活動レポート

気候変動緩和対策のリーディングカンパニーへ
4年連続CDP「気候変動Aリスト」への道

2023年度、味の素社は4年連続でCDP*の最高評価「気候変動Aリスト」に選定されました。Aリスト入りは、世界の企業のわずか数パーセント。味の素社はなぜこのように厳格な基準をクリアすることができたのでしょうか? CDPの情報開示を担当するグローバルコミュニケーション部の石川有紀子さんに話を聞きました。

*CDPは、イギリスで2000年に発足した非営利団体です。企業や自治体に対して、気候変動、水資源保護、森林保全などの環境問題への取り組みの促進と情報開示を求める活動を行っています。同団体は、世界の主要企業が環境活動にどう取り組んでいるかについての情報を収集・分析・評価しています。
2023年度(令和4年度)は世界の時価総額の約半分に相当する23,000社以上の企業がCDPのデータ開示要請に応じました。

サステナビリティ情報の開示を担当・石川さんの視点

石川:社会や地球に貢献するサステナブルなASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)は、味の素グループが創業以来受け継いできた経営の基本方針です。

そう語る石川さんは、研究職として入社した後、2013年(平成25年)に離職。二児の母としてのフランスでの生活を経て、二度目のキャリアをスタート。自らSDGsの「ジェンダー平等」「働きがいも経済成長も」を体現しながら、「気候変動対​​策」などに向かって味の素グループをけん引するリーダーとしてパワフルに活躍しています。

石川:当時、再雇用制度によって、一度退職しても5年以内に戻ればチャンスがあると言われました。復職の際に、海外経験を活かせる職場を希望したところ、グローバルコミュニケーション部に配属が決まりました。

復職した2017年(平成29年)に、石川さんが取り組んだ最初の仕事が「統合報告書」(2022年度よりASVレポートに名称変更)の作成です。統合報告書は非財務の要素と財務の視点を統合した会社の成長の道筋を示すアニュアルレポートです。そこで生かされたの​​が4年半のフランス生活でした。​​​​

フランス滞在時のカフェで。

石川:マルシェでは野菜が木の箱に並べられていて、紙袋に入れて渡される。卵も再生紙でできたパックを繰り返し使う。日本の生活でいかに大量のプラスチックを使っているかを改めて知りました。環境の観点では欧州は圧倒的に進んでいます。そのとき学んだことが、今の仕事のベースにもなっています。

左:季節の品が並ぶフランスのマルシェ。右:簡易な包装で資源を節約。

「気候変動Aリスト」の評価を得るには、毎年の野心的なコミットメントが求められる

味の素社が初めてCDPの気候変動Aリストに選定されたのは2020年度(令和2年度)。それから4年連続の選定は、気候変動緩和対策のリーディングカンパニーとしての味の素グループの実績と信頼を示しています。

石川:Aリストの評価を得るためには、優れた取り組みと実績を示すだけでは不十分。毎年の野心的なコミットメントが求められます。

世界の企業や投資家が注目するCDP。味の素グループは年々厳しくなるそのスコアリング基準に、なぜ応えられたのでしょうか。

CDPにつながる味の素グループの "志"

石川:Aリスト入りは目標の一つでしたが、そのために何かをしたというわけではありません。創業の"志"が、そのままCDPにつながっていたのです。
という石川さん。

味の素グループの志(パーパス)は「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」。これは創業の志である「おいしく食べて健康づくり」から続いている「貢献」の思いを伝承したものです。

それが、現在のASV「事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取り組み」となり、4年連続のAリスト獲得につながっていったのです。

サプライヤーとともに、グローバルな取り組みでネットゼロ実現へ

味の素グループは現在、「2030年度までの温室効果ガス排出量の50%削減(2018年度比)」への取り組みを進めています。また、使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す「RE100」にも参画し、2050年度までのネットゼロ実現を目指して、昨年からサプライヤーへの働きかけを強めています。

当社グループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の内、4分の3を海外工場からの排出量が占めているため、グローバルでの燃料転換も積極的に進められています。

その特徴的な取り組みのひとつが、タイの工場でのバイオマスコジェネレーションシステムの導入です。燃料は現地で大量に廃棄されるもみ殻。このプロジェクトに15億バーツ(約57億円)が投じられています。

「味の素®」の副生物を活用したサステナブルな生産システムの構築

また、サステナブルな生産システムの構築も進められています。

石川:うま味調味料『味の素®』を作る工程で出る副生物はとても栄養リッチ。それを肥料に使い、原材料のサトウキビなどを育て、そしてまた『味の素®』の生産に使いながら、温室効果ガス排出削減にも貢献する『バイオサイクル』。これも当社ならではの取り組みです。

発酵技術でCO2から食べ物を

石川さんは今後について「社会価値と経済価値の統合ができない会社に未来はない」と語ります。

今後の味の素グループの、成長ドライバーの一つが「グリーンフード事業」です。

たとえば、「バイオ技術を応用した培養肉」や「二酸化炭素を栄養源とした微生物たんぱく質*」を製造すること。味の素グループには発酵技術で物を作り出す技術、何もないところから物を生み出す力があります。

通常、微生物は糖などを原料としてたんぱく質を生成しますが、CO2を原料に作られるたんぱく質は天候や土地の条件に左右されない、天然資源に依存しない、製造に再生可能エネルギーを使用するといったことから、持続可能で環境負荷の低い食材として注目を集めています。当社では、フィンランドのフードテック企業との協業も開始しました。

石川:味の素グループの技術を最大限に活用し、食べられないと思われているものを、おいしく食べられるようにすること。そして、世界中の生活者に届けること。これは大きなチャレンジであり、そして、私たちがやっていかなければいけない領域であると考えています。

*微生物たんぱく質とは、微生物によって生成される、たんぱく質を主成分とする食品用途の素材

情報開示と「ASVレポート(統合報告書)」に込めた思い

CDPの評価では、情報開示の姿勢や透明性がとても重視されます。味の素グループでは、「サステナビリティ諮問会議」や「サステナビリティ委員会」の設置などを通じた取り組みの推進とともに、情報の透明性や平等性の担保にも努めています。

石川:当社が毎年作成している『ASVレポート(統合報告書)』には思い入れがあります。堅い資料だと思われがちですが、世界のすべてのステークホルダーに味の素グループの思いとアクションを理解していただけるように、工夫しています。ぜひ一度読んでいただけると嬉しいです。

ASVレポート(統合報告書)

<用語解説>


ネットゼロ
ネットゼロ(Net Zero)とは、排出される温室効果ガス(GHG)と除去される温室効果ガスが同量でバランスが取れている状況のことをいいます。人間の産業活動によって排出される「排出量」と「吸収量」を差し引いて、温室効果ガス(GHG)の排出を全体としてゼロにすることを「ネットゼロ(Net Zero)」または「正味ゼロ」といいます。

RE100
RE100とは、企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す、国際的なイニシアティブのこと。2018年6月、環境省が公的機関としては世界で初めてアンバサダーとして参画しました。味の素グループも参画を表明しています。

出典:環境省(https://www.env.go.jp/earth/re100.html

バイオマスコジェネレーションシステム
バイオマスコジェネレーションシステムとは、バイオマス燃料から、電力と熱(蒸気)を生産し供給するシステムの総称です。味の素社はタイの基幹工場(タイ味の素社カンペンペット工場、所在地:タイ国カンペンペット県)において、再生可能エネルギーであるもみ殻を燃料とするバイオマスコジェネレーションシステムを導入。2022年9月より本格稼働を開始しました。工場で使用する全ての蒸気をバイオマス由来の蒸気に置き換え、同時に蒸気タービンで発電を行い、購入電力の一部を自家発電に切り替えることで、CO2排出量削減を推進するとともにエネルギーコストの低減を実現します。

2024年2月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

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