世界各地の味の素グループメンバーを通じて各国のキーパーソンが参加したほか、食や栄養、科学・歴史領域に関わる多くの専門家が集まり、うま味・MSG(グルタミン酸ナトリウム)についての深い理解と、おいしい時間を共有した。
うま味・MSGの正しい知識を周知し
おいしくヘルシーな食生活を安心して楽しめる世の中に
味の素グループがこのフォーラムを開催した目的は、2つあった。1つは、MSGに関する正しい知識を周知すること。「UMAMI」という言葉自体はワールドワイドでも、「MSG(グルタミン酸ナトリウム)=うま味のもと」であることは正しく理解されていない。
とくにアメリカにおいては、過去に「MSGが頭痛を引き起こす」とか「〝チャイニーズレストラン・シンドローム〟の原因はMSG」といった根拠のない噂が蔓延し、風評が去った今なお「MSGはケミカルで健康を害するものではないか」といった懸念を漠然と抱く消費者が少なくない。実際、消費者のそうした懸念を払拭しようと「NO MSG」を掲げるレストランや食品加工メーカーが多く、日本もこの例外とはいえない風潮がある。これらの"誤解"を科学的根拠に基づいた視点から解き、食や栄養の専門家に正しい知識を周知することで、その先にいる消費者の不安を取り除き、おいしくヘルシーな食生活を安心して楽しめるようにしたいと考えたのだ。
もう1つの目的は、うま味の周知とその健康的効用の普及である。うま味の主成分はグルタミン酸であり、そのグルタミン酸を調味料として使いやすくしたのがグルタミン酸ナトリウム、つまりMSGであること。さらにそれを料理に上手く使うことで、塩分の摂取量を控えることができ、満足度の高いヘルシーな食生活を送ることができるという、健康面での大きな有用性について訴求することだった。MSGの安全性・有用性はさまざまな国際機関によって確認され、味の素グループ内外の専門家も認めている事実だからだ。
海外有識者たちが"UMAMI"を語り 世界の"うま味"が競演。
学生たちによる料理コンペも開催
フォーラムは、ニューヨーク市内にあるコンラッド・ホテルで開催され、約200名強が参加した。料理研究家や大学教授、歴史研究家など各界の有識者が、食や栄養、歴史、化学などさまざまな視点から「UMAMI」について紐解く講演会のほか、「MSGの誤解を解く」と題したパネルディスカッションでは、異なる分野の専門家がMSGにまつわるネガティブイメージや間違った認識をどのように変えていくべきか意見を交わした。
うま味の専門家によるプレゼンテーションでは、"甘味と酸味のあとに舌に持続して感じられる独特の感覚"がうま味であることや、減塩スープが少量のMSGでおいしい健康食になり得ること、イノシン酸との相乗効果で一層風味が増すことなど、うま味によるさまざまな効果を参加者全員で体験。著名シェフによる料理実演では、各国料理によく使われるキノコやチーズを例にうま味について解説され、うま味が科学的に解明される前から世界中で料理に使われてきたものであることが周知された。
さらには、調理師学校Institute of Culinary Educationにおいて「第1回WUF(World Umami Forum)料理コンペティション」も併催。アメリカの6つの調理師学校の代表選手がうま味豊かな料理で腕を競い合い、その模様は会場で中継も。有名シェフとジャーナリスト5名による技術と味の厳正な審査の結果、優勝者には日本での"うま味研修ツアー"が贈られた。
MSG・うま味に対する好意的なコメントが米国をはじめ日本でも拡散
このフォーラム開催中から、SNSでは栄養士やフードジャーナリストなど多くの参加者によるたくさんの投稿が見受けられた。日本国内では、フォーラムに参加した科学ジャーナリスト松永和紀(まつなが・わき)氏による記事「フェイクニュースと闘う味の素 ニューヨークから世界へ情報発信」がインターネットニュースで配信され、話題になった。来場者を対象としたアンケートでは、ほぼ100%が「期待に応えるものだった」「うま味・MSGに関する新しい学びがあった」と回答。MSGの安全性と有用性を理解したことはもちろん、講演や共有された情報の質の高さが印象に残ったという声も多かった。
MSG・うま味普及への挑戦はまだ始まったばかり。味の素グループは、一人ひとりがこのフォーラムの内容をしっかりと理解し、おいしくヘルシーな食生活に役立てられるよう、その安全性と有用性を広めていく。
2019年3月の情報をもとに掲載しています。
第1回 WORLD UMAMI FORUM 開催