食と健康

ロコモを予防して いつまでも元気に動ける身体に

ロコモを予防して いつまでも元気に動ける身体に

「メタボ世代」が「ロコモ世代」に

メタボは気になるけど、まだまだロコモは先のことと思っていませんか。しかし、ロコモ世代は予備軍を含めるとなんと、4700万人も存在しています。運動不足やたんぱく質不足から、筋肉量や筋力が低下すれば、将来的に歩けなくなり、寝たきり状態になることもあります。

ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)とは

ロコモ とは 筋肉・骨・関節・軟骨・椎間板といった運動器に 問題が起こり、日常の動作に支障が出ることをいいます。「ロコモ」になると立つ・座る・登る・歩く・走るなどの動作に問題が起こり、 自立した生活が送れなくなることもあります。

ロコモは要介護への入り口です

フレイル・サイクルの図

加齢にともなって筋肉が減少し、筋力が衰えると、転倒や骨折の原因となります。それがきっかけで歩くのがおっくうになり動かないようになると、代謝が落ちてしまい食欲が低下。低栄養の状態になり、更に筋力が落ちてしまうという負のスパイラルに陥ってしまいます。この負のスパイラルを「フレイル・サイクル」と呼びます。 病気などがきっかけでも同様のことが起こります。じつはあなたの体にもリスクはつきまとっているのです。

フレイルとは

年齢にともなって、筋力や心身の活力が低下した状態。 栄養や運動で十分予防や回復が可能です。

ロコモ予防のカギとなるのは「筋肉」

筋肉を維持するための3つのポイント

1. 筋肉の材料はたんぱく質!筋肉の材料は肉や魚などに多く含まれるたんぱく質。いくらお腹いっぱいに食べても、たんぱく質が足りなければ筋肉は作れません。

2. 筋肉の合成される量と分解される量のバランスが大事
筋肉はいつも新陳代謝(合成と分解を繰り返すこと)しています。合成される(つくられる)量=分解される(壊される)量のとき、筋肉量は維持されます。

3. 筋肉を合成する力は 加齢とともに低下する
加齢によって分解される量>合成される量となりやすいため、 放っておくとどんどん筋肉が減っていきます(右図)。 意識して筋肉を合成する力を高めることが必要です。

加齢による筋肉量低下

図の出典:「立命館大学スポーツ健康科学部 藤田聡教授 提供資料」

ロコモ世代の救世主「筋肉」が命を守る

筋肉の減少は、いざというときに命を左右することがあります。筋肉が体を守る働きは主に以下の4つです。

・いざというときの命を守る
筋肉は大きなけがや、病気をしたときに分解されエネルギーになります。また、免疫を活性化して、外敵から身体を守ります。

・転倒・骨折から守る
骨折は、要介護や寝たきりになる大きな原因のひとつ。筋肉量が多い人は、足腰が安定し転倒しにくいため、骨折のリスクが低く抑えられます。

・体の水分量を守る
筋肉は身体の中で最も水分を保持している臓器です。筋肉量が減少すると脱水のリスクが高まります。

・糖尿病から守る
筋肉が減少すると、血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが弱まり、糖尿病を発症しやすくなります。

筋肉は、骨や軟骨と比べて生まれ変わる期間がとても短いので、工夫をすれば、誰でも何歳からでも、ほぼ確実に筋肉量の増加と筋力アップが望めます。筋肉が増えれば転倒しにくくなり、疲れにくくなり、動きが軽くなるなど、生活の質も向上します。

筋肉づくりのための基本は、「食事」「運動」「休息」

ロコモ予防に有効的な筋肉づくりの基本としては、「食事」「運動」「休息」の3つがあげられます。

食事:多様な食材を日々の食事で

毎日多様な食事を食べている人は、高齢でも元気に生活していることがわかっています。 特に、たんぱく質摂取は重要です。まずは無理なく、一週間の中で揃えることから始めてみましょう。 筋肉と健康のために必要な食品は、米やパンなどの主食と、魚、油、肉、牛乳、野菜、海藻、芋、卵、大豆、果物の、10の食品群に分けられています。 10の食品群の覚え方はそれぞれの頭文字をとった「さあ、にぎやかにいただく」です。

※「さあ、にぎやかにいただく」は、東京都健康長寿医療センター研究所が開発した食品摂取の多様性スコアを構成する10の食品群の頭文字をとったもので、ロコモチャレンジ!推進協議会が考案した合言葉です。

運動:運動習慣を持ちましょう

適度な運動は筋肉や骨に刺激を与え、 成長を促します。運動中にたんぱく質(特にロイシン)を補給することは、筋力を高めることがわかっています。

休息:しっかりと身体を休めましょう

運動後の休憩や睡眠時間を十分に取ることで、筋肉の回復が促されます。

ロコモ世代ほどたんぱく質をしっかりと!たんぱく質が不足する食事とは

世代別のよくある栄養不足な食事例

ロコモ世代は筋肉が減少しやすく、若者よりもたくさんのたんぱく質を摂る必要があります。加齢がすすむと、食事の量が減り、たんぱく質が不足します。また、筋肉をつくる力(筋たんぱくの合成力)が低下します。これらを補うためには、体重1kg当たり、1日1g以上たんぱく質を摂取することが望ましいとされています。

しかし、ラーメンと白ごはんの組み合わせなど炭水化物に偏った食事や、野菜サラダだけなどの草食低栄養型の食事、おにぎりだけ、パンだけ、などの単品粗食型の食事ではたんぱく質がほとんど摂れません。 ロコモを予防するためには、たんぱく質を効率よく摂ることが重要なのです。

筋肉に変わりやすいたんぱく質とは

食べたたんぱく質は、胃や腸で分解され、アミノ酸となって、体内に吸収された後、必要なたんぱく質へと再合成されます。体内でつくられないため、食事から摂る必要のあるアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。 9種類ある必須アミノ酸の中でも特にロイシンは、筋たんぱく合成を促す司令塔の働きがあり、ロコモ予防に注目の成分です。

9種類の必須アミノ酸とロイシンの働き

たんぱく質摂取のポイント たんぱく質は1食20gが目安

たんぱく質は1度の食事に偏らせず、毎回の食事から一定の量を摂ることが大切です。 摂取量は、体重1kg当たり 1日1g以上が 望ましいとされています。
たとえば、豚ロース肉80gには15.4g、サケ1切れ80gには17.9gのたんぱく質量が含まれています。一つの食材に偏らず、肉、魚、卵、豆類、乳・乳製品などからバランス良く摂りましょう。
おかずにチーズやしらす、卵などをプラスすることや、おやつにチーズ、プリン、ヨーグルトを食べることでもたんぱく質は補えます。また、サプリメントや栄養補助食品を上手に活用することも大事だと言えるでしょう。
また、たんぱく質と一緒に、牛乳などに含まれるカルシウムや、鮭や卵黄などに含まれるビタミンDを摂ることで、骨を丈夫にし、筋肉の合成を促すことができ、ロコモ予防をさらに効果的にできます。

1日に必要な​たんぱく質量の目安と​食材に含まれる​たんぱく質量

ロコモを予防していつまでも健康な生活を!

いかがでしたでしょうか?みなさんに当てはまることはありましたか?
ロコモを予防することは、加齢にともなって起きる体のトラブルを未然に防ぐことでもあります。日頃から食事や運動に気をつけることで、ロコモを予防し、いつまでも健康的な生活を送れるように心がけたいものですね。

※食事指導や治療を受けられている方は、必ず医師・管理栄養士に相談の上、指示に従ってください。

出典:筋肉を作る本(監修 女子栄養大学 栄養学部 教授 新開省二先生)

2022年3月の情報をもとに掲載しています。

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