活動レポート

プラスチックごみ削減へ〜味の素グループのプラスチック廃棄物ゼロ化への取り組み

「あれ? 前はプラスチックだったのに、紙に変わってる!」
最近、さまざまなシーンでそんな経験をすることが多くなりました。SDGsの取り組みのなかでも、とくに私たちの生活との関連が深いものの1つが「プラスチック廃棄物の削減」です。なぜ「プラスチック」が問題視されるのでしょうか?本記事では、プラスチック廃棄物が環境に与える影響についておさらいしながら、味の素グループが取り組む「プラスチック廃棄物ゼロ化」についてご紹介します。

プラスチックごみ問題とは?

石油由来の人工物であるプラスチックは、廃棄されてもそのままの形でいつまでも残り続けることが知られています。それは、プラスチックを分解できる微生物が、自然界にはほとんど存在しないからです。きちんと処理されずに捨てられたプラスチックは、土や海底に溜まり、生態系や自然環境に大きな影響を与え続けるといわれています。

環境省の調査によれば、世界では年間800万トンものプラスチック廃棄物が海洋に流出しており、「2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超える」という試算もあります。

(参考:環境省:https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r01/html/hj19010301.html

また、海洋に流出した後、紫外線や波で細かく砕かれたマイクロプラスチック(一般に5mm以下)の表面には微細な凹凸があり、化学物質を吸着しやすいという性質があります。マイクロプラスチックは海洋生物の生態系に悪影響を与えているだけでなく、マイクロプラスチックを体内に貯めこんだ魚介類を摂取することで、私たち人間も健康被害を受けると懸念されています。

プラスチックごみ削減に向けて

そんなプラスチックごみを減らすために、各国がさまざまな取り組みを進めており、日本でも2022年(令和4年)4月1日からプラスチックごみの削減・リサイクルを推進するための法律「プラスチック新法」が施行されました。

国だけでなく、企業も「プラスチックごみの削減」の取り組みを進めており、商品パッケージなどを、プラスチック以外の素材に置き換える動きを加速させています。プラスチックは、製造するにも、焼却処分をするにもCO2の発生をともなうため、地球環境への影響を考えるとプラスチックの利用を必要最小限に留めることが理想的なのです。

味の素グループのプラスチック廃棄物ゼロ化への取り組み

ここからは、味の素グループが進めているプラスチックの利用を削減する取り組みの一つである商品パッケージの紙化について、担当者の声と共にご紹介します。

・味の素株式会社「ほんだし®」スティック品種の包材を変更

2023年(令和4年)の春に「ほんだし®」スティック品種の包材を紙化。この改定により、プラスチック使用量32トンの削減をはかります。

森 彩花

調味料事業部 風味調味料グループ

紙でありながら、持ち運びの耐性等があるパッケージにするのはとても大変でした。パッケージを紙にすることにより、包装している工場の機械を調整したり、パッケージの大きさをほんの少し変更したりと、様々な部署の方の知恵で実現することができました。また、今回の改訂にあたり「生活者の方にも楽しんでもらえるものにしたい」「紙パッケージになるからこそできることをしたい」との思いから、パッケージ裏面にぬりえのデザインを施しました。ぬりえの絵柄も実際に小さなお子さんがいる方の意見を聞きながら決めており、全部で6種類あります。
実際にお客様からも「料理をするときは急いでいることも多いけれど、可愛い絵柄にほっこりした気持ちになれる」「子どもが喜んでぬりえをしている」等のお声をいただきました。
店頭で見かけたら、ぜひ手に取ってみてもらえるとうれしいです。

左から「ほんだし®」8gスティック14本入袋・26本入袋、「ほんだし®いりこだし」8gスティック14本入袋・26本入袋、「ほんだし®かつおとこんぶのあわせだし」8gスティック14本入袋、「ほんだし®こんぶだし」8gスティック14本入袋

パッケージ裏面のぬりえデザイン。全部で6種類あります。

このほかにも味の素社では、2022年より「味の素®」と「うま味だし・ハイミー®」の袋品種を紙のパッケージにリニューアルしています。これにより削減できるプラスチックは、プラスチック廃棄量に換算すると年間約12トン(2020年度比)。約2年の開発期間を経て、強度や保存性、開けやすさやなど、従来のプラスチックパッケージと遜色のない新パッケージが完成するまでのストーリーはこちらの記事で紹介しています。

・味の素冷凍食品株式会社 各製品のプラスチック使用削減

「ザ★®シュウマイ」や「野菜たっぷり中華丼の具」では、パッケージの省資源化を進めています。
また「黒豚大餃子」「海老大餃子」などの商品では、トレイを不使用にすることにより、年間約29.4トンのプラスチック使用量削減を見込むなど、各製品でプラスチック使用削減の取り組みを推進しています。

細川 薫

生産本部 生産技術開発部 生産技術第3グループ

「ザ★®シュウマイ」の袋の薄肉化に取り組み、年間24トンのプラスチック使用量削減を実現しました。
凍結後の焼売の皮は先が鋭利になっており、それによって袋が破れてしまう懸念が大きいため、
流通運搬時に袋が破れない厚みについて探索しました。
また、薄肉化した袋に適した包装条件の設定には、工場と連携した包装設備の調整など苦労もありましたが、包装能力を従来比130%アップでき、主力商品の生産性向上にもつながりました。

左から「ザ★®シュウマイ」/「野菜たっぷり中華丼の具」

・味の素AGF株式会社 「ザリットル」スティック包材の紙化

2021年(令和3年)に発売された「ブレンディ®」ザリットルシリーズでは、スティック包材の一部を紙化。
また、トラック輸送時の積載スペースを削減し、輸送の効率化を行うによって環境負荷の軽減を目指します。

三本 裕典

コンシューマービジネス部 マーケティング第1グループ

2021年(令和3年)に発売された「ブレンディ®」ザリットルシリーズは、スティック1本を1リットルの水に溶かすだけで、すぐにおいしいドリンクが味わえて、地球にもやさしいスティックタイプのパウダードリンクです。
スティックタイプは、持ち運びに便利なので、大容量の飲み物を買う際「重くてかさばる」ことや使い捨て容器のごみ問題も気になるというお困りごとを解決する特長もあります。
こだわりは、スティック包装の一部に紙を使用したことです。一般的な弊社スティック包装と比較し、プラスチックの使用量を約40%まで削減できました。
ここにたどり着くまでには、パッケージの強度や工場での生産効率に試行錯誤を繰り返し、環境対応と安全で安心な品質を両立させるのは本当に大変なことだと実感しました。
それでも、包材担当と連携を取り、使い勝手の良さや品質保持性を落とさない点などに配慮しながら、プラスチック使用量の削減を実現できました。

※1 2Lペットボトルがスティック2本(1L☓2)になった場合、※2 同サイズの通常プラスチックフィルムを、紙フィルムに変更した場合

・株式会社J-オイルミルズ 人と地球に優しい紙パック「スマートグリーンパック®」

2021年(令和3年)に発売された「スマートグリーンパック®」シリーズでは 酸素バリア性・遮光性にすぐれた紙パッケージを採用することで、プラスチック使用量、CO2排出量を削減します。

宮﨑 朋江

油脂事業本部 油脂事業統括部 家庭用事業部開発企画グループ

田村 正和

生産戦略部 包装技術グループ

毎日繰り返しご使用いただくものですので、環境に配慮するだけでなく、使いやすさ・使用後の捨てやすさにもこだわり、約2年をかけて開発しました。容器は酸素バリア性と遮光性にすぐれているため、油の風味とおいしさを保つことができます。注ぐ量を変えられるダブルキャップについてはとくに苦労しましたが、使いやすいと評価をいただくことができました。
一緒に開発に取り組んだサプライヤーのみなさまにも、多大な協力をいただきとても感謝してます。

※1 従来の同容量帯容器との比較(当社計算)、※2 容器の製造から廃棄に至る過程における二酸化炭素の排出量

・ヤマキ株式会社 地球に優しい省資源パック

少量使い切りタイプの「讃岐風釜玉うどんつゆカレンダー」「ふっくら卵焼きだしカレンダー」「茶碗蒸しの素カレンダー」の3商品は、パッケージをコンパクトにすることで省資源化、だしの素産地限定小箱シリーズは箱のスリム化を行う事でCO2排出量を削減しています。

吉田 芽以

商品開発部

「讃岐風釜玉うどんつゆカレンダー」は、外袋のスリム化を機に他の2品と仕様を合わせることを前提にリニューアルがスタートしました。そのため、①スリム化に伴うつゆの容量ダウン(25ml→15ml)と高濃縮化、②コストダウンを前提とした味覚品質の向上、③小袋の入数増(2袋→3袋)、④店頭価格ダウンが必達でしたが、小さくなった外袋にこの4つの条件がぎゅっと詰まったリニューアルをすることができました。

熊澤 優子

家庭用事業部 

省資源化によるCO2排出量削減を目的に、箱の奥行を短くしてコンパクト化をしました。コンパクト化にあたり、製造ラインや輸送中のトラブルがないか、お客様が箱を閉めにくくならないかが課題でした。特にお客様の使いやすさが損なわれないかは、何度もテスト資材を確認し注意して進めました。結果的にCO2削減量は約8%となり、今できることを少しずつ積み重ねることが、SDGsの達成への一歩だと感じました。

液体カレンダー3品種「茶碗蒸しの素カレンダー」「ふっくら卵焼きだしカレンダー 」「讃岐風釜玉うどんつゆカレンダー」/だしの素産地限定小箱シリーズ5商品「薩摩製造かつおだし 40g」「道南白口浜産こんぶだし 40g」「瀬戸内産いりこだし 40g」「長崎県産焼きあごだし 40g」「薩摩製造鰹節と道南産昆布あわせだし 40g」



味の素グループでは、「2030年までに環境負荷50%」というアウトカムを掲げ、これからもプラスチック廃棄物ゼロ化をはじめとしたさまざまな取り組みを続けていきます。

2023年6月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

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