基礎より手前の料理のギモン

炒め物が水っぽい...その理由は火加減にあった!

炒め物が水っぽい...その理由は火加減にあった!
料理ができたらいいな……と思ってはいるものの、レシピを見てもどこから手をつけていいのかわからない。スーパーマーケットに行ってもどんな食材や調味料を買えばいいのかわからず、ただただ立ち尽くす……。

そんな“非料理男子”のフリーライターMさんが、予備知識以前のギモンや謎(?)を解明し、料理男子を目指します。

今回のテーマは「炒める」。材料も工程もシンプルな野菜炒めにチャレンジしますが、なかなか一筋縄ではいかないようで……。

簡単に見えて奥深い。深淵なる炒め物の"沼"

「非料理男子ライター」のMです。
前回、こちらの連載で「下味」についてざっくり学んだのはまだ記憶に新しいところ。
「料理っておもしろいかも!」そんな意識が芽生えた僕が今回チャレンジしたのは「野菜炒め」です。

なぜ野菜炒めか? それは簡単そうだから。だって......野菜を切ってフライパンで炒めればいいだけでしょ!?

さて、さっそく買いこんできた豚肉と野菜を適当な形にカット。フライパンになんとなく多めにサラダ油を注いで、そこへ肉と野菜を投入して着火!

しばらくするとジュージューと音がしてきました。じっとフライパンを見守りつつ、「こんなもんかな?」という頃合いを見計らって野菜をお皿に移します。

しかし完成したのは想像とはかけ離れた野菜炒め。
野菜は固く、肉は生焼けで、油がギトギト。これ以上食べ進めるのは危険と判断して、そっと冷蔵庫にしまいました......。

どうして、あんなことになってしまったのか。
インターネットで「野菜炒め 失敗」のキーワードで調べたところ「水っぽい」「焦げた」「シャキシャキ感がない」という情報が続々と見つかります。

あれ、もしかして野菜炒めをつくるのって難しい? 誰ですか、「野菜炒めが簡単そう!」だなんて、無責任なことを言っていたのは......。

そもそも「炒める」とはどういうことなのか。

いためる【炒める】

熱した鉄鍋または鉄板の上で熱と少量の油により食品を加熱する調理法。(省略)加熱中は食品を混ぜたり、動かしたりして食品温度の分布を短時間で均一にする必要がある。
(『調理用語辞典』より)

ッッ!? 加熱中に動かす!? ここにも何か大きなポイントがありそうです。

ひとまず資料を読み進めてわかったこと、それは――。
炒め物とは
◆いろんな食材に応用できて
◆野菜はやわらか
◆肉は食べごたえが出て
◆食材のビタミンも損なわれることなく
◆油の風味が加わってよりおいしくなる。
という、いい事だらけの調理方法だということでした。

なにやら大きな秘密を知ってしまった思い。世間の人々はこの「炒め」の底力に気づいているのでしょうか。これはまたもや深い"沼"に足を踏み入れてしまったのかも......。

フライパンと油はしっかり加熱するべし

ここで素直にAJINOMOTO PARK「レシピ大百科」の野菜炒めレシピ人気第1位「中華屋さんの肉野菜炒め」を見てみると、さっそく気になる点があります。

引用:フライパンに油を熱し、にんにく、豚肉を炒め~
https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/card/706807/

なるほど。フライパンには先に油を入れ、あらかじめしっかり加熱しておくことが大切のようです。調べてみるとこれは、焦げ付きを防いだり食材への火の通りをよくするための常識だとか。あやうく知らずに一生過ごすところでした。

ちなみに、フライパンを斜めに傾けて油がさらりと流れれば十分加熱されています。
(フライパンへの油の投入タイミングについては、フライパンの種類や調理法によって諸説あるようです。)

ここでその油の量ですが、野菜炒めなら一人前あたり小さじ1(4g)程度と表記しているレシピがいくつかありました 。多すぎてもベトベトになるだけなんですね。

ちなみに大さじ1分なら油12g程度。これはピーナッツ30粒分の脂質にあたります。ぜひ、BARで乾き物を食べている最中などに披露していただきたい雑学です。

サラダ油の「サラダ」ってなに?

スーパーマーケットの食用油コーナーでよく目にする「サラダ油」。植物油の一種で、胡麻や米、とうもろこし、なたねなどを原料としています。炒め物や揚げ物にも使えるのに「サラダ」とはこれいかに?

奇妙なネーミングの由来は、フレンチドレッシングやマヨネーズ、マリネなど、生食にも使えることから。また、すべての植物油が「サラダ油」を表記できるわけではありません。
表記できるのは「食用植物油脂のJAS規格」で定められている製造基準を満たした商品だけなのです。

つまりサラダ油とは、精度が高く不純物が少ないため、くせがなく生食に適している油なのです。

意外に大事! 食材を入れる順番と火加減

続いて気になるのがフライパンに食材を入れる順番です。僕はすべて同時に投入してしまったのですが、これが大間違い。重要なポイントがありました。

まず、しっかり火を通さなくてはいけない肉類を一番先に入れなくてはいけません。
肉の色が変わりはじめたら野菜の出番。キャベツ、ニンジン、たまねぎなど時間がかかる野菜から加えていくといいそうです。

火が通りやすいように食材を小さくカットしたり、あらかじめ複数の調味料を混ぜておいたり、事前の準備もおいしい炒め物には欠かせません。

最後に、味付けのタイミングも重要です。野菜に油がまわらない段階で調味料を加えると水分が染み出てしまい、これまたシナシナに。だから、調味料は仕上げの段階で加えるといいのだとか。

ここで火加減のルールについてもレポートしておきましょう。

弱火:炎が鍋底から離れている状態。長時間の煮込みなどに。
中火:炎が鍋底に軽くあたっている状態。スタンダードに使う。
強火:炎が勢いよく出ている状態。焦げ目をつける時などに。

火加減なんて人のさじ加減次第かと思っていましたが、こんな基準があったとは......脳裏に刻みます。

鍋は熱いうちにふれ!

野菜をシャキッとさせたいなら強火で一気に炒めるのがポイント。

弱い火で長い時間炒めると、熱で組織の壊れた野菜から水分が出てしまいシナシナに。「これ煮物か?」という残念な仕上がりになってしまうので要注意です。

そう、炒め物は水分との闘いといえそうです。そのためにも鍋の温度を保つことが重要です。
はじめにチェックした調理用語辞典にも「食品温度の分布」なるワードがありました。食材にムラなく火を通すということでしょうか。

そういえば、中華料理屋の厨房で鍋を豪快にふっているのを思い出しました。じつは、あの所作も水分を飛ばすために行っているのだそうです。

とはいえ、家庭のコンロでは飲食店並みの強い火力が出せませんよね。鍋をむやみにふると熱が下がり、火の通りが遅くなってしまう場合もあるので、基本的には木べらなどで食材を返すのがおすすめ。でもやっぱり憧れちゃいます。

AJINOMOTO PARKの「レシピ大百科」には野菜炒めレシピが満載!
「Wだし!生姜香る彩り野菜炒め」や「簡単!! 肉野菜炒め」「うま味しっかり野菜炒め」「香味ペーストだけ! 絶品野菜炒め」などおいしそうなネーミングだけでライス三杯くらいいけそうです。

「野菜たっぷり!中華屋さんの肉野菜炒め」

多彩なレシピは自由度の高さの表れです。
ある意味、もっとも身近な創作料理なのかも!? あれもこれも試してみたくなるなあ!

2021年1月の情報をもとに掲載しています。

基礎より手前の料理のギモン

「料理の基本」は謎だらけ~下味付けってなに?

「料理の基本」は謎だらけ~下味付けってなに?

料理ができたらいいな……と思ってはいるものの、レシピを見てもどこから手をつけていいのかわからない。スーパーマーケットに行ってもどんな食材や調味料を買えばいいのかわからず、ただただ立ち尽くす……。

「基礎中の基礎のそのまた基礎もわからない!」とお嘆きの人たちにむけて、まずは料理に興味をもってもらえたらと、この企画は始まりました。

ナビゲートするのは“非料理男子”のフリーライターMさん。予備知識以前のギモンや謎(?)をちょっとずつ解明して料理男子を目指します。

料理初心者が気になった ~下味付けは必要なの?

「非料理男子ライター」のMです。

食べることは大好きなんですが、「料理を作る」となると話はべつで、自分がキッチンに立つ姿をイメージすることすらなく、今日まで生きてきました。

だって、レストランや居酒屋に行けばプロのつくった料理が気軽に食べられるし、コンビニ弁当だって手ごろな価格でそこそこうまい。ド素人の僕が手間をかけて料理をつくるよりも、クオリティの高い食事にありつける現実があるわけです。要は、料理する手間をお金で買っているようなもの。そりゃあ、自炊からも遠ざかりますって。え、怠慢ですって!? いやいや、合理的といってほしいなあ。

そんなふうに考えていた時期が、僕にもありました。いまとなっては、なぜあんなに思いあがっていたのやら......。

ターニングポイントは先日開かれたBBQでのこと。男友達がテキパキと下準備をこなし、周囲から脚光を浴びるなか、料理のできない僕はただそれを見守ることしかできず、食後の「鉄板洗い」を買って出て居場所をなんとか見つけたものの、どこか気が晴れない一日を過ごすことに。

「いまどき料理ができない男ってヤバいのか......?」

そういえば、数年前から書店のレシピ本コーナーに「男子向け」をアピールした本が増えている気がする。ライフスタイル雑誌では男心をくすぐる調理家電の特集が組まれることも珍しくない。

「これってもしかして、時代に取り残されてる......?」

まずい! これはまずい! 腐ってもライターの端くれ。ブームを素通りしてしまっては、今後の進退に関わりかねないぞ。

ということで、さっそくリサーチを開始。基本の知識くらいは知っておこうとパソコンに向かいます。「料理初心者 レシピ」でネット検索したところ、出るわ出るわ。個人ブログから大手レシピサイトまで、ビギナー向けの「簡単レシピ」がザクザクと。

そしたら気づいてしまったのですよ。大半の料理に「下味」を付ける工程があることを。

たとえば鶏肉を使ったレシピなら――、

塩コショウで下味をした鶏肉に......
混ぜ合わせた★(調味料)で鶏肉に下味を付けよく揉み込み......


といった具合です。

知らない言葉ではないけれど、ここまで重要な工程だったの!?

う~む、気になってきたぞ。
リサーチするときは専門書に頼るのがライターの鉄則!

さっそく取り寄せた『調理用語辞典』(全国調理師養成施設協会 改訂版)を調べてみました。

引用:したあじ【下味】生の材料にあらかじめ調味料、香辛料等で味をつけておくこと。焼き物、蒸し物などに用いる下処理の一種である。

なるほど。つまり「下味」とは、調理前の材料に味をつけておく下ごしらえというわけね。

味付けをするタイミングは、てっきり焼いたり炒めたりしている最中だけかと思っていました!
思えば、よい原稿を書くためにはていねいな下準備が必須。まかさこんなところでライターの仕事とつながるとは!

めくるめく下味付けの世界

調査を進めると、やはり下味はさまざまな料理に用いられています。

ステーキなら鉄板にのせる前に牛肉に塩コショウをふっておいたり、豚の生姜焼きならフライパンで焼く前に豚肉を生姜醤油に浸けておいたり。下味は火を通す前の必須工程。
調理前に味付けすることで調味料の風味がなじみやすく、よりいっそうおいしくなるというわけです。

さらに下味は、味を付ける以外にもさまざまな効果があります。

たとえば、焼き魚をつくるとき。

事前に切り身に「塩」と「酒」をふりかけておくと、いやな生臭さを抑えてくれます。
野菜に塩をふると、しんなりさせる役割もあるそうです。

そうそう、テレビの料理番組でシェフが目線ほどの高さから塩をふりかけている場面を見たことをありませんか? てっきりテレビ映えのために、かっこつけているだけだと思っていましたが、あの仕草にもちゃんと意味がありました。

少し高い位置からの方が塩を広い範囲にまんべんなくふれるんだそうです。

塩をふるときには高い位置からカッコ良くふってみましょう。一口コンロの狭いキッチンもライブキッチンさながらの空間に早変わりしますよ。たぶん。

そのほか、牛肉を焼き肉のタレに漬けるレシピもありました。
あと、驚いたのはヨーグルト。鶏肉に浸けておくとやわらかく、ジューシーになるのだとか。ヨーグルトはデザートに食べるものとばかり思っていたのですが、意外な底力があるようです。

から揚げレシピは、驚きの"下味無法地帯"

下味を使ったレシピはまだまだありますよ。みんなが大好きな「鶏のから揚げ」なら、下味に塩こしょうを使う場合もあれば、醤油、酒、生姜を使うことも。これは、肉の生臭さを抑えたり、風味をプラスするのが目的です。

AJINOMOTO PARKの「レシピ大百科」では「塩から揚げ」を紹介していますが、驚きの調味料が登場します。その調味料とはなんと「ほんだし」! そりかえったカツオのロゴが目印のあの「ほんだし」です!

なんでも、かつお節を使ったほんだしには、香りとコクをプラスする効果があるのだとか。それが唐揚げにもいかんなく発揮されるのです。いろんな料理の味付けに試して、うま味をブーストさせたくなりますね。

ほんだしを使うのはまだまだ序の口。世の中には、にんにく味噌で下味をつけた「味噌から揚げ」やウスターソースやオイスターソースを使った「ソースから揚げ」といった二度見必至の変わりダネも。

から揚げレシピは、もはや何でもありの無法地帯。裏を返せば、下味には無限の可能性があるということですね。
好きな調味料を加えて自分好みの下味を探してみるのも楽しそう!

下味付けの代表格「塩」について

いまやスーバーで気軽に購入できる塩ですが、大昔は金と同等の価値があるほどの貴重品でした。
古代ローマでは役人や兵士の給料として支給されており、ラテン語の塩を意味する「サラリウム」が英語の「サラリー」(給料)に派生したという説も伝わっています。
いまでは考えられない感覚ですが、そういった歴史的背景を思うと塩のありがたみが増しますね。

しょっぱさの正体は、主成分の塩化ナトリウムに由来しています。一般的に含有量が多いほど塩辛さが増すので購入する際は商品の「製造方法の表示」を参考にしましょう。

「製造方法の表示」に明記されている「原材料」欄にも注目です。原材料は海水、海塩、岩塩、湖塩、天日塩のいずれかと決まっていて、それぞれ味に個性があります。

また、味わいにも個性があります。たとえば海水から作られる「瀬戸のほんじお」には、同じく海水からとった天然のにがり成分(カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)が含まれています。そのため、いわゆる「塩カド」のとれたまろやか~な味わいに。さらに、にがりが入っている分しっとりした口あたりになるのだそうです。

「塩」と一口にいっても、原材料や製法によって味わいはさまざま。初心者のうちはチンプンカンプンかもしれませんが、慣れてきたら料理によって「塩を使い分ける」という高等テクも可能に。まずは家にある塩の成分表示をチェックしてみてはいかがでしょうか。

下味を制する者は料理を制す

いろいろ調べてみて、下味が料理のおいしさを底上げすることがわかりました。

僕が口にしてきたあらゆる料理に、ちょっとしたひと手間がかけられているわけだ。夜食に買ったスーパーの惣菜にも、取材で食べた極厚ステーキにも、居酒屋で出されたなんてことのないお通しにもきっと。

下味の効果や役割を知ったら、なんだか料理男子に一歩近づいた気分。なにやら急に興味が湧いてきました。

こうなると、焼き魚や照り焼きチキン、豚の生姜焼きなど、なんにでも挑戦できそうな気がしてくるから不思議です! さらにこの調子で、料理男子を目指します! 次回も乞うご期待!

2020年12月の情報をもとに掲載しています。

基礎より手前の料理のギモン

「ゆでる」は地味だが役に立つ~ 
メリットだけじゃない!そばが鍋底にくっつかない方法も教えます

「ゆでる」は地味だが役に立つ~ メリットだけじゃない!そばが鍋底にくっつかない方法も教えます

料理ができたらいいな……と思ってはいるものの、レシピを見てもどこから手をつけていいのかわからない。スーパーマーケットに行ってもどんな食材や調味料を買えばいいのかわからず、ただただ立ち尽くす……。

そんな“非料理男子”のフリーライターMさんが、予備知識以前のギモンや謎を解明し、料理男子を目指します。

今回のテーマは「ゆでる」。沸騰した湯に入れるだけ、という、わざわざ注目するまでもない調理法のように思われますが、そこには思わぬ底力が秘められていました。

そばが鍋底にくっつかないゆで方のポイント3つ

こんにちは。「非料理男子ライター」のMです。

挨拶もそこそこにいきなり本題に入りますが、今回は「ゆでる」について学びます。

「え? なんで『ゆでる』なの?」

そう戸惑う読者がいても無理はありません。料理の世界には様々な調理方法が存在します。「煮る」「焼く」「揚げる」......などなど。

そんななか「ゆでる」はどちらかというと地味なイメージ。ポピュラーな調理方法を差し置いてなぜ「ゆでる」なのか。経緯はこうです。

ことの発端は昨年の大晦日。この日は年越しそばが欠かせません。ハロウィンやクリスマスなどと違って、私のような単身世帯でも関わることのできるありがたいイベントです。
さっそくスーパーで生そばとめんつゆを調達することにしました。

ぐらぐらとお湯が煮立った小鍋に生そばを投入。数分後にはおいしい年越しそばとご対面のはずが――。

そばを湯切りしようとザルにキャッチしたところ、なんと! そばが鍋底にがっしりとくっついているではありませんか。おまけにそば同士がくっつきダマ状になり喉越し最悪! なんともUnhappy New Yearな幕開けとなりました。

さっそく調べたところ、そばのゆで方にもコツがありました。

・できるだけ大きな鍋を使う
・たっぷりのお湯に入れる
・箸でほぐしながらゆでる
の3点。

「ゆでる」のメリットとは

新年早々、「ゆでる」について興味がわいてきました。じつは底知れぬ可能性を秘めているのかも......。ということでさらに掘り下げることに。

「ゆでる」とは

熱水(常圧で最高100℃)中で食品を加熱する操作。熱の移動から見て湿式加熱の煮る操作の一つ(『調理用語辞典』より 抜粋)

だそうです。

「湿式加熱」は水分を使った調理方法のこと。「蒸す」や「煮る」も同じカテゴリーです。

油を使う調理方法よりもヘルシーに仕上がるのが特徴です。野菜はゆでると柔らかくなってカサが減るので、生よりもたくさん食べることができるのだとか。

健康が気になりだした私にはなんとも耳よりな情報。たしかにキャベツ半玉を生で食べるのは苦行でしかありませんが、ゆでてしんなりしたものなら結構イケそう。

読者の皆さんも徐々に「ゆでる」の"バイプレイヤーぶり"に気づいてきたころでしょうか。しかし、まだこんなものではありません! 「ゆでる」にはさまざまなバリエーションがあるのです。

たとえば、食材のアク抜きや味を染みこませやすくする下準備としての「下ゆで」、短時間だけ加熱する「湯通し」、魚や鶏肉の表面にだけ熱を通す「湯引き」など、これらの工程なくして完成しない料理は数知れず。じつは侮れないんです!

たっぷり、ひたひた、かぶるくらい......水の量も要注意!

ゆで料理のレシピを見ていると、水の量が表示されていないケースもちらほら。その代わりに「鍋にお湯をひたひたに注いで~」とか「お湯の量はかぶるくらい~」といった表現を目にします。

たっぷり、ひたひた、かぶるくらい......。う~む、違いがまったくわかりません!

水の量が多い順に、

たっぷり:鍋の容量の8割程度まで水を入れて、材料がすっかり沈んだ状態。乾麺やタケノコ、山菜などをゆでる際に使われる。

かぶるくらい:材料の頭が水面の下に沈むくらいの量。じゃがいもや大根などをゆでるときの適量とされる。

ひたひた:材料の頭が水面から見え隠れするくらいの量。どちらかというと煮物のレシピで見かける表現。

といった目安があるそうです。なるほど、これも覚えておきたい表現です。

さて、次に気になるのがゆであがりのタイミング。

お湯から引き上げる見極めポイントはあるのでしょうか? いくつかのレシピを調べたところ料理や食材によって判断基準は多種多様です。

「沸騰してから3分で火をとめる」というゆで時間の具体的な指示から「しんなりするまで」「竹串がすっと通るくらい」など作り手の感覚に頼った指示まで、あらゆる料理に当てはまる最適解はありません。

ビギナーのうちは勘に頼らず、レシピ通りに調理するのがよさそうです。

アク抜きの「アク」ってなに?

今回の記事でもたびたび登場する「アク」。いかにも悪そうな名前ですが、これは食品に含まれている苦味やえぐみ、臭みといった"不要な味"の総称です。

アクの成分になる物質は水溶性が多いため、食品を水にさらしたり、ゆでたりすると「アク抜き」ができます。ゆでているとアクが薄茶色い泡になって浮かんでくるのでおたまやスプーンですくい取りましょう。

しかし、アクは素材独自の風味ともいえます。アクをすべて取り除くのがよいと一概にいえないのがおもしろいところです。

ちなみに、「タケノコはアクが強い」。料理ビギナーでも一度は聞いたことがあるはずです。
だからタケノコも調理前にゆでてアク抜きするのが定番なのだそう。おいしく調理するために「ゆでる」は欠かせない工程なんですね!

「タケノコはアクが強い。だからゆでる!」
ひとつ賢くなりました。

いつかなりたい「ゆでに覚えあり」の上級者

それではもう少し実践を意識して、「AJINOMOTO PARK」の「レシピ大百科」を見てみましょう。作り置きに便利な「しっとりゆで鶏」にはじまり「シンガポール風チキンライス」「ゆで豚のごまだれかけ」というメニューもあって、豊富なバリエーションに驚かされます。

スパゲティのレシピもよく見かけます。冒頭で触れたそばをゆでるコツはスパゲティにも使えるので、ぜひ参考にしてみてください。

スパゲティといえば、なんとなく聞いたことがある「アルデンテ」。
こちらはパッケージに表記されているゆで時間より1分早めにお湯から引き上げたらよい、とのこと。髪の毛一本分の芯を残した理想のゆで方です。

また、ゆで野菜も定番ですが、ほうれん草や小松菜は、余熱による火の通りすぎを防ぐため、ゆでたらすぐに水にさらすこと。
一方で、ブロッコリーやキャベツ、そら豆などは水にさらさなくてもOK。ゆであがったらザルにとりましょう。

「ゆでる」には料理の幅を広げる底力があるようです。それに、ある種あいまいな部分が多いため、忠実にレシピと向き合う大切さも教えてくれます。

う~む、シンプルに見えてなかなか奥が深い。「ゆでる」をさらに突きつめていけば、「ゆでに覚えあり」もとい「腕に覚えあり」の料理男子にグっと近づけそうです!

2021年2月の情報をもとに掲載しています。