活動レポート

野菜を売るのは畑違い? 視点を変えた業務推進が生んだ成功とは

野菜を売るのは畑違い? 視点を変えた業務推進が生んだ成功とは
「1日に必要な野菜の摂取目標量は、1人あたり350g以上」といわれていますが、わかっていても難しいのが現実です。
そんな食習慣に革命を起こしたい、そう思い立った若手社員があるプロジェクトを立ち上げました。
“Love(愛)”と“Vegetable(野菜)”をかけ合わせたその名も「ラブベジ」プロジェクト。小さな気づきから生まれたプロジェクトがやがて全社規模の動きへ成長したその裏には、組織体制や向上心を後押しする環境がありました。

「面白いことはどんどんやれ」に後押しされた取り組み「ラブベジ」

ある調査結果で明るみになったのは、「愛知県は野菜の生産額ランキングベスト5」に入る県である一方で、なんと「野菜摂取量は全国最下位」という事実でした。これにショックを受けて立ち上がったのが、名古屋支社の有志5人でした。ラブベジは、地元への愛着と「味の素KKとして何か取り組むべきではないか」という思いに突き動かされスタートした自発的なプロジェクトだったのです。

プロジェクトの目標は、地域の人々の食生活改善に貢献することと、売上をアップすることでした。プロジェクトメンバーの1人である中村諒は
「それまでは、営業として売上を第一に考えるのが当然だと思っていました。しかし仲間たちと話すうちに、『モノを売るだけが営業の価値ではない』という思いが高まっていったのです」。と振り返ります。

新しいことに挑戦する者ほど評価される味の素グループにおいて、上司や支社長たちが、「面白いことはどんどんやれ、遠慮なく挑戦しろ」と全面的に応援したことも、彼らの行動を後押ししました。

視点を変えると野菜が売れる?味の素ならではの食習慣改善施策

まず取り掛かったのは、1品で野菜がたっぷり摂れるメニューの開発でした。メンバーのひとり、管理栄養士の川上真理子は、自分の母校である女子大とコラボし、独創的かつ家庭で作りやすいレシピを開発しました。悪戦苦闘しながらも普段の仕事と違う手応えを感じたと言います。

川上「普段は料理教室などを対象に"うま味"の普及に取り組んでいますが、ひとりで行う作業がほとんど。色々な人から意見やアイデアをもらうのは、自分の知識や技術を試されるようで刺激的でした」

若手営業担当の小寺悠太は、スーパーなどと協力して「野菜の売上アップ」を目標のひとつに設定し、メニューブックの制作に乗り出しました。

小寺「過去の取り組みから、ただ『野菜を食べよう』とメニューを提示しても摂取量の向上に直結しないことがわかってきました。野菜も玉ネギとナスの2種類に絞り込み、簡単でおいしいメニューを川上さんにつくってもらいました」

メニューブックを野菜売り場に置くと、すぐに増刷が必要になるほど次々に持ち帰られるようになりました。しかも、玉ネギとナスはよく売れ、それと連動するようにして味の素グループの調味料が売上を伸ばしていったのです。小寺たちが目指した「生活者・お得意先・味の素グループ、すべてがWin-Win」というプロジェクトの道筋が見えてきたのです。

目標にさらに近くため、人々との接点を増やすことも課題となりました。
そこで、プロジェクト内に「広報チーム」と、「行政チーム」を発足させ、タウン誌への掲載や市区町村イベントへの出店などにも取り組みました。実はこのことは、企業価値の向上も意識した活動でもあったのです。

「野菜嫌いの3大原因」へアプローチした若手社員のアイデア

やがてメンバーたちに、「そもそも、なんで愛知県の野菜摂取量は低いのか?」という本質的な疑問がわき上がります。そこで、調査会社に依頼して全国的な調査を行うと、興味深い結果が出ました。

・野菜摂取量は若い世代ほど低い。
・従って若年者人口の多い都道府県はどこも野菜摂取量が低い。
・しかも厚労省が奨励する「1日350g以上」の野菜を摂ることは、長野県以外達成できていない全国共通の課題。

さらに全国1400サンプルの調査で、なぜ若い世代が野菜を食べないか、その理由が見えてきました。
大きな理由は、「野菜は高い」「買っても使い切れない」「調理レパートリーが少ない」の3つです。これを解決することが摂取量向上のヒントになると考え、たとえば旬のキャベツなら丸ごと1個を使い切るメニューで、しかも、調理器具も極力使わないレシピを追求したところ、得意先であるスーパーなどに歓迎されました。

中村「当初は『売上や自社製品にはこだわらない』と考えましたが、やはり野菜の売上アップという目に見える効果は流通を惹きつけ、自社製品の売上増は支社内でのプロジェクトへの評価を高め、結果としてメンバーのモチベーションも高まりました。企業である以上、事業として成り立たせることが継続性のカギなのだと、改めて勉強になりました」

こうして「ラブベジ」は他府県にも広がり、注目すべき斬新な取り組みとして、会社から表彰されることになりました。若手の自主的な取り組みとして始まった活動が、今、全社的な動きとなろうとしているのです。

何よりの成果は「メンバーの成長と意識の向上」

中村「上下関係のないフラットな組織で、全員が対等に、自由に、そして責任感を持って役割をやり切りました。支社の営業がテレビ局に打合せに行ったり、雑誌のレイアウトを考えたりする機会なんて、めったにありません。『自分たちにもこんなことができる!』という達成感が、全員を成長させてくれました」

メンバー全員が熱意と目標を共有した「ラブベジ」プロジェクト。
・トップダウンでなく、気づいた者が声を上げ、主役となる
・よいアイデアは組織全体で応援し、長い目で育てていく
という、味の素グループが目指す未来の象徴ともなっています。

働き方改革を推進し、世界トップ10企業を目指す味の素KKを象徴する動きの1つとなった「ラブベジ」プロジェクト。
『事業を通じた社会的課題解決への貢献』というASV(Ajinomoto Group Shared Value)の理念を、具現化した、若手社員のインタビューはこちらから

2020年2月の情報をもとに掲載しています。