菜摂取量(一日)が、350gに達している都道府県はどこだと思われますか?じつは、直近の調査では、どこも達していないのです。つまり、野菜摂取量不足は日本全国の課題であり、行政、自治体の課題でもあったわけです。
自治体も抱える地域課題を、当社だけでなく、地域に根づいた協業者とエコシステムを構築しながら進めていけたことが、「ラブベジ®」が全国に発展できた理由だと思います。

地域課題に取り組むこと。それを自治体だけでなく、企業だけでなく、スーパーをはじめとした量販店、生産者、さらには地域のさまざまなコミュニティ、大学、メディアなども巻き込んで取り組む。これが、ビジネスにおいて異なる強みを持つさまざまな立場の人たちが共存共栄する「エコシステム」という仕組みの構築となります。

髙井:地域ごとに特徴的な農畜産物や食文化があります。具体的には、地域の農畜産物や生活者になじみ深い郷土料理に着目したメニュー等を考案し、店頭でメニューブックを配布したり、イベントを開催したりして、生活者のみなさんが実践したくなるような情報発信に努めてきました。たとえば、山形県なら芋煮をアレンジした野菜がたっぷりのレシピを開発して活動に使用するといった具合です。

ラブベジのエコシステムの図

全国の野菜売り場がどんどん魅力的に!

全国各地で展開している「ラブベジ®」の取り組みをご紹介します。

  • ●北海道での取り組み
    北海道は野菜の生産量が多い地域ですが、野菜摂取量の現状は、277.7g(*)。2022年(令和4年)3月、野菜を通じて北海道民の健康増進と北海道産野菜の地産地消に貢献するために、アイビック食品株式会社、株式会社トリプルワンと「ラブベジ®」北海道YASAI応援団。を設立し、北海道民の健康増進と北海道の地産地消に貢献するために始動。

北海道YASAI応援団のメンバー

「ラブベジ®」北海道YASAI応援団。サイト

  • ●千葉県での取り組み
    2021年(令和3年)3月、千葉県の推進する食育と健康推進活動に賛同し、3月1日の「ラブベジ®」の日に合わせて、千葉県とともに千葉県が生産量全国第3位のキャベツをテーマに「キャベツでこんなに!!野菜がとれちゃうBOOK」制作し、活動に賛同いただいた県内量販店約100店舗で配布。県民に啓発活動を実施しました。

キャベツでこんなに野菜がとれちゃうブック

●神戸市での取り組み
味の素社と神戸市は、2020年(令和2年)3月に神戸市民の健康課題解決のための連携協定を締結。2022年(令和3年)2~3月は、第4弾として神戸市主催の「KOBE野菜を食べようキャンペーン」の一環として市内スーパー店舗で「ラブベジ®」野菜がたっぷり摂れる1週間献立プロモーションを実施しました。

野菜をもっととろうよ!レシピブック

野菜がたっぷり摂れる献立表

●三重県での取り組み
味の素社と三重県は、2017年(平成29年)に食と健康の連携協定を締結。県産食材の普及や消費をさまざまな形で訴求する中、2021年(令和3年)3月の「ラブベジ®」の日にあわせて県内の音楽家が作詩作曲した『みんなで「ラブベジ®」』という楽曲に、県立三重高等学校のダンス部が振り付けをしたパフォーマンス動画を制作、県民への野菜摂取量向上の啓発活動に使用するなどし、話題。

「ラブベジ®」の取り組みは8年目を迎えています。「ラブベジ®」を通して野菜摂取の大切さを知ってもらうだけでなく、それをいかに実践につなげていけるか、 つまりいかに野菜をおいしくたくさん食べてもらえるかが重要です。

2022年(令和4年)3月1日の「ラブベジ®」の日には、大規模なキャンペーンを実施しました。(※同年3月31日終了)

2022年(令和4年)3月1日「ラブベジ®」の日キャンペーン

●もりもり食べよう!春野菜 みんなで「ラブベジ®」キャンペーン!

※2022年(令和4年)2月21日〜3月31日実施


旬の野菜(キャベツ、ピーマン、アスパラガス)を使ったチャレンジメニューを紹介。生活者にチャレンジメニューを作ってもらい、調理中の写真や完成写真のSNS投稿や、食べたいメニュー・作ってみたいメニュー人気投票をしてもらい抽選でキッチン用品などをプレゼント。

●オリジナルコンテンツ「たのしい!おいしい!やさいのひみつ」の開設

https://park.ajinomoto.co.jp/special/lovevege/matome/saikun/

子ども向けの新コンテンツを開設。「やさいがそだつまで」を解説する動画やぬりえ、「やさいがおいしいりょうり」レシピなど、野菜に興味がわくコンテンツがつまっている。「じつは自分も野菜のことをよく知らない」という親世代もいっしょに学びながら料理ができる専用サイト。公式キャラクター「サイくん」が案内役。

やさいのひみつの専用サイト画面

●「やぁ!サイくんのふしぎなキッチン」(野菜となかよしになれるメニューBOOK)の配布

https://s3-04.park.ajinomoto.co.jp/corner/health/lovevege/saikun/img/saikun_ehon.pdf

公式キャラクター「サイくん」の絵本仕立てのメニューブック。店頭配布のほか、サイトからダウンロードできる。

野菜のレシピ

「ラブベジ®」の日のキャンペーン期間中に、サイくんのメニューリーフを作成。全国のスーパーに設置。

野菜を売らない味の素社が「ラブベジ®」に取り組む理由

ところで、素朴な疑問がひとつ。なぜ、野菜を売っていない味の素社が、野菜をもっと食べようと発信しているのでしょうか?味の素社にとって「ラブベジ®」はどんな意味をもつのでしょうか?

味の素社は「食と健康の課題解決」を志とする企業です。2030年までに実現をめざす目標には、「10億人の健康寿命の延伸」と「環境負荷を50%削減」があります。

「10億人の健康寿命の延伸」の実現には「栄養バランスの良い食事」が必要です。
「妥協なき栄養」という栄養へのアプローチを通して、人びとがより健康的な生活を送れるよう支援していきます。

髙井さんは味の素社が「ラブベジ®」を推進する意義を次のように語ります。

髙井:味の素グループの栄養の課題解決テーマのひとつに、"野菜の摂取量を増やすこと"を掲げています。「ラブベジ®」はまさにこのテーマへの取り組みで、「妥協なき栄養」として掲げている栄養へのアプローチを活動に反映し、野菜をおいしく食べるためのご提案はもちろん、地域の食文化や伝統を大切にしながら、地域の協業者たちと地域に寄り添った野菜摂取量向上を推進することに貢献できると思っています。それが2030年(令和12年)までの目標「10億人の健康寿命の延伸」につながるように日々考え、各地のメンバーと一丸となって活動しています。

また、味の素社ならではの強みについては、次のように話します。

髙井:味の素社はさまざまな調味料を販売している会社です。その調味料によって、和洋中、どんなメニューでも素材に合わせて変幻自在においしく、野菜の魅力を引き出す料理のお手伝いができます。当社はエコシステムにおいて、みなさんをつなぎそれぞれの特長を引き出す 「だし」のような役割を担っていると自負しています。
「ラブベジ®」は営業の現場から生まれた活動です。各地域の生活者の目線、課題に寄り添った提案ができることも「ラブベジ®」の強みだと考えています。今後も地域のみなさんとエコシステムを築きながら、地域に寄り添った取り組みを展開し、地域の食と健康の課題解決につなげていきたいと思います。

「ラブベジ®」の取り組みが、野菜摂取量アップにつながるよう期待したいと思います。公式キャラクターのサイくんの今後の活躍も楽しみですね。

ところで、あなたの毎日の野菜摂取量、何グラムくらいですか?

髙井悠紀子

営業戦略部 戦略推進グループ
「ラブベジ®」をはじめ食と健康の課題解決に向けた横断施策を担当。各エリアの企画や広報PR活動を支援。8月と3月の全国野菜摂取応援施策(「ラブベジ®」の盛り上げ施策)を推進中。小学生二児の母。よく子どもたちに野菜クイズを出して楽しんでいる。趣味はスキューバダイビングとヨガ。

2022年6月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

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