料理ビギナー

砂糖はなぜそんなに種類が多いのか?賞味期限はいつ?
~あの日見た「砂糖」の名前を僕はまだ知らない

料理ができたらいいな……と思ってはいるものの、レシピを見てもどこから手をつけていいのかわからない。スーパーマーケットに行ってもどんな食材や調味料を買えばいいのかわからず、ただただ立ち尽くす……。
そんな“非料理男子”のフリーライターMさんが、予備知識以前のギモンや謎を解明し、料理男子を目指します。

今回のテーマは「砂糖」。調味料売り場に並ぶ豊富なバリエーションを前にして、いつもながら混乱気味のMさんです。

初心者泣かせ! 「砂糖」の種類に打ちのめされる

こんにちは。「非料理男子ライター」のMです。

脱・非料理男子を目指すこの企画で、いろいろな料理のレシピをチェックしているとあることに気づきました。

ほとんどの煮物や炒め物に「砂糖」が使われているのです。ちょっと「AJINOMOTO PARK」の「レシピ大百科」を見てみましょう。

肉じゃが、親子丼、トンテキ、マカロニグラタン、きゅうりとわかめの酢の物......と、あらゆる料理に砂糖、砂糖、砂糖なんです! 主菜や副菜に関わらず、砂糖を使わないレシピを見つける方が難しいほど。

それだけ重要な調味料なら、キッチンに常備しておきたいものです。さっそくスーパーマーケットへ。「料理男子への第一歩♪」とばかりに意気揚々とした気分で砂糖コーナーを物色。ところが、その期待はいともたやすく打ち砕かれたのです――。

砂糖の種類多すぎっ!!

上白糖(じょうはくとう)、グラニュー糖、三温糖(さんおんとう)、黒砂糖、角砂糖――。
真っ白いものから茶色いものまで、見た目も違えば値段も違う。レシピで目にする「砂糖」はどの「砂糖」なの?

ここまで苦戦してしまうなんて......。二つの意味で砂糖を甘く見ていました。

原料によって呼び名が違う! 「甘しょ糖」と「てんさい糖」

普段あれだけ口にしている砂糖ですが、いざ向き合うとなると知らないことだらけです。
いったいどんな調味料なのでしょうか。

まず砂糖とは、植物に含まれているショ糖を原料にした甘味料のこと。
おもな原料はサトウキビ(甘しょ)とてん菜。
てん菜はカブのような形をした野菜で、別名さとう大根。北海道がおもな産地です。温暖な土地で育つサトウキビとは、見た目も産地も大きく異なるわけです。

てん菜

サトウキビ(甘しょ)

サトウキビとてん菜から抽出された砂糖の「結晶」と「糖液」は細かな工程を通じて上白糖やグラニュー糖、白ザラ糖、三温糖などに利用されます。

砂糖大さじ1杯が9g(35kcal)とは限らない!? 多種多様な砂糖をご紹介

さて、それぞれの砂糖にはどんな特徴があるのでしょうか。

◆オールラウンドプレイヤー「上白糖」
上白糖は、国内の砂糖消費量の約半分を占めるもっとも一般的な砂糖です。結晶が細かくしっとりとしています。惣菜やお菓子、飲み物など幅広く使えます。ちなみに上白糖大さじ1杯は約9gとされています。

◆料理の風味を楽しむなら「グラニュー糖」
グラニュー糖は、上白糖よりも結晶の大きい砂糖です。サラサラとしており、クセのない淡白な甘さ。香りや風味を楽しむコーヒーや紅茶などに適しています。ほか料理用としても。
そして気になる大さじ1杯はなんと12g。お菓子作りなどの際には要注意です。

◆コクと強い甘さが特徴「三温糖」
三温糖は、糖液を煮詰める過程でカラメル色になった砂糖です。コクがあり、甘さも強く感じられます。煮物や佃煮などに照りやツヤ、コクを加えたいときに。

◆お菓子づくりに便利な「角砂糖」
角砂糖は、グラニュー糖を四角く固めてつくられています。用途はコーヒーや紅茶など。1個の重量が決まっているので、お菓子用や調理用にも適しています。

そのほか、先ほど紹介した工程以外で製造される砂糖もあります。

◆そのまま食べても◎「黒糖」
黒糖は、サトウキビの汁をそのまま煮詰めてつくる砂糖です。濃厚な甘さと強い風味が特徴です。そのまま食べたり、魚や肉料理の臭み消し、煮物の隠し味として使います。

◆伝統製法でつくられる「和三盆(わさんぼん)」
和三盆(わさんぼん)は、おもに和菓子に使われる高級な砂糖です。サトウキビの汁からとった「白下糖(しろしたとう)」を、布で包んで圧搾する「押し」と水にさらす「研ぎ」を繰り返してつくります。

ここで紹介した砂糖はほんの一部に過ぎません。これだけ個性が分かれるんですから、スーパーの砂糖コーナーがカオス状態になるのも納得です。

さて、常備するとなるといつまで保存できるのか気になるところですが、じつは砂糖は長期にわたって品質が安定しているため、JAS法で「砂糖は品質の劣化が極めて少ないため賞味期限及び保存方法の表示を省略できる」とされています。

つまり、賞味期限がないんです! とはいえ、保存容器がしっかり密封できていなかったり、乾燥した場所に置いたりしていると砂糖が固まってしまうこともあります。

そんなときは保存容器に食パンを一切れ入れてみましょう。一晩置いたらアラ不思議! 塩とは反対に、砂糖は乾燥することで固まってしまうので、パンの水分で砂糖がサラサラの元通りに。砂糖のついたパンを朝食にすれば一石二鳥ですね〜。

【脱線コラム】
「糖質」と「糖類」ってなにが違うの?

「糖質」と「糖類」。食べ物や飲み物のパッケージでよく目にしますが、それぞれ意味が異なります。

「糖質」とは、私たちが普段から口にしている炭水化物から食物繊維を除いたもの。人間が活動するためのエネルギー源となる栄養素で、不足してしまうと疲労を感じやすくなったり集中力が低下したりする原因になります。

一方の「糖類」は、糖質に含まれている砂糖やブドウ糖といった単糖類・二糖類の総称。糖類はカロリー源になるだけではなく、食後の血糖値を急上昇させます。

血糖値が気になる人の救世主・多彩な機能の甘味料に感無量!

砂糖についていろいろ調べていると、気になる表現を見つけました。それは「血糖値スパイク」。これは食後の短時間に血糖値が急上昇する症状で、放置しているとやがて動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こしてしまうのだとか。

糖類に分類されている砂糖は、血糖値上昇を招くため過剰な摂取は禁物。しかし、砂糖の甘味を抑えた料理はどこか味気なくなってしまいそうです。

そんなときに重宝したいのがアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースなどを原料にした甘味料です。

これらがただの砂糖の代用品だと思ったら大間違い! アスパルテームの甘さは砂糖の160~220倍、スクラロースは600倍とされており、凄い力を秘めているのです。

おまけにこれらの甘味料はブドウ糖を含んでいないため、摂取しても血糖値は上昇しない、というデータも。こうした特性からダイエット向けの清涼飲料水やガムや錠菓などに活用されるほか、肥満・糖尿病の予防や治療にも有用と見込まれているそうです。

砂糖とうまく使い分けて、おいしさだけではなく健康についても意識していきたいところです!

「塩の辛さ、砂糖の甘さは学問では理解できない。だが、なめてみればすぐ分かる」とは、かの有名な松下幸之助氏が残した言葉。

たかが砂糖となめてかからず、まずは実践あるのみです!

2021年8月の情報をもとに掲載しています。

旬のはなし

夏バテも食欲不振もさよなら!今年は「うなぎ」でパワーチャージ

「旬のものを食べると、体にいい」
子どものころ、大人たちに言われてきました。

旬の時期に、市場に多く出回る野菜や魚介類。じつは、大量に収穫できるため値段が安く手に入りやすい、という理由だけではないようです。
ではなぜ、旬の時期に食べるといいのでしょうか?

露地ものの野菜は、旬の時期に栄養価が高くなります。
冬が旬のほうれん草の場合、ビタミンC量(100g中)、冬は60mgと、夏の約3倍に。
夏野菜のきゅうりやトマトは、水分も多く、汗で流れ出やすいカリウムも豊富なので、夏の体にぴったりです。

旬の食材を食べること。
それは、先人たちから受け継がれてきた、とても理にかなった、私たちの食の営みです。

本連載では、食材をとことん味わいつくす、健康的なレシピが人気の管理栄養士・牧野直子さんに、
旬食材の魅力と、うれしい健康効果について教えていただきます。
8月は、夏こそ食べたい「うなぎ」と「トマト」。

『万葉集』にも登場し、古くから日本で食べられているうなぎも、夏の私たちの体に、たくさんの栄養をもたらしてくれます。

夏バテ予防には、たんぱく質、ビタミン、クエン酸!

夏バテとは、気温の変化に体がついていけず、自律神経が不安定になり睡眠不足や倦怠感、食欲不振などの症状を起こすことです。
食欲不振になると、体を維持するために必要なエネルギーや栄養素が不足するため、 倦怠感や疲れがとれない状態が続く悪循環になります。

もっともエネルギーになるのは、ごはんやパンなどに多く含まれる糖質です。これをエネルギーに換えるのに必要なのが、豚肉、うなぎや紅サケ、たらこ、青魚、そして卵や納豆などのたんぱく質源に豊富に含まれるビタミンB群です。

食欲がないからそうめんだけ、お茶漬けだけというような主食のみの食事で、たんぱく質源が不足すると、ビタミンB群が足りずエネルギーを生み出すことができません。

また、クエン酸や酢の酢酸は、糖質をエネルギーに換える代謝サイクルの中で、スムーズにエネルギーを生み出す助けをします。

夏の最強食材「うなぎ」と「トマト」

夏に食べたくなるうなぎは、脂質を多く含み、カロリーも高いため、少量でも効率よくエネルギーを補うことができます。夏バテで食欲がないときや、もともと食が細い人の栄養補給にむいています。

そしてうなぎには、炭水化物をエネルギーに変えるときに必要なビタミンB1、脂質をエネルギーに変えるのに必要なビタミンB2が豊富で、それぞれが互いの働きを助け合うことができるため、夏バテや疲労回復にかかせない食材です。

その他、日焼けによる肌のダメージを和らげるビタミンA、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも多く含まれます。

クエン酸を含むトマトも、エネルギーを速やかに作るのに欠かせません。
トマトは赤い色が濃いほどリコピンが豊富です。リコピンは抗酸化作用が強く、紫外線から肌を守る、HDLコレステロールを増やす、高めの血圧を下げる、などの働きも期待できます。

旬の栄養素 「うなぎ」

■糖質や脂質をエネルギーに変えるビタミンB1、B2
■日焼けによる肌のダメージを和らげるビタミンA
■カルシウムの吸収を助けるビタミンD
■血液中の脂質の酸化を防いで動脈硬化を予防するビタミンE
■血液中のLDLコレステロールや中性脂肪を減らす不飽和脂肪酸

夏に食べたくなるうなぎは、すべての年代の体の悩みをサポートするまさに栄養の宝庫!

【旬レシピ】蒲焼きだけじゃもったいない!うなぎアレンジメニュー

うなぎというと、「蒲焼きに白いごはん」が王道ですが、もっと気軽に、日々の食卓で楽しめるメニューもたくさんあるんです。

たとえば、一口大に切ったうなぎとくし形に切ったトマトを炒め合わせ、ざく切りのシソを散らすだけで完成の「うなぎとトマトの炒め物」は、ごはんが進む一品となります。

トマトの酸味と旨味が調味料代わりになりますし、トマトのリコピンは脂溶性のためうなぎの脂肪分と一緒にとることで吸収がよくなるという、とても相性の良い掛け合わせです。

そのほか、おすすめのうなぎメニューはこちら

「うなぎときゅうりの酢のもの」

「うなぎとピーマンのピリ辛チャンプルー」

日本の美しい四季を感じさせてくれる、旬の食材。
店頭に並ぶ、色とりどりの旬の食材を見つけるたびに、
またこの季節がやってきたと、うれしくなりますね。

日々、栄養バランスや品数に気を取られがちですが、
ただシンプルに「旬の食材を食べる」ことを意識するだけで、

自然と体の調子が整ってくるのかもしれません。 自然の恵みに感謝して、
今日もおいしく、旬をいただきましょう。

旬の食材を知る
ーうなぎ編ー

1.選び方
かばやきや白焼きに加工してあるものは、焼きすぎていないもの、できるだけ作りたてが◎。横から見て皮と身が平らになっていて(丸まりすぎていない)、幅広いものが皮の軟らかいうなぎです。堅い場合は、酒蒸しして刻み、ひつまぶしにすると食べやすくなります。
真空パックの場合、型崩れしていないものを選びましょう。
生きているものを買う場合は、青みを帯びた黒色の背に、真っ白な腹をしているものを選びます。

2.保存方法
一切れずつラップで包み、さらにビニール袋などに入れ、できるだけ空気に触れないように密閉して冷蔵庫で保存して下さい(2~3日)。
冷凍保存の場合は、1か月を目安に早めに食べきってください。

3.トリビア
天然のうなぎは5~12月に獲れ、脂がのるのは冬なので、本来の旬は秋から冬でした。
しかし、現在、日本で流通しているうなぎは養殖がほとんど(約99%)で、夏の土用の丑の日に合わせて出荷されるため、夏に旬を迎えます。

テキスト:村上千砂(TNC inc.)

フードプランナー、「Maison de Tsuyuki」料理人。大阪芸術大学卒業後、株式会社日本リクルートセンター入社。その後、フリーの編集者として活動し2004年に株式会社TNC設立。国内外の取材を通じた「食」の縁は仕事も人生も豊かにした。

野﨑亮彦氏

食品事業本部 家庭用事業部
メニュー調味料グループ

2005年、味の素グループに入社。中国支店(広島県)で営業を6年間担当したのち、2011年より2年間は本社家庭用事業本部で新製品の開発を担当。2013年より和風おかずシリーズの「Cook Do® きょうの大皿®」シリーズ開発担当等を経て、「Cook Do®」ブランド全体に携わる。
趣味は、タッチフットボール。「防具なしで行うアメリカンフットボールのような球技です。20代の若者に混じってたっぷり汗を流しています(笑)」。

長野県山岳遭難防止対策協会 北アルプス南部地区夏山常駐パトロール隊 副隊長
加島博文(かしまひろぶみ)さん

1973年、東京都生まれ。大学生の時に山岳部に入部したことをきっかけに山の世界へ。22歳からは長野県の夏山常駐パトロール隊に入隊し、2010年より同組織で副隊長を務める。秋の紅葉シーズンにも20日ほど涸沢基地に拠点を置いてパトロールを行っているほか、冬はスキー場をパトロール。救助隊員の他、「Mountain Support Kashima」の代表としての顔を持ち、北アルプス南部一体の登山道の整備など、山岳工事全般の事業にも携わっている。

監修:一色 賢司(いっしき けんじ)先生

北海道大学名誉教授、放送大学客員教授
(一財)日本食品分析センター学術顧問
(一社)栄養改善普及会会長

監修:牧野直子(まきの・なおこ)

管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター。「スタジオ食(くう)」代表。おいしくて体にやさしいレシピや健康的なダイエット法などを提案し、テレビ、雑誌、料理教室、健康セミナーなどで幅広く活躍中。共著に『2品おかずで塩分一日6g生活』(女子栄養大学出版部)ほか。

2020年9月の情報をもとに掲載しています。

食と健康

パスタ!冷しゃぶ!春巻き! 夏バテ対策に味も栄養もグレードアップ

手軽で簡単な晩ごはんや、休日のランチ、毎日のお弁当に人気の定番メニューも、ちょっとしたアイデアで夏仕様にアレンジすれば、夏バテを予防する新メニューに。
今回は、暑い時期に人気の「冷製パスタ」と「冷しゃぶ」、そしてお弁当にも人気の「春巻き」をピックアップしました。
食欲が減退しがちな季節でも、もりもり食べられて、暑さや病気に負けない体を作るレシピを紹介します。

夏バテの原因は「冷え」と「栄養不足」

夏バテは、医学的な用語ではありませんが、高温多湿な日本の夏の暑さによる体調不良の総称です。
暑さが続くと「疲れがとれない」「食欲がなくなる」「よく眠れない」という方がいらっしゃいます。このような「だるさ」の原因の中に、「冷え」と「栄養不足」があげられます。

外は暑いのにオフィスや電車ではカラダが冷える...といった「夏の冷え性」も夏バテの原因の1つです。体が冷えると汗をかきにくくなり、体温調節がうまくできなくなるからです。

また、夏はそうめんや冷や麦など炭水化物にかたよった献立・レシピになりやすく、栄養バランスがくずれがちに。そこで、不足しやすいたんぱく質、ビタミン、ミネラルを意識したバランスの良い献立をご紹介します。

タコのガスパチョ風味で疲労回復パスタ

パスタソースは皮を湯むきしたトマトと玉ねぎをミキサーにかけ、調味料と混ぜ合わせるだけ!仕上げに茹でダコのスライスをトッピングすれば、超簡単冷製パスタの完成。バジルの風味が本格的な一品です。

夏の太陽を浴びた緑黄色野菜(トマト、かぼちゃ、ピーマンなど)は、カロテン、ビタミン、食物繊維、カリウムなどのミネラルが多く含まれています。
タコは良質のたんぱく質がたくさん含まれていて、疲労回復にもおすすめです。

さっぱりねぎ塩ダレで箸がとまらない豚しゃぶ

好きな野菜と豚のスライス肉をたっぷりのお湯で茹でるだけの冷しゃぶ。みじん切りにしたネギを調味料と混ぜ合わせるだけの、特製だれでいただきましょう。

豚肉に多く含まれるビタミンB群は、エネルギー代謝や疲労回復に効果的。
ビタミンB1は、にんにくやねぎなどのアリシンを含む食材と一緒に食べると、吸収が良くなります。

何個でも食べられる!梅肉風味の大葉春巻き

子ども大人も大好きな春巻き。ひき肉と玉ねぎ、調味料を準備して、市販の春巻きの皮を使えば、「混ぜて包んで焼くだけ」の時短料理です!

しょうがやしそなどの香味野菜は、食欲アップに効果的。夏にピッタリのさっぱりとした味のアクセントにもなります。梅干しに含まれるクエン酸も積極的にとり入れましょう!夏の疲れたカラダに◎

夏バテ対策の基本は、まず体を冷やさないように心がけること。そして、栄養バランスを意識した食事をとることです。
生活と食事を見直して、夏の体調不良を防ぎましょう。

ご紹介したレシピを、副菜や汁物とあわせた献立メニューは、こちらからチェックしてくださいね。

2020年9月の情報をもとに掲載しています。

料理ビギナー

「料理の基本」は謎だらけ~下味付けってなに?

料理ができたらいいな……と思ってはいるものの、レシピを見てもどこから手をつけていいのかわからない。スーパーマーケットに行ってもどんな食材や調味料を買えばいいのかわからず、ただただ立ち尽くす……。

「基礎中の基礎のそのまた基礎もわからない!」とお嘆きの人たちにむけて、まずは料理に興味をもってもらえたらと、この企画は始まりました。

ナビゲートするのは“非料理男子”のフリーライターMさん。予備知識以前のギモンや謎(?)をちょっとずつ解明して料理男子を目指します。

料理初心者が気になった ~下味付けは必要なの?

「非料理男子ライター」のMです。

食べることは大好きなんですが、「料理を作る」となると話はべつで、自分がキッチンに立つ姿をイメージすることすらなく、今日まで生きてきました。

だって、レストランや居酒屋に行けばプロのつくった料理が気軽に食べられるし、コンビニ弁当だって手ごろな価格でそこそこうまい。ド素人の僕が手間をかけて料理をつくるよりも、クオリティの高い食事にありつける現実があるわけです。要は、料理する手間をお金で買っているようなもの。そりゃあ、自炊からも遠ざかりますって。え、怠慢ですって!? いやいや、合理的といってほしいなあ。

そんなふうに考えていた時期が、僕にもありました。いまとなっては、なぜあんなに思いあがっていたのやら......。

ターニングポイントは先日開かれたBBQでのこと。男友達がテキパキと下準備をこなし、周囲から脚光を浴びるなか、料理のできない僕はただそれを見守ることしかできず、食後の「鉄板洗い」を買って出て居場所をなんとか見つけたものの、どこか気が晴れない一日を過ごすことに。

「いまどき料理ができない男ってヤバいのか......?」

そういえば、数年前から書店のレシピ本コーナーに「男子向け」をアピールした本が増えている気がする。ライフスタイル雑誌では男心をくすぐる調理家電の特集が組まれることも珍しくない。

「これってもしかして、時代に取り残されてる......?」

まずい! これはまずい! 腐ってもライターの端くれ。ブームを素通りしてしまっては、今後の進退に関わりかねないぞ。

ということで、さっそくリサーチを開始。基本の知識くらいは知っておこうとパソコンに向かいます。「料理初心者 レシピ」でネット検索したところ、出るわ出るわ。個人ブログから大手レシピサイトまで、ビギナー向けの「簡単レシピ」がザクザクと。

そしたら気づいてしまったのですよ。大半の料理に「下味」を付ける工程があることを。

たとえば鶏肉を使ったレシピなら――、

塩コショウで下味をした鶏肉に......
混ぜ合わせた★(調味料)で鶏肉に下味を付けよく揉み込み......


といった具合です。

知らない言葉ではないけれど、ここまで重要な工程だったの!?

う~む、気になってきたぞ。
リサーチするときは専門書に頼るのがライターの鉄則!

さっそく取り寄せた『調理用語辞典』(全国調理師養成施設協会 改訂版)を調べてみました。

引用:したあじ【下味】生の材料にあらかじめ調味料、香辛料等で味をつけておくこと。焼き物、蒸し物などに用いる下処理の一種である。

なるほど。つまり「下味」とは、調理前の材料に味をつけておく下ごしらえというわけね。

味付けをするタイミングは、てっきり焼いたり炒めたりしている最中だけかと思っていました!
思えば、よい原稿を書くためにはていねいな下準備が必須。まかさこんなところでライターの仕事とつながるとは!

めくるめく下味付けの世界

調査を進めると、やはり下味はさまざまな料理に用いられています。

ステーキなら鉄板にのせる前に牛肉に塩コショウをふっておいたり、豚の生姜焼きならフライパンで焼く前に豚肉を生姜醤油に浸けておいたり。下味は火を通す前の必須工程。
調理前に味付けすることで調味料の風味がなじみやすく、よりいっそうおいしくなるというわけです。

さらに下味は、味を付ける以外にもさまざまな効果があります。

たとえば、焼き魚をつくるとき。

事前に切り身に「塩」と「酒」をふりかけておくと、いやな生臭さを抑えてくれます。
野菜に塩をふると、しんなりさせる役割もあるそうです。

そうそう、テレビの料理番組でシェフが目線ほどの高さから塩をふりかけている場面を見たことをありませんか? てっきりテレビ映えのために、かっこつけているだけだと思っていましたが、あの仕草にもちゃんと意味がありました。

少し高い位置からの方が塩を広い範囲にまんべんなくふれるんだそうです。

塩をふるときには高い位置からカッコ良くふってみましょう。一口コンロの狭いキッチンもライブキッチンさながらの空間に早変わりしますよ。たぶん。

そのほか、牛肉を焼き肉のタレに漬けるレシピもありました。
あと、驚いたのはヨーグルト。鶏肉に浸けておくとやわらかく、ジューシーになるのだとか。ヨーグルトはデザートに食べるものとばかり思っていたのですが、意外な底力があるようです。

から揚げレシピは、驚きの"下味無法地帯"

下味を使ったレシピはまだまだありますよ。みんなが大好きな「鶏のから揚げ」なら、下味に塩こしょうを使う場合もあれば、醤油、酒、生姜を使うことも。これは、肉の生臭さを抑えたり、風味をプラスするのが目的です。

AJINOMOTO PARKの「レシピ大百科」では「塩から揚げ」を紹介していますが、驚きの調味料が登場します。その調味料とはなんと「ほんだし」! そりかえったカツオのロゴが目印のあの「ほんだし」です!

なんでも、かつお節を使ったほんだしには、香りとコクをプラスする効果があるのだとか。それが唐揚げにもいかんなく発揮されるのです。いろんな料理の味付けに試して、うま味をブーストさせたくなりますね。

ほんだしを使うのはまだまだ序の口。世の中には、にんにく味噌で下味をつけた「味噌から揚げ」やウスターソースやオイスターソースを使った「ソースから揚げ」といった二度見必至の変わりダネも。

から揚げレシピは、もはや何でもありの無法地帯。裏を返せば、下味には無限の可能性があるということですね。
好きな調味料を加えて自分好みの下味を探してみるのも楽しそう!

下味付けの代表格「塩」について

いまやスーバーで気軽に購入できる塩ですが、大昔は金と同等の価値があるほどの貴重品でした。
古代ローマでは役人や兵士の給料として支給されており、ラテン語の塩を意味する「サラリウム」が英語の「サラリー」(給料)に派生したという説も伝わっています。
いまでは考えられない感覚ですが、そういった歴史的背景を思うと塩のありがたみが増しますね。

しょっぱさの正体は、主成分の塩化ナトリウムに由来しています。一般的に含有量が多いほど塩辛さが増すので購入する際は商品の「製造方法の表示」を参考にしましょう。

「製造方法の表示」に明記されている「原材料」欄にも注目です。原材料は海水、海塩、岩塩、湖塩、天日塩のいずれかと決まっていて、それぞれ味に個性があります。

また、味わいにも個性があります。たとえば海水から作られる「瀬戸のほんじお」には、同じく海水からとった天然のにがり成分(カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)が含まれています。そのため、いわゆる「塩カド」のとれたまろやか~な味わいに。さらに、にがりが入っている分しっとりした口あたりになるのだそうです。

「塩」と一口にいっても、原材料や製法によって味わいはさまざま。初心者のうちはチンプンカンプンかもしれませんが、慣れてきたら料理によって「塩を使い分ける」という高等テクも可能に。まずは家にある塩の成分表示をチェックしてみてはいかがでしょうか。

下味を制する者は料理を制す

いろいろ調べてみて、下味が料理のおいしさを底上げすることがわかりました。

僕が口にしてきたあらゆる料理に、ちょっとしたひと手間がかけられているわけだ。夜食に買ったスーパーの惣菜にも、取材で食べた極厚ステーキにも、居酒屋で出されたなんてことのないお通しにもきっと。

下味の効果や役割を知ったら、なんだか料理男子に一歩近づいた気分。なにやら急に興味が湧いてきました。

こうなると、焼き魚や照り焼きチキン、豚の生姜焼きなど、なんにでも挑戦できそうな気がしてくるから不思議です! さらにこの調子で、料理男子を目指します! 次回も乞うご期待!

2020年12月の情報をもとに掲載しています。