食と健康

薬味の効能と健康パワーを知っていますか?

おそばにわさび、うどんに七味唐辛子、さんまに大根おろし・・・・・・と当たり前のように添えられる薬味たち。味全体を引き締めるだけでなく、香りや風味を添えるなど、料理を上手に引き立てる「名脇役」です。

決して主役ではないけれど、ないとどうも物足りない・・・・・・。そんな不思議な魅力を持つ薬味は、いまや私たちの食卓になくてはならない存在になっています。

そんなごく身近な薬味ですが、薬味のすごさついては、じつはあまり知られていないのではないでしょうか?

いま改めて、薬味の種類や効能を知ることで、これまでよりもっと体に良くて楽しい食卓になるかもしれません。

今日からあなたも「ハッピー薬味ライフ」を始めてみませんか。

薬味とは?もとは医学用語だった?

「薬味」と聞いて、思い浮かべる食材は何ですか?
わさび、七味唐辛子、大根おろし、ねぎ、ゆず、海苔、しょうが、にんにく、山椒、大葉、みょうが、ごま、鰹節・・・・・・など、おなじみの食材が思い浮かびますね。地域によっては、すだち、かぼす、ゆずこしょうなどもあるかもしれません。季節を感じさせてくれるものもあれば、一年中食卓に欠かせないものもあります。また、粉末やチューブなど気軽に入手できるものもあるので、以前よりぐっと身近な存在になっています。

そもそも「薬味」とは何でしょうか。
薬味は料理に添える香辛料のこと。この「添える」というのが、ポイントなのですね。刻んだり、すりおろしたり、絞ったりして、あくまでも主役に「少量添える」ことに徹する。そんな健気な薬味は、なぜ「くすりのあじ」と書くのでしょうか。

もともと「薬味」という言葉は医学用語だったそうです。中国最古の薬書『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』によると、食物には五味「甘・苦・酸・辛・鹹(塩味)」があり、それぞれに効能があるとされ、体質などに応じて取り入れることが大切だと考えられていました。この五味を『薬味』と呼ぶようになり、次第に主薬(おもな効力をもつ成分)に調合する成分のことを「薬味」というようになったそうです。

今でも、人の好みやその日の体調によって、薬味を入れる量を調整するところは、当時の「薬味」を彷彿とさせますね。

ちなみに日本では、なんと約3000年前の縄文時代の遺跡から山椒の化石が出ているそうです。はるか昔の縄文人も薬味を使っていた可能性があるとはおどろきです。

食欲増進・消化・感染症予防 薬味の健康効果とは?

普段、何気なく添えている薬味。「香りを添える」「風味を添える」「季節やいろどりを表す」のほかにも、「食欲増進」「臭いをやわらげる」「毒消しや防腐効果」「消化を助ける」など、さまざまな作用があることがわかります。

しかし薬味の底力はそんなものではありません。
たとえばいつもの湯豆腐に薬味をプラスするだけで、味のバリエーションが広がるだけでなく、寒さや感染症から身を守る効果まで期待できてしまいます。

それでは、これから迎える冬にぴったりの薬味の効能をご紹介しましょう。

ねぎ:肩こりや疲労回復に効き、殺菌・鎮静効果を持つ硫化アリルを含む

ねぎには消臭効果があり、肉や魚の臭みを取ってくれます。
ねぎの強い香りには、血行をよくし、疲労物質を分解する成分が入っているため、肩こりや疲労回復にも効果が期待できるそうです。

風邪をひいたときに「焼いた白ねぎをのどに当てると良い」という話を聞いたことのある方もいるのではないでしょうか。これは、ねぎに含まれる硫化アリルという成分に強力な殺菌作用と鎮静効果があるためで、理にかなった処方なのですね。

大根おろし:ジアスターゼによる胃もたれの軽減

大根にはビタミンCのほか、ジアスターゼという消化酵素が豊富に含まれています。この酵素は、胃もたれを防止する効果があります。
脂ののったさんまの塩焼きに添えられた大根おろしや、おろしポン酢でいただくとんかつも、さっぱりして食べやすくなるだけでなく胃もたれまで軽減してくれる組み合わせなんですね。
ビタミンCとジアスターゼは熱に弱いですが、薬味の場合は大根おろしとして生で使うので栄養素を壊しません。

しょうが:冷え性の改善、弱った胃を元気に。風邪のひき始めにも

しょうがは消臭効果や抗菌作用があることから、青魚などの刺身などによく添えられています。
しょうがに含まれる辛み成分には、発汗を促して熱を下げ、新陳代謝を促進して体を芯からあたためる作用があるので、かぜの初期や、冷え性の方にはぜひしょうが湯をおすすめしたいです。
さらにしょうがには弱った胃を元気にしてくれる効果もあるといわれ、漢方薬などにも多く使われる食材です。

ゆず:ビタミンCの美容効果に期待。香りにはリラックス・血行促進効果あり

ゆずの果汁や皮には、レモンを上回るほどの豊富なビタミンCが含まれています。
ビタミンCは、風邪や感染症予防はもちろん、美容にも欠かせません。
さらに香りの精油成分には、神経をリラックスさせる効果や血行を促進させるはたらきがあるそうです。

このように、薬味は風味や香りを添えてくれるだけでなく、その名にふさわしく、さまざまな効能を発揮しながら、私たちの健康のサポートもしてくれていたのです。

薬味ライフは、いいことづくめ。
いろいろな薬味を積極的に取り入れて、今年の冬も元気に乗り切りたいですね。

冬の新定番! 体あたたまる薬味たっぷり鍋レシピ

薬味の隠れたパワーを知ったところで、さっそく薬味を使ってみましょう。

季節によって、またその日の体調によって、微妙に調整できるのも薬味のうれしいところ。組み合わせを自由にアレンジしながら、味や香りのバリエーションも楽しむことができます。同じメニューも薬味を変えて、新鮮さをプラス。忙しい人の強い味方です。

この機会に、新たな薬味の可能性をどんどん開拓して、あなたなりの「ハッピー薬味ライフ」を楽しんでください!

「しょうが鍋」

薄切り+すりおろしのダブルしょうがで味わい倍増!
心も体もポカポカのあったかお鍋。

「くずし豆腐と豚こまの薬味鍋」

ごまの香ばしさでワンランクアップ!
汁ごと食べたいヘルシー鍋。

「柚子みぞれ鍋」

輪切りのゆずがお出迎え! たらとかきのフワトロ鍋を、
香り豊かに召し上がれ。

 

2020年12月の情報をもとに掲載しています。

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