「調理法がわからない」「子どもが食べない」などを理由に、献立に取り入れていない方が多いかもしれません。
昔から「R」のつかない月(5月~8月)には食べないと言われている牡蠣。
日本でもっともポピュラーである真ガキは、11月~1月にうま味が凝縮し、もっともおいしくなると言われています。
牡蠣には、うれしい栄養素がたくさん含まれています。
バリエーション豊かなレシピとともに、おいしい牡蠣の魅力をたっぷりとご紹介します。
牡蠣に含まれるグリコーゲン・タウリンは疲労回復におすすめ
寒い季節、朝晩の気温差や外気と室内の寒暖差によって、体は思いのほか疲れを溜め込んでしまうことをご存知でしょうか?
疲労によって免疫力が低下すると風邪や感染症にもかかりやすくなります。疲れを溜めないためにしっかり睡眠をとることも大切ですが、日頃から温かくておいしくてバランスのとれた食事を摂ることを心がけたいものです。
冬に旬を迎える牡蠣には、グリコーゲンやタウリンなどの栄養素がたくさん含まれています。
ブドウ糖が集まってできたグリコーゲンや、栄養ドリンクの成分としても知られるタウリンは、エネルギーを作ったり内臓の機能を高める効果があり、疲労回復にもってこいの栄養素なのです。
食べ過ぎも気になる季節ですが、じつは必要なエネルギー量が足りないことでさまざまな代謝機能が滞り、それこそが疲労の原因となることもあります。
1日に必要なエネルギー量(※)を意識しながら、バランスの良い食事をとりましょう。
※1日に必要なエネルギー量:成人の場合 男性2500~3000kcal程度/女性2000~2300kcal程度
ビタミンB、ミネラル、鉄分・・・豊富な牡蠣の栄養素
三大栄養素をエネルギーに変換するビタミンB群
牡蠣に含まれる、栄養素はグリコーゲンとタウリンだけじゃありません。
牡蠣に豊富に含まれるビタミンB群は、炭水化物、たんぱく質、脂質という三大栄養素を、エネルギーや生命の維持に必要な物質に変換します。
ビタミンB1の不足は、乳酸などの疲労物質が体に溜まる原因にもつながります。
免疫力アップ・エネルギー代謝を促進する亜鉛
そのほか、鉄、銅、亜鉛、マンガンなどのミネラルを豊富に含んでいます。
牡蠣3~4個で1日に必要な量を摂取できる亜鉛には、免疫力アップやエネルギー代謝の促進などの働きがあります。
体内に酸素や栄養素を運ぶヘモグロビンを作る鉄分
また、鉄は、体内に酸素や栄養素を運ぶヘモグロビンをつくります。そのため体内の鉄が不足すると酸素や栄養分を十分に運べず、疲れやだるさを感じやすくなります。いずれも私たちの体にとって重要な栄養素ですね。
旬の栄養素「牡蠣」
- ■三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)の代謝に欠かせないビタミンB群が豊富
- ■肝機能を高めるグリコーゲン、タウリンが含まれ、疲労回復をサポート!
- ■さらに鉄、銅、亜鉛、マンガンなどのミネラルも豊富
牡蠣は疲労回復の救世主!
【旬のレシピ】便利な常備菜も! マスターしたい牡蠣レシピ
牡蠣に豊富に含まれる鉄は、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率がアップします。パプリカと一緒に炒めたり、ブロッコリーとパスタにするなど、ビタミンCの多い野菜と組み合わせるのがオススメです。
加熱用の牡蠣にはとにかくしっかりと火を通すようにしてください。
フライパンでじっくりソテーした後、オリーブ油に漬ければ、常備菜として保存することも。この際、牡蠣が空気に触れないよう、多めのオリーブ油に漬けるのがポイントです。
そのほか、酒蒸し、ワイン蒸しなどもぜひ試してみてください。
「牡蠣と長ねぎのガーリックバター」
牡蠣を焼くように炒めたあと、「Cook Doきょうの大皿」ガリバタ鶏用で和えるシンプルメニュー。 忙しいときにオススメ!
「牡蠣とほうれん草のチャウダー」
牡蠣のうま味がつまった、濃厚なスープ。お子さんにも人気のミルク仕立て。
「牡蠣の混ぜピラフ」
炒めた牡蠣としめじにごはんを混ぜ合わせる、かんたんピラフ。献立の主役になる豪華な一品です。
お鍋にしたり、フライやワイン蒸しにしたり......。
牡蠣のおいしさのピークを迎えるこの時期に、これまで試したことのないメニューに挑戦してみてはいかが?
感染症シーズンの冬、免疫力を高め、心身ともにパワフルに乗り切りたいですね。
自然の恵みに感謝して、
今日もおいしく、旬をいただきましょう。
旬の食材を知る
ー牡蠣編ー
選び方:光沢があり、外側の黒いひだが鮮やかで、ふっくらしたものを選ぶ
むき身の場合は、白か、青みがかった白色で光沢があり、外側の黒いひだが鮮やかで、ふっくらしているものを選びましょう。生で食べるものは、必ず「生食用」と明記されているものを買いましょう。種類:よく見かけるのは真ガキ。養殖が多い
私たちがスーパーなどでよく見かける牡蠣の品種は、真ガキです。真ガキは、北海道から九州の各地に分布。ほとんどは養殖施設で生産されており、海面養殖の中では海苔に次ぐ生産量です。三陸沿岸など、プランクトンの多い水域では1年で収穫できますが、通常は2~3年かけてで収穫されます。
牡蠣の「生食用」と「加熱用」の違いとは?
「生食用」と「加熱用」の違い、ご存じですか? これには、単純に鮮度の差ではなく、育った環境の水質をはじめとしたさまざまな基準が設けられています。食品衛生法によって、牡蠣が持つ細菌数や、生育環境(海水)の大腸菌数、加工方法や保存基準、容器に至るまで、細かく規定基準が設けられており、クリアしたものだけが「生食用牡蠣」として市場に流通しています。
監修:牧野直子(まきの・なおこ)
管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター。「スタジオ食(くう)」代表。おいしくて体にやさしいレシピや健康的なダイエット法などを提案し、テレビ、雑誌、料理教室、健康セミナーなどで幅広く活躍中。共著に『2品おかずで塩分一日6g生活』(女子栄養大学出版部)ほか。
2020年12月の情報をもとに掲載しています。