SPECIAL

第1回 WORLD UMAMI FORUM 開催

CEOメッセージ

うま味調味料でヘルシーな食生活を広げよう!!

味の素㈱取締役社長 最高経営責任者西井 孝明

過去の誤解にチャレンジ

私は、味の素グループが世界で初めてうま味物質・MSGを創造し、グローバルにその恩恵を広げてきたリーディングカンパニーとして、今こそ改めて「事実」を提示し、過去の誤解にチャレンジし、MSGが単に安全であることだけでなく、風味を向上させ塩分摂取量の削減を行うための素晴らしい方法であることを示し続ける時であると考え、2018年9月にWorld Umami Forum(世界うま味フォーラム、以下WUF)を開催することにしました。

WUFは、食、栄養、そして科学領域に関わる多くの専門家の皆さんに集まっていただき、証明された事実に基づく議論を行い、MSGに関する正しい理解を確立することで、世界中の人々が不安や恐怖心を持つことなく、おいしくヘルシーな食生活を楽しむことができるようにすることが目的です。
※MSG:グルタミン酸ナトリウム

米国でのMSG
(グルタミン酸ナトリウム)

1970年代、MSGは米国で安全性に関して厳しい監視の対象となっていました。当初より現在に至るまで、味の素グループはこれについて積極的には反論せず、科学的コンセンサスを構築するための研究に注力し、科学的情報を収集し、多くの研究者やFDA(米国食品医薬品局)などの公的機関から「MSGは安全」という正しい情報が発信されるように活動してきました。もはや、「MSGが頭痛を引き起こす」、1970年代に米国で関心を集めた「チャイニーズレストラン・シンドロームの原因がMSG」といった誤った情報を発信する科学者は皆無です。

しかし一方で、米国の多くの消費者は、「MSGは漠然とケミカルで健康を害するものではないか」と感じており、レストランや加工食品メーカーは、消費者の健康懸念を極小化したいとい考えており、「NO MSG」はごく一般的なセールストークとなっています。アジア、中東、アフリカの国々そして日本においても、消費者の漠然とした不安感を助長することをマーケティング戦略としている食品メーカーや外食業があとを絶たないことは、本誌(P12-13)で紹介した各部署からの報告にあるとおりです。多くの事例は「誤解」に基づくもので、「正しい情報」によって改めてもらうことはできています。しかし、一方で私は、「食」のプロである大手企業が、「消費者が懸念するから」という、まことしやかな理屈で誤解を広げる活動を行うのは、社会的責任に欠ける行為だと思います。

5番目の味「うま味」の認知と普及

この問題の解決に対する味の素グループのもう一つの挑戦は、5番目の味「うま味」の認知とその効用の普及です。世界各国の味の素グループの活動と多くの料理人の方々の活動により、各国のおいしいローカル・フードや食材にもうま味成分が含まれていることを知り、うま味を高く評価する人々がどんどん増えています。(米国で約3割の人々がうま味を知り、ポジティブに評価。2018年1月味の素グループ調べ)

そして、世界中の消費者がモバイルネットワークでつながり、多くの人々が他の国々を訪れ、食文化の交流は一層盛んになり、食の安全・安心や健康に関する情報への感度はこれまで以上に大きくなっています。

今こそ消費者と共有する旅に出る時

私は、今こそ、うま味を発見し、調味料「味の素®」を創造し、MSGの普及で世界中のおいしい食生活をリードしてきた味の素グループが、事実に基づいたすべての情報を総合し、より積極的に消費者と共有する旅に出る時だと決断しました。

うま味成分の主役がグルタミン酸であり、調味料としてより使いやすいMSGを料理に上手に使うことで、減塩料理をおいしくし、動物性たんぱく質を取る時に感じるのと同様の満足感を促進するなどのヘルシーな食事にもっと役立てることができるという事実を、米国発のWUFで世界中に発信しました。

う今回は世界中から味の素グループのメンバーが各国のキーパーソンを連れて参加してくれました。米国の有名なロビイストやブロガーなどを組織し、これらの方々と継続的に、うま味調味料、MSGの有用性が発信される仕掛けも整えました。
味の素グループの皆さんには、この内容をしっかりと理解していただき、一人ひとりが、身の回りにある「MSGに関する誤解」を取り去り、ヘルシーな食生活に役立つ有用性を広報するスポークスパーソンとして、新しい挑戦に参加してください。