研究開発

おいしさの理由を分析!科学とDXで実現する味の素グループの「おいしさ設計技術®」

私たちが食事をした時に感じる「おいしい!」という気持ちは、主観に基づいています。好き嫌いや味の嗜好は個人によって異なりますが、それでも、多くの人がおいしいと感じる味の傾向は、科学的に分析することができるはず。では、どうしたらその「おいしさ」を作り出すことができるのか――。

味の素グループでは、創業以来、うま味の研究を通じて蓄積した独自の技術やアミノサイエンス®の知識を生かして「おいしさ」の研究を行ってきました。この長年培った技術や経験によって生み出されたのが、味の素グループの「おいしさ設計技術®」です。

「おいしさ」の根拠を分析し、「おいしい」を作り出す「おいしさ設計技術®」とは、いったいどんな技術なのでしょうか?

「おいしい」ってどういうこと?

そもそも、食事をしたときに感じる「おいしい」とは、一体どういうことなのでしょうか。

じつは、「おいしい」は、とても複雑な感覚。私たちは、見る、聞く、嗅ぐ、触る、味わうという五感を通じて、食べたものがおいしいかを総合的に判断しています。また、その感覚は経験や情報、外部環境によって影響を受けると言われています。

「香り」「味」「食感」などが統合され「おいしい!」と感じるイメージ

この複雑な感覚を、エキスパートによる官能評価と先端科学技術の組み合わせで再現しているのが、味の素グループの「おいしさ設計技術®」です。

「おいしさ設計技術®」とは?

「おいしさ設計技術®」には、「おいしさ」を構成するすべての要素を解明する「評価・解析技術(図中①)」と、ニーズに合わせて「おいしさ」を実現する「配合・生産技術(図中②)」があります。

「評価・解析技術」とは、「おいしさ」を作り出す上で欠かせない、適切な評価と解析の技術のこと。
人間の五感を使って食品の品質を評価したり、好みの傾向を調査したりするのが「評価」。「おいしさ」を印象づける食品の香りや味や食感をコントロールするために、最先端の技術でキー成分の探索や特定をして、調整する技術が「解析」にあたります。

「特性評価」

おいしさを分析する上で難しい点は、「おいしい」という感覚が主観であるということです。好き嫌いや個人の嗜好、体調や気分によっても感じ方が変わってしまうことから、トレーニングを積んだエキスパートが明確な条件に基づいて感覚を正確に点数化しています。たとえば「○○の香りの強さが何点」「○○風味の強さが何点」「うま味の強さが何点」といった具合です。これを「特性評価」と言います。

また、一般の方々から評価者を集め、総合的なおいしさの点数(嗜好点)を付けてもらい、特性評価の項目をそれぞれ何点に設計すればより多くの人の嗜好に合った品質、すなわち、目標品質に近いか、を探ります。

「解析技術」

「評価」についての研究・開発は他社でも行っていますが、味の素グループの強みは、おいしさの解析技術にあります。

味の素グループでは、分子レベルまでおいしさの要素を分解して、味、香り、食感などを科学的に分析します。そして、おいしさ発現の要素を見つけ出し、特定したおいしさの要素を作り出します。また、おいしさを印象づける、香り、味、食感という3つのパートを、どれか1つではなく三位一体でコントロールできるということも、味の素グループのユニークなところです。

たとえば、「これぐらいの数値の硬さが一番おいしいと感じる」ということがわかれば、その数値に合わせて食感をコントロールします。さらに香りや味の要素を加え、全体でバランスを調整することで、その食品の持つおいしさを最大限に引き出せるのです。

また、味の素グループには、今まで研究で蓄積してきた、官能評価、食品成分の分析値、食品物性の測定値などの膨大なデータがあります。データ管理のデジタル化も進んでいます。既存のデータを活用することでよりスピーディーに、「おいしい」を実現することができるようになってきています。

さらに、嗅覚/味覚受容体の応答も数値化できるようになりました。このような情報からもデータベースを作成し、アルゴリズムを構築。実際の実験や試作を最小限にして、開発速度を高める試みも開始しています。

近年では、調味料などを扱う食品系事業、医薬・ヘルスケアなどを扱うアミノサイエンス系事業それぞれで磨いてきた「アミノサイエンス®」を連携し、香りや味を感じる「受容体」のメカニズムやどういった成分が鼻や舌の受容体を刺激するのかといった研究成果、分子レベルの成分分析データを開発に取り入れるなど、味に厚みや広がりを与える「コク」の機能に着目した最先端の研究も進めています。

このように、味の素グループでは、おいしさを印象づけるそれぞれの要素を徹底的に評価・解析し、ベストの状態のものを統合することで、他社には真似できない圧倒的なおいしさを作り出しているのです。

配合・生産技術

配合技術とは、レシピを設計する技術のこと。生産技術とは、商品をおいしい状態で食卓まで届けることができるよう、製造プロセスや包材を設計する技術のことです。

さまざまな調味料やスパイスをブレンドすることで料理のおいしさが増すように、他の原料と組み合わせておいしさを設計するのが配合技術です。たとえば、おいしさを演出する上で欠かせない「コク」を出すために、アミノ酸をはじめとするさまざまな素材を活用しています。

さらには、包装技術や生産技術の向上にも尽力。せっかくおいしい製品を作っても、品質を保持できなければ、おいしい製品を開発したことにはならないからです。そのため、製品の形態や特徴に合わせて、最適な包材を開発しています。

「おいしさ設計技術®」がもたらすプラスαの価値

食品科学(フードサイエンス)を中心に、さまざまな専門分野の技術者による技術の集合体である「おいしさ設計技術®」は、おいしさ+αの価値を創出する大きな可能性を秘めています。

おいしさ+健康

常に未来を見据え、業界のトップランナーとして走り続けてきた味の素グループが掲げる次なる課題は、おいしさと健康の両立です。

コロナ禍の影響で、さらに高まりを見せる世の中の健康志向。栄養バランスやカラダのことを考え、意識的に食事をとる機会が増えたという方も多いのではないでしょうか。しかし、いくら健康によい食事であっても、おいしくなければ食べ続けることはできません。「おいしく食べて健康づくり」という志をルーツとする味の素グループでは、減塩・減糖・減脂および機能性食品といったさまざまな食と栄養のニーズに対応できる商品の開発にも取り組んでいます。

たとえば減塩では、塩味感をアップさせる素材や技術の開発、食塩の代替品として広く用いられている塩化カリウム特有の異味、異風味を低減させる素材の開発にも取り組んでいます。

また、減脂した時、あるいは、ラードや牛脂、乳脂肪などの動物性油脂を植物性油脂で代替した時に感じる物足りなさの改善技術や、不足するコクを強める素材の開発にも力を入れています。

おいしさ+サステナビリティ

おいしさとサステナビリティの両立も、未来における課題のひとつです。

人口の増加や気候の変動、紛争や物価の高騰などにより、食糧危機が叫ばれている現代において、とくに深刻なのが、動物性たんぱく質の不足問題。良質な植物性たんぱく質による代替が不可避となっていることから、味の素グループでは、早くからグリーンフードの開発にも力を入れています。

植物性たんぱく質を使用することで生じる、味、風味、食感などのおいしさ課題を「おいしさ設計技術®」によって解決し、より本格的なおいしさの実現に向けて力を尽くしています。

たんぱく質と同様に動物性油脂を植物性油脂に代替した場合も、おいしさの課題があります。これらは、人々の健康だけでなく、サステナビリティ視点でもとても社会的意義のある研究です。

ほかにも、風味調味料の主原料である、肉やコショウ、ニンニクの原料を一部代替する技術、乳成分やすり身を一部代替させることで省資源や食物アレルギーなどの個別ニーズに応える技術、パンや米などの劣化を抑制して賞味期限を延ばし、フードロスを低減させる技術などの開発にも取り組んでいます。

おいしさ+スマート調理

3つめは、忙しい現代人のニーズを見据えたおいしさとスマート調理の両立です。

電子レンジなどで時間をかけずにプロレベルの調理ができれば、手軽に本格的な料理を楽しむことができるでしょう。味の素社では、料理のプロたちの「匠の技」を科学的に解析することで、おいしさのヒントを得ています。それを生かし「おいしさ設計技術®」によって、コク味成分や香りの付与、ほどよい食感の制御などで、本格的なおいしさをできる限り再現しています。こうした技術はすでに商品に取り入れられており、ブラッシュアップが繰り返されています。

「おいしさ設計技術®」が導入された味の素グループの商品

2023年春の新製品にも「おいしさ設計技術®」が活用されています。

「Cook Do®」<甘口麻婆茄子用>は、甜麺醤とオイスターソースを絶妙にブレンドした、コクと香り豊かな甘うまのソースがご飯によく合う、甘口の麻婆茄子です。

ピーマンやなすの苦みが苦手な方にとって、苦みを感じづらくさせるためには、どのような味の設計にするとよいか、官能評価と試作を重ね、味の素社の独自素材を活用することで、辛い物が苦手なお子さまから、こだわりの中華メニューを楽しみたい大人まで満足できる味わいに仕上げています。

マスキングの仕組み

味の素グループでは、独自技術が蓄積された「おいしさ設計技術®」を駆使し、これからも機能性とおいしさを両立した製品で、世界中の人々のWell-beingに貢献していきます。

用語解説

エシカル
エシカル(Ethical)とは、英語で「倫理的な」「道徳上の」という意味です。ここで使われている「エシカル」は、地球環境への配慮や人権の保護など、地球上のすべての存在がより良くあることを目指し、法律やルールを超え生活者の視点から捉えた倫理的な行動や活動と言えます。「エシカル消費」「エシカルファッション」などで使われるように、各自にとって社会的課題を考慮した行動を含むいろいろな意味を持ちます。

アミノサイエンス®
アミノ酸のはたらきに徹底的にこだわった研究プロセスや実装化プロセスから得られる多様な素材・機能・技術・サービスの総称。また、それらを社会課題の解決やWell-beingの貢献につなげる、味の素グループ独自の科学的アプローチ。

2023年5月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

味の素グループは、

アミノサイエンス®で人・社会・地球の

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