今回の記事では、スポGOMIという競技の魅力、そして松田丈志さんが考える社会のため、次の世代の地球のための取り組みについてレポートします。
ゴミ拾いで競い合う!?スポGOMIとは?
ゴミ拾いを「環境奉仕活動」から「スポーツ・競技」へと進化させている日本スポGOMI連盟。2022年12月までに約1,500大会を開催し、日本発の新スポーツとして世界7ヵ国にも普及しています。
勝ち飯®アンバサダー、松田丈志さんがイベント参加
元競泳選手で味の素社の勝ち飯®アンバサダーでもある松田丈志さんは、2019年からトライアスロンに挑戦するなど、引退後も自身の身体と向き合い、食事を大切にしています。
2023年(令和5年)3月5日に行われたイベントには、約100名の方が参加しました。
松田さんは、キャスターとしてのスポGOMI甲子園への取材がきっかけで、アンバサダーに就任しました。その手軽で楽しく、世の中のためにも教育にもなる取り組みに共感して、これまでにも多くの大会に参加して盛り上げてきました。
「水泳の大会は、泳げる人しか出られないけど、スポGOMIは老若男女誰でも楽しめて、街がきれいにもなる(松田)」という魅力を全国に広げていきます。
スポGOMIからフードロスの取り組みも考える
開会式に合わせて、松田さんからSDGsに関するお話もありました。家族連れや、高校生・大学生などの参加も多かったこのイベントで、改めて学びの機会を作ります。
松田さんは現在サーフィン連盟の理事を務める背景もあり「海洋プラスチックごみ」への懸念を強く持っています。「ペットボトルが自然分解されるには約400年かかる」「このままでは2050年までに海中のプラスチックゴミの量が魚の量を超えるかもしれない」というお話に、参加者も大きな驚きの声を上げていました。
さらに今回は、味の素社とのイベントということで「フードロス」についても詳しく学びました。
フードロスの大きな原因のうち、「作りすぎ」や「食べられる箇所を捨ててしまう」ことが上位にあげられています。そこで、味の素社のフードロス対策の取り組み「TOO GOOD TO WASTE~捨てたもんじゃない!」から、「作りすぎた料理の変身レシピ」や「皮や茎などをおいしく食べるレシピ」が紹介されました。
「捨てたもんじゃない!~TOO GOOD TO WASTE」|【味の素パーク】たべる楽しさを、もっと (ajinomoto.co.jp)
松田さんのご家庭では、奥様と子どもたちのお菓子作りや、鍋料理に、あまりものを使用しているそうです。とくに、鍋や汁物は、トレーニングや試合の疲労で食欲がわかず、食事が取りづらくなってしまうこともあるアスリートにとっては、出汁に含まれるグルタミン酸が食欲のスイッチを入れてくれるため、非常に大事なメニューになります。
また、味の素スタジアムでは売店の飲食で出たゴミをたい肥に変えるコンポストも稼働中。 出来たたい肥はイベント来場者に配布されるそうで、地域共生や循環型社会への取り組みがなされていました。
学びを終えたあとは、実際に味の素スタジアム周辺のゴミ拾いを実施しました。限られた時間でこんなにゴミがあるのか、というくらい皆さん積極的にごみを拾っていました。
拾ったゴミは、量や種類によってポイント化され、より多くのポイントを獲得したチームが優勝です。今回は「普段から夫婦で散歩しながらゴミ拾いをしている」というご夫婦のチームが優勝!ゴミ拾いというスポーツも、上手くなるには「経験値」が大事なのかもしれません。
スポーツを通じて「ゴミ拾い」と「フードロス」を学べる機会~松田さんにインタビュー!
ーースポGOMIの魅力を改めて教えてください。
松田:私自身、日本選手権やオリンピックを目指す競技スポーツに長年取り組んできましたが、スポーツを好きな人、できる人との接点はありながら、それ以外の人との接点は少なく、出会える人もどんどんセグメント化されていた印象がありました。
しかし、このスポGOMIは『どこでも、誰とでも』一緒にできるので、多様な方と交流ができます。さらに、ゴミを拾うことで街がきれいになり、競技としてゲーム性もあって楽しくできるというところも大きな魅力ですね。
ーー今回のイベントにも多様な方が集まっていましたね。
松田:以前参加したイベントでは、地元の方、観光で来られている方も一緒に、同じフィールドでゲームをしていました。今回も子どもたちが多く参加していて、私もとても楽しめました!
ーー今回は、"ゴミ拾い"と"フードロス"という2つの観点を組み合わせたイベントとなりました。
松田:「SDGs」という提言に関して知っている人はとても増えたと思いますが、それを自分の行動や暮らしに結びつけて考えるということは、なかなか難しいことですし、課題だと思っています。ごみ拾いとフードロスという、一見すると関係のない2つですが、SDGsという枠組みの中で一緒に考えることができたのではないでしょうか。
次世代に対し、いい状態で地球を引き継いでいくことを考えると、いま生きている人たちは等しくその責任があると思うので、それを子どもたちから大人まで一緒に考えてアクションできるというのは非常に良かったと思います。
ーー親の立場としてもこうしたイベントの価値は感じますか?
松田:今日のイベントを見ると子どもたちのほうが意識高いなとも思いましたが(笑)。親として、大人として子どもたちにその大切さを伝えていきたいし、一緒にアクションを起こすということが大事だと思っています。
ーーフードロスという観点で、ご自身で取り組まれていることはありますか?
松田:食べ物を無駄にしないために、基本的なことですが、賞味期限の管理や、不要なものは買わないようにすること、ご飯やお肉など、余ったものはすぐ小分けにして冷凍して使いやすく保存したりしています。
あとはやはり鍋ですよね。我が家は1年中、夏でも鍋をします。食材を何でも入れることができるという大きなメリットを生かして、食材が余ったら鍋にするということを普段からよくしています。ぜひ皆さんも試してみてください!
ーーありがとうございました!
<用語解説>
一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ(旧:一般社団法人日本スポーツGOMI拾い連盟)
一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブは、ゴミ拾いをスポーツと捉え、競い合い汗を流しながらゴミを拾うことで、健康な体づくりと子どもから大人までゴミを捨てないリサイクル習慣を意識させ、きれいで暮らしやすい街づくりに貢献し、スポーツと環境の融合を実現させ、スポーツの新たな魅力を提案することで、日本スポーツ界の発展に付与することを目的としていす。
(引用)https://www.spogomi.or.jp/
スポGOMI甲子園
スポGOMI甲子園とは、全国の高校生が各エリアでごみ拾いを競い合い、「高校生ごみ拾い日本一!」を決める大会です。3名でチームを組み、競技時間の60分間で予め決められた競技エリア内のごみを拾い、その質と量を競い合う地球に最もやさしいスポーツです。「スポGOMI甲子園」は2019年にスタートし今年で4大会目、開催エリアも昨年の30エリアから35エリアに拡大しました。
(引用)https://www.spogomi.or.jp/zenkoku/
海洋プラスチックごみ
海洋プラスチックごみとは、処理されずに使い捨てられたプラスチックが最終的に海へ流れ着いたものです。ペットボトルやビニール袋、発泡スチロールや漁網など、大きなものから目に見えないマイクロプラスチックまで多岐にわたります。既に世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計で1億5,000万トン(※1)。そこへ少なくとも年間800万トン(重さにして、ジェット機5万機相当)が、新たに流入していると推定されています(※2)。
(※1) McKinsey & Company and Ocean Conservancy (2015)
(※2) WORLD ECONOMIC FORUM(2016)
(参照)WWFジャパン https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html
フードロス
フードロスとは、「食品ロス」とも言われ、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。
日本におけるフードロスは約522万トン。これは、これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2020年で年間約420万トン)の1.2倍に相当します。
(参考)消費者庁ホームページ https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/
松田丈志
元競泳日本代表
宮崎県延岡市出身。2004年アテネ五輪から日本代表として4大会連続出場し4個のメダルを獲得。
2017年から味の素社の勝ち飯®アンバサダーとして、食事や栄養の大切さを発信している。
2023年6月の情報をもとに掲載しています。
「スポーツで、街をキレイにする!」
スポGOMIは、企業や団体が取り組む従来型のごみ拾いに、「スポーツ」のエッセンスを加え、今までの社会奉仕活動を「競技」へと変換させた日本発祥の全く新しいスポーツです。
スポGOMIは、予め定められたエリアで、制限時間内に、チームワークでごみを拾い、ごみの量と質でポイントを競い合うスポーツです。
スポGOMIとは|一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブ Official Site