旬のはなし

女性にうれしい栄養素がたっぷり!アレンジ自在のさんまを食べよう

旬の食材の魅力、おいしい食べ方をご紹介する連載「旬のはなし」。今回は、秋になると食べたくなる、さんまです。

さんまといえば、塩焼きはもちろん、生のまま刺し身やお寿司、ミンチにしてつみれにするなど、おいしくいただくメニューは多種多様です。

さんまの魅力をたっぷりとご紹介します。

秋が旬。脂がのったさんま

さんまは回遊魚で、8月までは北海道の北の海を泳いでいます。9月〜10月頃に南下してきます。このころがさんまの旬で、店頭に数多く並びます。脂がのってもっともおいしい時期です。

さんまといえば有名な江戸落語の演目「目黒のさんま」を思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。古くから日本人にはなじみのある魚の一つです。

さんまという名前の由来は、諸説ありますが、からだの幅が狭い魚という意味の「狭真魚(さまな)」が転じたものだといわれています。漢字で書くと「秋刀魚」と、名は体を表す魚です。

DHA、EPA、ビタミンB群!とにかくすごいさんまの栄養

さんまは、脂質が多くエネルギーも高い魚です。その脂質にはDHA(※1)やEPA(※2)などの不飽和脂肪酸が多く含まれています。不飽和脂肪酸には、動脈硬化や血栓の予防、血圧を下げる、LDLコレステロールを減らすなどさまざまな作用があります。

甘辛煮やカレー煮などの煮つけにするのもおすすめです。にんじんやほうれんそうなどの緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは、DHAやEPAの酸化を防いでくれます。合わせて摂るといいでしょう。

また、さんまは、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンDが豊富に含まれます。女性ホルモンの代謝に関わりがある、ビタミンB6の摂取で月経前症候群(PMS)やつわりが軽減されることもわかっています。ビタミンB12は造血のビタミンといわれ、貧血の予防に働きます。ビタミンⅮは腸からのカルシウムの吸収を助けることから「骨のビタミン」とも言われます。

ところで、さんまの塩焼きに大根おろしをつける理由、ご存知ですか? 大根おろしは、薬味として脂ののったさんまをさっぱりと、おいしく食べるために添えられています。しかも大根おろしに含まれるアミラーゼなどの酵素が消化を助けてくれるんです。
食欲の秋、つい食べすぎても大丈夫!?「さんまに大根おろし」は、とても理にかなっているのかもしれません。

元気をくれる「さんま」の栄養素

■不飽和脂肪酸のDHAやEPAがたっぷり。
■たんぱく質の代謝や女性ホルモンと関わりのあるビタミンB6も豊富。不足すると口内炎や脂性肌、アレルギー症状が出やすくなることも。
■カルシウムの吸収を助けるビタミンDのほか、"造血のビタミン"と呼ばれるビタミンB12など、さまざまな栄養素を含んでいます。

元気をくれる、栄養たっぷりのさんまを食べましょう!

【旬のレシピ】アレンジ自由自在!マスターしたいさんまレシピ

さんまを選ぶ際には、以下のポイントをチェックしましょう。
・全体に光沢があり、黒目がくっきりしていて背の青色が鮮やかなもの。
・身が締まっていて太っているもの。
・口先と尾の付け根が黄色いもの(脂がのっていておいしい)。

鮮度の良いさんまが手に入った時は、刺身、マリネ、塩焼きなどにするのがおすすめです。そのほか、かば焼きや竜田揚げなど、さまざまな料理に活用できます。焼くときはあまり脂が落ちてしまわないように注意しましょう。

塩焼きにするとき、皮がはがれて見映えが悪くなることはありませんか? 焼く前に、さんまに酢を刷毛などでさっとぬって、焼き網にはサラダ油をぬっておくと、皮が破れずにきれいに焼けますよ。

さんまのわた(肝)は加熱すれば食べられます。一般的にわたには、ビタミンAや貧血の予防に働くビタミンB12、鉄が多いと言われています。わたには苦みやうま味があり、甘辛煮にすると食べやすく、料理の味わいがふくらみます。

牧野先生のスペシャルレシピ

塩焼きはもちろんのこと、わが家ではこんなメニューが人気です。

・さんまの甘辛煮
頭を落とし、3〜4等分のぶつ切りにしたさんまに塩をふり、10分ほどおく。水気をふきとり、煮立てた煮汁(しょうが、しょうゆ、酢、砂糖、みりん、水)に、さんまを入れ、落としぶたをして1時間ほど煮込む。

・さんまとレンコンの照り焼き
3枚におろしたさんまに小麦粉をまぶし、輪切りにしたレンコンとともに、油をひいたフライパンで焼く。しょうゆ、みりん、酒を回し入れてからめる。

・さんまのカレーソテー
4等分の筒切りにしたさんまの内臓をとり、塩水で洗う。小麦粉、カレー粉、塩をまぶし、油をひいたフライパンで焼く。

「さんまdeカラッとうま塩ザンギ」

下味に「丸鶏がらスープ」を使う人気の主菜。

「さんまのつみれ汁」

さんまをすり身にした、ふわふわのつみれ汁!

近年、温暖化の影響や世界の国々の乱獲などから、さんまの漁獲量が激減していますが、今後もさんまを食べられるように、各国でさまざまな取り組みが始まっています。
日本人になじみの深いさんま。子どもたち世代が、おいしいさんまをずっと食べられますように。

自然の恵みに感謝して、
今日もおいしく、旬をいただきましょう。

さんまの下処理と保存方法

さんまを購入してすぐに食べない場合は、以下の方法で下処理しておけば保存できます。

●基本の下処理

①頭を落として内臓を取り出し、流水で腹の中を手早く洗い、水気をふきとります。

②塩をふって5分ほどおき、浮いてきた水気をしっかりふきとります(臭みをとる)。

③翌日食べるなら、ラップで包んで、冷蔵でOK。それ以降になる場合は、1尾ずつラップで包み、冷凍しましょう。

④冷凍後は流水解凍して調理します。2~3週間を目安に食べきりましょう。

●味付けして保存する方法

①さんまの両面に塩を多めにまんべんなくふって、ザルか網をのせたバットに10分ほどおき、流水でさっと洗って水気をよくふきます。

②バット(ザル、網外す)にさんまを並べ、ヒタヒタに酢を加え、1分たったらひっくり返し、1分たったら取り出しキッチンペーパーでふきます。

③頭の方から尾の方に向かって、皮をはぐ。食べやすく切って薬味を添え、しょうゆやポン酢しょうゆで食べます。

※ 冷蔵で2日、それ以上はラップで包んで保存袋に入れ冷凍。食べるときは流水解凍か冷蔵庫で解凍。

※1:DHA
ドコサヘキサエン酸。青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸。

※2:EPA
エイコサペンタエン酸。青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸。n-3系脂肪酸には血中中性脂肪値の低下や不整脈を防ぐなど、生活習慣病の予防効果がある。

監修:牧野直子(まきの・なおこ)

管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター。「スタジオ食(くう)」代表。おいしくて体にやさしいレシピや健康的なダイエット法などを提案し、テレビ、雑誌、料理教室、健康セミナーなどで幅広く活躍中。共著に『2品おかずで塩分一日6g生活』(女子栄養大学出版部)ほか。

2021年9月の情報をもとに掲載しています。

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