基礎より手前の料理のギモン

砂糖はなぜそんなに種類が多いのか?賞味期限はいつ?
~あの日見た「砂糖」の名前を僕はまだ知らない

料理ができたらいいな……と思ってはいるものの、レシピを見てもどこから手をつけていいのかわからない。スーパーマーケットに行ってもどんな食材や調味料を買えばいいのかわからず、ただただ立ち尽くす……。
そんな“非料理男子”のフリーライターMさんが、予備知識以前のギモンや謎を解明し、料理男子を目指します。

今回のテーマは「砂糖」。調味料売り場に並ぶ豊富なバリエーションを前にして、いつもながら混乱気味のMさんです。

初心者泣かせ! 「砂糖」の種類に打ちのめされる

こんにちは。「非料理男子ライター」のMです。

脱・非料理男子を目指すこの企画で、いろいろな料理のレシピをチェックしているとあることに気づきました。

ほとんどの煮物や炒め物に「砂糖」が使われているのです。ちょっと「AJINOMOTO PARK」の「レシピ大百科」を見てみましょう。

肉じゃが、親子丼、トンテキ、マカロニグラタン、きゅうりとわかめの酢の物......と、あらゆる料理に砂糖、砂糖、砂糖なんです! 主菜や副菜に関わらず、砂糖を使わないレシピを見つける方が難しいほど。

それだけ重要な調味料なら、キッチンに常備しておきたいものです。さっそくスーパーマーケットへ。「料理男子への第一歩♪」とばかりに意気揚々とした気分で砂糖コーナーを物色。ところが、その期待はいともたやすく打ち砕かれたのです――。

砂糖の種類多すぎっ!!

上白糖(じょうはくとう)、グラニュー糖、三温糖(さんおんとう)、黒砂糖、角砂糖――。
真っ白いものから茶色いものまで、見た目も違えば値段も違う。レシピで目にする「砂糖」はどの「砂糖」なの?

ここまで苦戦してしまうなんて......。二つの意味で砂糖を甘く見ていました。

原料によって呼び名が違う! 「甘しょ糖」と「てんさい糖」

普段あれだけ口にしている砂糖ですが、いざ向き合うとなると知らないことだらけです。
いったいどんな調味料なのでしょうか。

まず砂糖とは、植物に含まれているショ糖を原料にした甘味料のこと。
おもな原料はサトウキビ(甘しょ)とてん菜。
てん菜はカブのような形をした野菜で、別名さとう大根。北海道がおもな産地です。温暖な土地で育つサトウキビとは、見た目も産地も大きく異なるわけです。

てん菜

サトウキビ(甘しょ)

サトウキビとてん菜から抽出された砂糖の「結晶」と「糖液」は細かな工程を通じて上白糖やグラニュー糖、白ザラ糖、三温糖などに利用されます。

砂糖大さじ1杯が9g(35kcal)とは限らない!? 多種多様な砂糖をご紹介

さて、それぞれの砂糖にはどんな特徴があるのでしょうか。

◆オールラウンドプレイヤー「上白糖」
上白糖は、国内の砂糖消費量の約半分を占めるもっとも一般的な砂糖です。結晶が細かくしっとりとしています。惣菜やお菓子、飲み物など幅広く使えます。ちなみに上白糖大さじ1杯は約9gとされています。

◆料理の風味を楽しむなら「グラニュー糖」
グラニュー糖は、上白糖よりも結晶の大きい砂糖です。サラサラとしており、クセのない淡白な甘さ。香りや風味を楽しむコーヒーや紅茶などに適しています。ほか料理用としても。
そして気になる大さじ1杯はなんと12g。お菓子作りなどの際には要注意です。

◆コクと強い甘さが特徴「三温糖」
三温糖は、糖液を煮詰める過程でカラメル色になった砂糖です。コクがあり、甘さも強く感じられます。煮物や佃煮などに照りやツヤ、コクを加えたいときに。

◆お菓子づくりに便利な「角砂糖」
角砂糖は、グラニュー糖を四角く固めてつくられています。用途はコーヒーや紅茶など。1個の重量が決まっているので、お菓子用や調理用にも適しています。

そのほか、先ほど紹介した工程以外で製造される砂糖もあります。

◆そのまま食べても◎「黒糖」
黒糖は、サトウキビの汁をそのまま煮詰めてつくる砂糖です。濃厚な甘さと強い風味が特徴です。そのまま食べたり、魚や肉料理の臭み消し、煮物の隠し味として使います。

◆伝統製法でつくられる「和三盆(わさんぼん)」
和三盆(わさんぼん)は、おもに和菓子に使われる高級な砂糖です。サトウキビの汁からとった「白下糖(しろしたとう)」を、布で包んで圧搾する「押し」と水にさらす「研ぎ」を繰り返してつくります。

ここで紹介した砂糖はほんの一部に過ぎません。これだけ個性が分かれるんですから、スーパーの砂糖コーナーがカオス状態になるのも納得です。

さて、常備するとなるといつまで保存できるのか気になるところですが、じつは砂糖は長期にわたって品質が安定しているため、JAS法で「砂糖は品質の劣化が極めて少ないため賞味期限及び保存方法の表示を省略できる」とされています。

つまり、賞味期限がないんです! とはいえ、保存容器がしっかり密封できていなかったり、乾燥した場所に置いたりしていると砂糖が固まってしまうこともあります。

そんなときは保存容器に食パンを一切れ入れてみましょう。一晩置いたらアラ不思議! 塩とは反対に、砂糖は乾燥することで固まってしまうので、パンの水分で砂糖がサラサラの元通りに。砂糖のついたパンを朝食にすれば一石二鳥ですね〜。

【脱線コラム】
「糖質」と「糖類」ってなにが違うの?

「糖質」と「糖類」。食べ物や飲み物のパッケージでよく目にしますが、それぞれ意味が異なります。

「糖質」とは、私たちが普段から口にしている炭水化物から食物繊維を除いたもの。人間が活動するためのエネルギー源となる栄養素で、不足してしまうと疲労を感じやすくなったり集中力が低下したりする原因になります。

一方の「糖類」は、糖質に含まれている砂糖やブドウ糖といった単糖類・二糖類の総称。糖類はカロリー源になるだけではなく、食後の血糖値を急上昇させます。

血糖値が気になる人の救世主・多彩な機能の甘味料に感無量!

砂糖についていろいろ調べていると、気になる表現を見つけました。それは「血糖値スパイク」。これは食後の短時間に血糖値が急上昇する症状で、放置しているとやがて動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こしてしまうのだとか。

糖類に分類されている砂糖は、血糖値上昇を招くため過剰な摂取は禁物。しかし、砂糖の甘味を抑えた料理はどこか味気なくなってしまいそうです。

そんなときに重宝したいのがアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースなどを原料にした甘味料です。

これらがただの砂糖の代用品だと思ったら大間違い! アスパルテームの甘さは砂糖の160~220倍、スクラロースは600倍とされており、凄い力を秘めているのです。

おまけにこれらの甘味料はブドウ糖を含んでいないため、摂取しても血糖値は上昇しない、というデータも。こうした特性からダイエット向けの清涼飲料水やガムや錠菓などに活用されるほか、肥満・糖尿病の予防や治療にも有用と見込まれているそうです。

砂糖とうまく使い分けて、おいしさだけではなく健康についても意識していきたいところです!

「塩の辛さ、砂糖の甘さは学問では理解できない。だが、なめてみればすぐ分かる」とは、かの有名な松下幸之助氏が残した言葉。

たかが砂糖となめてかからず、まずは実践あるのみです!

2021年8月の情報をもとに掲載しています。

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