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豆とご飯が残ったらペルーの家庭料理「タクタク」に

豆とご飯が残ったらペルーの家庭料理「タクタク」に
おいしく食べることと同時に、いま私たちは、残った食材や料理を、最後まで大切に食べることが求められています。そこで、海外に目を向けると、その国ならではのステキなアイデアがありました。シリーズでご紹介します。
第三回目は、ペルーから。情報提供と写真はペルー・リマ在住の中島明子さん、前日に残った豆とご飯を活用した家庭料理をご紹介します。

古くから食べられていた豆と米の料理

ペルーの国土は日本の約3.4倍、太平洋に面し南米大陸中部に位置するこの国は、山岳地帯との標高差が大きく、海のものも山のものも豊富なことが特徴です。
美食の国と言われ、世界的に活躍するシェフを輩出する一方で、アンデス高原の食材による郷土料理や、華僑から伝わった料理、そして日本をルーツとするニッケイ料理など、バラエティがとても豊かです。

そんなペルーで残りもの活用の代名詞なのが「タクタク/ tacu tacu」です。
ルーツは諸説あります。ひとつは、かつてサトウキビや綿の農場に働きに来ていたアフリカ人女性たちが作って食べていた料理だったというもので、ペルーだけではなく他のラテンアメリカ諸国、ニカラグアやコスタリカのガヨ・ピントという料理、ドミニカ共和国のモロという料理など同じようなものがあります。
もうひとつは、クスコやアンデス地方で今でも使われているケチュア語の「tacuni=混ぜる」という言葉から生まれたというものです。

いずれにしても共通しているのは、この料理がペルーで古くから食べられていた、豆と米を使った料理であり、それが今でも家庭料理として大切にされていることです。
ということで、今回はこのタクタクの作り方をご紹介しましょう。

オムレツ感覚のフライパンメニュー

準備するものは、炊いたごはんお茶碗1杯分と、煮て潰したカナリア豆(インゲン豆の一種)150g、【A:みじん切りにした紫玉ねぎ1/2個、ニンニク2かけ、イエロー唐辛子ペースト大さじ1】、オリーブ油大さじ1、塩胡椒です。

ごはんと豆をボウルに入れ混ぜておきます。熱したフライパンに【A】の材料をオリーブ油で炒め、ごはんと豆を入れ塩胡椒で味を調えます。これでまずはタクタクの半分は完成。続いてテフロンのフライパンにオリーブ油(適量)を入れてあたため、半分完成したタクタクをひろげます。フツフツしてきて茶色くなってきたらオムレツをつくる要領でフライパンを振ってまとめます。難しかったらお皿を乗せてひっくり返して反対側を焼いてもOKです。水分を飛ばしながら表面をパリパリに焼いた方がおいしいですよ。

さあ、これで完成!中島さんのお宅では玉ねぎをレモンでマリネしたサルサや目玉焼きを添えますが、焼いたバナナを添える家庭も多いです。イエロー唐辛子ペーストは辛いものもあるので要注意。無くてもおいしくできます。

どんな豆でもつくれる、たんぱく質豊富なタクタク

タクタクをつくるときの豆とご飯は前の日の残り物の方がうまくいきます。それは豆が翌日は味が馴染んでおいしいことに加えペーストになりやすいこと、ごはんが炊きたてより少し硬くなっていて、オムレツのようなカタチに成型しやすいからだと考えられています。

市場やスーパーで売っている豆類は1袋500g入りなので、中島さんのお宅では全てを圧力鍋で煮るので、豆料理のレパートリーのひとつとしてタクタクは重要な料理です。
タクタクはレストランのメニューにもありますが、シーフードや牛肉の炒め物がソース風にかけられているなど、より豪華な一品になっていることが多いです。もちろん、どこのご家庭でも焼いたお肉をつけると家族は大喜びですね!

最後に豆の種類ですが、ペルーは豆の種類が豊富で、ひよこ豆、レンズ豆、白豆、黒豆等々ありますが、タクタクによく使われるのはカナリア豆です。
たんぱく質豊富な一品です。他の豆でもおいしくつくれるので、ぜひつくってみてください。

テキスト:村上千砂(TNC inc.)

フードプランナー、「Maison de Tsuyuki」料理人。大阪芸術大学卒業後、株式会社日本リクルートセンター入社。その後、フリーの編集者として活動し2004年に株式会社TNC設立。国内外の取材を通じた「食」の縁は仕事も人生も豊かにした。

2021年11月の情報をもとに掲載しています。

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