活動レポート

全国の小学校で開催!知識と体験を実践につなげ、生きる力を育む
味の素社の「出前授業」とは? 

全国の小学校で開催!知識と体験を実践につなげ、生きる力を育む 味の素社の「出前授業」とは? 
味の素社は、子どもたちの「健康なこころとからだ」を育むことを目標に、小学5年生を対象とした「出前授業」を行っています。おいしく栄養バランスよく食べることの大切さを、楽しく学べる食育プログラムは、先生や子どもたちに好評です。リピート率は6割にのぼり、2006年にスタートして以来、のべ約13万人の子どもたちが受講しています。


味の素社の出前授業は、なぜ高く評価されているのでしょうか。
その秘密を探るべく、出前授業のコンテンツ開発を担当する蛭田聡子氏にお話を聞きました。

グローバルコミュニケーション部企画管理G 蛭田聡子

グローバルコミュニケーション部企画管理G 蛭田聡子

「実践力」を重視!「出前授業」プログラムの中身とは?

2020年より、味の素社は「食と健康の課題解決」を新たなビジョンに掲げています。
味の素社が提供する「出前授業」も、偏食や少食、食生活の乱れなど、子どもたちが抱える食の課題を解決することを目指した食育プログラムとして、
・栄養バランスのよい食事と成長期の身体づくりに大切なたんぱく質を摂ること
・おいしく食べること
を総合的に学べる内容を目指しています。

そして、子どもたちが変化の時代を生き抜くために必要な「生きる力」を育むため、知識に体験を掛け合わせて実践につなげることを、とくに重視しているそうです。
子どもたちに人気の「出前授業」、どんな内容なのでしょうか。

「プログラムは事前学習、当日の授業、事後学習の3つで構成されています。事前学習では、食材に含まれる『五大栄養素』とそのはたらきを紹介し、うま味はたんぱく質を構成するアミノ酸であることを伝えます。そして、給食の献立表の中から、子どもたちに好きな献立を1つ選んでもらい、使用している食材を栄養素ごとに分類することで、普段食べている食材が身体を構成するために必要な栄養素であることを実感してもらいます」

当日の授業では、舌で感じる味には、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5つの基本味があることを学んだ上で、お湯に味噌を溶いた味噌湯と、そこに「味の素®」を振り入れたものを試飲してもらい、うま味のはたらきで味がどう変わったのかを体験してもらいます。

「5つの基本味の中でも、うま味は舌がボワーンとなにかに包まれているような感じで、なんと表現したらよいのかわからない味。子どもたちにとって、これを味だと認識することは難しかったかもしれません。体験を通して、言葉では説明しにくいうま味を、驚きをもって知ってほしいという思いがあります」

子どもたちに配布する出前授業の教材

子どもたちに配布する出前授業の教材。「なにか一つでも子どもたちの気づきとなり、生活に取り入れてもらいたい」という思いで教材づくりを行っている。

その後、生徒たちに和食のだし素材である昆布、かつお節、干ししいたけ、煮干しなどの現物を観察してもらい、和食のだしの役割について理解を深めます。

「事後学習では、事前学習と授業で得た知識と体験を実践に活かすために、たまごかけご飯、小松菜の炒めものなど、うま味を活用した簡単なレシピを紹介します。そして、子どもたち一人一人に配布した「味の素®」を使って、実際に家で好きな料理を作ってもらい、作った料理や食べた感想をシートに記入してもらうのです」

記入済みのシートは、出前授業の担当者が内容を確認し、「よく頑張ったね!」とコメントを入れたり、花丸を付けたりして、子どもたちに「修了書」と一緒に返却するそうです。

「一方通行ではなく双方向のコミュニケーションを行うことで、子どもたちの喜びにつながるといいなと思っています」

子どもたちが記入した内容をもとに、どのレシピがどれくらい作られたか、どれだけ家庭の中で対話が生まれたか、などを分析し、コンテンツの改善にもつなげています。また、子どもたちの素直な感想を読むと、授業の内容をどう受け止めているのかがわかり、新たな発見もあるそうです。

「子どもたちには、おいしく食べることの楽しさを伝えたいので、冒頭から健康という切り口で授業を始めるのではなく、おいしいってなんだろう?と子どもたちに問いかけながら授業を進めていきます。そんな中で、子どもたちは出前授業を通して、栄養バランスよく食べることが、健康な身体づくりにつながると自然に感じ取ってくれている。感想からはそんなことが見えてきて、子どもたちの感性の豊かさをつくづく感じています。
さらにシートの内容から、家で料理を作った子どもたちのほとんどが、その料理を家族と一緒に会話をしながら食べていることも見えてきました。作ることが、コミュニケーションのきっかけになっているのはうれしいですね」

実践を取り入れたプログラムは、おいしく栄養バランスよく食べることの大切さを、子どもだけでなく、保護者に伝えることにもひと役買っているようです。

出前授業事務局のスタッフ:左から伊従護、佐藤由華里、高橋里美、高橋亘。

出前授業事務局のスタッフ:左から伊従護、佐藤由華里、高橋里美、高橋亘。
子どもたちに「よりわかりやすく、より楽しく」伝えるために日々奮闘する。

先生のニーズと課題を徹底分析!高評価プログラムが誕生した背景

味の素社の出前授業が、小学校の先生に高く評価されてきた背景には、学校や先生のニーズを徹底的に把握し、出前授業を学校の授業として活かしてもらおうとする姿勢があります。先生への細やかなヒアリングを行い、学習指導要領を読み込むことで、学校の授業と連携した上で「味の素社ができること」を追求してきたといいます。

「現在のプログラムでは、実践力を重視しています。その理由は、先生方との意見交換を通して、『知識と体験を実践につなぐ』ことをとくに意識しておられることに気づいたからでした。コロナ禍で調理実習を休止する学校も多く、学校では食に関わる体験がしにくい状況にある。学校でできなくても、家で作ることで実践につなげてほしいという思いもありました」

グローバルコミュニケーション部企画管理G 蛭田聡子氏

先生のニーズを満たすだけでなく、学校が抱える課題を解決することも考えたプログラムである点も、好評を博しているそうです。

「授業の中で、栄養バランスよく食べることの大切さを伝えても、子どもたちへの意識付けにはさまざまなご苦労があることをお聞きしています。それに対して、うま味体験を通じ、おいしく食べること、栄養バランスよく食べることの意味を自然に理解できると、体験と実践を取り入れた出前授業のプログラムに、先生方はとても共感してくださっています」

訪問授業以上の満足度!ただの「リモート授業」ではない理由

コロナ禍によって、出前授業の手段を見直し、 2021年度から、訪問授業は東京都・神奈川県・佐賀県に限定したとのこと。一方、全国の小学校を対象にリモート授業がスタートしました。現在、出前授業全体でリモートが6割、対面4割と、リモート授業が半数を超えているそうです。

リモート授業であっても、体験と実践を大切にする姿勢は変わらない、と蛭田氏は強調します。

「リモート授業というと、一方的に動画を配信するイメージをもたれがちですが、私たちは体験を重視しているので、先生方にご協力いただき、一緒に授業を作っていくことを前提としています。こちらからお送りするカメラとスピーカーの接続方法をはじめ、体験で使用する味噌湯の味噌とお湯の配分、味噌湯を子どもたちに配るタイミングなど、どのタイミングでなにをお願いしたいのかを、当日の流れに沿って詳細にお伝えするリハーサルを必ず行っています。訪問できない分、しっかりとコミュニケーションをとり、先生方の不安をなくすことを大事にしています」

リモートだからこそ、よりていねいなコミュニケーションを行うことで、先生たちは、訪問授業と変わらないどころか、それ以上に高い満足感を感じてくださっているそうです。

「リモートでも訪問でも、子どもたちが出前授業の体験から得られる感動は変わらないことがわかってきました。これからも単なるリモートではなく、リモートと対面を掛け合わせた新しい出前授業の形にも挑戦していきます」

「豊かな食体験を提供したい」という味の素社の一貫した思い

そもそも、なぜ味の素社は出前授業を始めたのでしょうか。

「きっかけは、2005年7月に『食育基本法』が制定され、食育に関する取り組みを推進し、子どもたちの食をサポートしていこうとする国の方針が示されたことでした。これに対して、味の素社としてなにができるのかを考え、出した答えが、全国の小学校で出前授業を行うことでした」

時代のニーズに合わせて授業内容は変化しましたが、変わらないのは、次世代を担う子どもたちに豊かな食体験を提供したいという思いです。

「『おいしく食べて健康づくり』という創業の志を未来につなげるために、味の素社は、おいしく栄養バランスよく食べることの大切さを、大人になってからではなく、できるだけ早い段階で伝えていきたいという思いがあります。子どもたちが食に関心をもつきっかけを提供することで、好き嫌いが多い、朝食を食べないといった食課題の解決につなげることを目指しています」

出前授業に関わって8年目になる蛭田氏は一児の母でもあり、コンテンツ開発を通して、自分の子どもにどう生きてほしいか、食とどう関わってほしいかを考えるようになったといいます。そして近年、子どもたちの食環境に、ある変化を感じるようになったそうです。

「食環境が多様化し、食卓に味噌汁があまり登場しないご家庭や、かつお節や昆布といっただし素材を見たことがない子が増えてきたと感じます。そこには、私たち親の世代の食生活や食事づくりが大きく影響しています。共働きで多忙な中、だしを毎日とることって難しいですよね。だからこそ、子どもたちには『だしをとる』ことの大切さを伝える一方で、だしをとる代わりに手軽な方法があることも知ってほしいと思っています。これからも、子どもたちが生活に無理なく取り入れられる、実践を意識したコンテンツを作っていきたいと思います。
また、食は栄養だけでなく、文化、環境など多面的な顔をもっています。出前授業をさらに充実させて、食に触れるさまざまな機会を提供していきたいですね」

味の素社の出前授業には、創業当時から変わらない「うま味を活かした栄養豊富でおいしい食を普及させ、人々を健康にしたい」という思いがありました。そしてさらに、「食と健康の課題解決」を目指す企業として、子どもたちがおいしく食べることに興味をもち、生きる力をつけ、健康に暮らしていける社会をつくることへの願いが込められていました。

2022年1月の情報をもとに掲載しています。

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