アミノ酸研究を創業から100年以上続ける味の素社。アミノ酸と皮膚科学の研究についても50年以上の歴史があります。その知見が存分に反映された「ジーノ」は、2027年(令和9年)2月で誕生から30周年を迎えます。
ところで「アミノ酸※1」と「スキンケア」にはどのような関係があるのでしょうか?
※1 保湿成分
今回は、美容ライターの中田ゆきさんが、味の素株式会社バイオ・ファイン研究所の研究員・金子大介さんに、お話を伺いました。金子さんは、「ジーノ」の誕生から製品開発に携わっています。
一般的にはまだまだ知られていないアミノ酸の正体と、その未知数の可能性、そして製品開発の根底にある研究者の情熱に迫ります。

金子 大介味の素株式会社
バイオ・ファイン研究所
香粧品ソリューショングループ

中田 ゆき美容&ファッションライター
「ジーノ」ってなに?
「ジーノ」とは、 50年以上におよぶ味の素社のアミノ酸と皮膚科学の研究から生まれた、「肌本来の美しさを引き出す根本ケア」にアプローチするスキンケアブランドです。
肌の天然うるおい成分であるNMF(ナチュラル・モイスチャリング・ファクター:天然保湿因子)の約半分がアミノ酸でできている事実に着目し、世界的なアミノ酸リーディングカンパニーとしての確かな技術を自社製品に惜しみなく注ぎ込んでいます。
単なるその場しのぎではない、肌本来の美しさを引き出す独自の「アミノ美肌理論®」に基づいたアプローチで、30年にわたり大人世代の肌悩みに寄り添い続けています。
- 「ジーノ」公式

あなたが使っているスキンケア商品にも味の素社の原料が入っている?
中田さん
そもそも、なぜ、味の素社が化粧品を作ることになったのでしょうか?
金子さん
はい。1970年代に皮膚科学の研究が進み、肌のうるおいのもとになっている「NMF(ナチュラル・モイスチャリング・ファクター:天然保湿因子)」の半分以上が「アミノ酸系成分」からできているということがわかってきたのです。
中田さん
私たちの肌のうるおいを担っている「NMF」ですが、この「NMF」の量が少なくなると肌の乾燥や肌荒れなどの原因になると言われていますよね。
金子さん
そのころ、とある海外の化粧品メーカーから「化粧品に入れられるアミノ酸はありませんか」と問い合わせがあったんです。じつはグルタミン酸ナトリウム(うま味調味料「味の素®」の主成分)をもとに加工すれば「NMF」の主成分であるアミノ酸やピロリドンカルボン酸(PCAソーダ)という物質を簡単に合成できる、という技術やノウハウがありましたので、化粧品原料として販売を開始しました。
中田さん
「味の素®」の製造ノウハウで化粧品の原料が?それはびっくりです。
金子さん
はい。味の素社では1970年代にはすでに化粧品の原料となる成分が開発されていました。現在では、世界55以上の国と地域、5,000社以上の化粧品メーカーに、その原料として「美容成分アミノ酸」を供給しています。

金子さん
一般的にはあまり知られていませんが、国内外の化粧品メーカーの研究者や技術者の多くは、味の素社が化粧品の原料メーカーであることを知っていると思います。
中田さん
では、私たちが普段使っている洗顔料や化粧水とかにも入ってる?
金子さん
その可能性はあるでしょうね。
中田さん
驚きました。知らず知らずのうちに味の素社のアミノ酸が入った商品で、多くの人がスキンケアをしているわけですね。
医療から化粧品まで。リーディングカンパニーが挑むアミノ酸の「無限の可能性」
中田さん
「ジーノ」は、味の素社のアミノ酸研究から生まれたブランドですね。非常に初歩的な質問で恐縮ですが、「アミノ酸」とは一体どのような物質なのですか?
金子さん
一言で言うと、アミノ酸は私たちの"生命のみなもと"です。自然界には約500種類ものアミノ酸がありますが、人体のたんぱく質を構成しているのはわずか20種類。じつは、人間のカラダの20%(水分を除くと残りの約半分)は、このアミノ酸の組み合わせでできているんですよ。もちろん、私たちの「肌」もアミノ酸からできています。だからこそ、アミノ酸を正しく補給することは、肌の環境を健やかに整えることへつながっているんです。
中田さん
なるほど! スキンケアにおいて、何よりも大切なアミノ酸の研究を100年以上も続けてきた味の素社は、まさにアミノ酸のリーディングカンパニー。だからこそ国内外の化粧品会社は、味の素社の作るすぐれたアミノ酸原料を信頼して自社の商品に使っているんですね!
味の素社のアミノ酸研究とスキンケアの関係
味の素社は、アミノサイエンス®によって多くの化粧品の原料を開発しています。スキンケアとアミノ酸の深い関係については、こちらの記事もぜひご覧ください。
さらに、環境にやさしく高品質な使い心地を実現する素材について、こちらの記事でご紹介しています。
技術を結集した自社ブランド「ジーノ」が生まれるまで
中田さん
国内外の化粧品メーカーに原料を供給するビジネス(BtoB)が、それだけ高い評価を受ける中で、1997年(平成9年)に自社ブランド「ジーノ」を立ち上げ、自分たちで化粧品を作ろうとなったきっかけは何だったのですか?
金子さん
1997年(平成9年)頃、原料を売るだけではなく、もっとアミノ酸の化粧品を世の中に広めたい、ということで、当時化成品部にいた若手従業員が「一般生活者向けに自社でスキンケアブランドを作ったらどうだろうか」と手を挙げ、チームができました。

1997年(平成9年)発売当時の「ジーノ」
金子さん
ちなみに、「ジーノ」というブランド名はギリシャ神話に登場する海の守り神「INO(イノー)」そして味の素(AJINOMOTO)社のブランドであることから名付けられたと聞いています。
中田さん
立ち上げ当初、ご苦労はありましたか?
金子さん
これまで化粧品の原料は売っていたものの、いざ商品化となると容器や流通のことなど、食品とはまったく異なるため一から勉強しなければいけませんでした。
さまざまな検討の結果、当時まだ市場が小さかった「通販化粧品」という形で「ジーノ」の販売を開始したんです。

金子さん
最初は社内から「やっても無駄じゃないの」「やらない方がいい」という意見もありました。発売前に社員寮のポストにアンケートを勝手に入れて怒られたりもしました(笑)何年もかかりましたが、ようやく売上目標を達成できるようになった時は本当にうれしかったですね。
中田さん
社内からの厳しい意見を受けながらも、事業を大きくしてこられたのですね。お客様が化粧品メーカー(BtoB)から、一般生活者(BtoC)となったことでなにか変化はありましたか?
金子さん
一般生活者の方々のダイレクトな反応は非常に新鮮で、勉強になりました。「ジーノ」は敏感肌の方やデリケートなお肌の方にも使っていただけるやさしさを追求していますが、お客様によってはどうしても一時的に肌に合わない、ということもあります。
中田さん
たしかに、体調や肌のコンディションによって合わないと感じる時がありそうですね。
金子さん
ご意見を提起いただいたお客様のところへ伺い、原料や処方について直接ご説明させていただいたこともあります。そのお客様は私たちのモノづくりに深く共感してくださりその後ずっとリピートしてくださいました。
「私たちが考える、より良い形でアミノ酸※1を高濃度で入れることができる」
中田さん
ところで、原料として化粧品メーカーに販売するアミノ酸と、「ジーノ」のアミノ酸※1は違うのでしょうか。
金子さん
それぞれに入れているアミノ酸は基本的には同じです。自社製品なので、私たちが考える、より良い形でいろいろな種類のアミノ酸※1を贅沢に、ベストだと考えるバランスで入れられる、そこが「ジーノ」の最大の特長であり、大きな強みと言えると思います。
※1 保湿成分
中田さん
なるほど、すぐに「ジーノ」を使ってみたくなってきました。

中田さん
それにアミノ酸※1は体内にある成分ですから、年齢や性別、肌質に関係なく心地よく使える信頼感があると思います。どんな方に「ジーノ」をもっともおすすめしたいですか。
※1 保湿成分
金子さん
基本的にはどなたでもお使いいただけます。とくに、年齢を重ねて乾燥などのお悩みが気になり始めた方には、みずみずしいうるおいなどの手応えを感じていただけると思います。
中田さん
年齢を重ねると、肌のアミノ酸が不足して、乾燥やキメの乱れが気になってくるからですか?
金子さん
じつは、肌表面のアミノ酸量は個人差が大きく、年齢を重ねてもアミノ酸の量そのものは減っていないこともあるんです。なぜなら、お肌の生まれ変わりのサイクル(ターンオーバー)は人それぞれで、ゆっくりな人もいれば早すぎる人もいる。

金子さん
それぞれの方の肌状態に応じて、適切なアミノ酸ミックスで肌を整えて、角層を豊かなうるおいで満たしてあげることが大切なんです。お肌のモイスチャーバランスがサポートされることで、健やかな土台※2が整い、肌コンディションの変化をよりダイレクトに体感していただけると思います。
中田さん
「ジーノ」は単にアミノ酸※1を足すというだけでなく、肌のうるおいの土台※2を整えてくれるのですね。実際、「ジーノ」のブランド満足度は90%を超えており、リピーターが多いと伺いましたが納得です。
※1 保湿成分
※2 角層まで
成分の計量だけでも1日がかり!味の素社だからこそ生産できる「アミノシューティカル クリーム」とは
中田さん
「ジーノ」の最高峰ラインであるアミノシューティカル クリームには、人間のカラダを作る20種類を越える、23種類のアミノ酸※1やアミノ酸誘導体※3が注ぎ込まれているそうですね。味の素社独自の素晴らしい成分について教えてください。
※1※3 保湿成分

1本で全方位ケアが期待できる「ジーノ」最高峰の美容クリーム。「アミノシューティカルクリーム」 40g ¥13,200
https://direct.ajinomoto.co.jp/jino/lineup/ceutical/
金子さん
はい。まず、アミノ酸のリーディングカンパニーである味の素社ならではの美肌に関わるアミノ酸※1が贅沢に、かつ黄金比で入っています。23種類のアミノ酸※1をすべて量って入れるだけでも非常に大変で、とても手間がかかります。計量だけで約1日かかるほどで、大きいタンクでどっさり作るのではなく、小さめのタンクで少量を頻回に、技術を駆使して作っています。
※1 保湿成分
味の素社だからこそできる、常識破りの贅沢処方
金子さん
アミノシューティカル クリームには、アミノ酸と油をくっつけて細胞間脂質(セラミド)のような役割をするエルデュウ®※4という味の素社独自の原料もたくさん入れています。このような高品質のアミノ酸※1をリーズナブルにお届けできるのは、原料を製造している味の素社の「ジーノ」だからこその強みです。
中田さん
味の素社独自の原料エルデュウ®※4と本物のセラミドを配合するのとは、何が違うのでしょうか。
金子さん
じつは、セラミドという成分は実際に作ろうと思うと、非常に高価になります。さらに、精製して混ぜようと思っても、セラミドは融点が高くて、化粧品に入れるのが難しい油なんですよ。
我々が作るエルデュウ®※4は、その融点などの性質をコントロールして、化粧品に入れやすくしますので、値段も少し抑えられますし量もたくさん使えるんです。 実際にお客様からも、なめらかな使い心地についてうれしい感想を多くいただいています。
中田さん
まさにアミノ酸のリーディングカンパニーである味の素社だからこそできる、常識破りの贅沢処方ですね。しかもこれは、クリームだけでなく、「化粧水」や「美容乳液」といったラインナップにも応用されているわけですよね。俄然「ジーノ」を早く使いたくなってきました。
※1※4 保湿成分
「なぜなんだろう」を突き詰める研究者の好奇心と、会社のパーパスとの重なり
中田さん
金子さんご自身にとっての、研究への想いやパーパス(志)を教えてください。
金子さん
学生の頃から、界面活性剤の研究をしていて、入社後も継続できたことが非常にラッキーだと思っています。研究をしていると不思議なことがたくさんありまして、それを解決したくなるんですね。会社には最新の設備装置があるのでしっかり研究できますし、自分の疑問を解決できて、それが会社の利益と合致すると非常にうれしいです。
中田さん
「なぜなんだろう」という研究者としての純粋な探究や好奇心が、結果的に素晴らしい製品を生み出すということでしょうか。
金子さん
そうですね。たとえば、アミソフト®という界面活性剤の性質によって透明なゲルができるということが分かったんです。さらに研究を重ねたところ、分子が金属の結晶のように並んだ「キュービック液晶」という相を発見し、論文で発表することができました。構造を解明したことが学術的にも意味があり、それが商品化に繋がったのは大きな喜びでした。

(左)当時、界面化学が日本より進んでいたスウェーデンのルンド大学へ留学していた頃の金子さん
(右)角質中の保湿成分はそのままに、肌の汚れだけを選んで落とす洗浄成分アミソフト®を配合した「アミノ モイスト クリアソープ」https://direct.ajinomoto.co.jp/skincare/jino/clearsoap/ 完成までに2か月ほどかけて乾燥・熟成させた後、磨き上げて製造しています
中田さん
研究者の純粋な知的好奇心が、お客様に喜ばれる製品開発につながり、それが会社の利益や目的に通じる高い価値を生み出していく。アミノ酸の可能性を突き詰める味の素社だからこそのストーリーですね。
金子さん、本日は貴重なお話を本当にありがとうございました。

文:中田ゆき(美容ライター)

金子 大介
味の素株式会社
バイオ・ファイン研究所 香粧品ソリューショングループ
1991年入社。学生時代は界面化学を専攻。入社以来、香粧品分野に所属。洗浄剤の新製品開発およびそのテクニカルサポートを担当。
1997年の「ジーノ」立ち上げ初期から開発に携わっており、現在も研究を続けている。

中田 ゆき
ライター。雑誌やウェブ媒体にて長年にわたり美容・コスメ業界の最前線を取材。皮膚科学に基づいた客観的な視点から、大人の肌悩みに寄り添う最新美容情報を発信している。
instagram @yuki19681224
2026年8月の情報をもとに掲載しています。