食と健康

風邪予防に効くアミノ酸「シスチン」「テアニン」

アミノ酸は、うま味を構成する成分のひとつです。味の素グループの最新の研究により、シスチンやテアニンといったアミノ酸は、免疫にも深いかかわりがあることがわかってきました。

免疫とは、病原性の細菌やウイルスが体内に侵入したときにそれを排除しようとして働く、カラダの自己防衛機能のことです。つまり免疫力とは、カラダを守る基本的な力であり、ヒトが本来持っているものです。
ところが、ヒトの免疫力は、加齢とともに徐々に低下します。また、激しい運動を行ったり、過剰なストレスがかかったりしても一時的に低下すると言われています。

ここでは、ヒトの免疫力に貢献するアミノ酸「シスチン」と「テアニン」に関し、詳しく解説していきます。

シスチンとは?

シスチンとは、タンパク質を構成するアミノ酸のひとつで、システインが2個結合してできています。成人は体内で合成することができますが、乳幼児はそれができず、栄養素として摂取する必要がある重要なアミノ酸(必須アミノ酸)です。シスチンは、硫黄を含んでいる含硫アミノ酸の一種でもあり、独特のにおいを持っています。

シスチンはアミノ酸システインが2個統合してできたアミノ酸であることを示した図

シスチンを摂取すると、解毒作用や抗酸化作用に役立つシステインになる!

シスチンをヒトが摂取して体内に取り込むと、メチオニンからシスタチオニンへと変換されていき、やがてシステインに分解されます。システインは、ヒトを含め生体にとって重要なグルタチオンの構成アミノ酸のひとつで、解毒作用や抗酸化作用に役立ちます。

また、システインは日本国内では医薬品として扱われており、湿疹、蕁麻疹、薬疹、中毒疹、尋常性瘡などのあらゆる治療にも使われています。

テアニンとは?

テアニンとは、グルタミン酸とエチルアミンが結合したアミノ酸で、お茶の葉に多く含まれるうまみの成分です。

テアニンはグルタミン酸とエチルアミンが統合したアミノ酸であることを示した図

お茶にはたくさんのアミノ酸が含まれていますが、その半分以上がテアニンです。テアニンはお茶の葉固有のアミノ酸で、特に新茶の若芽や玉露には、より多く含まれるとされています。

テアニンは、脳のα波を上昇させ、リラックス効果をもたらす!

テアニンをヒトが摂取して体内に取り込むと、グルタミン酸とエチルアミンに分解されます。テアニンには、カフェインに対する興奮抑制作用があり、カフェインの劇的な作用を適度な作用に変え、興奮を穏やかに和らげます。

また、テアニンは脳の神経細胞を保護する働きをもち、脳のα波を上昇させることでリラックス効果をもたらすとも言われています。

シスチン・テアニンの「抵抗活力」を実証

食物の中に含まれる、シスチンとテアニン。このふたつのアミノ酸を組み合わせて摂取することにより、「抵抗活力」をサポートできることが、味の素グループの研究によって明らかになりました。これは、世界で初めての発見です。味の素グループは、このシスチンとテアニンをあわせて「抵抗活力アミノ酸」と名付け、日夜その有用性やメカニズムについての研究を続けています。

味の素グループは、風邪をひきやすい冬の時期に、成人男子176人を対象にシスチン・テアニンの風邪予防効果を実験しました。その結果、シスチン・テアニンを摂取したグループでは、シスチン・テアニンを摂取しなかったグループに比べて、風邪をひいた人の割合が少なくなりました。

風邪をひいたとしても、シスチン・テアニンを摂取したグループは、悪寒や発熱、鼻水、のどの痛みなどの症状を訴える人の数が少なくなったことも実証されています。
(シスチン・テアニンのカゼ予防効果に関する実験結果は、よく深く知るアミノ酸のヒミツ!免疫とアミノ酸をご覧ください)

この実験結果などから、シスチン・テアニンを定期的に摂取していると、マクロファージやNK細胞といった体内の免疫細胞が活性化することが考えられます。そしてその免疫細胞の働きを維持することによって、ヒトのカラダの免疫力をアップし、風邪にかかるのを防ぎ、カラダを調子よく保つことが期待できると言われています。

シスチン・テアニンを豊富に含む食材・レシピ

では、抵抗活力を高めてくれるシスチン・テアニンは、どうすれば上手に摂取できるのでしょうか。
シスチンを豊富に含む食材は、鶏肉などの肉類や、大豆などの豆類、テアニンはお茶の葉とされています。

シスチンは肉類に大きく含まれる テアニンはお茶の葉に多く含まれる

ここに、シスチン・テアニンを効率よく、おいしく摂ることのできるレシピの一例を紹介します。風邪をひきやすい冬に、特におすすめの温かい料理です。

・鶏むね肉 人気レシピ

鶏むね肉のとろみ肉じゃが

・鶏むね肉 人気レシピ

やわらか鶏むねステーキ 月見てり焼きソース

・豚肉・緑茶 人気レシピ

豚ロースの緑茶しゃぶしゃぶ

まとめ

アミノ酸は、ヒトのカラダの健康のために多様な形で貢献しています。なかでも、味の素グループの最新の研究で明らかになった「抵抗活力」をサポートする働きを持つアミノ酸が、「シスチン」と「テアニン」です。
加齢、激しい運動、そして日々のストレス......毎日頑張っているヒトの免疫力をアップして、風邪に負けない健やかなカラダをつくるアミノ酸として、「シスチン」「テアニン」はその注目を集めています。
日常の食生活の中で効率的な摂取を行い、健康な生活にお役立てください。

2019年3月の情報をもとに掲載しています。

味の素グループは、アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します

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