夏に向けて体力をつけておきたい季節に、良質なたんぱく質やビタミンB群がたっぷり含まれたかつおが旬を迎えます。
かつおのレシピはたたきだけではありません。角煮や竜田揚げ、手こね寿司など、さまざまなレシピで味わいたい海の幸です。
古くから日本人に愛されてきたかつおについて、バリエーション豊かなレシピとともにたっぷりとご紹介します。
たんぱく質とうま味たっぷり! あっさり食べやすい初がつお
かつおの旬は、春から初夏です。春になると、南の暖海にいるかつおが北上を始め、初夏に関東近海に現れます。これを「初がつお」と呼びます。身が淡泊であっさりしているのが特徴です。
9月下旬から10月頃、南下するかつおを「戻りがつお」と呼びます。十分えさを食べ、脂がのっておいしいと言われています。
回遊魚のかつおには血合い部分が比較的多く、良質なたんぱく質とともにイノシン酸などのうま味成分が多く含まれています。
また、疲労回復や神経に作用するビタミンB1、骨に良いとされるビタミンD(カルシウムの腸からの吸収を助ける)、悪玉コレステロールを作りにくくするEPA、貧血を防ぐ鉄などを含んでいます。
体力をつけておきたいこれからの季節、たんぱく質やビタミンB群を豊富に含んでいるかつおをたっぷりいただきましょう。
かつおは生食がおすすめ!栄養をしっかり摂ろう
かつおは、縄文時代の貝塚から骨が発見されており、『日本書紀』にはかつお漁に関する記述があって、日本人には古くからなじみのある魚です。しかし、腐りやすいため、流通が発達していなかった頃の内陸部では、おもにかつお節として利用していました。
かつおに含まれる水溶性ビタミン(ビタミンB群)は水に溶け出るため、栄養素を無駄なく食べる場合は、生食がおすすめです。
香りが独特で強いので、気になる場合はしょうがやにんにく、ねぎなどの香味野菜を添えるとおいしくいただけます。
また、ビタミンDは、脂溶性ビタミンなので、油を使うと吸収がよくなります。焼いたり煮たりする場合は、栄養素が煮汁に溶け出るので、煮汁ごと食べると無駄がありません。
店頭では、鮮やかな赤紅色のものを選びましょう。血合いが酸化して黒ずんでいるものや、身が褐色に変化しているものは鮮度が落ちているので生食は避けます。
元気をくれる「かつお」の栄養素
- ■筋肉をつくる良質なたんぱく質が豊富。
- ■疲労回復に役立つビタミンB1が含まれます。
- ■骨粗しょう症を予防するビタミンDも。
そのほか、EPA、鉄など、さまざまな栄養素を含んでいます。
更年期症状でお悩みの方にもおすすめ! かつおをおいしく食べましょう!
【旬のレシピ】バリエーション豊富! マスターしたいかつおレシピ
かつおは傷みやすいので、購入した日に食べきりましょう。新鮮なものはしょうがなどを添えて刺身でいただいたり、洋風にカルパッチョにするのもおすすめです。
しょうゆや酒、みりん、おろししょうがを合わせたものに漬けて「づけ」にするのもよいですが、やはり翌日には食べきりましょう。保存をする場合は、甘辛く煮たり、油でオイル煮(自家製ツナ)にしたりして、加工しておくとよいでしょう。
そのほか、竜田揚げ(しょうゆ、酒、しょうが汁、おろしにんにくを合わせたもので下味をつけ、片栗粉をまぶして揚げる)、洋風だとレアステーキ、レアカツ、にんにくをたっぷり使ったソテーなどが一般的です。内臓は塩辛として酒の肴によく合い、酒盗と呼ばれて珍重されています。
「かつおのコチュジャンあえ」
コチュジャンとごま油の最強コンビ! 調理時間5分のカンタンレシピ。
「かつおの竜田揚げ」
鶏ガラスープを下味に。お子様にも人気の主菜です。
「かつおのひゅうが飯」
かつおを存分に味わうメニューです。
独特の風味がくせになる、薬味を添えていただきたいかつお。
かつおのたたきやお刺身、づけ丼などで生食を存分に味わったあとは、竜田揚げや角煮など、これまで作ったことのないレシピにも挑戦してみたいですね。
自然の恵みに感謝して、
今日もおいしく、旬をいただきましょう。
かつお節の作り方
かつお節は昔から日本食には欠かせないものでした。春から初夏にかけての脂が少なめのかつおが使われ、春節と呼ばれているそうです。
作業工程は複雑で地方によっても若干異なりますが、頭と内臓を取り除き、水洗いをして、背皮はぎ、3枚おろし、身わり、煮熟、冷却、骨抜き、焙乾、整形、焙乾、削り、カビ付け、日乾、カビ付けの工程を経てかつおぶしになります。また、かつおぶしの製造工程で骨抜きをした後、軽く焙乾しただけのものをなまり節といいます。なまり節は日持ちしにくいので、その鮮度には注意が必要です。
監修:牧野直子(まきの・なおこ)
管理栄養士、料理研究家、ダイエットコーディネーター。「スタジオ食(くう)」代表。おいしくて体にやさしいレシピや健康的なダイエット法などを提案し、テレビ、雑誌、料理教室、健康セミナーなどで幅広く活躍中。共著に『2品おかずで塩分一日6g生活』(女子栄養大学出版部)ほか。
2021年6月の情報をもとに掲載しています。