世界のリメイクごはん

バターピラフでつくるトルコのヨーグルトスープ

おいしく食べることと同時に、いま私たちは、残った食材や料理を、最後まで大切に食べることが求められています。そこで、海外に目を向けると、その国ならではのステキなアイデアがありました。シリーズでご紹介します。
第四回目は、トルコから。情報提供と写真はトルコ・イスタンブールの大矢ちはるさん、前日に残ったバターピラフを活用した家庭料理をご紹介します。

高原のスープという名のトルコ伝統料理

トルコの街並み

フランス料理・中華料理と並ぶ世界三大料理の1つトルコ料理。オスマン帝国の宮廷料理から始まった歴史ですが、調べていくと多くの料理や調理法がトルコで生まれています。
その1つがヨーグルトで、トルコから世界中にひろがりました。食べ方は朝食などにそのまま食べることもありますが、圧倒的に多いのは料理に使うこと。肉の臭みをとったり、調味料としても使ったりするので、ヨーグルトは家庭の冷蔵庫の必需品。必ず常備されています。

そしていろいろなおかずとともに食卓に並ぶのはバターピラフ。炊飯器で炊いたご飯ではなく、白米をバターなどの油脂で炒めたものですが、残ってしまうと翌日はおいしくありません。そんなときに真っ先に思いつくのが「ヤイラ・チョルバ(Yayla çorba)」というヨーグルトを使った伝統料理です。

「ヤイラ」は高原、「チョルバ」はスープという意味です。元々は、ヤイラと呼ばれる高原で、夏の間放牧された乳牛の栄養がたっぷりつまったバター、牛乳、ヨーグルトを使うことからヤイラ・チョルバ(高原のスープ)と呼ばれるようになったそうです。
今でもヤイラ・チョルバは、トルコ全土で一年中飲まれている定番スープで、常にトルコの台所にある材料、しかも短時間で調理できるので、おうちご飯のお助けスープでもあります。

残ったご飯が食べ応えのある一皿に変身

ヤイラ・チョルバをつくる材料

準備するものは、白米のバターピラフ一皿分(お茶碗一杯分のご飯でも良い)とヨーグルト250ml、牛乳50ml、卵黄1個分、小麦粉大さじ1、お湯360ml、塩少々です。

お鍋にご飯とお湯を入れ火にかけます。ボウルにヨーグルト、小麦粉、卵黄を混ぜ、先ほど火にかけたご飯が入った鍋からお玉一杯分のゆで汁を加えよく混ぜます。
これを、ご飯の鍋に少しずつ入れていきます(沸騰させないよう要注意)。すべて入れたら、いったん火を止め、良くかき混ぜます。次に牛乳を入れ火にかけ、沸騰直前で火からおろし塩で味を調えます。トルコではここにミントバターをかけます。
小鍋にバターを入れ火にかけ溶かし乾燥ミントを入れ少し焦がします。スープにこのミントバターをまわしがけて出来上がりです。このスープは、熱々でなく少し冷めてからの方が飲みやすくおいしいです。

栄養満点、体調の悪いときにも一杯のスープを

栄養満点、体調の悪いときにも提供されるヤイラ・チョルバ

2021年の3月に米国のメディアで「世界のベストスープ20」が発表されました。その中にトルコのヤイラ・チョルバも登場しました。紹介文には作り方とともに、「一部のトルコの病院では、病気の回復のため提供されています」と記されています。
ヤイラ・チョルバは、ヨーグルトや牛乳、卵を使ってつくるので栄養価が高く、体調がすぐれないときにも飲めるやさしいスープです。ご飯が入っているのでエネルギーも取れて栄養満点、これ一杯で体力が維持できます。
大人から子どもまで全てのトルコ人から愛される究極の健康スープのヤイラ・チョルバ、風邪の引き始めに飲めば香ばしいミントの香りで鼻やのどもすっきりするので、日本の冬にも試してみたいですね!

テキスト:村上千砂(TNC inc.)

フードプランナー、「Maison de Tsuyuki」料理人。大阪芸術大学卒業後、株式会社日本リクルートセンター入社。その後、フリーの編集者として活動し2004年に株式会社TNC設立。国内外の取材を通じた「食」の縁は仕事も人生も豊かにした。

2022年1月の情報をもとに掲載しています。

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