これは、味の素社の新規事業創出プロジェクト「A-STARTERS」に応募した1人の女性社員の構想から、事業化を果たしたサービス。「LaboMe®」のプロジェクトリーダーとして、自らのアイデアの事業化に向けて奔走してきたのが、女性well-being事業にて新規事業推進担当を務める橋麻依子さんです。
橋さんが新規事業の立ち上げに挑み、事業化させるまでの軌跡を紹介した前回の記事「入社4年目の私が、味の素社で新規事業を立ち上げ、リーダーになった理由」に続き、今回は「LaboMe®」というサービスの特長やビジョンについて紹介します。
味の素社の新サービス「LaboMe®」とは?
「LaboMe®」は、どんな心や身体の状態でも"自分らしく生きる"ことをサポートする会員制セルフケアサービス。サービスの内容は「プロダクト」と「コミュニティ」から構成されています。
会員になると、毎月専門家が厳選した信頼できる「プロダクト」が届き、新しいセルフケアを体験できます。
「プロダクトは届いた時が終わりではなく、自己探索の始まり」という橋さん。
その言葉のとおり、「コミュニティ」では、味の素社の研究員やプロダクトの開発者、そして会員同士がプロダクトの効果的な使い方や使ってみた感想をシェアすることができ、セルフケアを学び合うつながりが得られます。
食品を扱っているイメージが強い味の素社から、なぜこのようなサービスが誕生したのでしょうか。その発端は橋さんが、「15年来の親友が自分と同じく、PMS(月経前症候群)に長年ひとりで悩んでいた」という事実を知ったことでした。長くそばにいたのにまったくわからないくらい、お互いに不調を我慢して隠していた。そこに気付いたことをきっかけに、事業の構想をスタートしたのです。
「LaboMe®」が誕生したさらに詳しい経緯については、こちらの記事「入社4年目の私が、味の素社で新規事業を立ち上げ、リーダーになった理由」で紹介しています。
「LaboMe®」の由来
「LaboMe®」の名前の由来は「自分(Me)を研究する場所(Labo)」。「LaboMe®」では「研究」を直線的な課題解決ではなく、将来を見据えながらも蛇行するプロセスと捉え、サービスに反映しています。
必要なのは、自分らしいセルフケアを選べる環境
「LaboMe®」には、サービスの根幹をなす二つの大事な考え方があります。一つは、「セルフケアには全員に共通の基準や、決まった正解がない」ということ。これは橋さん自身の経験から得た気づきがもとになっています。
橋:私は10年以上PMSに悩んできました。不調をなくすための「正解」を求めて、ハーブティーやアロマなど、いろいろな商品を試してきたんですが、なかなか納得できるものに出会えず苦しかったんです。というのも、心や身体の状態は人によって異なり、自分のなかでも状態は日々変わっていくので、"誰か"や"あの時"の正解が今の自分にあてはまるとは限らないからです。
心身が不調の時に、信頼できる情報にたどり着くことの難しさを、身をもって体験したことが、プロダクトとコミュニティがセットになった新しいサービスの構想につながりました。
橋:あらゆる情報が錯綜する中、まずは信じられる情報に簡単にアクセスできること、そして、1人で抱え込むのではなく、仲間と学びを共有しながら自分らしいセルフケアを探究する環境をつくることが必要だと感じたんです。
そして、もう一つの大事な考え方が「不調があることで自分を責めるべきではない」ということです。
橋:自分の経験や親友の言葉から、人間は誰しも、ままならない心と身体とともに生きるものだと痛感しました。一方、事業アイデアの応募前後に行ったヒアリングでは、多くの人が働くためにPMSを克服するか隠さなくてはいけないと考えていたんです。さらに昨今、セルフケアが「生産性向上」や「自己実現」の手段として語られています。でも本来ケアというのは、なにかに足る存在になるための義務ではなく、"自分のため"に、"生きるため"にどんな人にとっても必要なこと。セルフケアをそんな文脈で捉え直したいと考えました。
そこから生まれたのが、「Selfcare for Selflove.」という「LaboMe®」のビジョンです。一つの正解を探す試行錯誤から、自分らしい心と身体のあり方の探究へーー。「LaboMe®」というサービス名にも橋さんの思いがストレートに表れています。
「プロダクト」で自分に合うセルフケアを"探索"する
「LaboMe®」では、食、休息、運動、美容、温める、つながりという6つの軸を設け、その中から毎月セルフケア研究のテーマを設定します。そのテーマに沿って、味の素社の研究員が自らの専門知識と女性の目線から「自分が使いたい」と思ったプロダクトを選定するとともに、コミュニティの中で、プロダクトの開発者の声や関連するセルフケアの知識を紹介します。
プロダクトの一例として、橋さんが紹介してくれたのが、土壌の生物多様性を考え抜いた野菜づくりを実践する有機農家が手がけたハーブティー。世の中にある商品だけでなく、味の素社がアミノ酸の技術を結集して生み出した新商品を取り上げたり、「LaboMe®」のオリジナルプロダクトをつくる構想などもあるそうです。
プロダクトは、自分に合うものや自分らしいケアを実践を通して"探索"するためのものであり、「自分に合うものに効率的に出会うためのサービスではない」と強調します。
橋:「自分に合った商品が届くんですか?」とよく聞かれるんですが、私たちはあえてそうしていません。なぜなら、自分に合う商品は人に決められるものではなく、自分で体感し、選びとるものだと考えているからです。
学びを共有できる「コミュニティ」が自己探索をサポート
大切にしているのはプロダクトを通じた1人ひとりの探索であり、これをサポートするのがコミュニティの役目です。
橋:コミュニティでは毎月のテーマに沿って、セルフケアの有識者である研究員、プロダクトの開発者、お客さまが雑談したり、気になることを質問したり、専門家が監修したセルフケアの最新情報をいち早くチェックしたりできます。そのほか、毎月のテーマに関連するゲストの講演や、同じテーマに関心のある人たちと交流できるイベントも行っています。
プロダクトで探索し、コミュニティで共有する、このサイクルが「自分を研究する」ことであり、両輪をうまく回していくことが、自分らしく生きられるウェルビーイングの発見につながると考えているのです。
橋:2022年(令和4年)12月、106名のモニターを対象に実施したサービス検証では、「自分では知ることのできなかったプロダクトに出会えて、セルフケアの引き出しが広がった」「コミュニティで自分に似た悩みを持つ仲間ができたことで刺激や勇気をもらえた」といった喜びの声が多く届き、サービスへの自信と確信を得ることができました。
「LaboMe®」の強みとは?
「LaboMe®」のプロジェクトチームは社内外合わせて18名で構成されており、味の素社の女性研究員が多く参加しています。味の素社の無形資産である人財をフルに活かし、食品以外の分野で社会に貢献することも、「LaboMe®」の一つの使命だと考えています。
「LaboMe®」のサービスを支える社外パートナーの方々。セルフケアの有識者として"正しい情報"を会員に届けるために重要な役割を果たします。
橋:個人の想いから始まったサービスが、味の素社の知見や人財の力を借りることで、自分たちの想像をはるかに超えるものになりました。今後はお客さまとの対話を通して学びながら「LaboMe®」自身も研究を重ねて、サービスを進化させていきたいです。
橋さんには、「LaboMe®」を通じて実現したい未来があるそうです。
橋:「LaboMe®」を出発点として、「Selfcare for Selflove.」が浸透した社会を実現したいです。そのために、まずは会員のみなさんとの実験から始めて、ゆくゆくは企業や学校などを巻き込みながら、人間らしさを尊重するためのセルフケアを実践し、社会全体へと広げていきたいですね。
最後に、橋さんから「LaboMe®」に興味を持った読者の方へのメッセージをいただきました。
橋:セルフケアは誰にとっても必要なもの。迷い、苦しみながら、ままならない心と身体とともに生きるすべての人たちに、「LaboMe®」を知っていただきたいと思っています。「強くなる」ため、「何者かになる」ためではなく、自分を尊重し、人間らしく生きるためのセルフケアを「LaboMe®」で一緒に研究しましょう!
味の素社のアミノサイエンス®と無形資産を活用し、「Selfcare for Selflove.」の価値観を広めていく。橋さんの新たなチャレンジは始まったばかりです。
2023年8月サービス開始!
会員は女性限定で、会費は月額2,980円。入会月は1,000円オフになるお得なキャンペーン(2024年7月31日まで実施予定)を行っています。この機会に会員登録して自分らしいセルフケアの一歩を踏み出してみてください。
橋 麻依子
R&B企画部 アクセラレーショングループ 女性Well-being事業リーダー
2017年に味の素社に入社。業務用営業を4年間経験したのち、2020年に第1期A-STARTERSに応募・採択されました。
仕事を通じて「全ての人が、ゆらぐ心とからだと共にWell-beingに生きる社会」の実現に貢献したいです。
23年春から、社会学・人類学などを学ぶため、大学院で研究も行っています。
休日は、自然の中で焚火をすることと、10時間寝ることが至福の時間です。
2023年8月の情報をもとに掲載しています。
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