活動レポート

料理家たちの部活動「LOW SALT CLUB~うま味DE減塩部」Supported by 味の素社とは?

「減塩」と聞くと、味が薄くておいしくない……。手間がかかりそう……。といったイメージ、ありませんか?または、「私は味の濃いものばかり食べているわけではないから大丈夫」と思っている人もいらっしゃるかもしれません。

じつは日本人の8割以上が塩分を摂りすぎているといわれています。

味の素社では「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」企業を目指し、「減塩」の大切さを知ってもらうために、さまざまな取り組みをしています。

塩分摂りすぎ??「減塩=おいしくない」はもう古い!味の素社が進める 「Smart Salt(スマ塩)」プロジェクト

今回ご紹介するのは、料理家インフルエンサーとおいしい減塩に取り組む「LOW SALT CLUB ~ うま味DE減塩部」(以下「「LOW SALT CLUB」」)です。どんな活動を行っているのか、この「部活動」をサポートする味の素社グローバルコミュニケーション部サイエンスグループの門田浩子さんに聞きました。

「LOW SALT CLUB うま味DE減塩部」とは?

「LOW SALT CLUB」とは、塩味だけに頼らない、新しいおいしさの発見を目指し、2022年(令和4年)7月に料理家インフルエンサーたちと味の素社が立ち上げた部活動です。

味の素社は2021年(令和3年)に、創業当時の冊子「おいしく召上れ!」に込められた料理への愛情やうま味調味料「味の素®」を使いこなす楽しさを料理家インフルエンサーとともに未来に伝えていくプロジェクト「おいしく召上れ!」を開始しました。

うま味調味料「味の素®」が発売されたのは1908年(明治41年)。その翌年に「おいしく召上れ!」という冊子が発行されました。これはいわば世界初のうま味調味料「味の素®」のトリセツ。そこにはすでに「栄養」や「時短」といった、当時にしてみれば非常に先進的(※)な視点から考えられた、さまざまなうま味調味料の活用方法が紹介されています。

※当時は現代のような栄養学が未確立で、家庭料理の発展期であり良妻賢母が推奨された時代だった。

そして2022年(令和4年)、その想いを引き継ぎ、「日本人の食と健康の課題」を解決すべく、若い世代にも「うま味を活用するとおいしく減塩できる」ことを知ってもらおうと、9人の料理家インフルエンサーと「LOW SALT CLUB」を立ち上げました。

メンバーは、大学で栄養学を勉強中のZ世代のほか、Z世代のお子さんを持つママなど、年代も得意分野もさまざま。お互いに影響を受け合いながら、うま味による「おいしい減塩」に取り組んでいます。

【LOW SALT CLUB 部員紹介】
https://www.ajinomoto.co.jp/company/umami/lowsaltclub/members/index.html

ジョーさん。さん(LOW SALT CLUB部長)
つくりおき食堂まりえさん
だれウマさん
あーぴんさん
小春さん
木内由紀さん
だいすけごはんさん
暖(のん)さん
ぶんちゃんさん

減塩の大切さをZ世代に知ってほしい!

減塩は、生活習慣病が気になる年代になってから始めればいいと思っている人が多いのではないでしょうか?しかし、いざ減塩を始めようと思ってもなかなか習慣化はできないものです。

だからこそ、「若いうちから減塩することの大切さ」や、「うま味を活用すると減塩でもおいしい」ということを、Z世代に知ってもらうことが大切です。それが最終的には、さらなる「健康寿命の延伸」、そして平均寿命と健康寿命の差を縮めることにつながると考えます。

<参照> 平均寿命と健康寿命の推移

出典:厚生労働省「平均寿命と健康寿命の推移」(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-02-06.html)を加工して作成

「LOW SALT CLUB」の活動の方向性について、門田さんは次のように語ります。

門田:味の素社は以前から減塩の大切さを発信し、減塩レシピを提案してきました。今回の「LOW SALT CLUB」は、Z世代*と呼ばれる若い人たちにも減塩の大切さを知ってもらいたいという思いから生まれました。

減塩は年齢を重ねてから取り組もうと思っても、味の好みや食習慣がなかなか変えられず日々継続して実践することが難しいため、若いころから取り組んで行くことが大切ですが、若いうちは、減塩を自分ごととして捉えることが難しいのが現状です。

日頃からソーシャルメディアを使いこなすZ世代やミレニアル世代に対し、年代も得意分野もさまざまな料理家さんが、減塩の重要性を自ら学びながらうま味調味料「味の素®」をいかした「おいしい減塩」レシピをSNSで提案していく。そして「うま味でおいしい減塩」という食生活の新たなムーブメントをつくる。これこそが「LOW SALT CLUB」の目的です。

*Z世代とは、一般的に1995年〜2009年(平成7年〜平成21年)頃に生まれたデジタルネイティブと呼ばれる世代。1981年~1996年(昭和56年〜平成8年)生まれのミレニアル世代とともに幼少期からパソコンやインターネットに触れ、日常的にソーシャルメディアを利用している人が多い世代。

料理家の育成とZ世代も納得のうま味DEおいしい減塩メニュー

「LOW SALT CLUB」は、どんな活動を行っているのでしょうか?部活動ミーティングにも参加している門田さんに聞きました。

門田:世の中では、減塩レシピよりも、手軽にできる料理や時短レシピが人気を集めています。ですから、部活動の発足前は、減塩の必要性を認識している料理家さんは決して多くないな、という印象でした。そこで「LOW SALT CLUB」では、部員の料理家さんが減塩の重要性について学び、うま味調味料を上手に活用すれば簡単においしく塩分を減らせることを知ることからスタートしました。

料理家インフルエンサー自身が「LOW SALT CLUB」の活動を通じて減塩の知識を身に付け、インフルエンサーとして減塩の大切さを発信していく。そうした料理家インフルエンサーの育成も「LOW SALT CLUB」の目的の1つといえます。

門田:現在、月1回のペースで部活動ミーティングを開き、レシピやSNSでの発信に関する情報交換が行われており、私も、最新の知見を含めた減塩に関する情報を提供しながら参加しています。また、社内外の有識者が講師となる勉強会も開催し、学びを深めていることもLOW SALT CLUBの活動の特長です。料理家さんも理解をぐんぐん深め、うま味のいかし方を探求し、おいしい減塩レシピがどんどん生まれています。

部活動の成果は、「LOW SALT CLUB」のオフィシャルサイトで公開されています。うま味調味料を使ったおいしい減塩メニューが盛りだくさんです。ぜひご覧ください!

Z世代にうま味で「おいしい減塩」を届けるには?

「LOW SALT CLUB」では、Z世代をターゲットにして、実際に「おいしい減塩」を体験してもらう機会にもチャレンジしました。

2022年(令和4年)10月29〜30日に開催された麻布大学(神奈川県相模原市)の学園祭では、学生団体が主催する飲食模擬店5店とコラボレーション。

「LOW SALT CLUB」部長のジョーさん。さんをはじめとした部員が、学生たちとアイデアを出し合い、うま味調味料「味の素®」を活用したレシピを考案。チヂミ、カルボナーラうどん、やきそば、豚汁など、学園祭でも定番のメニューや麻布大学オリジナルメニューで、「おいしい減塩」にチャレンジしました。もちろん、いずれのメニューも大好評につき完売!でした。

参加した学生たちからは「減塩は塩を減らすだけかと思っていたけど、うま味調味料『味の素®』を活用すればこんなにおいしくなるんだ!」と、驚きの声が上がりました。

あーぴんさん(中央)と模擬店の学生たち

2022年(令和4年)の秋は、東京・渋谷をベースにしたソーシャルイノベーションウィーク渋谷プロジェクト(以下SIW*)にも参加し、学生たちと「うま味でおいしい減塩」から考える私たちのウェルビーイングと題したアイデア会議を開きました。

門田:このワークショップで印象的だったのが「『味の素®』を塩の一種だと思っていた」という発言です。多くのZ世代にとって「味の素®」は "新しい調味料" なのかもしれません。しかし、「味の素®」を使った味噌湯体験でうま味を味わってもらうと、そのイメージは一変。「うま味ってすごい!」となり、一気にうま味とおいしさに対する関心が高まりました。

「おいしいものを食べていたい」という気持ちがとても強いZ世代。「じゃあ、『味の素®』を使ったおいしい減塩を広めるにはどうしたらいいと思う?」という問いかけには、
「アウトドアで楽しめる減塩メニューを提案したい」
「保育園や幼稚園などの幼少期からうま味と減塩を教えてあげたい」
など、Z世代らしいさまざまなアイデアが飛び出しました。こうした声を次の取り組みにつなげていきたいと思います。

*SIWとは、 一般社団法人渋谷未来デザインが主催し、毎年秋に渋谷で開かれるアイデア会議。渋谷をベースにする企業やフリーランス、学生らが集まって社会問題の解決をテーマに2019年(令和元年)から開催されているプロジェクト。

「味気なくてめんどうくさい」減塩のイメージをどう変える?

門田:減塩と聞くと、「味が薄くて味気ない」「おいしくないし、めんどうくさい」「減塩なんて必要ない」と思う人が多いようです。とくにZ世代、ミレニアル世代の若い人たちはその傾向が強いですね。より塩味の強いものを好むのも若い世代です。

昨年、味の素社で行った調査によれば、日本人が食事に求めるもっとも重要な要素は味。つまり「おいしさ」という意見が多かったそうです。一方、低ナトリウム食品(減塩食品)に対しては、「味気ない」「つまらない」「手に入りにくい」「値段が高い」という認識を持っている人が多いという結果も出ました。

減塩の必要性が注目されるようになって数十年が経ちますが、いまだにその重要性が十分に認識されていないという課題が残されています。

門田:じつは、日本人の8割以上が塩分を過剰摂取しているんですね。厚生労働省がガイドラインとして出している1日あたりの塩分摂取目標量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満です。そしてWHO(世界保健機構)が推奨している塩分量は5g未満とさらに少ない量となっています。ところが現状は、平均で男性10.9g、女性9.3g(2019年厚生労働省)も摂っているんです。

改善が進まない理由として、そもそも摂りすぎているという意識が低いことが挙げられます。

門田:「LOW SALT CLUB」が参加したイベントでは、Z世代から「減塩は若いうちから必要だということを知らなかった」という声も多く聞かれました。また、「ふだんから薄味だから大丈夫」と思っている人もいたりする一方で、減塩は必要と知りつつも「まだ自分には必要ない」と自分ごと化できていない人が多いということも実感しました。

また、減塩料理に対しては、「おいしくない」「手間がかかる」「高くつく」というネガティブな印象も根強くあるようです。

門田:減塩をポジティブに発信していくことが「LOW SALT CLUB」の使命かなと思っています。

減塩の輪を広げ、「健康寿命の延伸」へ

若者に人気の料理家インフルエンサーたちが参加している「LOW SALT CLUB」は、今後もいろいろなメディアで発信していくそうです。

門田:「LOW SALT CLUB」は、2022年(令和4年)のSIW参加以降も、若者の街・渋谷から、さらなる減塩の輪を広げる取り組みにチャレンジしています。適正飲酒に取り組むスマドリ社*が2022年(令和4年)に渋谷にオープンした、お酒を 「飲まない/飲めない」 人も楽しめるバー「SUMADORI-BAR SHIBUYA」で、2023年(令和5年)1月~2月にかけて「味の素®」をフル活用した「おいしい減塩」メニューを展開しました。

*スマドリ株式会社 アサヒビールと電通デジタルの合弁会社。適正飲酒、スマートドリンキング®に取り組む。

また、減塩への理解を深めた部員のみなさんが、自身のメディアでどんどん減塩メニューを発信してくれるようになっているそうです。

門田:インスタグラムでは「#LOW SALT CLUB」でつながっています。このように部活動の外へ減塩の輪が広がっていくことを期待しつつ、味の素社としてしっかりサポートしていきたいですね。

そもそも味の素社が減塩の大切さを発信する理由は、「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」企業として人々の食と栄養課題の解決に取り組んでいるから。

門田さんが所属しているサイエンスグループでは、栄養、おいしさ、アミノ酸に関する社内外のさまざまなエビデンスを集約し、わかりやすく情報発信するとともに、学会発表や行政機関との連携などを通じて、健康維持や栄養改善に貢献するコミュニケーション活動を続けています。

門田:この「LOW SALT CLUB」では、Z世代とのコミュニケーション手法を開発していくことも目的としています。味の素社で培われたサイエンスに基づくファクトやうま味によるおいしい減塩の価値は、どうすれば分かりやすく、実生活に役立つ情報としてZ世代に届けることができるのか。Z世代に減塩の必要性を伝えるのは、人の健康な一生を考える上でとても大切ですが、非常に難しいこと。だからこそ、これからも「LOW SALT CLUB」の部活動をサポートしながら、あらゆるアプローチを検討していきたいと思います。

20歳の人が、その後の人生でいただく食事の回数は7万回以上。これだけたくさんの食事をよりおいしく、より楽しみながら健康に生きていきたい。減塩の知識があるかないかは、健康に生きていく上での大きな分かれ目になるかもしれません。

日本人の平均健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳です(2019年<令和1年>)。今、20歳の人が年を重ねたときにこの数字が延びていることを願っています。

<用語集>


健康寿命
健康寿命とは、WHOが提唱した新しい指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引き、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。2019年(令和元年)統計で、日本の平均寿命と健康寿命の差は男性で約9歳、女性で約12歳です。

門田 浩子

グローバルコミュニケーション部サイエンスグループ
味の素社入社後、東京支社での外食・加工業態における営業の技術サポートや、量販店向け家庭用商品を用いたメニュー開発提案、研究所での国内外市場に向けた業務用商品のアプリケーション開発の担当を経て、2013年に広報部学術グループへ。現在は、グローバルコミュニケーション部サイエンスグループに所属し、日本うま味調味料協会広報部会長としてうま味調味料の価値を広く発信しながら、うま味調味料「味の素®」の健康価値、味の素社のブランドパーセプション向上に寄与すべく活動しています。
仲間づくり、人と人とのつながりを大切にすることを心がけています。趣味は、ガーデニング、DIY、おいしいお店の探索。

2023年4月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

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