活動レポート

「Z世代」向けの意外な新商品とは...!?
味の素社が追求したギルトフリーのルーティンパフォーマンス!

2021年(令和3年)4月に発足した「Z世代事業創造部」は、スタートから1年で、これまで味の素社になかった、まったく新しいスタイルの食品を開発しました。

Z世代をメインターゲットとした、ギルトフリーで、エシカルで、ルーティンパフォーマンスを追求した商品……それはなんと「お粥」だったのです。
新商品「粥粥好日」(かゆかゆこうじつ)誕生の背景を聞きました。

※2023年4月1日付にて、Z世代事業創造部は、マーケティング開発部に統合されました。

「Z世代事業創造部」の有言実行

Z世代事業創造部のメンバーはZ世代に近い20代−30代の合計4名。仕事場は味の素社の本社ではなく、渋谷駅のスクランブルスクエアにある共創施設SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)にあります。メンバー構成、活動拠点ともに、味の素社では前例のない、異例づくしの部署でした。

一般的に、Z世代とは1995年〜2009年に生まれた人たちを指します。物心ついたときからネットやスマホに触れて育ったデジタルネイティブであり、子どものころからSNSにも慣れ親しんでいる世代です。

Z世代事業創造部は、このZ世代の「味の素社ファン」を増やすことをミッションとして創設されました。

海外食品部 山田裕介氏

リーダーの山田裕介氏。海外食品部、栄養・加工食品事業部事業開発グループを経てZ世代事業創造部へ。

味の素株式会社Z世代事業創造部 齋藤仁氏

「粥粥好日」プロジェクトマネジャーの齋藤仁氏。2018年(平成30年)入社。食品生産統括センターIE技術グループを経て、入社4年目でZ世代事業創造部の立ち上げメンバーに応募した。

部署発足時、メンバーたちは「1年後には新商品をリリースします」と話していましたが、その言葉通り、2022年(令和3年)3月28日よりSHIBUYA QWS(渋谷キューズ)限定でテスト販売を実施、6月24日より、株式会社ドットミーと共同で新商品「粥粥好日」(かゆかゆこうじつ)のECサイトおよび渋谷スクランブルスクエアでの期間限定販売を実施しました。

ここで、商品についてご紹介しましょう。「粥粥好日」(かゆかゆこうじつ)は、電子レンジであたためるだけのカップ入りのお粥で、忙しいときにも健康的で本格的な味が楽しめます。味は2種類。台湾で人気の朝食メニュー「鹹豆漿粥(シェントウジャンガユ)」は豆乳スープとおだしのやさしい味。

豆乳スープのおかゆ

「鹹豆漿粥(シェントウジャンガユ)」

中華圏で人気の辛い鍋、火鍋をお粥にアレンジした「麻辣火鍋粥(マーラーヒナベガユ)」はうまくて辛い、食欲をそそる味です。

火鍋のおかゆ

「麻辣火鍋粥(マーラーヒナベガユ)」

ギルトフリーってなに?お粥がプロジェクト第1弾になったわけ

なぜ、プロジェクト第1弾が"お粥"なのでしょうか?

Z世代事業創造部のメンバーは、まず、事業の3つの方向性を打ち出しました。

  • 1. パフォーマンス/ルーティンサポート領域※1
  • 2. ファン/エシカル領域※2
  • 3. セレンディピティ/エンターテインメント領域※3

そして、それぞれに関する具体的なアイデアを出しました。

そこからメンバーは、ターゲットであるZ世代に対し、アイデアやコンセプトについてのヒアリングやディスカッションを何度も行いブラッシュアップを繰り返し、ようやく第1弾として採用されたのが、「パフォーマンス/ルーティンサポート領域」の「お粥」でした。

Z世代向けにお粥!?それはどんなお粥なのでしょうか?

山田:若者向けのお粥です。ギルトフリー(罪悪感がない)、おいしくて健康にもいい、日常食としてのお粥です。

めざしたのはお粥の"パーセプション・チェンジ"

しかし、お粥といえば、味の素社にはすでにレトルトパウチ食品の「味の素KKお粥シリーズ」があります。これは、電子レンジであたためるだけの手軽でおいしい、常備食としても重宝されているロングセラー商品です。そんな定番商品があるのに、なぜまた新作を?

齋藤:お粥はシニア層や主婦層の方々には好印象を持たれていますが、若者の食の選択肢には入りづらい食品です。そもそも、お粥になじみが薄く、風邪をひいたら食べるものというイメージが強い。私自身もそうでした。
お粥は世界、とくにアジア圏で昔から親しまれてきた、ヘルシーで体にやさしい食事です。当社の既存の製品を活用しながら、どのようにZ世代にお粥のよさをアピールしていくか。そのためにまず、お粥のまったく新しい食べ方を提案する必要があると考えました。

齋藤さんは「お粥のまったく新しい食べ方」を求めて、SNSや若い人に絶大な人気を誇る「テイストメイドジャパン」※4というウェブメディアを利用しました。
Z世代のインフルエンサーから、齋藤さん自身が「ぜんぜんイメージがつかないメニュー」を直接提案してもらうためです。

依頼した4名のインフルエンサーに、お粥のアレンジレシピを考案して調理してもらう番組を、テイストメイドジャパン公式YouTubeチャンネルで公開。結果として、斬新かつ見た目もきれいな「お粥メニュー」が次々と登場し、視聴者だけでなく、Z世代事業創造部メンバーもアッと驚いたそうです。

テイストメイドジャパンの「お粥アレンジ対決」

齋藤:この企画では、味の素社らしからぬ、かなりぶっ飛んだ雰囲気を感じていただけたのではないかと思います。
ねらいは、パーセプション・チェンジ(Perception Change)です。

パーセプション・チェンジとは「認知変容」と訳され、「顧客の認識を変化させる」という意味を持つマーケティング用語です。齋藤さんは「お粥のパーセプション・チェンジ」をめざしたといいます。

齋藤:お粥のイメージを変える。印象を変える。お粥にはこんな食べ方があったのかと気づき、「病気のときに食べるもの」から「日常食」に変えるきっかけを作りたかったのです。

このように、明確な意図のもと新しいチャレンジができるのも、Z世代事業創造部ならではかもしれません。

Z世代がスクランブルするSHIBUYA QWS(渋谷キューズ)でのテスト販売

新製品のコンセプトを明確にするためには、綿密なリサーチが必要になります。齋藤さんはZ世代の価値観、生活スタイル、食への関心など、彼らの求めるものを徹底的に探りました。

リサーチにおいては、「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」にいることがプラスとなりました。オフィス内を行き来するZ世代の人たちに直接インタビューしたり、ワークショップを開いたりして、彼らの食事への意識、期待などを探りました。
さらに、SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)だけでは対象者が偏るので、一般生活者に向けたアンケート調査やインタビューを行いました。

齋藤:とくにコロナ禍以降、在宅勤務やオンライン授業が増えて、場所を問わず働いたり勉強したりする人が増えましたよね。副業をする人、趣味に時間を割く人も増えています。全体的にとても多忙になっている中、食事にあまり時間をかけたくないという意見が多く聞かれました。
Z世代には朝食、昼食、夕食の3食を取るという概念が薄れてきている傾向があります。
とくに昼食は、時間があるとき、タスクの合間に、ちょっと栄養補給する程度で十分という声も。作業を中断してまで昼食を食べに行くのは時間がもったいないし、昼食後に眠くなるのが困るからのようです。

つまりZ世代には、一日を通して体のコンディションを一定に保ちたいという強いインサイトがあるということが見えてきたそうです。
こうしたZ世代の特性をとらえながら、「粥粥好日」(かゆかゆこうじつ)プロジェクトは進められていきました。

「粥粥好日」(かゆかゆこうじつ)開発の秘密に迫る!一問一答

------「粥粥好日」(かゆかゆこうじつ)は、容器付きですが、カップ型にした理由は?

短時間で手早く食事を済ませられることを重視しました。レトルトパウチでは中身を器に移し、その器を洗う手間が必要です。そうした手間を省きたかったのです。

-------味は2種類。台湾、中国とアジア圏のお粥をベースにした理由は?

台湾や、お粥発祥の地ともいわれる中国は、Z世代にとってトレンド発信地でもあり、お粥が日常的に食べられている国です。本場の味を知ってもらいたいという思いもあります。
また、好みに合わせて選べるようにというのはもちろんですが、その日その時の気分や体調によって選べる選択肢を用意しました。

-------パッケージのグリーン系のカラーが目を惹きます。

食品は暖色系のパッケージが多いですよね。お粥の概念を変える意味で、従来品のパッケージからイメージを大きく変えたいと思っていました。グリーン系を使うのは勇気がいりましたが、色づかいやロゴなど、パッケージデザインにはかなりこだわりました。

------商品名「粥粥好日」に込められたものは?

「日々是好日」からヒントを得ました。これまでのように、体調の悪いときに食べる体にやさしい、刺激の少ない食事ではなく、食べるたびにワクワクできるような日常食をめざして、このネーミングにたどりつきました。お粥を食べて健康に、良い毎日を送りましょうという思いを込めています。

齋藤:当社では新商品をリリースするのに、通常開発だけで1年はかかります。しかしZ世代のトレンドのスパンはとても短いので、1年も時間をかけるわけにはいきません。アジャイルにリリースしていくことが求められます。これは事業部の発足当時から強く意識していました。

最近よく聞かれる「アジャイル」には、素早い、俊敏といった意味があります。今回のお粥プロジェクトは、味の素社のこれまでの開発プロセスではなく、試行錯誤しながらどんどん開発していくというアジャイル方式で進めるため、外部パートナーである三井物産系列の株式会社ドットミーと組むことになったのです。

齋藤:当社でこうした形で新商品を開発したという前例がありません。このスキームで果たしてうまくいくだろうかという不安はありました。
※scheme:「計画」「案」。ビジネス用語では「枠組み」というニュアンスが含まれます。

そして2022年(令和4年)6月24日、「粥粥好日」(かゆかゆこうじつ)のテスト販売に至りました。このプロジェクトの開始から発売までの期間を、リーダーの山田さんは「味の素社史上、最速だと思います」と胸を張りました。

Z世代事業創造部メンバー

Z世代事業創造部メンバー

若者たちの健康意識の変化とエシカル消費に向けて

リーダーの山田さんに、今後の予定を聞きました。

山田:2022年度(令和4年度)には「粥粥好日」(かゆかゆこうじつ)のように、手軽に素早くかつギルトフリーに食べられる商品のレパートリーを広げていきたいと思います。また ファン/エシカル領域セレンディピティ/エンターテインメント領域の商品やサービスを具現化することも今年度の目標です。

Z世代の味の素社ファンを増やすことは、味の素社のミッション「食と健康の課題解決」にとって、どんな関係があるでしょうか?

山田:味の素社の大きなアウトカムとして、2030年(令和12年)までに"10億人の健康寿命の延伸"と"環境負荷の軽減"の実現があります。
Z世代の若者たちは、当然ですが、まだ健康課題をあまり感じていない人が多いので、いわゆるジャンキーなものを頻繁に食べていたりします。若いうちから「粥粥好日」(かゆかゆこうじつ)のような健康によい食事をして、彼らなりに食や健康への関心を持ってもらえれば、結果的に"健康寿命の延伸"という当社のアウトカムにつなげられると考えています。

味の素社のファンを増やし、食事を含めた生活習慣を変えるだけでなく、環境や消費への意識も変えていく。Z世代へ向けた、味の素社の新しい取り組みにご期待ください。

では、「粥粥好日」(かゆかゆこうじつ)をいただきましょう!

【用語解説】

※1:パフォーマンス/ルーティンサポート領域
パフォーマンス/ルーティンサポート領域とは、 仕事や勉強、趣味、スポーツ。日々のさまざまな活動のパフォーマンスの質をサポートする食品やサービスです。

※2:ファン/エシカル領域
ファン/エシカル領域とは、ユーザーが、エシカル消費(ethical:地球環境や社会貢献などに配慮したモノ、サービスを積極的に消費する行動 出典:日本大百科全書)を楽しみながら行い、将来の環境負荷軽減につなげることを目指した事業。たとえば、全国で増え続ける未収穫農作物(おもに人手不足が理由で収穫できず、放置されている農作物)を有効活用した商品やサービスが考えられます。

※3:セレンディピティ/エンターテインメント領域
セレンディピティ(serendipityとは、偶然の発見。運よく発見したもの。掘り出しもの)を楽しめる食品や食体験の提供を目指した事業。何でもネットで事前に調べられる時代に、フタを開けてみるまで何が起こるかわからない商品やサービスに、新しい価値が生まれています。

※4:テイストメイドジャパン
テイストメイドジャパンとは、フード、トラベルを中心としたライフスタイル動画コンテンツを制作するオウンドメディアです。
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2023年10月の情報をもとに掲載しています。

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