歴史・トリビア

東京大学「理学部ニュース」に池田菊苗が登場!

東京大学大学院理学系研究科が発行している「理学部ニュース」第51巻6号(2020年3月20日発行)にて、うま味調味料「味の素®」の主成分、グルタミン酸ナトリウムを発見した池田菊苗博士のことが紹介されました。
1926年(大正15年/昭和元年)に池田博士の意向で刊行された「日本化学会欧文誌 創刊号」と「具留多味酸」(グルタミン酸)が表紙を飾る「理学部ニュース」、さて、どんな内容なのでしょうか。

「日本化学会欧文誌 創刊号」と池田菊苗博士が発見した「具留多味酸」が表紙を飾る「理学部ニュース」第51巻6号


「理学部ニュース」第51巻6号は池田菊苗特集

東京大学大学院理学系研究科が発行している「理学部ニュース」は、研究科内の最新情報や、卒業生・在校生の活動をさまざまなコラムなどで構成され、年6回隔月発行されています。
2020年3月20日発行の「理学部ニュース」第51巻6号では、「日本化学会欧文誌 創刊号」と池田菊苗博士が発見した具留多味酸(グルタミン酸)の写真が表紙と裏表紙を飾り、連載コラム「理学の書棚」では池田菊苗博士と「日本化学会欧文誌」の関係について紹介されており、池田菊苗博士の業績に敬意を表した内容となっています。

「日本の化学論文のプレゼンスを高めたい」

「理学部ニュース」第51巻6号で紹介された「日本化学会欧文誌」は日本化学会が刊行する英文学術雑誌で、化学者であれば知らない者はいないと言われる学会誌です。
1926 年(大正15年)1月に発刊され、現在では年間200報以上を掲載し、日本発の学会誌として非常に高いインパクトを誇ると言われています。
その記念すべき創刊号は、当時東大理学部化学科教授だった池田博士の還暦祝いを発端として創刊されたという事実が述べられています。
また、創刊号の序文には「日本の化学論文のプレゼンスを高めたい」という池田博士の意志で本誌が創刊されたという経緯が綴られているそうです。
池田博士は、日本の若い化学者の研究活動のために論文発表の場を作り、未来に向けた大きなビジョンを描いていたのかも知れませんね。

「味の素®」と東大理学部

1907年(明治40年)、東大理学部化学科教授だった池田菊苗博士は、昆布のうま味から抽出した成分「グルタミン酸ナトリウム」を発見し、二代鈴木三郎助(味の素社の前身「鈴木製薬所」の創設者)に依頼して、グルタミン酸ナトリウムを工業化しました。
これがうま味調味料「味の素®」として製品化され、日本をはじめ海外でも広く受け入れられるようになり、今日に至ります。

最初の「味の素®」(1909年)

池田菊苗博士と鈴木三郎助との出会いが「味の素®」を生み育んだように、東大理学部と味の素社との関係は切っても切れない縁として現在も続いています。
池田博士が発見した具留多味酸試料は、東大理学部化学教室から味の素社がお借りし、「食とくらしの小さな博物館」(東京都港区)で一般公開しています。(「理学部ニュース」第51巻6号の表紙と裏表紙のもの)
また、2008年(平成20年)の味の素社創業100周年に制作したTVCM(小栗旬さん出演)においては、東大の食堂を使用させていただきました。
今回の「理学部ニュース」掲載で見られるように、池田菊苗博士は現代の化学者からも深く尊敬されており、その研究成果や業績は21世紀を迎えてからもなお評価が高まっているようです。100年以上前に彼が発見した「うま味」の存在は、後に科学的に証明されることとなり、海外でも「UMAMI」と呼ばれ、世界共通語として使われるようになりました。
化学者だけでなく、私たちの生活にも大きな影響を与え続けている池田博士の想いは、アミノ酸の研究をさらに推し進める味の素グループという媒介を通じ、世界中に「おいしく食べて健康づくり」という志をさらに広めていくことでしょう。

2020年7月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

味の素グループは、

アミノサイエンス®で人・社会・地球の

Well-beingに貢献します

「最新記事」一覧を見る