味の素社が若者文化発信の拠点・カワサキ文化会館の運営をサポート
2021年(令和3年)12月、味の素社はSDGsプロジェクト「&ONE(アンドワン)」のオフィシャルパートナーに就任し、22年(令和4年)も契約更新をしました。このプロジェクトを運営するのは、川崎市に拠点を置くプロバスケットボールクラブでBリーグ所属のトップクラブの一つである「川崎ブレイブサンダース」。なぜ、味の素社と川崎のバスケットボールチームがタッグを組むことになったのでしょうか?
じつは、味の素社にとって、川崎市は縁の深い土地。今からおよそ110年前、うま味調味料「味の素®」を製造するために、この地に事業所を構えました。「&ONE」プロジェクトにジョインしてからは、川崎ブレイブサンダースや川崎市と連携を強め、地域の健康課題解決に一層取り組んでいます。
味の素社は、川崎ブレイブサンダースが運営する若者文化発信拠点「カワサキ文化会館」の運営もサポート。館内一角にあるカフェ「ENERGY SPOT supported by AJINOMOTO CO., INC. (エナジースポット サポーテッド バイ アジノモト)」に、トップアスリート向けに開発した「エネルギー豚汁」や、「パワーボール®」を基にしただし入りおにぎり「だし結び」などのアレンジレシピを提供しています。
がんばる人のチカラになるごはん「勝ち飯®」勉強会を実施
では、「カワサキ文化会館」で行われた「勝ち飯®」勉強会とはどんなイベントなのでしょうか?
まず「勝ち飯®」とは、なりたいカラダ・コンディションを実現するための栄養プログラムのこと。<「何を食べるか」ではなく、「何のために食べるか」を考える>が考え方の基本にあり、フィギュアスケートの羽生結弦選手などのトップアスリートも実践しています。
今回の「勝ち飯®」勉強会は、この「勝ち飯®」の理解を深め、生活に取り入れていただき、若者のスポーツを栄養面でサポートするための場なのです。
ブレイクダンスのレジェンドチーム「The Floorriorz」のメンバーもゲスト参加
今回の勉強会は「カワサキ文化会館」内の1階スペースを会場に利用。参加者は施設のダンススクールに通う小学生とその保護者です。
勉強会の講師は、味の素社ビクトリープロジェクトメンバーの上野祐輝さんです。ゲストには、「The Floorriorz(ザ・フローリアーズ)」のNICOLASさんも登場しました。
NICOLASさんは国内外で活躍するブレイクダンサーで、ダンスに打ちこむ子どもたちにとっては憧れの存在です。勉強会では、NICOLASさんと参加者が談笑する場面も見られ、和気あいあいとした雰囲気で行われました。
ダンスカルチャーをけん引するThe Floorriorz
「The Floorriorz」は、2010年(平成22年)に結成された日本のブレイクダンスチーム。結成3年目にして、ブレイクダンスのワールドカップ「Battle Of The Year 2012」の日本予選で、日本一の称号を獲得。さらに、2015年(平成27年)に「Battle Of The Year World Final」にて優勝に輝き、その後三連覇を果たしたレジェンドチームです。川崎市内に開講したブレイクダンスのアカデミーで次世代育成に取り組むほか「川崎産業親善大使」も務めています。
つくる・動かす・整える 食事の役割を知ることが「勝ち」への第一歩
今回の「勝ち飯®」勉強会の冒頭で、講師の上野さんは「スポーツをするうえでの食事の大切さ」について触れました。
上野:いくら練習に励んでも、食事をしっかり摂らなくてはいいカラダはつくられません。練習・食事・休息のバランスが勝ちにいくための鉄則。とくに小中学生の皆さんは今が成長期なので、大人以上に食事に気を配らなくてはなりません。
そこから、勉強会は「基礎編」に移行。食事の仕方や選ぶ食材など、カラダづくりのレクチャーがはじまります。
上野:一日の食事量の目安は、自分の体重を基準にして考えましょう。体重は、エネルギー摂取量と消費量のバランスで増減するものです。体重をキープできている人は、この摂取量と消費量が調和しているということ。逆に体重が増えている人は摂取量が消費量を上回っている状態です。体重を落としたいのか、それともカラダを大きくしたいのか。それぞれの目標に合わせて、食べる量を調整するといいでしょう。
とはいえ、やみくもに食事をすればいいわけではありません。それぞれの食材がもつ「つくる」「動かす」「整える」の役割を意識することが「勝ち」への第一歩になります。
上野:「つくる」食材の代表格は肉や魚、卵です。これらに含まれたたんぱく質が筋肉や骨の素になります。ごはんやパン、うどんなどに含まれた糖質は、カラダを「動かす」ためのエネルギー源。さらに、ビタミン豊富な野菜を食べて身体を「整える」ことで、たんぱく質や糖質などがもつ「つくる」「動かす」効果を高めることができます。
続けて、「つくる」「動かす」「整える」食材を一度に摂れる献立「5つの輪作戦」を伝授。主食・主菜・副菜・汁物・牛乳/乳製品の5つを取り揃えることが、アスリートの食事の基本形になると説きました。
また「今日からできるテクニック」として「汁物作戦」も紹介。上野さんによると、食事をするときは最初に汁物から口をつけることが肝心なのだそうです。
上野:たとえば、味噌汁にはだしが効いていますよね。じつは、だしに溶けたうま味成分は、食欲にスイッチを入れるような効果があるんです。また、うま味成分が胃に入ると、栄養素の消化吸収を助けるという研究結果もあります。
ここで、だしの効果を検証するための試飲を実施。参加者に「飲むおだし」が配られました。口の中にじわりと広がるうま味に、お子さんたちも思わず笑みがこぼれます。
三度の食事に「補食」をプラスして、練習中のエネルギー切れを防ぐ
勉強会は「応用編」に突入。ここでは「補食」について掘り下げます。「補食」とは、運動に必要な栄養素をタイミングよく摂ること。
上野:自動車はガソリンが切れると走れなくなりますが、私たち人間は空腹状態でも運動ができますよね?どうしてそんなことが可能なのかというと、大切な筋肉を分解してエネルギーに換えているからなんです。エネルギー切れを起こさないためにも、練習前や練習中の合間に軽い食事を摂るようにしましょう。
補食に向いているのは、おにぎりやバナナなどの糖質を含む食べ物です。ただし、脂質が多い食べ物は消化に悪いのでNG。アスリートのなかには、ミニ羊羹やどら焼きを補食にしている人も多く、NICOLASさんも練習中は和菓子を食べてエネルギーを補充しているのだそうです。
上野さんが補食におすすめするのが「パワーボール®」です。これは、「ほんだし®」を混ぜこんだ、一口サイズのおにぎり。短い時間でパクッと食べられるように、50グラムほどの量でつくるのがポイントです。こちらも「飲むおだし」同様に、参加者に試食が配られました。
本サイトのこちらの記事でも紹介しています。
手軽に食べられて、アスリートにも大人気の「パワーボール®」は、子どもの塾や習い事の合間のおやつにもおすすめですね。
強いアスリートほど、食事を楽しんでいる
試食が済んだら、勉強会もいよいよ終盤です。上野さんは、次の言葉で勉強会を締めくくりました。
上野:家族との食事は、子どもの練習や試合の反省会になりがちです。しかし、そんな重苦しい雰囲気では、子どもたちも委縮してしまい、食が進まなくなります。食事の時間は、楽しいものでなくてはなりません。私の経験上、強いアスリートほど楽しそうに食事をしている。保護者の皆さんもそこを意識して「勝ち飯®」を取り入れてみてください。
参加者からの評判も上々で「アスリートとしてだけではなく、子どもの成長にとって大切なことを学べた」「食事を工夫すれば、今まで以上に子どもをサポートできることがわかった」などの声が寄せられました。
これまでは、オリンピック競技者を中心にサポートしてきた上野さんでしたが、今後はさらに幅広い世代に向けて勉強会を開いていく予定です。
上野:今は、ブレイクダンスやスケートボード、スポーツクライミングなどの『アーバンスポーツ』に注目しています。このジャンルの競技者は、成長期真っ只中の若年層も多いです。「勝ち飯®」をきっかけにして、若い世代の人たちが食事に関心を持ってくれたらうれしいです。
トップアスリートから次世代を担う子どもたちへと裾野を広げつつある「勝ち飯®」。味の素社は、未来のオリンピアをはじめ、スポーツを頑張る人たちを積極的にサポートしていきます。
上野祐輝
グローバルコミュニケーション部
スポーツ栄養推進グループ ビクトリープロジェクト
2008年、味の素グループに入社。九州支社の家庭用第1グループ所属後、2013年に広域営業部量販店グループへ異動。2016年からオリパラ推進室ビクトリープロジェクトグループに在籍し、オリンピアンの食事改善プロジェクトに携わる。2022年より現職。世界のトップで戦うための最適な栄養戦略を日々追究しています。
相手に寄り添い、行動変容につながりやすい実践的な情報提供を心掛けています。食と栄養を通じて、子どもたちが持つ未来への可能性を拡げることが夢です。
趣味は、小学生の娘と一緒にカラダを動かし、おいしいごはんを食べること。
2023年4月の情報をもとに掲載しています。