古くから日本人に愛され、北海道のイカめし、イカそうめん、山形県のイカのモンペ焼きなど、全国各地にイカの郷土料理があります。そのほか、天ぷら、イカと里芋の煮物、シーフードカレーなど、和洋中問わず幅広く使われる食材ですね。
それでは、イカの魅力をたっぷりとご紹介します。
アオリイカ、スルメイカ、ヤリイカ。味わいの違いは?
私たちがスーパーで見かけるイカには、さまざまな種類があります。旬の時期も、アオリイカは6〜8月、スルメイカは7〜9月、ヤリイカは10月〜1月ごろと言われていますが、地域によってもさまざまですし、コウイカなどは通年で楽しめます。
- 「AJINOMOTO PARK」旬カレンダー
肝心の味わいはというと、それぞれに特徴があります。
アオリイカ......グリシンを始めとするうま味成分が豊富で、さらりとした甘味、しなやかな歯ごたえが人気。「イカの王様」と呼ばれ、刺し身、焼き物、寿司ネタなどに。
スルメイカ......ねっとりとした甘さが特徴。内臓の味がよいため、塩辛に最適。比較的安価のため、刺し身、煮物、天ぷらなど、日本でもっとも食べられている。
ヤリイカ......くせがなく、ほのかな甘味が特徴。身がやわらかいため、刺身や煮物、揚げ物など、さまざまな料理で楽しめる。
コウイカ......肉厚でもっちりとしていて、甘みがあるのが特徴。刺身や寿司、天ぷらなど、飲食店で扱われることが多い高級イカ。墨を多くもつため、関東ではスミイカと呼ばれることも。
新鮮なわたは、塩辛やわたじょうゆ、煮つけにするのもよいです。
洋風だと、ゆでたり白ワインで蒸したりして、サラダ、マリネに使用したり、トマトソースと合わせてパスタなどのイタリア料理にしたりします。
輪切りにして塩・こしょうをしてフライやフリットにするのもよいでしょう。
中華料理だと八宝菜、チリソース炒め、海鮮焼きそば、ブラックビーンズソース炒めなどさまざまな料理に使われます。
イカに含まれるビタミンE、タウリンのはたらきとは?
ところで、イカには、どんな栄養が含まれているのでしょうか?
イカには良質なたんぱく質が多く含まれ、脂質が少ないのが特徴です。
イカのコレステロール含有量は、魚介類のなかでも多い方ですが、一方で、体内でコレステロールを減らす作用があるタウリンを豊富に含んでいます。タウリンには、そのほか心臓や肝臓の機能を高める、視力の回復、インスリン分泌促進、高血圧の予防、中性脂肪を減らすなど、さまざまな効果があると言われています。
また、イカには必須アミノ酸であるリジンも多く含まれます。リジンは集中力を高めるだけでなく、からだの成長に大きく関わったり、肝機能を強化したりすることが期待されています。
ほかにも、細菌やウイルスが体内へ侵入するのを防ぐ抗体の材料となるため、免疫力のサポートや、育毛促進やエネルギー代謝をスムーズにするはたらきも期待されており、研究が進んでいます。
イカに含まれるビタミンEは、抗酸化ビタミンの一つ。心疾患や脳梗塞の予防、血行改善、老化防止にはたらくと言われ、ホルモンのバランスが崩れて起きる更年期障害の改善も期待されています。
また、イカは、低エネルギー、低脂質、高たんぱく質で、さらに嚙みごたえがあり、早食い防止にもなるので、ダイエット中の方におすすめです。
イカを選ぶ際のポイントは?
店頭でイカを選ぶ際には、以下のポイントをチェックしましょう。
●生のイカ
・全体に透明感がある
・目が黒く澄んでいる
●冷凍のイカ
・茶褐色のもの(とれたてをすぐに冷凍すると濃い茶褐色になる)
・胴の部分が丸く、ふっくらしている
イカをまるごと購入した場合は、下処理をして保存しましょう。
●イカの下処理方法
スルメイカの場合は、甲(内臓の裏側にある透明な板のような「軟甲」のこと)を外し、足の付け根に切れ目を入れて開き、内臓を外して足を引き、墨袋と内臓を壊さないように抜きます。皮をエンペラ部分から足の方に向けて引っ張りながら剥ぎ取り、薄皮をむきます。
詳しくは、「AJINOMOTO PARK」でも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
「スルメイカの下ごしらえ」
いかは、下ごしらえをして保存したら、いろいろな料理に使えます。
元気をくれるイカの栄養素
■低エネルギー、低脂質、高たんぱく質の優秀食材
■コレステロールを減らすタウリンも含まれる
■抗酸化ビタミン、ビタミンEも
【旬のレシピ】アレンジ自由自在!マスターしたいイカレシピ
イカに含まれる栄養素は、調理によって損失しないため、さまざまな調理法で楽しめます。
イカの特徴は、歯ごたえとうま味です。加熱をすると、身が締まって固くなり、イカ特有の歯ごたえがなくなり、さらに味が付きにくくなるので、さっと火を通しましょう。
加熱によって変形をするため、皮をむいたり、切れ目を入れたりすることで防ぎます。また、電子レンジで加熱すると破裂しやすいので、注意が必要です。
イカに含まれるビタミンEには抗酸化作用があり、同じく抗酸化作用のあるビタミンCと一緒に摂ることで、それぞれのはたらきを補います。ビタミンCが豊富な野菜(パプリカ、ピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、豆苗、モロヘイヤ、菜の花、カブの葉、芽キャベツ、ゴーヤ、絹さやなど)との組み合わせがおすすめです。
「イカとブロッコリーの中華炒め」
イカとブロッコリーの組み合わせは抜群。さっと炒めてメインのおかずに!
「イカのトマト煮」
トマトとイカのうま味がぎゅっとつまったメインディッシュ。
豊富なたんぱく質やうま味と栄養もたっぷりのイカ。
ぜひ、日々の献立に取り入れてみてください。
自然の恵みに感謝して、
今日もおいしく、旬をいただきましょう。
監修:牧野直子(まきの・なおこ)
管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター。「スタジオ食(くう)」代表。おいしくて体にやさしいレシピや健康的なダイエット法などを提案し、テレビ、雑誌、料理教室、健康セミナーなどで幅広く活躍中。共著に『2品おかずで塩分一日6g生活』(女子栄養大学出版部)ほか。
2022年4月の情報をもとに掲載しています。