「かんたん食事ログ」は、食事改善ツール「しっかり食べチェック®」をベースにした食事記録機能で、サービススタートから10か月で早くも8割のアクティブユーザーが利用。どのような効果が表れるのか、筆者もアプリを使ってみました。
生活改善サポートアプリ「aminoステップ®」とは
2030年(令和12年)までに「10億人の健康寿命の延伸」を目指す味の素グループは、食と健康の課題解決のため、さまざまな事業を展開しています。スマートフォン用の生活改善サポートアプリ「aminoステップ®」もそのひとつ。「aminoステップ®」は、いわゆる歩数計アプリの一種で、誰でも気軽に始められるシンプルなつくりが特長です。
また、有料会員や「アミノインデックス®」の検査結果を登録したユーザーであれば、医師にチャットで相談ができる「健康相談」機能も利用できます。
その「aminoステップ®」に、食生活の改善もサポートする機能が追加されたのです。
新機能の「かんたん食事ログ」に挑戦!思わぬ結果に......
今回追加された「かんたん食事ログ」の特長を一言で表すなら「超シンプルな食事記録」といったところ。1週間に摂った食品群を記録して、食生活の改善に役立てるのが狙いです。
百聞は一見にしかず、ということで筆者も早速アプリをダウンロードしてみました。
スタートしたのは2022年(令和4年)11月。アプリの「ミッション」の画面から「かんたん食事ログ」を開くと、「11月1日は、次のうちどの食品群を摂ることができましたか?」との質問が表示されました。合わせて「肉類」「卵」「油脂類」「魚介類」といった10の食品群も表示されるので、食べた食材の食品群を選択。感覚的に操作できるので、所要時間はものの数十秒です。
入力結果がレーダーチャートに表示されると、自分に足りていない食品群が一目瞭然!スコアも出るので、モチベーションも上がります。不足している食品群を補ってくれる料理レシピの紹介もうれしいところ。翌日の献立選びにすぐにでも使えそうです。
さらに、「アジパンダ®」が登場して「マイル」をプレゼントしてくれる演出も!貯まったマイルは Amazonギフト券と交換できるので、俄然、やる気が出てきます。
偏りがちな食生活を改めて、スコアアップを目指す!
「アジパンダ®」からの"ごほうび"を励みに、記録を続けること1週間、気になる総合スコアはというと......100点満点中30点!う~ん、自信はなかったものの、これはちょっと低すぎます......。レーダーチャートもなんだかヘンテコなかたちになってしまいました。
残念な結果にはなりましたが、筆者の食生活に魚介類と果物が不足していることがよくわかりました。
その後しばらく経ってから気合を入れ直して再チャレンジ!総合スコアも40点まで上がり、レーダーチャートも前回よりバランスがよくなったような。
継続できたのは、1週間分の記録だけでよい気軽さとゲーム感覚でスコアを育てていく楽しさがあったから。食材に含まれる栄養素や成分などはひとまず置いておいて、10の食品群に当てはめていけばよいので、ぐうたらな筆者にもうってつけ。今後もスコアアップを目指して、日々の食生活を充実させていきたいです。
「しっかり食べチェック®」とは?
「かんたん食事ログ」は、味の素グループ 食品研究所健康栄養情報開発グループが開発した食事改善プログラム「しっかり食べチェック®」がベースになっています。
「しっかり食べチェック®」とは、写真撮影などの面倒な食事記録がなく、普段の食生活でどんなものを食べているのか簡単に記録でき、食事のタイプによって解決策や具体的なおすすめレシピを提案してくれる「誰でも続けられる」プログラムです。
「しっかり食べチェック®」は、どのような狙いがあって開発されたのでしょうか。食品研究所情報グループの小泉友範さんは、次のように話します。
小泉:「しっかり食べチェック®」の開発がスタートしたのは、2013年(平成25年)頃から。加齢によって筋肉や骨の機能が低下するフレイル・ロコモティブシンドローム(ロコモ)対策を意識したものでした。ロコモは高齢者の健康課題になっていますが、栄養バランスの良い食事が予防につながるとされているんです。
最新版の「しっかり食べチェック®」は、「AJINOMOTO PARK」の特設ページで利用でき、ユーザーからの評価も上々だそうです。
小泉:ユーザーの声を募ったところ「食事のメニューを考える時に足りない食材を入れる工夫ができた」「具体的な目標があったので、やり遂げられた」といった、意識・行動の変化が見られました。
近年は、高齢者の介護予防に取り組んでいる自治体も少なくありません。こうした自治体と「しっかり食べチェック®」のコラボレーションも始まっています。
小泉:2013年(平成25年)から、東京都北区で「しっかり食べチェック®」を利用した取り組みが始まっています。今後は、地域のドラッグストアとも連携して、よりユーザーとの接点を増やしていきたいですね。
「かんたん食事ログ」に散りばめられたユーザー視点
ところで、どうして「aminoステップ®」に搭載された「しっかり食べチェック®」は、「かんたん食事ログ」に名前が変わったのでしょうか? アプリの開発に携わったアミノインデックス事業部の倉本昌幸さんに理由を聞くと、徹底した「ユーザー視点」が見えてきました。
倉本:以前から食事管理の機能が欲しかったので、食品研究所情報グループの「しっかり食べチェック®」は"渡りに船"でした。しかしこれを新機能という形で追加すると、これまでのアプリの使用に慣れていたユーザーが戸惑ってしまうことも想定されたため、既存ユーザーが使い慣れたミッションの形で食事入力を配信することにしました。名前も、機能を一目で理解できるように「かんたん食事ログ」にしました。
毎月の「かんたん食事ログ」ミッションの配信前には、ユーザーに慣れてもらうための練習ミッションが用意されました。たとえば「こんにゃくは、どの食品群に含まれる?」といったクイズです。ユーザーがクイズに答えるような気軽な感覚と簡単な操作で、その後追加配信される「かんたん食事ログ」ミッションにスムーズに回答できるよう後押ししました(ちなみにクイズの正解は芋類!)。
判定結果の表示方法にも強い思い入れがあったそうです。さらに、機能追加後もさまざまな改修を施しています。
倉本:スコアのレーダーチャートの表示については、技術的に搭載しやすい折れ線グラフにする案もありましたが、ユーザーへのわかりやすさを重視して、レーダーチャートの案を貫きました。また、当初はスコア表示がありませんでした。レーダーチャートに前月のデータを表示したり、「アジパンダ®」のイラストを表示したりするようになったのも、改修以降のことです。そのほか、ボタンの配置や表示されるメッセージなども細かく変更しています。
こうした工夫が功を奏して、アクティブユーザーのおよそ8割が「かんたん食事ログ」を利用。これまでの「しっかり食べチェック®」とはターゲットが異なり、30~50代の利用が中心です。
倉本:「しっかり食べチェック®」のユーザーが広がったのは、うれしいですね。30~50代とはいえ、食事に偏りがある人は多いですから。今後は、ほかの企業とコラボレーションしたいです。
「しっかり食べチェック®」の誕生からおよそ10年――。「aminoステップ®」と融合することで健康課題解決の取り組みは、さらなる広がりを見せようとしています。
味の素社は、これからも「食と健康への課題解決」のために築き上げてきた知見やノウハウを活用し、社会に貢献していきます。
小泉友範
食品事業本部食品研究所健康価値開発センター健康栄養情報開発グループ
「しっかり食べチェック®」「100年健脳手帳®」をはじめとする、味の素社独自の技術をもとに、健康課題に対して食事・栄養に関する情報開発・ソリューション提供を担当。多くの健康の課題に対して、食事・栄養でのアプローチを考えています。信念は、仕事もプライベートも「全力投球」。趣味はウォーキング、ゴルフ。中学生の息子2人。
倉本昌幸
アミノサイエンス事業本部アミノインデックス事業部
「aminoステップ®」「アミノインデックス®」をはじめ、健康寿命の延伸にトライするサービスの開発・運営等を担当。信念は、会社にやれと言われたことをそのままやるのではなく、そこに自分がやりたいことをぶつけて、やることを描きなおしてから取り組むこと。サービス開発では継続可能性にこだわり、「それって1回やるときは楽しいと思うけど、毎日見たらどう思う?」という問いに常に向き合っています。趣味は(いろいろなアプリを試しながら)ウォーキング、テニス、親子アート。7歳の息子、3歳の娘の子育て中。
2023年3月の情報をもとに掲載しています。