初めて食べるものなのに、どこか懐かしい。……そんな体験をしたことはありませんか。そのような味を指して、“おふくろの味”と言ったりもします。おふくろの味と聞いて「味噌汁」や「肉じゃが」などをイメージする人が多いようですが、それは果たして本当でしょうか!? 実は、過去に食べたことがないのに「懐かしい」と思い、安心感を覚える味には、ある共通するものがあったのです。
"おふくろの味"に共通する味とは?
"おふくろの味"として思い出されるのは、味噌汁や煮物などの料理が多いのではないでしょうか。
それらに共通しているのは、味噌やしょうゆ、だしなど和食で定番の調味料が使われていること。ここに大きなヒミツが!
味噌やしょうゆ、そしてだしを取る昆布などには、アミノ酸(グルタミン酸塩)という成分が豊富。このアミノ酸(グルタミン酸塩)は、「うま味」というものに深いつながりがあります。
「うま味」イコール「おいしさ」ではありません
「うま味」とは、人間が識別できる5つの基本味の1つ。基本味には「うま味」のほかに、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」があります。
誤解されがちなのが、「うま味」は感覚的なおいしさを指す言葉ではないこと。科学的視点からみて、「うま味物質」と呼ばれるものの味のことになります。
その「うま味物質」の代表的なものの1つが、アミノ酸(グルタミン酸塩)なのです。
うま味は人生で出合う初めての味だった!
実は、人の母乳や羊水にもアミノ酸(グルタミン酸塩)がとても豊富。人がいちばん最初に感じ、いちばん守られている状態のときに出合う味がアミノ酸(グルタミン酸塩)、「うま味」の成分なのです。
つまり、初めて食べたものでも、馴染みのある「うま味」を"懐かしい、おふくろの味"と感じている可能性が高いというわけです。
アミノ酸(グルタミン酸塩)が料理の基本に使われているのは、日本料理に限った話ではありません。
たとえば、イタリア料理の食材としてポピュラーなトマトやアンチョビにも含まれていますし、さまざまな国のソウルフードに含まれています。
「うま味」は世界共通の"おふくろの味"なのかもしれません。
2019年12月の情報をもとに掲載しています。
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