にんじんは、和洋中の料理に幅広く使われる人気野菜です。和食では、なますやごま和え、煮物、きんぴら、飾り切りにして彩りを添えるためにも使われます。洋食では、サラダやバターソテー、煮込みやスープにも重宝します。にんじんしりしり(沖縄)やいかにんじん(福島)など、その土地ならではの郷土料理もあります。
それでは、にんじんの魅力をたっぷりとご紹介します。
感染症シーズン!のどや鼻の粘膜を守るには?
湿度が低い季節は、暖房器具の使用などによって、さらに室内の空気が乾燥しがちになります。
にんじんには、そんな乾燥シーズンにぜひ摂取したいβカロテンが豊富に含まれます。
βカロテンは、体内でビタミンAに変わります。ビタミンAは呼吸器、消化器などの粘膜や皮膚を構成する上皮細胞の形成や働きに欠かせないものです。不足すると皮膚や粘膜が乾燥して弱くなり、感染症にかかりやすくなるといわれています。
βカロテンが豊富!もっと食べたいにんじんの栄養
βカロテンは、にんじんの皮にも多く含まれるため、できるだけよく洗って皮つきのまま使うか、薄くむくようにしましょう。皮には食物繊維も多く含まれます。
βカロテンは、脂溶性なので、油を使った料理に使用すると吸収率が上がります。炒め物や揚げ物はもちろん、生で食べる場合もドレッシングに油を使用するなどするとよいでしょう。ただし、献立に肉や魚を使った料理や油を使った料理があれば、組み合わせて食べることで、吸収率は上がるので、必ずしも、にんじんを炒めたり揚げたり、油で和えたりする必要はありません。
にんじんの西洋種と東洋種の違いを解説
にんじんには、東洋種と西洋種があります。私たちが、スーパーなどで目にするにんじんは、西洋種の五寸にんじんと呼ばれるもの。
おもな品種は、
・向陽
・ひとみ五寸
・黒田五寸
などです。
東洋種のにんじんは、栽培が難しいことから生産量が激減しました。現在、関西以西で生産されている「金時にんじん」が、東洋種の代表的な品種です。細長く、濃い赤色が特徴で、関西以西では正月料理に欠かせない食材です。東洋種のにんじんは、甘みが強く、匂いもきついといわれています。
また、長さ10cmほどの小型品種「ベビーキャロット」は、サラダなどで重宝されます。
ちなみに、漢方薬などで用いられる高麗人参(朝鮮人参)は、ウコギ科の多年草で、にんじんとはまったく異なる植物です。
元気をくれる「にんじん」の栄養素
■豊富なβカロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変わり、粘膜や皮膚を健康に保つ
■皮には食物繊維がたっぷり
■ナトリウムの排出を促す、カリウムもたっぷり
【旬のレシピ】アレンジ自由自在!マスターしたいにんじんレシピ
にんじんを選ぶポイントは、こちら。
・色が鮮やかで表面がなめらか
・かたくひきしまっている
・赤みが強い
・茎の付け根が小さく、芽が出ていない
赤みが強いものはカロテンが多く含まれます。茎の付け根が小さいものは、芯の部分も小さく味もよいです。茎の付け根が茶色い場合や芽が出ているものは、収穫してから時間がたっているので避けましょう。
にんじんは比較的保存しやすい野菜ですが、すぐに使えるように簡単な下ごしらえをしておくと便利です。
●下ごしらえその1:「塩もみ」
にんじんをせん切りにし、重量の1%の塩をふって塩もみする。冷蔵保存(約4日)も可。浅漬けとしてそのまま食べてもよいし、にんじんしりしりやキャロットラぺにする、肉などと炒めるなどにアレンジできる。
●下ごしらえその2:「冷凍保存」
薄いいちょう切りやせん切りにして、冷凍用保存袋になるべく平たくして入れ、冷凍。必要に応じて折って(割って)取り出し、凍ったまま調理する。
「にんじんのポタージュ」
お子さまにも人気!にんじんの甘味を味わえるポタージュ。
「やみつき!無限にんじん」
ごま油の香りが食欲をそそる、栄養満点副菜!
「にんじんの卵炒めみそ風味」
彩りあざやか!ごはんがすすむ一品です。
牧野先生のスペシャルレシピ
わが家では、こんなメニューが人気です。
副菜として多めに作って、常備菜にすることが多いです。
・簡単にできて子どもがよろこぶ!にんじんしりしり
せん切りにしたにんじんを、サラダ油でしんなりするまで炒め、めんつゆを回し入れる。そこへ溶き卵を入れ、にんじんとなじませる。
※ツナを加えるともっとおいしく仕上がります。
・ナムル
せん切りにしたにんじんを塩もみし、さっとゆでて水気を切る。みじん切りしたねぎ、しょうがに、酢、砂糖、塩、こしょう、ごま油を混ぜ、にんじんと和える。仕上げにごまをふる。
・キャロットラペ
せん切りにしたにんじんに砂糖をなじませ、水気が出たらよく絞る。粗く刻んだくるみ、フレンチドレッシング、カレー粉を和える。
※冷蔵庫で3〜4日保存可能。クルミをアーモンドスライスや松の実にしてもOK。
・にんじんバターライス
炊飯する際に、2〜3cmの厚さに切ったにんじんをのせる。やわらかくなったにんじんを刻んで、バターと一緒にごはんに混ぜる。
炊飯器で炊いたにんじんは、さまざまなメニューで活躍します。
・食べやすく切って、サラダや炒め物、肉や魚料理の付け合わせに。
・ブレンダーなどで細かくして、ポタージュに。
・離乳食や介護食に。
厚生労働省の「健康日本21」が推奨する、1日の野菜摂取目標量は350g。しかし、実際の日本人の野菜摂取量は281gです。
不足している70gというと、トマト半分、小鉢1品程度の分量です。毎日、野菜を使った副菜を1品プラスするといいですね。
味の素社でも、日本人の野菜不足をはじめとした食と健康の課題解決への取り組みとして、野菜の魅力を引き出す簡単なレシピをたくさん提供しています。
自然の恵みに感謝して、
今日もおいしく、旬をいただきましょう。
監修:牧野直子(まきの・なおこ)
管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター。「スタジオ食(くう)」代表。おいしくて体にやさしいレシピや健康的なダイエット法などを提案し、テレビ、雑誌、料理教室、健康セミナーなどで幅広く活躍中。共著に『2品おかずで塩分一日6g生活』(女子栄養大学出版部)ほか。
2022年3月の情報をもとに掲載しています。
「野菜不足の食習慣に革命を起こしたい!」味の素社の若手社員が立ち上げたプロジェクトの名前は「ラブベジ®」
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