秋から冬にかけて旬を迎えるごぼうは、食物繊維が豊富。
よく噛むことで、消化を助けたり、顔まわりの筋肉を鍛えるなど、さまざまな健康効果が期待されています。
おいしさがアップする旬の食材は、栄養の宝庫。
皮はどうやってむけばよいの?あく抜きは必要なの?…レシピの疑問とともに、おいしいごぼうの魅力をたっぷりとご紹介します。
「噛む」健康効果!子供の成長にもアンチエイジングにも
「ものを噛む」ということは、私たちが思っている以上にさまざまな健康効果があることをご存知ですか?
<よく噛むことの効果とは>
1.消化吸収機能がアップ
食べ物が細かくなり、消化酵素を含む唾液もしっかり分泌されることで、栄養素が体内に取り込まれやすくなる。2.知的発達や高齢者の認知症予防
脳の血流がアップするため、子どもの知的発達や高齢者の認知症予防も期待されている。3.顔と全身の筋トレ効果によるアンチエイジング
口周辺の筋肉や飲み込む力、さらには全身の筋力バランスを維持するためのトレーニングに。口角の下がりやほうれい線の予防にも。
そこで注目したい食材がごぼうというわけです。
ごぼうは繊維質が多く、しっかりとした噛み応えがありますね。
ごぼうは食物繊維量が多いだけじゃない!腸内環境やコレステロールへの効果も期待
ごぼうに食物繊維が豊富なのは知っているけれど、いったいどのくらい含まれているのかご存じですか?
100gあたり5.7gと、野菜の中でもトップクラス。モロヘイヤ(5.9g)に次いで、堂々の2位です。
さらにセルロース(不溶性)やリグニン(水溶性)など、不溶性食物繊維、水溶性食物繊維がどちらもバランスよく含まれています。
食物繊維=腸の働きを活発にしてお腹をきれいにするというイメージが強いですが、それだけではありません。
食物繊維は、コレステロールの吸収を抑え、血中コレステロール値をコントールし、動脈硬化の予防や改善をサポート。また、腸内の発がん物質を吸着し排泄を促す働きがあるため、大腸がん予防でも注目されています。
利尿作用のあるイヌリン(水溶性食物繊維)が含まれ、腎機能を高める効果も。
さらに、血糖値の降下作用もあります。
また、ごぼうにはオリゴ糖が豊富に含まれます。腸内の善玉菌を優性にし、腸内環境をよくする働きが期待できます。
噛むことが苦手な小さなお子さんやシニアには、スープがおすすめです。
ごぼうをミキサーにかけ、ポタージュにすることで、食物繊維や栄養素を無理なく摂ることができます。
「ごぼうのポタージュ」
ごぼうの栄養素と健康効果
- ■食物繊維含有量は5.7g(100gあたり)で野菜の中でもトップクラス!
- ■オリゴ糖が豊富。腸内の善玉菌を優勢にし、腸内環境を整える
- ■アクはポリフェノール。アク抜きしすぎに注意
ごぼうには、腸内環境を整えるうれしい栄養素が豊富!
ごぼうの皮はむいちゃダメ!?歯ごたえを楽しむ旬のごぼうレシピ3選
ごぼうは、皮付近に香りとうま味が多く含まれます。
皮を厚くむかずに、包丁の背やたわし、丸めたアルミホイルなどで、こすり落とします。
炒め煮、揚げるなどの調理で甘味が増します。
また、香りが強く、肉や魚と一緒に調理すると臭みを消してくれます。
アクが気になるようなら5分程度、水にさらしてから使ってもいいですが、アクの成分はポリフェノールなので、さらしすぎないようにしましょう。新ごぼうはすぐに調理するならアク抜きは不要です。
きれいな色を保ちたいお料理の場合は、酢水につけておくと変色を防げます。
ごぼうの風味を余すところなくいただく、おすすめメニューをご紹介します!
「ごぼうチップスサラダ」
揚げ焼きにしたカリカリのごぼうが、子どもたちに人気。
「ごぼうと豚肉の卵とじ」
甘いおつゆとふんわり卵でとじた一品! ごはんが進みます。
「ごぼうのオイスターきんぴら」
にんじんもごぼうもピーラーで。 子どももシニアも食べやすいきんぴらです。
風味豊かで、おいしいごぼう。
食物繊維の効果、噛むことの大切さを知ると、ますますたくさん食べたくなりますね。
今年は、切り方や調理法を工夫して、さまざまな歯ごたえを楽しんでみてはいかがでしょうか?
自然の恵みに感謝して、
今日もおいしく、旬をいただきましょう。
旬の食材を知る
ーごぼう編ー
1.選び方:泥付きで全体の太さが一定のものを選ぶ
全体の太さが一定のものが良品です。極端に曲がったものやひび割れているもの、ひげ根が多すぎるものは避けましょう。できれば泥付きのものを選びましょう。洗いごぼうの場合は表面のきめが細かく、なめらかなものを。しわが寄っていたり、白すぎるものは風味が落ちます。2.保存方法:泥付きのまま新聞紙でくるんで冷暗所で保存
ごぼうは泥付きのまま、新聞紙でくるんで冷暗所で保管しましょう。洗いごぼうや新ごぼうの場合は、空気に触れないようにラップでしっかり包み、野菜室へ。きんぴらごぼうやたたきごぼうの酢ごま和えなど、調理すれば、冷蔵庫で2~3日程度保存できます。
3.トリビア:ごぼうを野菜として食べるのは日本人だけ
中国より薬用として伝わり、平安時代から栽培されるようになりましたが、ごぼうを野菜として食用にするのは日本だけ。中国では現在も薬用として利用されています。江戸時代、「細く長くつつましく生きること」を願ってお正月にごぼうを食べる習慣が始まりました。根を開いて食べることから、開運を意味するという説もあります。
監修:牧野直子(まきの・なおこ)
管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター。「スタジオ食(くう)」代表。おいしくて体にやさしいレシピや健康的なダイエット法などを提案し、テレビ、雑誌、料理教室、健康セミナーなどで幅広く活躍中。共著に『2品おかずで塩分一日6g生活』(女子栄養大学出版部)ほか。
2020年11月の情報をもとに掲載しています。