Well-being

まだ「気合」で働いてますか?気分転換で終わらせない疲労回復術

多くのビジネスパーソンが「抜けきらない疲労」に頭を抱えている。

NewsPicks for WEがユーザー向けに行った調査では、8割以上が「やる気はあるのに体がついてこない」と回答した。

睡眠、運動、サウナ、お酒、読書……私たちは多様なご自愛の方法を知っているのに、回復が追いつかないのはなぜか?

今回はその理由を探るべく、味の素株式会社の河内未土さんに聞く。元ラクロス日本代表という経歴を持ち、現在はアミノ酸ビジネスのフロントランナーとして活躍する彼女は、人気ポッドキャスト番組で「アミノおばさん」として親しまれるリカバリーの有識者だ。

そんな河内さんに、忙しい人でも取り入れやすい「アミノ酸を軸にした疲労解消方法」を聞いた。河内さん自身も実践するセルフケアは、多忙なビジネスパーソンにとってヒントとなるはずだ。

慢性的な疲労、抱えていませんか?

中道:多くのビジネスパーソンにとって、「いかにして疲労を回復するか」は常に重要なテーマです。

頑張れば頑張るほど期待が高まり仕事量が増え、結果として会食や残業で睡眠時間が削られ、リカバリーに使える時間が物理的に減ってしまう。そんなジレンマの中に私たちはいます。

左から中道薫、川口あい、辻香織(NewsPicks for WE)

:身体的な疲れも深刻ですが、デスクワーク中心だと、頭は疲れているのに体は動かしていない疲労のミスマッチも辛いですよね。睡眠不足なのに、仕事のことで頭が冴えて寝られない。

中道:NewsPicks for WEの読者にアンケートを実施したところ、「やる気はあるのに体がついてこないと感じることがある?」に対して、81%の方が「YES」と答えました。

川口:仕事も私生活も精力的にこなしたいイメージは頭の中にあるのに、体がついていかない。8割以上が精神と肉体の乖離に悩んでいるのが実態です。

限られた時間の中でもできる戦略的な回復とは何か。そのヒントを伺うべく、本日は味の素株式会社の河内さんにお話を伺います。

川口:河内さんは人気ポッドキャスト番組で「アミノおばさん」として親しまれるなど、食と栄養の重要性を伝える活動を精力的に行っています。元ラクロス日本代表という経歴をお持ちですが、そんな方でも、仕事で疲れることはあるのでしょうか。

河内:もちろんです。むしろアスリート時代よりも、デスクワーク中心の今のほうが脳の疲れや午後の集中力の欠如を如実に感じます。

パフォーマンスを維持するために朝のランニングの習慣化などもしていますが、起き上がることがしんどい日も当然あります。

:そんな河内さんが、疲れを感じた時はどうされているんですか。

河内:無理にストイックになりすぎず、お酒を飲んだり、美味しいご飯を食べたりしてご自愛しています。

ただ、睡眠不足の日や集中力が必要な日など、その時々の状況に合わせてアミノ酸を摂り、自分の状態を細かく調整するようにしています。

なぜ今、タンパク質より“アミノ酸”なのか

川口:最近はビジネスシーンでも「タンパク質摂取」への意識が高まっています。コンビニでもプロテイン製品を多く見かけますが、河内さんがアミノ酸を強調される理由を教えてください。

河内:プロテインがより広い市場に受け入れられ始めたのは、非常にポジティブに捉えています。

そもそも、タンパク質はアミノ酸で構成されている、ということをご存じない方も案外いらっしゃいます。

ただ、体はタンパク質を塊のままでは吸収できないんです。

消化の過程で、構成成分であるアミノ酸まで分解されて、はじめて体内で利用されます。この分解プロセスには、通常数時間を要します。

中道:「食べる」から「吸収する」までには、タイムラグがあるということですね。

河内:その通りです。理想は肉や卵から十分な量を摂ることですが、仕事や会食が続き、ストレスがかかっている状態では、消化機能が十分に働きにくいこともあります。

一方、アミノ酸として直接摂れば、分解する必要がないため比較的短時間で吸収され、体内で利用されやすいという特徴があります。

また、必要な時に必要な分だけ摂取できることもアミノ酸を活用するメリットの一つです。

例えば、筋肉のタンパク質に多く含まれるBCAAと呼ばれるアミノ酸を運動前に摂取することで、分解や損傷を抑制し、パフォーマンスが向上します。

:ビジネスパーソンは、どんな時にどんなアミノ酸を摂ればいいのでしょう。

河内:代表的なものをいくつか挙げますね。

まず、睡眠の質なら「グリシン」です。

深部体温(体の中心部の体温)を下げ、スムーズに深い睡眠へ導く働きがあります。研究データでは、通常の2倍の速さで深い睡眠に到達するという結果も出ています。

川口:アンケートでは「お酒が唯一のリフレッシュ」という声も目立ちました。アルコールのダメージを軽減できるアミノ酸もあるのでしょうか。

河内:はい、お酒を楽しむ際はアラニンとグルタミンが強力な味方になります。

これらは肝臓でのアルコール分解を促進します。私自身もビールを愛好しているので、よくお世話になっており、翌朝のコンディションを良好に保てているように思います。

また、脳の疲労感には「ヒスチジン」ですね。慢性的な疲労感を軽減して作業効率を高めるエビデンスがあります。

:すごい。一日中パソコンに向かっていると夕方頃に集中力が枯渇してしまいますからね。

川口:お話を伺うほどアミノ酸の奥深さを感じますが、味の素(株)はこれらを非常に多岐にわたる分野で扱っているんですよね。

河内:はい。私たちの社名にもなっているうま味調味料「味の素®」は、グルタミン酸というアミノ酸から生まれたんです。

アミノ酸の研究を進めてきたことで、現在は食品だけでなく、化粧品、医療、さらにはパソコンやスマホの半導体材料、家畜の飼料に至るまで、幅広く事業を展開しています。

:半導体まで! 食品の会社のイメージがガラリと変わりました。

河内:アミノ酸は生命の基本単位ですから、その可能性は無限なんです。

ビジネスは長距離走。回復力を高める新習慣を

川口:忙しいほど、私たちは回復を気合やその場しのぎでやってしまいますが、気分転換だけで終わらせてはいけないですね。

サウナに行けた日は良いけれど、行けない週もある。運動ができた日は満足するけれど、続かないと自己嫌悪になる。お酒や甘いものは一瞬ラクになる反面、翌日に持ち越すこともありますよね。

結局、コンディションが上がったり下がったりを繰り返して、仕事の質まで揺らいでしまう。

だからこそ、回復を「予定が空いたらやること」ではなく「生活動線の中に組み込むこと」として設計し直す必要があるんだと思いました。

日常の中で自然に取り入れられるアミノ酸は、生活に馴染みやすくていいですね。

河内:大切なのは、自分の不調に耳を傾けて、今の状況に合うものを選ぶこと。そして、続けやすい形を一つ決めることです。

例えば、歯磨きの前に摂る、枕元に置く、会食の日は帰宅後のルーティンにする。こういう小さな固定ができると、体調の下振れが減っていきます。

ビジネスは長距離走です。頑張り続けるために、回復を習慣として味方につけていきましょう。

構成:日野空斗

編集:川口あい

デザイン:製作所

Newspicks Studiosにて取材・掲載されたものを当社で許諾を得て公開しております。

2026-04-20 Newspicks Studios