「主菜にならない」「葉っぱが余る」など、食材としてあまりうまく使いきれていない方もいらっしゃるかもしれませんが、春と秋~冬に2度旬を迎えるかぶには、驚きの栄養素がたくさん含まれているんです。
旬の食材は、リーズナブルに手に入るというだけでなく、ほかの時期に比べおいしさや栄養価がアップします。
かぶも、11月~1月にかけて、他の時期より甘みが増す旬がやってきます。
旬の食材は、栄養の宝庫。バリエーション豊かなレシピとともに、おいしいかぶの魅力をたっぷりとご紹介します。
ビタミンKとカルシウムが豊富なかぶでおいしく骨ケア
突然ですが、骨も新陳代謝によって、新しい細胞に入れ替わっているってご存じですか?
骨は、「骨代謝」といって、つねに「破骨細胞」によって古い骨が壊され(骨吸収)、「骨芽細胞」によって、新しい骨がつくられ(骨形成)、なんと1年で20%ほど入れ替わっているんです。
そこでぜひ注目していただきたいのが、かぶの栄養素。
かぶの葉(1個分)には、牛乳コップ半分(約100ml)と同等のカルシウム量が含まれています。また、骨からカルシウムが出ていくのを防ぐ、ビタミンKも豊富です。
とくに40代以上の女性の場合は、骨からカルシウムが流出しやすくなり、骨の健康を意識する必要があるといわれています。
この機会にぜひ、かぶのおいしい食べ方をマスターしていただきたいと思います。
栄養豊富なかぶには、ビタミンC、葉酸、カロテン、カリウムも!
かぶに含まれる栄養素は、カルシウムだけではありません。妊活中の女性や認知症予防など、様々な分野で注目を集めている葉酸も多く含まれます。
そして葉には、カロテン、ビタミンCが多く含まれ、さらには貧血を助ける鉄、カリウムも。
さらに、かぶの根(白い部分)には、ビタミンCや消化酵素「アミラーゼ」を含んでいます。
これは、とくに胃腸が弱っていたり、食べ過ぎの時におすすめです。
「簡単!七草粥」
旬の栄養素 「かぶ」
- ■かぶの葉は、カルシウム、ビタミンC、ビタミンK、カロテン、鉄、カリウム、葉酸などを含む栄養の宝庫
- ■かぶの根(白い部分)は、食物繊維が少なく、消化酵素「アミラーゼ」が含まれる。かぶの葉には、骨を健康に保つ栄養がたくさん!
【旬のレシピ】マスターしたい!毎日食べても飽きないかぶレシピ
かぶの根に含まれるビタミンCやアミラーゼは、熱に弱いため、効率的に栄養を摂取するなら、生がよいでしょう。
薄切りにして、少量(素材の1%程度)の塩で塩もみしておいて浅漬け風にしたり、サラダや炒め物に使うのもおすすめです。
汁物や煮物にする場合は、火の通りが早いので煮すぎに注意しましょう。
「かぶまるごとみそ汁」
とうふや揚げと一緒にみそ汁にして、栄養満点! カルシウムの吸収を助けるマグネシウムは、大豆・大豆製品にも豊富。女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンが補えるメリットもあります。
「きのことかぶのリゾット」
秋の旬と風味をたっぷり味わえる一品ですね。 きのこ類に含まれるビタミンDは、腸でのカルシウムの吸収を助けます。
「やみつき!無限かぶ」
子どもも大好きなツナと和えるだけ! 葉に含まれるカロテンは、油とともに調理すると吸収率が上がるので、 炒め物やオイル入りのドレッシングで和える、サラダもおすすめです。
根は淡色野菜、葉は緑黄色野菜。
それぞれにうれしい栄養素を蓄えて、私たちのもとに届くかぶ。
今年は、サラダに汁物、さっと煮など、
これまで試したことのないメニューに、挑戦してみてはいかが?
自然の恵みに感謝して、
今日もおいしく、旬をいただきましょう。
旬の食材を知る
ーかぶ編ー
1.選び方
葉がみずみずしく、根が真っ白でつやがあり、丸くキレイな形をしているものが良いものです。割れ傷がなく、実が詰まっていて、ひげ根が1本ぴんと出ているものを選びましょう。茎の付け根が太陽にあたって緑色になっているものや、古くなって茶色いものは、固くて味が落ちるので避けましょう。2.保存方法
根と葉をつけ根から切り離し、別々にラップに包んで野菜室で保存しましょう。葉をつけたままだと、葉に水分をとられてしまいます。葉はすぐに黄ばんでしまうので、なるべく早く使いましょう。すぐに使わない場合は、塩を加えた湯でゆでて、水にあげ、食べやすく切って冷蔵保存すれば栄養価も損なわれず2~3日もちます。
3.トリビア
かぶは種類が多く、大きさや色、形もさまざまで、欧米でも人気の野菜です。歴史も古く、日本には大根よりも早く伝わり、弥生時代には栽培されていたといわれています。春の七草の「すずな」はかぶのことです。
聖護院かぶ、滋賀の日野菜、愛媛の伊予緋かぶなど、多くの品種が地方独特の漬物として利用されているのも特徴的です。
金町かぶに代表される小かぶは関東を中心とした地域で古くから栽培されています。
監修:牧野直子(まきの・なおこ)
管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター。「スタジオ食(くう)」代表。おいしくて体にやさしいレシピや健康的なダイエット法などを提案し、テレビ、雑誌、料理教室、健康セミナーなどで幅広く活躍中。共著に『2品おかずで塩分一日6g生活』(女子栄養大学出版部)ほか。
2020年10月の情報をもとに掲載しています。