この取り組みをASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)と称しています。
ASVは味の素グループ全体の取り組みとして浸透しており、従業員一人ひとりが常に意識しながら働いています。
「私が語るASV」では、味の素グループの従業員たちが、どのようにASVを意識して業務に取り組んでいるのか、その物語の一部を紹介していきます。
第1回目は、「スチーミー®」の開発担当、食品研究所メニュー調味料グループ所属の遠藤さんのレポートです。
"おいしさ"や"時短調理"を実現する「スチーミー®」を開発
遠藤:皆さんは「スチーミー® Steam Me」<豚チャーシュー用> (「スチーミー®」)という新商品をご存知でしょうか。特製ソース入りパウチに豚肉を入れて電子レンジで加熱するだけで、圧力調理によってやわらかくてジューシーな豚チャーシューが作れる調味料です。
私たちのチームは「スチーミー®」の開発を担当しており、一度食べたらやみつきになるようなおいしさの実現はもちろん、短時間調理でお肉がやわらかく仕上がることも目指して開発しました。
さまざまな原料を組み合わせながら検討を繰り返すことでベストな配合に辿りつき、独自のお肉やわらか技術は特許出願中です。
豚チャーシューが簡単に作れる「スチーミー®」の魅力
遠藤さんたちが開発した「スチーミー®」のポイントは、独自の圧力スチームパウチと、さまざまな原料を組み合わせ、検討を繰り返して生まれたソースにあります。このパウチと特製ソースのおかげで、短時間調理でもお肉がやわらかくジューシーに仕上がります。
"おいしさ"と"時短"を実現する「スチーミー®」。この商品はどのような物語を経て誕生したのでしょうか?
"料理の楽しさ"や"料理への興味"というユニークな価値も提供
遠藤:コロナ禍で、家で料理・食事をする機会が増え、"食卓の品数が増えた時"や"簡単でも手作りした時"に食事作りの満足度が高まるという調査結果があるのですが、「スチーミー®」はまさにこのような状況で、お客様のお役に立てる商品だと思います。
余談ですが、私の子供は「スチーミー®」がレンジ加熱中にぷくーっと膨らむ様子がおもしろいようで、「膨らむところ見たい!」と言ってキッチンに来ます。「スチーミー®」の価値はおいしさや簡便性だけでなく、"料理の楽しさ"や"料理への興味"というユニークな価値もお客様に提供できるように思います。
毎日の食事の準備に負担を感じているワーキングペアレンツのためにも、これからも開発を頑張りたいと話す遠藤さん。
遠藤さん自身も共働きで、2人のお子さんがいます。平日の晩ご飯には本格的でおいしい肉料理を出してあげることが難しく、日頃から「簡単においしいお肉料理が作れるようになると、子供たちも喜んでくれるのにな」と感じていたのだそう。「スチーミー®」はそんな日々の悩みを解決してくれる商品として誕生しました。
さらに、"料理の楽しさ"や"料理への興味"という価値も加わり、「スチーミー®」の可能性はますます広がっています。
日本中の食卓との繋がりを感じながら、さらなる価値を追求したい
「スチーミー®」はこれまでに前例のない商品であるために、開発にあたって、前例を参考にしながら進めることが難しかったと遠藤さんは語ります。
遠藤:お客様が安心して、失敗することなく調理できるようにするために、色々な可能性を考慮しながらありとあらゆる検討を行いました。
たとえば、電子レンジは機種によって出力の大きさや温まりやすさが異なるため、研究所にある数十台の電子レンジを使いながら、のべ数百回、数千回の実験を行い、「どんな機種でも、決められた加熱条件できちんと肉に火が通るか」、「肉が破裂したり、焦げが発生したりしないか」といったことを確認しました。
また、遠藤さんは今までにない商品であることを踏まえ、お客様が使いやすいように、ディレクション(使用上の注意点)の内容や記載方法にも苦心したそうです。
遠藤:社員に「スチーミー®」の試作品を使って調理をしてもらいました。そして、その様子を観察しながら、作り方で分かりにくそうなところや困っているところを見つけて、ディレクションを改良していきました。
誰でも簡単においしい豚チャーシューが作れる「スチーミー®」は、このような遠藤さんたち開発チームの試行錯誤によって誕生しました。
良い商品を開発するということだけでなく、自身の仕事が日本中の食卓とつながっていることへの責任を感じ、常に新しい価値を生み出していきたいという思いが、遠藤さんの妥協しない姿勢につながっているのでしょう。
遠藤:お客様から「家族みんなで食べました!」「おいしかったです!」というファンレターをいただくと何よりの励みになりますし、自分の仕事が日本中の食卓と繋がっていることを感じます。
今後は、「スチーミー®」にさらに新しい価値を付加していきたいと考えています。技術的な課題の大きさに物怖じせず、社内の技術や知見を最大限活用しながら社会課題の解決を目指していくということが、私にとってのASVです。
「ASV」という取り組みを通じて、食と健康の課題を解決していきます
味の素グループは、ASVを中核に据えた事業を展開しています。
ASVは、事業活動を通じた社会課題の解決によって創出された経済価値を次の事業活動へ再投資することで、さらなる社会課題の解決に貢献するという好循環(ASVサイクル)を作り出し、サステナブルな成長を実現するための戦略的な取り組みです。
今後、各国・地域でASVを進化させていくためには、従業員一人ひとりがASVの考え方と重要性を理解し、実践していくことが重要と考えています。
ストーリーでは、今後さまざまな分野で活躍する従業員の「私が語るASV」を紹介していきます。
遠藤祐紀
食品事業本部 食品研究所 商品開発センター メニュー調味料グループ
2011年入社。アミノバイタル®など、ヘルスケア商品の研究・開発を7年間担当したのち、2018年より2年間は海外法人の技術支援としてBirdy®(タイ味の素)、海外即席麺(タイ、ペルー、ポーランド)を担当。2020年よりメニュー用調味料グループに異動後、「スチーミー®」の開発や、メニュー用調味料の中・長期的な技術開発テーマ立案業務に携わる。趣味は、食事と戦略ゲーム。「家族や友人とおいしいものを食べることで、充実感だけでなく、次の開発に向けたヒントを得ることも。オンラインの戦略ゲームは、論理的思考やメタ視点、素早い判断力を鍛える場としても活用しています」
2022年3月の情報をもとに掲載しています。