この取り組みをASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)と称しています。
ASVは味の素グループ全体の取り組みとして浸透しており、従業員一人ひとりが常に意識しながら働いています。
「私が語るASV」では、味の素グループの従業員たちが、どのようにASVを意識して業務に取り組んでいるのか、その物語の一部を紹介していきます。
第4回は、アミノ酸系界面活性剤の販売マーケティングや、RSPO認証※維持を担当する、川瀬さんのレポートです。
※持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil)による認証
肌がキレイになることはこころも満たされることにつながる
2020年から世界中に蔓延した新型コロナウィルス感染症への予防策として、一般家庭においても日常的に手指消毒が行われるようになりました。頻繁に消毒をすることによる手荒れなどの肌トラブルが問題視される中、高い殺菌効果を持ちながらも肌にやさしい、味の素社の「CAE®」(アミノ酸系カチオン界面活性剤)が、世界から大きな注目を浴びています。
アミノ酸由来の「CAE®」は肌にやさしい
「CAE®」は、アミノ酸由来のカチオン界面活性剤。高い殺菌性・安全性があることから、医療現場で使用される除菌製品に使われているほか、毛髪に吸着する特長を生かし、リンスやトリートメントのリンス基剤にもなっています。
アミノ酸は、人の皮膚や毛髪の大部分を構成する、人との相性が良い素材。生物が物質を分解する、生分解性にも優れており、肌だけでなく地球環境にもやさしい、ナチュラルな素材でもあるのです。
味の素グループは、アミノ酸と科学を融合したアミノサイエンス事業の世界トップ企業グループとして、この「CAE®」などのパーソナルケア素材の研究開発や生産、販売などを行っており、そのネットワークを世界各国に拡げています。
川瀬さんの業務は、化粧品やトイレタリーメーカーに対して、「CAE®」などのパーソナルケア素材の販売マーケティングを行い、ハンドソープなどの商品開発につなげるための橋渡しをすること。
業務に取り組む中で常に意識しているのは、肌をより良い状態に保つことがからだ全体の健康にもつながってくるということです。それに気づいたきっかけは、意外と身近なところにあったのだそう。
川瀬:化粧品メーカーに勤務していた叔父が、親戚の集まりにスキンケアの試供品を持参したことがありました。その場にいた女性たちがとても喜ぶ姿を見て、肌がキレイになることはこころも満たされることにつながるんだなと感じたことが、鮮明に記憶に残っています。肌は人の体重の約16%、肌全体を一枚に広げると約1.6㎡の面積で畳一枚分程度にもなる、人体最大の"臓器"。こころの状態とも密接に結びついていると考えるようになりました。
「顧客満足度調査」を磨き込み、しっかりと顧客分析していくことが重要
川瀬さんは「CAE®」のほかにも、「アミソフト®」や「アミライト®」といったアミノ酸系界面活性剤に関する業務に携わっています。
川瀬:目下チャレンジしていることは、生活者により近いところにいる世界中の大手化粧品・トイレタリーメーカーなどのニーズをより深く知るために「顧客満足度調査」を磨き込み、しっかりと顧客分析していくことです。また、世界中のコロナウイルス感染防止に貢献するために、バイオ・ファイン研究所と共に「CAE®」の抗ウイルスデータを新たに取得し、「アミライト®」を用いたより効果的なハンドソープ処方を開発しています。
まず顧客であるメーカーのニーズを知ることが、その先の生活者にもつながっていくと考え、チャレンジを続ける川瀬さん。
各種データの分析をふまえた商品開発に加え、既存のお客様への安定供給を維持しつつ、新規の顧客開拓も進めていきたいと意気込んでいます。
アミノ酸の潤いで、世界中の生活者のこころとからだの健康に貢献
川瀬:実は私自身、コロナ禍でのマスク常用により、肌の乾燥に悩んでいました。2歳になる娘も、手指消毒を頻繁に行うようになったことで手が荒れていたのですが、それぞれ洗顔料やハンドソープを当社のアミノ酸系界面活性剤が使われている製品にしたところ、肌荒れや手荒れが改善され、肌に潤いが戻って悩みが解消されたのです。
アミノ酸の「肌にやさしい」という特長が、このコロナ禍において多くの人の支えになるものだと気づいた川瀬さんは、もっとたくさんの人たちの肌の悩みに応えていきたいと日々前進しています。
川瀬:新型コロナウィルス感染症対策以外にも、地球温暖化、働く女性の増加など、さまざまな社会的変化がありますが、多様化する肌の悩みに適切にアプローチし、当社のアミノ酸を持続的に世界中の生活者に届けることを通じて、「自分らしく前向きにいること」「心の健康」をアウトカムとして目指し、グローバルレベルで生活者のこころとからだの健康に貢献する日々に、やりがいと楽しさを感じています。
「ASV」という取り組みを通じて、食と健康の課題を解決していきます
味の素グループは、ASVを中核に据えた事業を展開しています。
ASVは、事業活動を通じた社会課題の解決によって創出された経済価値を次の事業活動へ再投資することで、さらなる社会課題の解決に貢献するという好循環(ASVサイクル)を作り出し、サステナブルな成長を実現するための戦略的な取り組みです。
今後、各国・地域でASVを進化させていくためには、従業員一人ひとりがASVの考え方と重要性を理解し、実践していくことが重要と考えています。
ストーリーでは、今後さまざまな分野で活躍する従業員の「私が語るASV」を紹介していきます。
- 味の素グループの目指す姿
川瀬 寛起
アミノサイエンス事業本部 化成品部パーソナルケア・マーケティングG
2005年(平成17年)入社。食品事業本部の名古屋支社、東京支社、大阪支社で14年間、外食、業務用の営業を担当。
2019年(平成31年)より、アミノサイエンス事業本部 化成品部パーソナルケア・マーケティングGに異動後は、アミノ酸系界面活性剤の販売マーケティングに携わる。
趣味は、外食、ゴルフ、サッカー、3歳の娘さんと公園で遊ぶこと。
<用語集>
界面活性剤
界面活性剤とは、分子内に水になじみやすい親水性部分(親水基)と、油になじみやすい親油性部分(疎水基)を持つ物質の総称です。界面(物質の境の面)に作用して性質を変化させ、汚れを落とす洗浄の働きをするので、石鹸や洗剤などに使われています。
バイオ・ファイン研究所
バイオ・ファイン研究所とは、味の素グループが強みとする、「先端バイオ・ファイン技術」で、アミノサイエンス事業をはじめ、味の素グループ全体の事業を支える研究施設です。アミノ酸、アミノ酸誘導体、核酸、およびその関連物質などの生産研究、利用開発や新素材の探索、製造および用途開拓に関わる研究・開発・工業化までを一貫して担っており、国内だけでなく世界各国の研究開発グループ会社と連携しながら、新たな価値の創出に取り組んでいます。
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/rd/global_network/biofine/
2022年9月の情報をもとに掲載しています。